ペルシャ絨毯に思うこと

琴線(きんせん)に触れるペルシャ絨毯

ペルシャ絨毯で愉悦に浸る

 

★職人の良心と誇り★

 イギリス人は祖先が貯木したものを使って家具を飽きの来ない デザインで作り、孫の代まで使っていくと言う。 また、ボタンホール一つを作るのに3時間かける仕立て職人が居ると聞く。

 イラン人はと言うと、1年から3年の歳月を費やして、 一結び一結び丹精込めてペルシャ絨毯を織り上げる。 また、お爺さんが買い集めた古い絨毯だけを売って、 自分は自分で孫のために良い絨毯を買い置きしている絨毯商がいる。 このペルシャ絨毯もまた、親子3代に渡って使い続けられるのです。

 毎年移り変わる流行を追い求め、使い捨て文化とスピードに慣らされてしまった 現代のわれわれ日本人は、こうした『悠揚迫らぬ態度』に脱帽せざるを得ません。 遠く紀元前、アケメネス王朝の昔から全く変わらない 伝統と遺産、職人気質が生き続けているのです。

 彼らにとっては、『良いものを作ることが何よりの誇り』なのです。


★砂漠の民の夢と幻★

 ペルシアの大地は、年間の降雨量が極めて少なく、国土の三分の二以上が塩分のきつい砂漠ならぬ土漠、 つまり土と瓦礫の不毛の大地です。自然は過酷で、夏は40〜50度にもなり、冬には雪が降り、零下10度位も珍しくはありません。

 この様に自然が過酷だからこそ、彼らは常春の楽園を夢見続けて来たのです。
泉がこんこんと湧き出し、草花が咲き乱れ、動物が群れ遊ぶ夢の楽園を。

  ペルシャ絨毯の絵柄はまさに草花の咲き乱れる楽園世界に他なりません。来世こそは この様な夢の楽園に住みたいと願いつつ、砂漠の少女は人生の最も輝ける時を ペルシャ絨毯に捧げ、祈るのです。


★シルクロードの浪漫が香るペルシャ絨毯★

 パジリク絨毯というのをご存知でしょうか?    シベリアと蒙古の国境アルタイ山中パジリク古墳に埋葬されていた スキタイ王国の王子の墓から発掘された現存する世界最古の絨毯のことで、現在はロシア・エルミタール美術館が所蔵しています。

パジリク絨毯
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 この絨毯は、アケメネス朝ペルシア時代(約2500年前)に織られ、スキタイ王国に寄贈されたものと推測されています。 この絨毯の完成度の高さから、ペルシャ絨毯の歴史はなんと3000年とも5000年とも言われているのです。

 紀元前500年に既に王朝が存在し、法律が制度として確立され、 香りの文化までもが発達していたペルシア。 この時代には既に高度に発達したペルシャ絨毯が盛んに織られていたのです。

 ところで、砂漠の民の遊牧生活の中から、その生活必需品として生まれたペルシャ絨毯は、 王朝文化に育まれ華麗な敷物として発展を遂げて来ました。 だが、このアケメネス朝ペルシアはマケドニアの王アレクサンドリアの東征によって 滅亡させられました。

 その後に勃興したササン朝ペルシアやサファビー王朝もまた栄華を極めたのです。 殊に、サファビー王朝では、その首都イスファハンの繁栄ぶりは「イスファハンは世界の半分」 と言わしめた程で、シャー・アッバス大王の命により王室の絨毯工房が作られ、 盛んに華麗なペルシャ絨毯が織られたそうです。

 しかし、これらの王朝もアフガニスタンなどの諸国の侵略にさらされ、 イスファハンもまた、「墓場の沈黙がたちこめる町」と化したのです。 こうしたペルシア王朝の栄華と共にペルシャ絨毯は華麗に成熟し、 その滅亡と共に衰退してきたのです。

 かくして、隆盛と衰退を繰り返しつつも織り継がれてきた、 砂漠の民の芸術であり歴史遺産でもあるペルシャ絨毯の、その向こうには、 悠久のシルクロードを駆け巡った壮大な夢と浪漫があるのです。

 美的感動と共にあなたも 『シルクロードの夢幻の世界』 『砂漠の民の心と願い』 に是非一度触れてみて下さい。

ファルシュチアンの細密画を
絨毯に織り上げたもの

イスファハンのチェヘールソトン宮殿の壁画
中央の人物がペルシャ絨毯に座るサファ
ビー朝ペルシアのシャー・アッバス大王



★至福のひと時を★

 絨毯を眺める時、踏みしめる時、掃除をしてやる時に 『至福のひと時』 を 感じられたことがありますか?

 お気に入りの一枚のペルシャ絨毯は、きっとあなたを悠久の ペルシアの夢幻の世界へと誘(いざな)ってくれることでしょう。それはペルシャ絨毯以外の 「コピー絨毯」 では決して味わえない、『本物を持つ者だけに許される世界』 なのです。

 皆様も一枚のペルシャ絨毯と共に 『至福のひと時』 を味わってみられてはいかがでしょうか。


 『清々しい生命の躍動を、人間の造ったものによって感じられる時、 人は最も幸せであり、その動機となった作品は最高のものとなる』 (浅岡敬史著『イギリスの職人たち』東京書籍より)

 古代オリエントの昔より、ペルシャ絨毯は、ペルシアを征服した 『征服者さえをも魅了してやまなかった』 といわれているのですから

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<My collection の一部

初代セイラフィアン販売中
イスファハン 1940年代作
初代レザー・セイラフィアン
カシャン ゴレスタン工房作 草木染め
草木染めのカシャンは今では殆ど作られなくなった
トルクメン 草木染め
縦糸天然のシルク

カシャン・シルク
マハムード・モルシェディ工房作
かぎ針を使うクムとは違い
指で結ぶカシャンの織りはしっかりして綺麗
ケルマンラバー フォロージ工房作
残念ながらフォロージは既に工房を閉鎖した

ビジャー 草木染め
鉄の絨毯と呼ばれるほど丈夫な
本物のビジャーは素晴らしい

シルジャン・キリム 草木染め
アフシャル族
イスファハン・アンティーク
1950年頃 草木染め
イスファハン ・ ダーバリー工房作

カシュガイ 草木染め




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