1999年トピックス


(C−27 スーパーブルーフルフェイスダイヤモンド)

今年のふ化の一番乗りはC−27でした。写真でそのベビー達を見ていただくにはあまりにも小さいですが元気に尾を振ってます。見守るオスの体色もディスカスミルクの準備で充分黒ずんできました。

1999/1/3生まれ

Tank NO.8−B

(魔女の帽子完成)

昨年11月、初挑戦した織部焼きの産卵筒が今日窯元より届いた。
通常、形が出来てから完成まで約半年の月日を要するが、窯元にご無理を言って何と3ヶ月という短期間で焼き上げていただいた。
お預けした時には、今にも壊れそうなデリケートな出来であったが、何とか無事に完成した作品を目の前にして感無量である。
写真はホワイトバランスがずれていて黄味を帯びて残念だが、実物は非常に上品でおしゃれな色に仕上がっている。
次回はこの写真のような色を持つ黄瀬戸焼きにも挑戦したい。
さて、この産卵筒はあく抜きは不要である。
三角錐に丸みを持たせて、さらに緩やかな凹凸を付けた複雑な形をしており、表面は産み付けられた卵が落ちにくいようにざらつきを残すため紙やすりによる表面処理をわざと省くという念の入れ様だ。
実際にディスカスのペアに使っていただき、その感想をペアに代わって近々報告したい。

1999/1/23

(ピア・ワン・メイド−ピジョンブラッドの紹介)

ピア・ワンで販売されるピジョンブラッドは、その全てがチェン・ワイ・シンC−23オリジナルのピジョンブラッドより作出された個体である。最近では、ピジョンブラッドそのものが巷で販売される事も少なくなった。
C−23が初めてピア・ワンに入荷したのはもう6年以上も前のことである。6cmほどの幼魚で入荷されたのであるが、チェン・ワイ・シン&エン・ランアクアリウムの特徴でもあるブラインシュリンプをベースにしたスペシャルフードで育て上げられたためにその独特の発色をしている事と、頭部の形が丸い個体が大半を占める中でさすがにチェンのものはmade in H.Kと、うならせるものがあった。
もちろん、彼のディスカスには悪質な色揚げは一切なされていない。
この時の個体が大きく育つにしたがって、もう一つ驚いた事がある。それは非常に赤く発色する事である。
写真ではその表現がむづかしいが、ピア・ワンを訪れる誰もが「こんなに赤いのは初めて見た」とのご感想。
もちろん、私のディスカスには微塵の色揚げも施していない。
ゴーストディスカスにしろ、ピジョンブラッドにしろ、洗練された個体はとても美しいのである。
一時期、ブームによって大量の「できそこない」がただ同然の値段で世の中にばらまかれ、特にゴーストディスカスについては同情する。
ピア・ワンには以前、全身真珠色にコバルトブルーを伴うブラックアーチの個体が数百匹いたが、今はその姿を見る事も無く、その全てを手放してしまった事を今は非常に後悔している。
ピジョンブラッドも同じ道を歩ませないよう守っていきたい。ここで2つのタイプを紹介する。

1999/02/11.

(ゴースト&R.R.B)

先日、書庫の中をごそごそしていたら昔懐かしい良き時代の愛すべき固体の写真が出てきたので紹介する。
最近では殆ど目にする事がなくなったゴーストディスカスとレッドロイヤルブルーである。 もしかすると、ディスカスビギナーの人は見たことも無い物かもしれない。特に私個人としてはRRBの黄金時代は懐かしい。
大量に輸入される「できそこない」の中にも輸出元のファームによっては非常に質の高い個体が多く含まれる便があり、それらを根気と時間をかけて収集し育てていた。
下に紹介する写真は、その中でも特に大切にしていた個体である。
RRBは、まるで戦闘機を思わせるシャープなスタイルに派手なストライプ。こんなのが当時、私の水槽に群泳していたと思うとまたあの頃に戻りたい気持ちだ。
ゴーストには手前に1匹だけ子供が付いている。鰓の後方、側点上だが確認できるだろうか。殆どの子供を体の向こう側に隠している。これらのゴーストが2/11の記事に書いた、真珠色のゴーストであり、私の理想とする個体である。

1999/2/21

 

(魔女の帽子テスト報告)

ブルーイーグルインハ゜ルスのペアに、「魔女の帽子」に卵を産み付けてもらった。
統計のために3回挑戦してもらった結果を報告する。
まず、水槽にセットすると、見なれない物体に落着かない様子。丸1日かかって落ち着きを取り戻す。

いよいよ第1回目の産卵の日を迎えた。
産卵筒表面に付けられた凸凹は産卵そのものには何ら影響はなさそうだ。順調に産卵を終える。
ところが、その後のファニング行動の中で凸の部分に付いた卵に鰭が触れるのた゛ろうか。
孵化を迎える3日後には凸の部分の卵は、その殆どがなくなってしまった。失敗である。

2回目の産卵では、よほど「魔女の帽子」が使いづらいのか、何と排水管に産んでしまった。
このペアでは初めての行動である。他の水槽では、産卵筒無しで底面(ガラス)に直接産卵して立派に子育てしているペアもいるのに少々情けなくなってしまった。またもや失敗である。

3回目の産卵では、再び「魔女の帽子」に卵を産み付けた。少しほっとする。が、結果は1回目と同様であった。
以上の結果から、産卵筒表面には凸凹はない方が良い事が分かる。一方、ガラス面に産み付けたペアはとても順調だ。したがって卵を産み付ける面の形状は曲面よりも平面の方が良い事が分かる。
以上のデーターを基に考えると3面体(安定していて平面部分の面積もある程度確保できる)すなわち三角錐が最も適した形状であるという結論に達した。

早速、瑞浪の窯元へ製作に走った(片道2時間)。今回は更に贅沢にも黄瀬戸焼きに挑戦してみた。焼きあがったらまた懲りずに紹介してみたいと思う。

しかし考えてみると、ガラス面に産み付けたペアが順調なのだから、産卵筒なんて本当は不要なのかもしれない。

1999/03/22.

(ブルーイーグルインパルスの若魚)

ピア・ワンメイドのディスカスの中で、個人的に一番気に入っているのが、このPO−B2である。
写真の個体は生後1年2ヶ月ほどの若魚で、この秋ぐらいからペアリングの予定である。

1999/04/04.

 

(ソード・イン・ブラッド)

台湾昭輝七彩工作室を訪れた時、店内の最下段の水槽に見慣れないディスカスを発見。(当時6cm)
オーナーの翁氏に、いろいろ尋ねるうちに店の奥のブリーディングルームに特別に案内された。
その水槽の1つに粒ぞろいの16匹の同タイプの個体がキープされていた。「大切な個体なので売らない」というのをずいぶん強引に分けてもらってきた。16匹全部手に入れようと思ったのだが高価なため12匹しか買う事ができなかった個体である。アレンカーとも全く違う赤色を発色する。

(C−27 スーパーブルーフルフェイスダイヤモンドの子育て)

C−27 については、全国からいろいろな問い合わせが特に多く寄せられる。
写真は思い付きで撮影したものなのでピントが甘い等ご容赦願いたい。(私、そもそも写真撮影は苦手である)

C−27の子育てにおける共通の特長について少しお話する。
この記事は、これから是非C−27のブリーディングに挑戦したい、と言う方のために参考資料として書くものである。
このC−27という品種はブルーダイヤモンドの中でも特に産卵後、神経質である。
子供を得るつもりならまずセパレーター等は必需品で欠かせない。
中には、これでも本当にペアなのかというほど普段喧嘩ばかりしていて産卵が近づくと、その産卵行動の最中だけ仲が良く
それが終わるとまた喧嘩ばかりしているペアも珍しくない。それでも授精は行われていて3日後には稚魚が誕生する。

問題はここからである。
まず一つには、孵化率が非常に低い。ピア・ワンでの平均は20〜40匹程度である。
これは、チェンのファームにおいても一腹の子が水槽ごとに管理されているのであるが多品種に比べるといくらか少ないように
見うけられた。

次には先ほど触れたペアの喧嘩である。孵化後の喧嘩は子供の奪い合いで良くある事としても、C−27はなんと産んだばか
りの卵の奪い合いをはじめる事が多い。ここで放置しておくと卵は喧嘩に巻き込まれて産卵筒から離脱してしまう。
ネットを被せるなりセパレーターでペアを分けるなりオス・メスどちらか一匹だけ残して見守らせるなりの処置が必要だ。
これは、日ごろの観察から最もそのペアに適した処置を施す。
ペアリングを仕掛けるところからすでにブリーダーの腕を振るう必要がある。
こう仕掛けたらこう出るだろう、といった勘というやつである。一匹だけ残すにしてもどちらか取り違えるとそれでアウトである。

話しが前後するが、孵化した稚魚の数が少ない事が最も大きな壁である。子が少ないと子育てを放棄してしまう事も多い。
経験からいくと、子育て上手な別のペアに育てさせる事も出来るが、もちろんそのペアが子育て中で稚魚の誕生日が2日
以上離れていてはいけない。特に持っていく方の稚魚が小さいと向こうの稚魚の群れに入る事も出来ず群れから離れて
やがて衰弱して死んでしまう。
しかし、孵化した稚魚が少なくとも立派に育てあげる事ももちろんある。希望は持ってもらいたい。

とにかく、こんなに神経を使うブリーディングはC−27ならではである。やり甲斐があるというか充実していて面白い。
なんかペアで飼育していたら増えちゃった、っていうのとはわけが違う。是非挑戦してもらいたい。

左の写真は珍しくオス・メス同居で子育てしている様子である。セパレーターも無しで何とかなっているペアである。
幼魚の写真であるが、考えてみたらチェンはこんな小さなサイズでは出荷していないので、初めて見る人も少なくないだろう。
C−27のこのサイズの特長は口元から背鰭付け根にかけての見事にまっすぐな頭部の形である。
このまま体高だけがぐんぐん成長にしたがって高くなる。このサイズですでにC−27と識別も可能である。
中央の写真は2cm足らずの個体、右の写真の個体で3cmである。まもなくブルーが発色する。3枚とも今日撮影した写真である。
少しは、感じがつかめただろうか。とにかく一度C−27で、てこずってみてはいかがかな。

discus-pier-one 1999/05/19.

 


 

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