遥かなる大陸アストローナ・・・ かつて東の覇権を争いし国家のひとつ、重機都市フェルより、 偽道より嫌われ、真の道へと引き込まれる騎士がいた。 その騎士、名をミカエル・キーファ・サザーラスという・・・ 第2話:偽道を捨てられた騎士 「とうとう、そばに置きたくもなくなったか。 まあ、当然といえば当然だが・・・故郷を遠く離れてしまうのか・・・」 ひとりの騎士がそうつぶやきながら、自らの館へと歩いてゆく。 かの騎士の名はミカエル。 武勲にて名を興したサザーラス家の3代目である。 もっとも、祖父・・・興家の初代当主が健在なため、彼が家の主ではないのだが。 しばし考えごとをしている間に、館の門の前までミカエルはたどりついていた。 「おかえりなさいませ、ミカエル様。」 「わざわざ出迎えてくれたのか・・・すまなかったな。」 部下の衛兵の中でも、ミカエルが特に注目していた者が迎えてくれた。 (何かあると勘づいていたか・・・やっぱり鋭いな) そう思いつつも、衛兵に礼を返し、 ミカエルは館の中へと入る、がその足どりは普段よりも重い。 今度伝えられた命令については、祖父にも伝えねばならぬのだが 迷惑がかかることを考えると、どうも気が進まないのだ・・・ ・・・わずかな時の後、ミカエルは祖父の部屋にいた。 話す覚悟を決め、その内容をまとめたからに他ならない。 「・・・というわけです。」 「ふむ・・・おまえが派遣されている間、儂にこの館を守れ、と・・・」 「はい。 このようなことでお祖父様に迷惑をかけてしまい、 立つ瀬もないのですが・・・」 「ミカエル、お前は昔から堅いやつだったからな。 昔からの貴族連中と肌が合わんのも当然じゃ。 じゃが、それで己を責める必要はない。 現に、お前を信じていてくれるものも大勢いるではないか。 後のことは、彼らとこの儂とにまかせお前は己の道を歩むと良い。」 ミカエルの願いに、祖父は激励を持って返した。 それは、家の存続と騎士としての道の板挟みにあって散っていった 彼の息子・・・すなわちミカエルの父、の分まで 幸せになってもらいたいという老雄の願いをあらわしたものでもあった・・・ その明後日・・・ 前日の送別会に集まっていた面々が再びサザーラス家の前に集まっている。 もちろん、旅立つミカエルを送るためである。 「ミカ、君の無事を祈っているよ。」 そう励ますは、上の姉と結ばれた義兄。 「一緒に行けなかったあたしの分も頑張ってよね!」 ・・・と、こちらは最後まで一緒に行きたがっていた活動的な下の姉。 わずかに涙にぬれたあとが残っている。 「隊長、あとのことは俺達にまかせておきな!」 こちらは、今までミカエルの部隊だった荒くれの兵士。 そして、視線を動かすと・・・ そこには語る言葉をすべて昨日のうちに出しつくし、 寂しさと不安を隠し微笑みを見せる母と祖父。 そして、元気で戻ってくることを信じ、明るく送り出す妹や、仲間達の姿が・・・ (俺もこんなに多くの人たちに支えられてきたのか・・・) その感動を胸に、彼は叫ぶ。 旅立ちの言葉を・・・・・・