薬師岳(2,926m)・黒部五郎岳(2,840m)登山日記

4泊5日  富山県・岐阜県 2005.9.15〜9.19

9/19(木)水戸−上野(夜行)−富山

9/20(金)富山−有峰口 有峰口(タクシー)−折立〜太郎平小屋〜薬師岳山荘〜薬師岳往復〜薬師岳山荘(泊)

9/21(土)薬師岳山荘〜太郎平小屋〜北ノ俣岳〜黒部五郎岳〜黒部五郎小舎(泊)

9/22(日)黒部五郎小舎〜三俣蓮華岳〜双六岳〜鏡平〜わさび平小屋〜新穂高温泉〜 松本(泊)

9/23(月)松本−新宿−上野−水戸

薬師岳と黒部五郎岳

9月19日(木)

仕事が終わり急いで自宅に戻り風呂に入って水戸発の特急に飛び乗る。今回は,pm23:33発夜行の急行能登が上野発とあって時間的には余裕があったそしてホームも隣であった。平日だったこともありホームでの登山客はまばらであった。私が乗った客車は喫煙車であったせいもあって10人くらいの客しかいなかった。高崎までは結構人の乗り降りが多かった。二年前にこの電車に乗ったときは,金曜日だったこともあり定員を100%以上越えていた。車両の電灯を消す時間が来た頃には,この車両には4人の乗客しかいなくなった。そのころになると座席を回して足を伸ばして寝る人が出てきたので私も楽に寝ようと座席を回した。数時間ではあるが睡眠を取ることが出来た。

9月20日(金)

車両に朝日が差し込んで立山連峰の山並みが見えてきた。予報どうり快晴だった。「今度こそは黒部五郎を制覇するぞ!」と心に誓った。先月笠ヶ岳から薬師岳まで縦走するはずだったが,台風の接近で悪天候になり黒部五郎岳への縦走をあきらめたからだ。富山駅に着く急いで富山電鉄の改札口へ走った。富山駅に来るのは三度目だが改札がどこなのかわからない。三人組の登山客について行くと間違って反対側のホームに行っていることがわかり急いで戻る。ところが,

am5:43発の電車が線路の一部が崖崩れで一部不通になっている関係で立山へ行く乗客しか乗らないで下さいとのこと有峰口へ行く人はam6:33の電車に乗って下さいと駅員が言っていた。有峰口駅は立山駅の手前なのに何で乗ってはいけないのか?心配で駅員に聞いたが「この電車には乗らないで下さい。」と言うだけであった。気分がすっきりしないままだった。有峰口からは週末とシーズン中だけバスが出ていたが今日は金曜日でバスは出ていないと勝手に判断し,タクシーを頼んでおいた,これが間違いでバスは運行していた。あわててタクシー会社にキャンセルの電話を入れるが今からでは無理ですと言われてしまった。50人近い人が有峰口に行くようだった。1人で乗るのは大赤字(12,000)になってしまう。2人ずれに声をかけて何とか2人分のバス代を回収しようと周りを見渡した。。そして「タクシーに一緒に乗っていただけませんか?料金はバス代だけで結構です。」といってある夫婦に声をかけた。

折立の登山口に着いたのが,最初の計画よりも1時間遅れの

am8:30今日中に薬師岳山荘に着けるのか心配になったが,O夫婦も私と同じ日程だとわかり安心する。追いつき追い越されでam12:00に太郎平小屋に着く。ひと休みして薬師岳目指して登りだした。小屋から10分くらい離れたところにテント場があり8張りくらい張ってあった。薬師岳山荘に着いたのがpm2:10山小屋で宿泊の手続きをとり,冷たい缶ジュースを買いサブザックの中に入れて山頂へ向かう。O夫婦も一緒に行くことになった。頂上へは岩場ではなく砂地に近い歩きやすい道だった。pm3:10山頂に到着。頂上では30分ゆっくり休んだ。山荘にはpm4:10に到着。この小屋は昔作りのブリキ屋根に屋根裏部屋だった。

平日なこともあって二畳にひとりだった。客の中に相当酔っぱらってる人がいて他の客に絡んでいた。この人は大手家電H社をリストラされていたようで,愚痴っていた。

「この人は何のために山に来ているのか?」と疑問になった。ここの小屋の管理人は若女将(美人)だった。後から聞いた話だが,両親の後を継いだそうだ。明日の日程を考え朝食を食べないで弁当にした。

9月21日(土)

am4:00に目覚ましをかけ,5:00前には小屋を出発しようと思い,am4:30に小屋を出るが誰もいない。外は暗く1人では歩きたくないので誰かこないかと外で待っているとO夫婦が出てきた。「誰も来ないので待っていました。」というと「すいませんでしたね。」と挨拶してくれた。ヘッドランプを付けてam4:45に出発。後をついて行くが,早くてついて行けなくなった。ふとこの2人はただ者じゃないなと頭をよぎる。自分に言い聞かせた。「自分のペースでゆっくりと。」太郎平小屋にam5:50到着。ここではトイレ休憩・朝食と40分も休んでしまった。

弁当を食べようと開けてみたがご飯はカチカチおかずは昨夜の夕飯の時と同じ物食べる気がなくなりゴミ袋に詰めた。0夫婦も同じくらい休んでいた。昨日ここには旅行ツァーの団体が宿泊していたらしく小屋の外で準備運動を始めた。もしかして今日黒部五郎小舎へ泊まるのでは?と不安になった。不安は的中,今日の小屋は混雑しそうだ。周りの登山客も困ったという顔をしていた。0夫婦は時間によっては三俣山荘まで行くかもしれないと言っていた。

団体ツァーに先に出発されたので,どこで追い越そうか考えていた。北ノ俣岳へ行く途中0夫婦を追い越した。奥さんが少しバテたみたいだった。北ノ俣岳山頂で団体ツァーを追い越し全力で歩いた。中俣乗越でおばあさんと娘(

25歳?)さん2人を追い越す。昨日薬師岳へ行ったとき私はこの2人連れを追い越している。何でこの2人が先を歩いているのか?分からなかった。その後O夫婦に追い越された時に2人のことを聞いてみると太郎平小屋に宿泊してピストンをしたようだ。おばあさんの歩き方がとても遅く休みなしで歩いているようだった。黒部五郎を写そうと何度も見上げるが,頂上附近にガスがかかり写真が撮れなかった。am11:15頂上直下の分岐に到着。サブザックにミカン・ジュース・カッパを入れ頂上へ向かう。頂上はガスに覆われ何も見えない。愛媛から来た4人組の人に写真を撮ってもらった。おじさん2人とお姉さん2人の楽しいグループだ。そこに20kg以上を背負ったお兄さんが到着した。そのグループと友達になっていたみたいでわいわい話をしていた。そのお兄さん(小椋佳似)は電車から一緒だったが,陰険そうだったので話をしなかったが,実際はとても気持ちの優しいお兄さんで写真まで撮ってもらった。
寒くなってきたので下山を始めた。ここからは尾根沿いではなく雪渓カール側を全員が降りていった。 後に続く。谷底では多くの人が休憩し雪渓から溶け出した水を飲んでいた。私もせっかく来たので水を飲んだ。黒部五郎小舎に到着したのはpm2:30?すでにO夫婦が休んでいた。「今日はどうするんですか?」と聞くとこれから三俣山荘まで行き明日笠ヶ岳まで行くということだった。ここで別れるのも残念だが,黒部五郎小舎に泊まるのが今回の目的でもあったため,私はここで宿泊することにした。せっかく二日間も一緒だったのでどこから来たのか聞いた。すると東京のO市だった。旦那さんはすでに百名山98座奥さんは87座?を登っていることがわかった。旦那さんはどこかの山岳会に所属していることもわかった。今回は奥さんのまだ登ってない山を潰していることが分かった。旦那さんの登ってないのは利尻岳と幌尻岳だそうだ。小屋は新しく食事もとてもよかった。団体が泊まっていたせいもあって一畳に1人だった。部屋に入ると新穂高温泉から入りこの小屋まで来たという人がいた。降りるだけで10時間もかかるところを9時間で登って来たということだった。明日は,新穂高まで10時間かけて降りるつもりなので早めに寝ようと考えていたが,隣になったおじさんが一晩中大きないびきをかいていったため一睡も出来なかった。

9月22日(日)

時間を見るとすでに

am4:00になっていた。どうせ寝られないなら今から出発しようと小屋を出る。am4:30しかし三俣方面にはまだ誰も出ていない。鈴を大きく鳴らしながらヘッドランプを付けて1人で稜線へ登っていった。am5:20稜線へ出ると朝方急患が出ていた小屋にヘリコプターが降りていた。助かってくれればいいなと神様にお願いした。稜線では雲ひとつない360度のパノラマが現れた。黒部五郎のカールに太陽が差し込みとてもきれいだった。何度もシャッターを切った。am6:40三俣蓮華岳に到着。10人位の登山客で賑わっていた。am8:20双六岳に到着。昨日双六小屋に泊まった客がたくさん登ってきていた。am9:00双六小屋到着。am10:05弓折岳分岐に到着。槍穂高岳が目の前にそびえ立っているが,ガスが下から湧き上がっているためなかなかいい写真が撮れない。

双六小屋は昨日,一畳に2人でとても混んでいたそうだ。三連休の初日二日はどこも満員だ。

am10:55鏡平山荘でかき氷を食べる。pm1:35わさび平小屋で休憩リンゴ・トマトを買って食べる。1個200円安いと思った。ほとんどの登山客はそうめんや生ビールを注文し祝杯をあげていた。私は胃腸が弱ってる時にビールを飲むとお腹をこわしてしまうため山ではビールは飲めない。温かいお茶が飲みたかったため,「お茶はありませんか?」と聞くと「ちょっと待ってもらえればいいですよ。」と無料でお茶を出してくれた。なんと優しい山小屋の主人なのかと嬉しくなった。ここの小屋前は今までに4回通ったが何となく寄りづらく今まで一度も寄ったことがなかったことを少し後悔した。

pm3:00新穂高温泉到着。バス停前の売店に荷物を預かってもらい公共浴場の温泉に入る。先月ここに来て石けんを買い忘れて失敗したので今回は売店で買ってから入った。ところがよく見ないで買ったため間違えてシャンプーを買ってしまった。どうせ同じ石けんだからと全身をシャンプーで洗った。バスの時間はpm4:10平湯温泉で乗換だった。松本へはpm5:45発のバスだ。到着してからすこし時間があった。ベンチに腰掛けていると1人で登山をしてきた人が隣に座った。どこに行ったのか聞くと,奧穂高からジャンダルムを通り西穂高に降りてきたというのではないか,このコースは死ぬまでに一度は挑戦してみたいと思ってるところですと。彼に言った。彼は東京の文京区に住んでいて大阪から転勤で来ていると言っていた。彼とは帰りのバスで山の話で盛り上がった。

彼は,今日中に電車で東京へ帰ると言った。私は,今から帰っても帰れないことはないが上野からは鈍行で水戸に到着するのは夜中のam1:00を過ぎてしまうので松本の駅前のビジネスホテルへ宿泊することに決めた。夜は居酒屋に入り酒を飲んだ。焼酎を飲み過ぎて夜中のam2:00まで寝られなかった。次の日朝一番の電車で水戸まで帰った。

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