百名山97座

幌尻岳(2052m)

登山日記

  2011.8/19(金)

1泊2日(晴れ・霧)


 

           幌尻岳                                             幌尻山荘
8/19(金)〜
20(土)
とよぬか山荘3:00-第一ゲート登山口4:00−取水ダム6:00−渡渉開始−渡渉終点−幌尻山荘9:00−命の水−幌尻岳山頂13:00−命の水−16:00幌尻山荘(泊)4:00−渡渉開始4:30−取水ダム−第一ゲート8:30−シャトルバス−とよぬか山荘9:30 
山登りの費用 とよぬか山荘5000円,シャトルバス往復3500円,幌尻山荘1500円 
内訳 移動     レンタカー   
歩行時間  1日目(5時間 7時間) 2日目(4時間)    
     百名山の聖地と言われる幌尻岳の山行日記

 原始の姿を現在に残している幌尻岳は登りたかった山のひとつであった。360°見渡す限り緑の世界。何とも重く感じた。日高山脈は重厚な山だと感じた。天気に恵まれ、偶然にも今回の山行で同行することになったI氏と楽しく過ごすことが出来たことに感謝したい。

 幌尻山荘・とよぬか山荘は平取町が町の山岳会に委託して運営をしている。以前からネットでは、山小屋の人数制限をしテント泊を認めない小屋の運営方針に反発する登山者も多かった。この山は誰の山だ。町の山ではないはずだとの意見もあった。これに対し登山者の屎尿処理の問題や環境を守るには人数制限も理解してほしいという趣旨の回答が書かれてあった。
 
 また、毎年のように額平川の渡渉(沢渡り)では登山者が亡くなっている。今年,町では第1林道ゲートを通行止めにし一般車両の乗り入れが禁止になった。そして,町が運行委託するシャトルバスがとよぬか山荘から登山口まで送迎することになった。

 山荘には、2千万(町が1千万・環境庁が1千万?)をかけたバイオトイレが小屋に設置されていた。(他の山小屋に設置されている他のバイオトイレと比べると造りがイマイチだった。)

 小屋の造りは高床式2階建て、いいアイデアだ。荷物は小屋の床下を使用し外からしか使用できない。50人の予約登山者は2階・予約変更・飛び込みは1階だった。飛び込みの登山者にはいい顔はしなかったようだ。確かに3ヶ月前から山荘に予約を入れ事前に町の山岳会にお金を振り込んでいる。天気が悪くても変更は出来ない。シャトルバスを予約する段階で幌尻山荘の予約が取ってあるか確認はしているようだ。キャンセルしたお金は返却すると言っているが、面倒なのでそのままにしている人も多いのではないかと思った。私は2泊分払ったが、実際には1泊しかしていない。無事に登山が出来たので山の整備に使ってもらえればいいと思っている。

 
 幌尻岳ほど天候に左右され,運に期待しなければならない山は他にはないだろう。

 平取町について

・現在の平取町の人口は5千5百人くらいである。昭和30年頃は1万3千人ほど人口があったそうだ。

・主な産業は、農業(和牛・トマト・米)・漁業などトマトは道内で一番の生産量がありトマトジュースなどに加工されている。

・沙流川流域ではアイヌ民族が暮らしていた。現在は民族資料館などがある。アイヌ民芸品

・日高山脈の最高峰幌尻岳や日本一のスズランの群生地がある。


 平取町の某氏から聞いたこと。(内容に不適切な表現がある場合はご連絡ください。削除します。) 

農業の高齢化が進み、中国から農業研修生を受け入れている。研修期間が2年と決まっているため日本に慣れたころに帰国してしまう。今回宿泊したとよぬか山荘でも食事を作ってくれたのは中国人研修生のおばさんでした。山荘の売店でも研修生の綺麗なお姉さんが対応していました。
 
エキノコックスがあるので井戸水は使用せず水道を使っている。エキノコックスがあるので、肉は生では食べることはなく,牛肉・馬肉などは出荷前に内臓検査をしているそうです。平取町では鹿から農作物を守るため鹿を仕留め、そのまま放置しているので熊が食べているかもしれないと言っていました。
どうして鹿を肉として販売しないのか聞いたところ、臭くなく食べられる鹿はメスの子供。それもすぐに解体しないと臭くて食べられないそうです。

8/14(日)山荘へ着き受付で手続きをする。7,8台くらいの車が駐車してあった。入山している人数が少ないと思った。管理人の話では今夜額平川が増水すれば入山できないと言った。明日3:00発のシャトルバスは今夜の7:00に判断するとのこと。幌尻山荘からとよぬか山荘にシャトルバスを運行するかどうかの無線が入るそうだ。

 結局この日から3日間沢の増水のため入山ができなかったようだ。(8/16に山荘に来て知った。)この日同宿した6人のグループは昨年に続き、登山が出来ず帰って行った。気の毒でどこから来ているのか聞けなかった。(明日は我が身だが・・・) 夕食のジンギスカンは肉を厚めに切って出されたこともあり口に合わなかった。(8/17の時にはカレーライスにしてもらった。レトルトかと想像していたが、調理したカレーだった。)
 次の日,天気が回復しそうな8/17(金)に予約を変更した。7,8月のほとんどは4月中に予約が埋まっていて変更は出来ない。沢の増水などでシャトルバスが運行しないときは個人の理由ではないため山荘の日程変更は考慮されるそうだ。

樹海ロード日高(道の駅) ジンギスカン(8/14夕食)
再度、平取町へ。明日からの天気は回復しそうだ。しかし、夕方から小雨が降り出した。朝3時発のシャトルバスの判断は、出発時に山小屋からの無線で決定すると話があった。乗車予定は8名だったが、夕方に3名がキャンセルし5人なった。
シャトルバスAM3:00 額平川(水量が多い)
朝、山小屋から無線が入り、増水しているので、5人一緒に上がってくるようにと連絡があった。 この中の1人は日帰り登山を予定しているエキスパート(茨城の筑西市・3度目の挑戦・以前来たときは沢の水に押し返された撤退したそうだ。)。林道ゲートから1人でさっさと行ってしまった。
取水ダム I さん夫妻(新潟 T 市)
新潟のT市から来ていた夫妻と一緒に額平川取水ダムへここで増水した水量を見た奥さんが登山を断念。(奥さんは数年前に百名山を達成しているプロの山ガール。)ここから3人で3時間の徒渉に入った。
増水の沢 対岸に渡る
私は渓流ズボンに履き替えた。彼は沢専用シューズと半ズボン姿になった。沢沿いの登山道を歩く。途中何度も徒渉を繰り返す。
水量が多い 腰まである水量(流れが速い)
深いところでは腰まで水があった。流れが速いところでは、彼が持参していたロープを対岸に渡し、ロープに捕まりながらの徒渉になった。彼がロープを持っていなかったら全身ずぶ濡れか流されていただろう。 I さんには大変お世話になった。
登山姿が似合う I さん
 I さんにも余裕が出てきたようだ。笑顔が見られた。
ロープを手放さない I さん
 I さんには今回渡渉のモデルになっていただきました。(本人の了解はとってあります。)
ほっと一息 下山者(団体)
幌尻山荘へ20分?位の場所で団体とすれ違う。第1ゲート11:30のシャトルバスに乗るのだろうと思った。山荘にいた登山者に聞くと昨日は天気が悪く山頂へ行かなかったようだと話をしていた。団体登山に限らないが、日程が決まっている場合この山荘では予約変更ができないのが難点だ。
楽な渡渉 山荘は近い
取水ダムから20回程度の渡渉箇所がある。無事に山荘へ行けるだろうかと心配が先に立ち回数を数える余裕はなかった。
幌尻山荘へ到着 急な登り
 荷物を山荘に置き、山頂へ出かける準備をしていると数人の登山者が沢を上がってきた。私たちのマイクロバスには乗っていなかった。話を聞いていると平取町の山岳会の人達だった。小屋の管理に来たようだ。山岳会の人達は取水ダムまで車で入れるようだ。
急登が続く 北戸蔦別山と戸蔦別山
山荘からは樹林帯の急登が続く。ハイマツの稜線に出ると展望が開けた。見えるのは戸蔦別山だ。
命の水はここから10m位下
命の水で水を補給するつもりであったが、誰もいなし、ここからどのくらい降りるのか時間が書いてなかったのであきらめて先に進む。5,6人の登山者が下山してきた。今日登った登山者は少ないと感じた。
山頂は右
左は手前は北カールだ。展望が開け気持ちのいい稜線歩きが始まる。 I さんはとっくに見えなくなった。自分の体調に合わせて歩かなくてはならない。
夕張岳? 狭い登山道
見えている山はヌカンライ・ルイベツ岳なのか?夕張岳がこんなに近くに見えるはずもないか?周りの山など確認する余裕もなかった。
カールの底 可憐な高山植物
北カールの底には雪渓で溶けた水が流れていた。登山道沿いにはたくさんの高山植物が咲いていた。できるだけ写真に収めようと思った。
稜線 登山道にあるお花畑
山頂へもう少しだ。高山植物が咲いている場所で1平方メートルくらい地面が掘られている場所があった。熊の仕業だろう。何を掘ったのかわからないが、アリ?蜂の巣? I さんとはこの辺ですれ違った。山頂で一緒に写真を撮りたかったが残念だった。
お花畑 広い山頂
山頂にいるのは私だけだ。ガスが流れている。切れ間から展望が開けるがすぐに隠れてしまう。1時間ほど休憩したかったが下山時間が5時を過ぎてしまう。山が何があるかわからない。残念だが20分で下山を開始した。
遭難碑 七つ沼カール
遭難者の碑があったので,手を合わせ無事に下山できるようにお願いした。七つ沼カールには残雪は残っていない。
最後の下山者かと思ったが、私達より4時間後のシャトルバスで入山してきた登山者が6人位登ってきたのにはびっくりした。私が最後ではないという安心感ともうちょっと山頂にいればよかったと思った。
命の水(水量は豊富) 明日の登山に備え懇談する団体
水を1リットル持参して登ったが、朝9時からの遅い登山という事もあり水がなくなった。下山途中で登ってきた登山者に登山道からどのくらい下りるのか聞いた。5分もかからないということなので水場に立ち寄り水を補給する。水は豊富だ。エキノコックスが心配なのでフィルターを使った。
床下の荷物置き場(雨水は入らない) バイオトイレ
山荘の荷物置き場は、いいアイデアだと思った。小屋の中には濡れたものをいっさい持ち込めなくなっている。でも雨の時は大変だ。2千万のバイオトイレ処理システムは分からないが、造りは安物に見える。これで環境が保てるなら歓迎だ。
設置してからバイオトイレの稼働システムが故障し,修理に時間がかかったそうだ。設置者が山荘まで入ってこなければメンテナンスもできないからだろう。
ベテランのパッキング 足のフェルトが剥がれた沢ズボンの靴
下山渡渉では5,6人の登山者とすれ違う。昨日に比べて水量は減っていた。途中わらじを着けていた登山者がいた。わらじは一番安く済み荷物にもならない。今日は沢が増水していなくて運が良かった人達だと思った。私の渓流ズボンの靴底のフェルトが入山してすぐの沢歩きの時に剥がれテーピング・予備の靴ひもで縛りながらの渡渉になってしまった。剥がれるたびに時間を取ってしまい。 I さんには相当な迷惑をかけてしまった。(考えてみればこの渓流ズボンは5年以上前のものでとっくに使用できる年数は過ぎていた。渓流シューズが1万以上するので、買うのをためらったことが失敗の原因だった。反省・・・・・。
取水ダムで休憩の登山者 林道沿いの滝
第1ゲートから取水ダムまでの林道には心を癒す小さな滝が数か所あった。下山時は見る余裕もあるが、行くときは見る気にもならなかった。
登山口を出発する団体の登山者 第1ゲート8:30発
第1ゲートには団体を乗せてきたマイクロバスが2台止まっていた。バスの中で販売している冷たいトマトジュースを飲んだ。美味かった。この場所には、プレハブの小屋がありバスに乗り遅れた登山者が宿泊できるように布団まで用意してあった。

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