百名山70座

朝日連峰

大朝日岳(1870m)

登山日記

  2008.9.27

1泊2日(曇り・雨・雪)

 

          大朝日岳                                                         大朝日岳山頂               
9/27(土)

28(日)
水戸21:30−那珂IC−常磐道−磐越道−東北道−山形道−寒河江IC−県道27号−古寺鉱泉駐車場3:30(仮眠)-登山口6:20-ハナヌキ峰8:20−古寺山9:40-小朝日岳−朝日岳非難小屋12:00-頂上往復30分-12:30(小屋泊)〜起床5:30-朝食6:00-山頂往復7:00-小屋出発7:30-ハナヌキ峰10:20−登山口着11:50−月山IC−山形道−東北道−磐越道−常磐道−水戸18:00    歩行時間(登り6時間・下り4時間)
山登りの費用 32,250円 
内訳 交通費  ガソリン代 12,100円 高速料金10,950円    走行距離 744km
その他  宿泊(協力金)1,500円 食費2,000円  土産4,700円 昼食1,000円 
 今回は、記念すべき百名山70座目の山行である。

 岩手山・早池峰山・朝日連峰・飯豊連峰の候補からどの山にするか悩んだ。飯豊連峰は4日間では無理。どこにするか迷ったが、岩手山と早池峰山は日帰り登山で70座にはふさわしくないと考え、1泊2日で登れる朝日岳に決めた。朝日連峰の計画は昨年から考えていたがなかなか実行できなかった山だ。今回、ネットで最新の情報を調べた。

 一番安全で登りやすい登山口が、古寺鉱泉登山口であること。地元の小学生は日帰りでも登っている。このコースは比較的楽で道に迷うところがほとんどないことなどいろいろな情報をネットから得ることが出来た。

 今回、登ってみて思ったことが2つある。そのひとつは、登山道に目印のテープがほとんどなかったことだ。(2つは確認した。)山の景観をこわさないようにとの配慮からなのだろうか、私には、それ以外の理由が考えられなかった。

 もうひとつは、熊除けの鈴を鳴らして歩いていたのは、私だけだった。登山口周辺の道路には「熊出没注意」との看板がところどころにあった。登山者がなぜ鈴をつけないのか理解できなかった。

 次に天気図から、予想した天気がまったく外れてしまったことだ。気象庁でも日本海側の山に雪が降るとは、予想してなかったようだ。この日、北日本の日本海側に幅の狭い等圧線があらわれ、一時的に冬型の気圧配置になった。その結果、今まで一度も経験のない吹雪の中の登山になった。

 終わってみればいい思い出だが、今回反省すべき点がいくつかあった。

 1つ目は、登山用具店で売っている手袋は高いので、安い軍手を使っていた。雨や雪の時にも使える手袋を購入したい。

 2つ目は、非常用にホッカイロを持参すること。

 3つ目は、ビニール袋(大中小)を多めに常時ザックに入れておく。

 4つ目は、防寒用の上着は、濡れても大丈夫な素材のものを持っていく。

 大朝日小屋の感想

 町営の避難小屋であるが、造りは普通の山小屋と同じである。しかし、寝る場所は登山者の自主性に任せている。番号が書いてあれば、自分の場所がはっきりする。中には番号が書いてない小屋も他にたくさんあるが、寝床は指定されているところがほとんどだ。

 何年も前のことだが、身勝手な登山者が、部屋の中央に荷物を置き、布団を引いて寝ていたことがあった。その時、誰も注意する人はいなかった。嫌な思いをしたのは私だけではない気がする。

 そして、トイレ(バイオ?)もとてもきれいだった。協力金が1500円は安すぎると思った。山小屋で聞いた話だが、山形県では、県民一人当たり1000円の環境税?を取っていると○○山岳会会長さんが話をしていた。とてもいい試みだと思った。
古寺鉱泉駐車場                 遊歩道
 水戸から登山口まで、ナビで5時間と判断した。仮眠を取ってから家を出ようとしたが、眠れず家を9:30に出発した。ユンケルが効いたのか眠たくなかった。
 順調に高速を飛ばし山形道へ、以前鳥海山へ行った時、山形道で夜のSAのガソリンスタンドが全部閉まっていたことを思い出し、今回は東北自動車道で満タンにした。

 登山口までは、月山ICで下りるほうが分かりやすかったが、コンビニに寄りたかったため、寒河江ICで下りた。コンビニで朝食を買い、道を聞いたが、店員は、○○村出身なのでわかりませんとの返事。登山口の山小屋の電話は衛星電話だったためナビで検索できなかった。登山口がはっきりしなかったので、適当に目的地を設定した。
 
 これがいけなかった山道で20分ちかく迷ってしまった。その時、車の下からギコギコと音がした。車が壊れたのかと下をのぞく、倒木が車体に絡まっていた。この周辺は、「熊出没注意」との看板がところどころにある。降りるのが怖かった。

 やっとのことで、駐車場に到着。4台の車が駐車してあった。安心して仮眠に入る。5時半頃になると、数台の車が入ってきた。その中には、マイクロバスがあり、団体一行が乗っていた。私は熊が怖いのでこの団体の後についていこうと決めた。

 ネットで、朝日連峰を検索していて、この日に○○町の山岳会主催の登山が計画されていたのを知っていたので、その団体かと思ったが、別の団体だった。

 登山口を出発してすぐに古寺鉱泉小屋に到着。道は二つに分岐していた。前の団体は、鳥原山方面に向かった。私は、下山に鳥原山を経由の下山を計画していたが、ひとりでは寂しいので後に続いた。登って5分経たないうちに、道を間違えたようで引き返すようだった。「間違えてごめんなさいね。」と言われた。

 
ジグザグ登り 一服清水

  沢沿いに進むとすぐにジグザグの登りが始まる。私は先に行ったが道を間違え沢沿いに歩いてしまっていた。矢印はあったが水場の矢印だと勘違いしてしまったからだ。靴跡がない・・・・どう見てもおかしいので矢印まで戻った。ここで、先ほどの団体に先を越されていた。

 ここからブナ林とヒメコマツの樹林帯の尾根が続く。雲の切れ間から太陽もほんのわずかだがのぞた。天気予報では、午後からは天気が回復すると言っていた。一服清水に到着。美味しい水を飲む。水量は豊富だ。

 前を歩いていた団体が止まり私を先に行かせようとしていたので、私は断った。すると、中年のおばさんから「お花見をしたいので先に行ってもらえますか。」と言われた。私は意味がわからなかった。女性が用を足したのだと後からわかった。

 「お花見をしたいので先に行ってもらえますか。」→「お話をしたいので、中に入ってもらえますか?」と聞こえた。

 ハナヌキ峰分岐を過ぎ、三沢清水で休憩していると、ここでまた団体に追い越された。団体(女10人・男10人)の1人が体調をくずしたようで、少し遅れて最後に歩いていた。ザックの大きさからみて25kgはあったようだ。私は、彼のあとに続いた。ゆっくり歩くには丁度いいペースだった。 

三沢清水 古寺山

雨が降ったりやんだり天気も悪くなってきた。前の団体もカッパを脱いだり着たりしていた。古寺山に到着したが、風が強くなりみぞれが降ってきた。

小朝日岳 分岐

古寺山頂からは、一気に展望が開けた。小朝日岳が目の前にあらわれた。ここは、熊越しへのトラバース道と小朝日岳への分岐だ。ここで何組かの下山者とすれ違う。ここから先は雪が積もっているので、大朝日岳の登頂をあきらめ、下山するとのことだった。ここから山頂までは2時間以上かかる。小朝日岳に登って引き返せば時間的には問題ない。しかし、ここまで来て下山するのはもったいない。私の後には団体がいる。何かあれば助けてもらえると勝手に考え小朝日岳頂上に向かう。

小朝日岳山頂 大朝日岳山頂

頂上には、雪が積もっていた。風も強くなっていた。ここから、熊越までは急な下りだ。雪が積もっているので危ないと思いきや意外と楽に降りることが出来た。風が強くなり、顔に打ちつける雪が痛い。体は冷えきっている。軍手はびしょ濡れ、手が凍りそうだ。小屋まで約2時間。時計を見るとまだ午前10時だ。

 ここから頂上までの写真はありません。手が凍りつきそうになり吹雪いていたため写真を撮るどころではなかったからです。


 熊越からはチョイ登りの稜線歩き・急な登り・稜線歩きで小屋に到着する。最後の登りで数人の登山者とすれ違う。日帰りの登山者だ。「小屋まではもう少しですよ。」と言葉をかけられる。時間は午後1時。下山には、ギリギリの時間だ。「気をつけて下さい。」と言葉を返す。

 寒さに震えながら小屋に到着。ザックを置き、頂上へ。70座を決めておかなければと焦る気持ちをおさえながらカメラを持っていざ頂上へ。

 突風で体が飛ばされそうになる。まず頂上の写真を撮った。次に自分の写真を撮ろうとしたが、風が強くカメラが置けない。
 カメラを手で持ったまま自分を写そうとしたが、凍りついた片手ではシャターボタンが押せなかった。諦めて小屋に戻る。

小屋の部屋 大朝日小屋

 小屋に戻ると私とデットヒートを繰り返していた団体が到着していた。私は2階に上がらないで1階で寝ようと決めた。

 私は管理人に協力金1500円を払った。町営小屋だがもっとお金をとってもいいのではないかと思った。
 ここの管理人はNHKの「思い出・山の歌」?(番組名を忘れた。)に出ていたおじさんだった。山小屋を守る人たちを紹介している番組だ。 


  私は、ザックに入れてあるもう一組の厚めの服に着替えた。とにかく体を温めないと大変なことになるので、お湯を沸かしカップラーメンを作りサンドイッチと一緒に食べた。

 食べていると常連らしき3人組が入って来て、おじさんに差し入れをし、和やかに話をしていた。この人たちは2階に上がらず、私の脇に荷物を置きラーメンを作り始めた。私は心配になり管理人のおじさんに「ここで寝ていいんですか?」と聞いた。「いいけど一階はトイレに出入りする人が通るのでうるさいですよ。」と言った。

 そうこうしているうちに新たな20人の団体が吹雪の中、小屋に到着。小屋は満員だ。先に入っていた団体にカッパを引っ掛ける場所をすべて取られていた。その団体も2階へ上がっていった。(この団体が管理人も入っている○○町山岳会の会員の人達だった。しかし、引率者はベテランだが、今回の参加者は山の初心者的な人が多かったようだ。)
 
 すると三人組の常連者の1人が「夜ここで反省会をやるので迷惑をかけてしまうから2階へ行って下さい。」と言ってきたので荷物を持って2階に上がった。(邪魔なので2階に行ってくれと言わんばかり。)

 20人の二組の団体が2つに別れ場所を確保していた。真ん中に境界線があり、その場所がたたみ一畳ほど空いていた。「ここ空いていますか?」と聞き寝床を確保した。

この小屋のいいところは、炊事する場所はないが、部屋の隅には、ザックを置くたなが作られていて、たなのところにはステンレスで作られた御盆が敷いてある。そして、この御盆はザック置きと炊事用の敷き台に使うようになっている。どこの場所でも煮炊きOKなのだ。

一番頭にきたのは先に入っていたグループは、寝る時も、煮炊き用のお盆を何枚も広げたまま部屋を占拠していたことだ。

この小屋は定員100人と書いてある。今日の宿泊者は50人。広げたままでも寝る場所はある。しかし、このグループは場所を取り過ぎていると思った。

二階の部屋は、私を境にして食事の後、宴会が始まった。うるさくはなかったが、普通の山小屋だったらこんなこと出来ないだろうと思った。ほとんどの山小屋では、部屋での飲食は禁止だからだ。

管理人も下の常連客からの誘い。2階の仲間の接待ととても忙しそうだった。

○○町の山岳会の人達は、コンロを持参していなかった。はじめから小屋でお湯を配ることになっていたようだ。それを見ていた隣のグループの1人が「どうして差別するんですか?こっちにもお湯ください」と管理人に言った。「この人達は私の山仲間なんです。」と管理人が言葉を返した。(おまえら場所まで占領しておいて今度はお湯を出せだと・・・1人1500円しか払ってないだろうと思った。)

何人かにお湯を配ったが、管理人のおじさんは「お湯を取った分だけ水で返してくれ。」と隣の団体に言った。
(そこまで言うならはじめからお湯をあげなければいいと思った。嫌な気分になった。)

小屋に入ってから寒さのせいで足の内ももが攣り今夜寝られないだろうと心配になった。シップを何枚か貼って足を揉んだ。寝袋に入ってからは足が攣るのが止まった。明日はズボンを二枚重ねではこうと思った。
 

小屋前 小屋付近紅葉

 昨夜は、一晩中、小屋をたたきつける強風であまり寝られなかった。音はすごかったが、建物がゆれることはなかった。相当頑丈な構造になっていると感じた。朝6時ごろになってやっと風が弱くなった。朝起きて小屋近くの紅葉を見ることが出来た。

 雪が積もった登山道。1人では下山出来ないので、団体が出発するまで待つことにした。

 私も頂上での写真を撮りたかったので、東京から来ていた団体の後を追って頂上へ向う。頂上で全員の集合写真を撮ってあげた。私も撮って貰った。これで、証拠写真が出来上がった。私は満足だった。

稜線 鞍部へ

 20人の足跡を頼りに下山開始。東側が明るくなり山並みが見え隠れしていた。明日は早池峰山に登れるかもしれないと期待を持った。鞍部からは雪が解け登山道には雪が少なくなっていた。ここからは1人でも大丈夫だ。紅葉を見ながらゆっくり歩いた。

鞍部紅葉 小朝日岳へ

 熊越で登りの最初の登山者と出会う。「何時頃に出てきたんですか。」と聞いた。すると5時頃だそうだ。「ここから雪が積もっていますが、凍ってないので大丈夫ですと。」声をかけた。この山は日帰り登山も多いと感じた。20人近い登山者が登ってきている。
 

鉱泉裏の登山口 駐車場

 下山途中、20人近いツァーの団体が登ってきた。ツァーの団体は、連休や土曜日は小屋に宿泊してほしくないと思った。

 今夜の小屋も50人近い人が宿泊しそうだ。明日は素晴らしい紅葉が見られていいなと思った。

 12時に登山口に到着。着替えをして、盛岡までナビを設定した。

 山形道のSAで休憩し、早池峰山近くの山荘に電話を入れる。「本日泊まれますか。」と聞くと「1人では採算が合わないので勘弁してください。」と断られる。ついでに明日の天気を聞く。「わからないです。今日は曇り。」との返事。昨日、山に雪が積もったとも教えてくれた。宿泊者がいない。明日は月曜日だ。しかし、朝日岳には多くの登山者が登っていた。早池峰山に登る宿泊者はどうしていないのか?昨日の吹雪が頭をよぎるひとりでは危険だ。

 ここから盛岡まで4時間、家まで5時間悩んだが山の状態が確認できない以上、無理は危険と判断。中止を決めた。帰ってきてからやっぱり登ってくればよかったと後悔した。

登頂記録へ

百名山軌跡へ