百名山91座

斜里岳(1547m)

登山日記

  2010.8/10

日帰り(霧のち晴れ)


3/10(火)

 

           斜里岳(熊見峠から)                                      馬の背から山頂
8/10(火)
阿寒湖畔ホテル3:00−清岳荘登山口6:15−林道終点-下二段−旧道沢コース−馬の背10:55−斜里岳山頂11:15−馬の背11:40−上の二段−新道コース−熊見峠13:00−下二段−清岳荘駐車場16:00 
山登りの費用  
内訳 交通費  航空券+レンタカー 駐車料金当日100円 
走行距離  歩行時間 8時間  休憩2時間(バテたため)    
 昨日、飛行機で北海道の釧路に着いた。天気は曇りだった。天気の影響で飛行機の出発時間が30分以上遅れ、初日に予定していた雌阿寒岳登山を羽田であきらた。初日の宿は阿寒湖畔に取っていた。チェックインまで時間もあったので、釧路湿原観光に出かけた。テレビで何度か映像は見ていたがあまりにも規模が大きく全体を見渡せることはできなかった。市街地を一歩外れると信号機がない道路が続いた。車は飛ばし放題だった。(最終日に速度違反で捕まるのは想定外だった。)

 宿に着き、部屋にエアコンがないのが気になった。北海道の一般の家庭や宿にはエアコンがないのが普通だそうだ。それにしても今年の夏だけなのかわからないが関東と変わらない酷暑が続いている。明日まで北海道の天気はよさそうだが、明後日から台風の影響で天気が悪い。台風の進路によっては秋田県か北海道に直撃しそうだついていない・・。

 今回予定している雌阿寒岳登山はでいつでも登れると考え、比較的難易度の高い斜里岳に変更した。
斜里までは車で3時間かかる。朝、3:00に起きて斜里岳に向かうことにした。
 
 今年の夏エアコンなしで寝るのは北海道に来て初めてだ。不安が的中し寝不足になった。寝不足登山が大きなアクシデントになった。それだけではない、旅行前に計画していたコースタイムでは5時間30分だったのだが、昭文社の地図でよく見ると約7時間になっていた。そして、リックに詰めなければならないペットボトル2本を入れ忘れ、妻と2人で3リットルしか水を持たなかったことだ。歩き始めて1時間たらずで500ミリリットルのペットボトルを飲み干してしまった。いつもなら2時間で飲む量だ。

 旧道の沢コースはガイドブックに書いてある以上に危険で大変だった。(昨日女性の登山者が沢を滑り落ち頭を打って救助されたそうだ。)下りの新道コースは、本当にこのコースタイムで下りられるのかと思うほどのコースタイムだった。結局、下山途中で水が底をつきそうになり、釧路から来ていた親子の登山者(父と娘)に500ミリリットルのペットボトルを分けてもらい無事下山できたことに人のありがたさを感じました。この場をお借りして感謝申し上げます。「本当にありがとうございました。」この恩は決して忘れません。

 北海道の沢の水はエキノコックスという寄生虫の卵がキタキツネを通して媒介しているので、煮沸しないと飲めないことは来る前から十分認識していた。荷物が重くなるという理由で、ガスバーナーとガスボンベは今回持参しなかった。
清岳荘駐車場(約50台可) 清岳荘登山口
 登山口には6:00に到着した。駐車場にはすでに30台の車が駐車してあり、ほとんどのグループが出発していた。清岳荘のトイレで用を足し(100円)急いで準備をして登山口を6:15に出発した。駐車料金を山小屋の主人に払おうとしたが登山届けの場所にお金を入れるケースがあるのでそちらに入れて下さいとのこと。ネットには500円払うと書いてあったが、100円だった。とても良心的な小屋だと思った。前日車中泊する人は500円だったのかもしれない。ノートには30人近くの登山者の名前が書いてあった。
林道終点 沢を渡渉

約30分で沢の入口に到着。この周辺には熊出没注意の看板。アンモニアのような異様な臭いが気になったが笛を吹いて先を急ぐ。

赤のペンキ・目印 沢を横断(数十回)

今年の北海道の沢の水の水量は特に多いそうだ。予想よりも渡渉の回数が多かった。靴の中に水が入らないように慎重に歩いた。

下二股 水蓮の滝

体調がすぐれないのかとてものどが渇いた。いつまでたっても下二股にでない。仙人屈があったのかどうかも記憶にない。たぶんあったのだろう。
コンクリートの基礎があらわれた。たぶん小屋の跡なのかもしれない。ここで休憩した。何組かの登山者に追い越される。ここからは、滝が連続する区間だ。ガイドブックには比較的安全に登れると書いてあったが、雨でも降ったらおしまいだ。

羽衣の滝(?)

上二段までに8カ所の滝があるとネットに書いてあった。数を数える余裕もなく記録すら出来なかった。

斜里町並が見える。 連続する滝

途中鎖場やロープが張ってあるところがあった。場所ははっきり覚えていないが滝を左側に迂回していたとき、道を間違えて左側のガラ場を登ってしまった。徐々に斜面は急になり、おかしいと気づいた時には10mくらい斜面を登っていた。妻が赤い印がなくなっていることに気づき印がある場所まで戻った。靴跡もあったので間違えたのは私達だけではないと思ったが、北海道の登山道の目印は北アルプスなどと比べると少ない気がした。

滝の上部の右側から左側に大きく迂回する場所で、道を間違え沢沿いに直進したときがあった。立っていられない斜面になりこの道ではないと引き返すと、大きな岩を飛ばなければならないところだった。この場所が一番危険な場所だったのかもしれない。

万丈の滝 沢沿いの登山道
七重の滝 霊華の滝(8合目)

意外と急な沢 最後の沢登り

妻が、初心者なのに何でこんな危険な場所に連れてきたのかと言い出した。沢登りのハイキングコース(福島の背戸峨廊)には10回近く家族で登っているで大丈夫だろうと思っていたからだ。それにしても予想外の難コースだ。

上二股 馬の背への登り

予定時間を大きくオ−バーし上二股に到着。妻は精神的に限界に来ていた。すでに山頂へ行ってきた登山者とすれ違う時間になっていた。妻にこの場所で待っているように言ったが、2時間は待てないと言うことなので馬の背まで行くことになった。この時地図を見てコースタイムを間違えていたことに気がついた。ここから山頂までは40分と思っていた。馬の背と山頂を間違えていて馬の背から山頂への往復50分が抜けていたのだ。登山を始めて数十年になるが、こんな間違いは初めてだ。ガイドブックに記載されているコースタイムを鵜呑みにしてしまったことが大きな間違いだった。分岐である上二股で食事をするグループを見てたぶん山頂の天気がよくなかったのではと想像できた。気のせいか分からないが下山する登山者は無口だ。

馬の背 山頂からの下山者

40分ほどで馬の背に到着。何組かのグループが休憩をとっていた。写真のおじさんは地元(中標津?)の人だった。大きなジャーにうどんとめんつゆを持参していて食事をしていた。妻は下山のことを考えこの場所で待っていると言った。それを聞いていたおじさんはここまで来たんだから登った方がいいと親切に声をかけてきた。その時、山頂までは結構時間がかかると言っていたが実際には20分だった。おじさんと会話している妻を見てこれで精神的にも落ち着くだろうと思った。1時間で戻ってくると言って1人で山頂へ。20人近い登山者とすれ違う。

祠(神社) 最後の登り(霧で視界なし)

登ってすぐに祠があった。ここで山での安全を祈願した。山頂は霧に包まれていたが、冷たい霧ではなかった。

霧の中の山頂 霧が晴れた山頂

 予定よりも1時間30分遅れ、5時間もかかり山頂に到着。山頂にいるだけで満足だった。山頂には大学生らしき?若者グループ6人組が写真を撮って歓喜に浸っていた。登頂の写真を撮ってもらった。馬の背で待っている妻には申し分けなかったが、20分は頂上にいようと決めた。この時に山頂にいたのは、後から来た4人の家族連れと中年夫婦とグループ6人組。10分ほどすると・・・・・。

山頂からの斜里町

今まで、霧に隠れて何も見えなかった視界が一気に開け、斜里の町が姿を見せた。山頂にいた登山者は口々に「やったー!」登った甲斐があったと大喜び。
登っているときに多くの登山者とすれ違った。視界がなく残念だったろうと思った。私の方は体調を崩し、バテたのが幸いしたかどうかはわからないが、山の神様に心の中で「ありがとうございました。」と何度も言いった。

山頂へここから10分 馬の背から下山

山頂で30分ほどパノラマを堪能した。一気に霧が晴れ下山は暑くなりそうだ。

上二股からの最後の登山者 綺麗な清岳荘

上二段まで下る途中で8人くらいの登山者と出会う。私達より先に登った人は霧で山頂からの景色は見られなかったが、これから登る登山者は、斜里町が一望できパノラマを堪能出来るだろうと思った。上二股まで4人の家族連れとデットヒートを繰り返した。奥さんがバテたようだ。旦那さんが2つのリックを前と後ろで背負っていた。こちらは私がバテている。

沢の水で顔を洗っているのは私だけだ。なぜ顔を洗ったりタオルを冷やさないのか?水は飲まなければ大丈夫なんだよなと自分に言い聞かせたが、内心心配だった。上二股で休憩をしたとき、小学4年生の女の子を連れた親子の父親と妻が何か話をしていた。

私はバテた体を何とかしようと沢の水で頭を冷やしていた。もう一つ心配だったのが、水だった。妻はペットボトル一本、私は半分だった。どう考えても足りない。妻はトイレの心配があるので、いつも水分はあまり取らない主義だ。それなので、ゼリーなどを飲むようにいつも勧めている。

ここからのコースタイムは2時間20分だ。私がバテていなければ水分は何とかなりそうだが、この状態では不安だった。何とか熊見峠に到着。ここで先ほど妻が話しかけた親子連れとまた一緒になる。この親子は釧路から来ていてお父さんは釧路の山岳会に所属しているらしく一年中北海道の山に入っていると言っていた。今回は下の娘を連れて斜里岳に来たそうだ。私は、北海道の山は初めてで来年以降トムラウシ・幌尻岳・羅臼岳と難しい山を登らなければならないのでこれからが大変だと話をした。トムラウシは日帰り登山も出来ることや、幌尻岳はテントも持って行けば裏側から登れるともアドバイスをしてくれた。どちらにしても私の登山技術・体力では無理なことは分かっていた。本州の山は北海道の山と比べて違いはありますかと聞かれたが、同じですと答えるのに精一杯だった。今考えると山頂近くまでハイマツが生えている南アルプスに似ているかもしれないと話してやればよかったと思った。

上二股で父親が持っていた麦茶を捨てていた。それを見ていた妻になぜ水をもらわなかったのかと聞いた。言おうと思ったらあっという間だったそうだ。話をしたついでに水が残り少ない話をすると飲んでいないペットボトルを一つ分けてくれた。お金は受け取らないだろうとおもい、まだ食べていなかったバナナチップとゼリー飴をお礼に返した。結局、コースタイム1時間オーバーして午後4時に登山口に到着。妻はぴんぴんしていた。小屋に入り冷たいジュースを注文するとないと言われ、20分我慢して下のお店で買って下さいとのことだった。

明日からは台風の影響で天気が大きく崩れる。駐車場には明日登ると思われる登山者は2組しかいなかった。本日の小屋の宿泊者は少なくなるだろうと思った。キャンセルも相当あるのだろうと思った。登山口の登山者名簿を見ると今日登っていた登山者の数は約40人だった。思ったよりだいぶ少なかった。北アルプスなら大勢の人が山に入っているだろうと思った。

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