以前、僕は「最強のダービー馬はキンカメ(キングカメハメハ)!」と書きました。
その理由はキンカメのダービーが壮絶なレースだったからです。
その年のダービーを少し振り返ってみましょう。

その年は外厩制度(?)第一号として中央競馬に参戦してきた地方馬コスモバルクが
たいへん注目されていました。
対する中央馬の代表としましては、バリバリのエリートブランドを集めたブラックタイドがいました。

そして皐月賞。
一番人気はバルク。タイドは二番人気でした。
レース前に逃げ宣言をしていたマイネルマクロスが出負けしたせいか、あまり逃げるそぶりを見せず中段に控えたことで
押し出されるようにメイショウボーラーが先頭に立ちました。
距離の長さに不安があったボーラーがスタミナを温存するべく、ため逃げをしたことにより
レースはスローペースになりました。
気性に難があったバルクは落ち着かせることに集中しすぎてクセ馬ダイワメジャーに
出し抜けをくらってしまい皐月の称号をメジャーに奪われてしまいました。
タイドをはじめ、後方に控えていた馬は全く出る幕がありませんでした。

その後、ダービーへ向けてバルクの馬主である岡田氏はいろいろと試行錯誤されていました。
また、ダービートライアルの青葉賞ではハイアーゲームが従来のダービーレコードを
1秒以上も塗り替えるタイムで圧勝していました。
そして、NHKマイルカップではキンカメがレコードタイムを塗り替え、5馬身差の圧勝を飾っていました。
桜花賞馬ダンスインザムードのダービー参戦も噂されていました。(結局出なかったけど)
一方、ブラックタイドは脚部不安で出走回避していました。

そしてダービー。
一番人気はキンカメ。バルクは二番人気でした。
皐月で逃げなかったマクロスがその罪を感じてか物凄い勢いでハナをきりました。
最初のコーナーを曲がるのを忘れるぐらいの勢いでとばしまくり、1000メートルを
ダービー最速の57秒6で通過しました。(それまでは01年テイエムサウスポーの58秒4)
誰が見ても異常と分かるほどのペースの中、バルクは3番手を進んでいました。
3コーナーあたりで早くもマクロスがへばりだし、不本意ながらバルクが先頭に立ちました。
しかし、何を思ってか4コーナーでバルク鞍上の五十嵐騎手の手が動き出しました。
それを見たキンカメ鞍上の安藤騎手の手も動き出しました。
その横でハイアーゲーム鞍上の蛯名騎手の手も動き出しちゃってました。
空前のハイペースにもかかわらず、東京の長い直線を前に仕掛け始めたのです。(何考えてんだ、こいつら)
4角先頭で直線に入ったバルクでしたが、もうその頃には脚があがった状態でした。
そのバルクをかわしてキンカメとハイアーゲームの激しい叩き合いになりましたが、
キンカメがゴール手前200メートル付近でハイアーゲームを振りきり、
前半死んだ振りをしていた横山ハーツクライの追い込みをねじ伏せ、
見事にダービーの栄光を掴み取りました。
タイムはダービーレコードを2秒も塗り替える2分23秒3でした。
ハーツは2着、ハイアーは3着、バルクは根性だけで8着に粘りこみました。
直線半ばでは、マイネルブルックがシカンブルの呪いに死んでいました。

壮絶なダービーだった。
間違いなくキンカメは名馬中の名馬だ。
こいつが最強のダービー馬だ。
シンザン、ルドルフに継ぐ最強馬20年周期説は本当だったんだ。
これからどんな夢を見せてくれるんだろう。

さて、ダービーを快勝したキンカメは3歳クラシックの菊花賞ではなく
天皇賞(秋)をつかうことが発表され、秋初戦は神戸新聞杯と決まりました。

レース前、僕はキンカメということで特別に調教VTRを見たのですが
普段は調教を見ない僕ですら分かるほど精彩を欠いた状態でした。

そして神戸新聞杯の方は、勝つには勝ったのですが何かモッサリしたような勝ち方でした。
休み明けだから仕方ないのかなと思いました。
本番では圧勝してくれるのだろうと。

天皇賞の2週間ほど前、キンカメが浅屈腱炎を発症していたことがわかり
程無くして引退が決定しました。

またか。
また松国(松田国英調教師)が馬を壊した。
世界を感じたクロフネを壊した。
かっこよかったタニノギムレットを壊した。
でもあの2頭は仕方ないとあきらめた。
でも今回は明らかに松国のせいだ。
レースに使う状態ではなかった。
素人の俺でもわかるよ。
どこ見てたんだ、てめえは。ボケ。
あーーーーーー。
また松国に裏切られた。
ふざけんじゃねえよ。
死ね。百回死ね。
ぶがーーーーー。
ほんとに悪いと思ってんのかよ。
また馬壊す気だろ。
やめちまえよほんとに。
死ーーーーーね。
死ーーーーーね。
種牡馬がどうとかどうでもいいんだよ。
走ってなんぼだろうが。ボケカス。
何してんだよ。
悪夢だ。
今日もキンカメがいない。
やっぱりほんとだったんだ。
今回だけは…。
クロフネ…。
どうしたらいいんだ。
返してください。
あーーー。
つらい。
競馬で裏切られた。
大好きな競馬で裏切られた。
疲れた…、もういいや……。

天皇賞はゼンノなんとかとかゆう馬が勝っていました。



でも、競馬以外にすることが無かった。



そんなある日、とあるレースを見ました。
ファンタジーステークスです。
純粋にスピードだけで後続を引き離す彼女の姿に心トキメキました。
彼女の名はラインクラフト。
トキメキ。競馬。俺は競馬が好き。
俺には競馬しかない。
やっぱり僕は競馬を続けよう。
ありがとう、ラインクラフト。

俺は競馬をするよ。(回収率100%か…。今年までだな。)

・追伸

 松国の夢は春3冠だそうだ。
 やれるもんならやってみろ。
 それが俺に対する償いだとするならやってみせろ。
 そのためなら…、俺は応援してやってもいい。(リシャールではしんどい?)
(2006/03/18)


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