=安全管理の部屋=

この部屋は「工場の安全管理/教育」などに関する部屋です


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=安全管理メモ(目次-Ⅰ)=

1.安全管理のポイント
2.新任S&H委員教育
3.安全衛生の重要性
4.設備の安全化

5.工場の安全管理
6-1.フールプルーフ化
6-2.フールプルーフ化事例
7.災害の再発防止

8.本質安全化(フェールセーフ・他)
9.安全アセスメント

10-1.安全衛生委員会の役割
10-2.安全衛生委員会の運営
11-1.不安全状態を無くす方策
11-2.不安全行動を無くす方策
12.安全の意味と範囲(狭義・広義

13.設備の「設計~稼働~破棄」の留意点

14.安全意識と活動が「人と職場」を変える
15.非定常作業の安全管理
16.安全管理:目標は「ゼロ災」
17-1.工場の安全巡視(関係法令等 留意点)
17-2.工場の安全巡視(チェック項目事例)

=安全管理メモ(目次-Ⅱ)=

18.通路の安全管理(工場棟内・工場構内)
19.広い視野を持って活動(目的を見失わず)

20.災害防止の答えは過去にある
21.災害に想定外はない(安全管理不備の問題)

22.安全ツール活用の留意点(ツールは手段)
23.H22年度「災害の現況」と考察

24.工場は「5S」が基本
25.安全管理10訓(安全哲学・心得)
26.労働安全衛生法(総則・管理体制:抜粋)
27.ヒューマンエラー(原因と対策)

28.安全衛生教育(勉強・心構え)
29.災害発生と時間(時間帯・季節・曜日)
30.「故事・ことわざ」から学ぶ(10の言葉)

31.安全標語(一般工場・建設現場)
32.快適工場を目指す(快適な職場環境の形成)
33.リスクアセスメントの導入

34.業種別安全管理の留意点
35.安全標準(災害防止の決め手)

36.安全管理に正解はない
37.安全はタダでは買えない

=安全管理メモ(目次-Ⅲ)=

38-1.安全管理は「人の管理」
38-2.人が人を管理:安全管理は難しい
39.事務部門の安全活動
40.安全管理は世の中から学ぶ
41.管理/監督者「10の心得」
42.機械設計者の役割と責務

43.機械設備設置の留意点
44.機械設計のミス防止(標準化/安全アセス)
45.安全管理の三つの視点(人・ソフト・ハード)
46.安全管理活動マンネリ化防止10訓

47.効果的な活動を心がける
48.「いつかと,お化け」は出たためしがない

49.仕事に悩みはつき物(仕事は楽しく…)
50.重要事項の決定はトップダウン

51.管理監督者の姿勢
52.企業経営と安全管理

53.マネージメント(組織活動の基本)
54.人を動かす(これほど難しいものはない)

55.無知は怖い:知らないことを知る
56.変化を見つけだす(災害の隠れた原因)

57.見える管理(10項目) new
58.人を育てる(人は企業の宝) new

59.百聞は一見にしかず(事実は現場に…) new
60.組織を動かす(安全管理の鬼になれ) new



☆ 安全衛生関係図書のご紹介 ☆




=各 種 リンク=
労働安全衛生法国立環境研究所中央労働災害防止協会
日本労働安全衛生コンサルタント会

平成24年度全国安全週間実施要綱(厚生労働省HP)



☆ 技術士/安全コンサルタント 受験~開業の思い出 ☆
趣味の部屋定年後の生活の部屋 New






1.安全管理のポイント
=ライン監督者教育より=

1. 安全は理屈ではない
 安全は理屈ではない部分がある。まずは人を大事にする気持ちが大切である。規則さえ守っていれば、怪我をさせてもよいというわけではない。どんな理由があっても怪我をさせたら終りである。

2. 自分の部下を自分の家族だと思うこと
 もし自分の家族に怪我をさせたら、どんな理由があろうとも絶対に、二度と怪我をさせないことを考えるはずである。怪我や災害が起きたら、原因は一体何だったのか、真剣に考えるはずである。

3. 災害が起きたら怪我をさせてしまったと考える事
 もし自分の職場で怪我や災害が起きたら、自分が怪我をさせてしまったと考えることである。どんな場合でも災害の責任は、管理、監督者にあるのである。絶対に部下や仲間に責任転嫁させてはならない。

4. 基本は本質安全
 災害は不安全状態と不安全行動が重なって起きるが、まず不安全状態を無くすことが企業にとっては大前提である。設備や、働く環境を安全な状態(不安全状態を取り除くこと)にすること。
それには、具体的には、設備の「フールプルーフ化」と「フェールセーフ化」が必要である。

5. 怪我をさせてからでは遅い。
  ・不安全な状態を放置してはならない。
  ・不安全な状態や危険を予知して少しでも早く、事前に手を打つこと。

6. 設備の操作は、「もしかして…」と思うこと
 設備の操作やいろいろな作業は「もしかして…」と思うこと。「作業者はこんなことをするわけは無いが…」ということをする。人はミスを必ず犯す動物である。時には考えられないことをしでかす。

7. トラブルやメンテの時こそ基本を守れ
 トラブル処置やメンテ作業時などの非定常作業時はとかく慌てたり焦ったりして、守るべきルールを犯しがちである。とにかく「急げば回れ」で、何事も基本を守ることが大切。

8. 何かが変化したときが要注意
 人間慣れが恐い。慣れてくると注意が散漫になる。
(組立工場などでは)人、工程、作業内容、時間、環境条件などが変わると災害が起きやすい。新製品の流れはじめ、新しい作業者が工程に付いた時など、何かが変わった時は要注意(安全チェック)。

9. ヒヤリとしたことをそのままにしないこと
 ヒヤリとしたことは氷山の一角。「危ないなー」という事をそのままにしない事。作業者に対しては聴く耳をもつこと。いろんな情報が(ヒヤリとした事)あるはず。

10. 「いって参りまーす」…、元気に、「ただいまー」
 誰も怪我をしたくて会社に行くわけではない。家族の誰もが、会社から元気に帰ってくるのを待っているはず。
安全環境を作り出すのは、唯一監督者の仕事。


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2.新任安全衛生委員の心得
=新任安全衛生委員教育から=

1.安全衛生(S&H)委員の役割
(1)S&H委員会の法的な意味と、役割について理解してもらう。
(2)S&H委員に期待すること
 1年間という与えられた任期を、良い機会と捕えて、安全衛生の勉強をしてもらう。
  (工場から災害を無くすには、どうしたら良いか)
 各人の目で自分の身の回りの不安全状態を良く調べ、又、職場の意見を吸い上げて改善し、S&H委員会に提案する。1年間の(任期の)間に、どんなことでも良いから自分の目標(又はテーマなど)を立てて、チャレンジし、実績を残すこと。


2.S&H委員として持ってほしい「意識」
(1)第1に、安全に対する強い意識を持つこと。
 S&H委員が、自分自身が「安全とは、とにかく一番大切なことなんだ」ということを、意識の底から思い、行動するように(自分自身で)しむけていく。又、その努力を惜しまないこと。
(2)安全衛生は仕事だからやるという意識は捨てる
 仕事と考えると、どうしても割り切ってしまう。
本心そう思っていなくても(安全に対する考え方が無くても)仕事なら出来る。安全に対する意識は仕事と違い、仕事を終えて家へ帰っても安全に対する考え方、行動は、変えてはいけないし(持ち続けるもの)、割り切ることは出来ないものである。日常の考え方がS&H委員としての行動に現れるからである。
(3)「安全を管理」するということは
 日常の私生活では、親は子に、危険なことに対しては、注意をし、危険を避ける行動をとらせる(「不安全行動を回避すること」を注意し、教え込む)。しかしながら、会社では違うのである。「不安全状態を無くすこと」が安全管理の基本なのである。この点が一般の私生活と大きく異なるのである。
 社員は「不安全状態(危険)だから仕事をしない」と言えない立場にある(弱い立場にある)事を良く理解しておくことが必要である。 又、一般生活の常識では予測できない危険な状態が工場にはいろいろな形で存在しているため、普通の注意の仕方では災害を防げないことがある。それぞれの作業に応じて、「必要な資格」や「作業教育」が法的に義務づけられているのはその為である。
(4)すなわち
 自分自身が、まず安全の意識を誰よりも強く持ち続け〈安全意識〉、いち早く不安全状態を発見し、除去し〈安全対策〉、原因を究明し、二度と再発させない仕組みを作る努力をし続けること〈再発防止〉、…が大事なことである。

3. 安全は待った無し
(1)発見したら直ぐに手を打つ
 まず上司に報告。ついで、処置で構わないから(暫定でも良いから)直ぐ手を打つ。危険表示やガムテープでのカバーなどでも良いから、すぐやること。そのまま放置しておくことは絶対に避けなければならない。
(2)再発防止も直ぐに
 起った事柄に対して、再発防止の「仕組み」を作ること。そして、他の場所や類似な事項に対しても同様の事故が起きないように、歯止めをかけることが大切。

4. S&H委員になったことをプラスに
 自分の人生のなかで「せっかくS&H委員になったのだから」とプラス思考で考えること。
(嫌だと思わない方が得。)
(1)将来家庭を持っても、非常に役に立つ。
 ・人間誰でも人生を怪我をせず長生きしたいはず。
(2)いろいろ覚えたことは自分の周りにお役立ち…
 ・せっかくだから、いろいろ覚えたことは自分の友人親兄弟にも役に立ててもらうと良い。
(3)さらに向学心のある人は
 ・これを機会に「衛生管理者」の資格を取ったり、安全の本をいろいろ読んでみたりすると良い。
 (勉強は若いうちにして、しすぎるということは無い)
 
5. 出来たら
(1)自分が活動した結果は何かの形に残そう。
 ・「自分のノート」に
 ・「TQC提案」として。
 ・「ISO14000の標準」として。
  …等々いろいろある。
(2)自分で一冊は安全管理の本を読むと良い。
 ・何でも良い。
 ・最初は、薄くてすぐ読めるもの物が良いかも…。
(3)世の中の情報も意識して注目すること。
 ・毎日の新聞情報
 ・テレビを賑わす災害などの情報
 ・身の周りで起きている交通事故のこと 

6. 「やり方」はいろいろろある。
 S&H委員会の中で活動の仕方は、各人各様いろいろなやり方があるはず。
 ・文や、絵の得意な人:「書くことで表現し」活動に活かす。
 ・人の前で喋るチャレンジをしたい人:安全衛生委員会で改善案を発表する。
 ・現在の作業を何とか改善したいと思っている人:改善提案をする。(ヒヤリハット、TQC提案など)
 ・グループや小委員会でワイワイやりたい人:リーダーシップをとってどんどん提案してやる。
 ・委員会の雰囲気が「今いち」と思っている人:場所や雰囲気作りの提案をして下さい。
 ・どうしたら意見を出し易いか…:例えば、若手女性だけでワイワイやる、など考えても…。

7. 安全で働き易い職場
 改善して欲しいことは、どんどんボトムアップで…。また、仲間の声をまとめて、困っている事の改善案を提案する。改善は工夫である。改善は、以外と一寸したことで(お金をかけなくても)工夫出来ることがあるものである。

8.  とどのつまりは
 何をやれば良いのでは無く、一言で言うと、「S&H委員会の役割」を良く理解し、自分なりに「どう考え」、「具体的にどう行動するか」がポイントと言える。

9. 従って
 自分がどう行動を起こすのか、具体的に決めることが手っ取り早い。

=S&H委員になったら=
(1)考え方
 ・私はこう考えて行動するという事を具体的に決める。
(2)具体的目標を決める
 ・行動すること……「          」
 ・テーマ……………「         」
 ・Out Put……………「        」
 *決めたら必ず1つでも実行すること。
 ・「すべては、当たり前のことを当たり前にやるだけのこと。」
 ・60%主義でOK。!!
 ・完全でなくて良いから完遂することが大切。

10. 世の中のいろいろな情報の中には学ぶべき事例 がいっぱいある。
 (災害や事故は、すべて他人事ではないと考える事)
 ・事故や災害はなぜ起きたのか。
 ・「本当の原因」は何だったのか。
 ・その事故や災害を防ぐには、どうすれば良かったのか。
 ・工場内で同じような「不具合や不安全箇所」はないか。
 ・有ったらどう予防しなければならないか。
 ・水平展開するには、ルール化、標準化、歯止めは。
 ・自分として出来ることは。
 ・考え方で、反省や参考になった点は。

11. 安全衛生の勉強は
 いろいろな事を体験し、自分の目で見て、「自分だったらどうしよう」と考え、経験していかないと身にならない。
 ・自ら実践し、自分の物にしていくことが必要。
 ・何かが起きたら、見に行き、本当の(真の)原因を知ること。(「うっかりした」などは原因ではない。何故うっかりしたのか、何故そのために災害が発生したのかが大切である。)

12. 最後に、「災害は必ず防止できる」のである。
   (諦めてはいけない。)
 ・「……だから、仕方がない」などは、とんでもない。
 ・「自分の身内が」事故になりそうだったら、必ず真剣に考えるはず。
 ・「災害や事故」を防止できないのはその気が無いからである。


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3.安全衛生の重要性
=各種法規・他=


1. 安全衛生の重要性
 企業における職場においては、そこで働く労働者の、「安全第一、人命尊重が基本」であり、 「安全第一」はアメリカ、USスチールカンパニー社の「安全は何事にも優先する。安全第1、品質第2、生産第3の方針 」から来ている。

2.災害を発生させると
 ・公共上や経済上の損失が発生。
 ・企業のイメージダウンにつながる。
 ・最悪は会社が倒産ということになる。

3.安全衛生を追求すると
 ・品質や生産性も向上する。
 ・よい仕事:ムリ、ムダ、ムラの排除
 ・職場:ノビノビ快適職場

4.ハインリッヒの法則
 ・1:29:300
  ・1:重傷(休業災害)
  ・29:軽症(不休業災害)
  ・ 300:無症(怪我をしなかったもの)

5.労働法令の種類
(1)日本国憲法
 労働者の「健康で文化的な生活」は憲法で保障されている。
(2)労働安全衛生法
 ・目的:労働者の安全と健康の確保
 ・基本的な規制事項を定めている。
 ・労働災害防止計画、労働衛生管理体制、健康管理、教育など全12章。
(3)労働安全衛生規則、その他規則
 ・安全衛生に関する具体的な適用範囲及び細則について定めている。
 ・安全衛生規則、有機溶剤中毒予防規則、粉塵障害予防規則、など全10規則。
 ※その他
 ・その他詳細内容に対しては、通達がある。
  (EX)腰痛、振動工具、キーパンチャー、など。

6. 労働安全衛生法
(1)労働安全衛生法
 ・労働安全衛生の基本的な規制事項を定めている。
 ・具体的な適用範囲及び細則は各種規則により定められている。
(2)内容(各規則:10規則)


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4.設備の安全化


1. 設備の導入
(1)設備の設計
 ・法律は最低基準である。安全な設備を設計する場合、逆にどういう条件であったなら災害が発生するかを考えると良い。
 ・安全化を考える時、逆説的に「どんな状況なら災害が起きるか」を考える手法(極端な例だが)も実際ある。
 ・要するに設計の基本は「本質安全化」である。
 ・設計が全てのスタート。設備設計と安全化設計は同時スタートだ。
 ・設計作業の90%は「安全な構造・機構の設計(計算)作業」に時間を割いているといっても過言ではない。
(2)本質安全化
 ・設備設計においては、どんな事をしても人命を守るという思想が必要である。
 ・人間の行動は不確実である(人はミスを犯す動物である)と言う根拠に立っているのが「本質安全化」である。
 ・本質安全化とは、本質的な機械設備の安全方策を言い、機械の安全対策の基本中の基本である。
 ・機械故障、作業ミスなど(どのようなことがあっても)作業者の安全を確保するということである。
 ・機械設備の安全対応は、設備を使用する作業者(男女、年齢、教育程度、人種、文化)によっても対応が異なる。
(3)安全アセスメント(仕事のしくみ)
 ・事前評価が目的:計画~設計~製作の早い段階で設備の安全化を図ることにある。機械が出来てからでは遅いのである。
 ・災害、危険をいかに(多面的に:各部署のメンバーで)予測するかがポイント。
 ・いろんな人の目、見方で危険を予知し予防対策盛り込む。
 ・事故は殆ど予測できるし、防止できる。要するに、避けられない事故はない。
 ・早い段階でチェックし、設備の安全化を図るのが(安全アセスメントの)目的だ。
2. 災害は起こるべくしてして起こる
(1)起こるべくして起こる
 ・やっぱり起きたか(起こるべくして起きた)と言う事が多い。
 ・以前には、一度や二度ヒヤリとしたことがあったはずである。
(2)一つのミスでは起きない
 ・災害は人為的ミスや設備の欠陥がいくつも重なって起きる。
 ・やるべき事をやらなかったとか、設備に欠陥があったとか、警報を無視したとか。
(3)ほとんどが人災
 ・そう考えてみると、いきなり災害は起きない。
 ・誰かは、事前に予測している。
 ・ しくみが予防を阻害していることもある。

3. 全ては人
(1)全ては人
 ・災害は間接的にしろ、直接的にしろ、必ず人が関与している。
 ・災害を予防するには、人という物がどういう特性を持っているか、をよく認識し、考える必要がある。
(2)その為に
 ・必要なことは「しくみ」ということになる。
 ・すなわち、組織的な、地道な安全活動である。
 ・そしてルール。決めたことは「ルール化」する、そしてそれを守る。
(3)科学の進歩に
 ・人間の中身は追いついていない。
 ・人間の構造、思考パターン、などほとんどわかっていない。
 ・うまく機械と調和することが必要。
 ・そのためには人間工学的観点からも考えていく必要がある。
 ・人間の思考パターン(2つ以上のことは同時にできないし、考えることもできない)も留意すべきである。

4.設備の安全対策に関する決め方
 設備の安全対策に関するル-ルや対策を決める際には、次の点に注意を払わなければならない。
(1)安全は種々の制約条件の第一条件として考える必要がある。
(2)他の(安全以外の)条件と天秤にかけてはならない。
(3)現時点および将来を見越した上で、最善の手を打つ。
(4)新しい改善案が過去の標準(又はもの)とに矛盾が生じた場合、新しい改善案を優先して実施すること。
(5)安全のル-ルや標準の基本は、一つの工場や企業の中において、「違い」や「紛れ」があってはならない。
  (基本は、安全もシンプルイズベストである。)

5. 本質安全化
=本質安全化=
 ・たとえ何かの(どのような)機械エラーや人的ミスが起きても、災害に結びつかないようにすることである。
 ・「フェールセーフ化」+「フールプルーフ化」+「設備の防護」をいう。
(1)フェールセーフ
 ・設備が故障しても必ず安全な状態になるしくみや構造
 (EX)・冗長設計:双発飛行機、エレベータワイヤのダブル化など。
    ・機器の故障時は電源がOFFになる、など。
(2)フールプルーフ
 ・人が操作や作業ミスをしても災害にならないしくみや機構
 (EX)・オートマのアクセル、プレスの押しボタンSW、核攻撃のスイッチ、
    ・人がミスを犯しにくいしくみや機構
 (EX)・計器のレイアウト・押しボタンSWの形や色、OFFは下方向、など
(3)設備の防護
 ・設備の「安全フェンス」や「カバー」

6. 防護
=防護=
 人を危険から守るには、「機械の安全化」と「人の防護」があり、機械の安全化が困難な場合は、やむを得ず 「人の防護」に頼ることになる。
(1)人命など重要な項目
 ・人命の防護:防弾チョッキ・命綱(安全帯)・シートベルト
 ・人間の重要な部位の防護:ヘルメット
(2)各部位の防護
 ・安全靴・防護手袋・保護めがね
 ・防火服
 ・電気用ゴム手袋、長靴、ゴムシート、など
 ※ 保護具と防具
 ・保護具:人が使用
 ・防 具:機械に使用(上記ゴムシートなどの用具)

6. しくみ
(1)能力向上
 ・KYT(危険、予知、トレーニング)
 ・朝礼時の指差呼称
 ・安全教育(社内、社外)
(2)組織活動
 ・安全衛生委員会活動
 ・職場巡視
 ・TPM
(3)設備の安全化
 ・安全アセスメント
 ・故障解析
 ・設計標準

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5.工場の安全管理



1.TOP(および監督者)の安全に対する姿勢
 ・災害を起こすのはTOPの責任。
 ・再発防止は「なぜ、なぜ・・・」の繰り返し。
 ・会議には全員出席が原則。出席率は意識のバロメーター。欠席者は要注意。
 ・常に「ひやり・はっと」に目を光らす。
 ・現場巡視は管理の基本。現場巡視は毎日(朝・夕)行うこと。

2.安全衛生委員会(S&H)組織
 ・毎月の「安全衛生委員会」は安全管理のもっとも大事なもので、必須事項。
 ・毎回しつこくTOPよりその時々の話(災害事例など)をし啓もう活動をおこなう。
 ・災害事例は「世の中の事例や同業他社の事例」が良い4.
 ・特に赤チン災害(小さな事故)なども、徹底した原因究明を行う。
 ・災害発生時は当事者を責めるのでなく、本質(安全対策不備)を聞き出す。
  (あくまでも「災害の責任は管理監督者にある」ことを認識すること)

3.安全活動
 ・各責任者は常に現場巡視怠りなく、問題(危険予知)発見に努めること。
  (安全衛生委員・安全管理者・衛生管理者・職場管理者)
 ・安全委員会が安全活動の場ではない。全員参加で災害防止を考える会である。
 ・活動は社員全員での全員参加で「楽しく」行う。
 ・提案制度などを導入し、適時活性化を図り、マンネリ化を防止する。
 ・安全活動による効果:企業の信頼向上・作業の効率化・工場の快適化が図れる。

4.不安全状態を無くす
 ・基本は「5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)」である。これが基本中の基本である。
 ・具体的には「じか置き(床に製品などをじかに置かない)」禁止。直角並行に置く。
 ・通路の安全確保(通路幅確保:法令順守)/出来るだけ直線化する。
 ・作業エリアと通路を明確に区分(色別が有効)/コーナーは面取りをする。
 ・機械設備:本質安全化:フールプルーフ・フェールセーフ・安全化設計・標準化。

5.作業の標準化
 ・全ての作業の標準化。(定常作業はもとより非定常作業も)
 ・特に非定常時の作業の標準化は必要。
 ・「ムリ・ムダ・ムラ」のない作業方法の工夫・改善と徹底。
 ・作業者の意見(3K作業・やりにくい作業など)を良く聞きいれて設定。
 ・作業者のレベルや男女、能力の程度に応じた作業が出来る「作業標準化」が必要。

6.基本は「5S]
 ・現場の問題はまず「5S:整理・整頓…」されているかどうかで一目瞭然に分かる。
 ・巡視する者は「不安全状態を見抜く目」が必要であり、その教育も必要。
 ・整理整頓は「常日頃からの努力で」可能となる。生産作業の一部とも考えてよい。
 ・管理監督者が、まず見本を示さねばならない。だらしない監督者は失格である。
 ・「当たり前のことを当たり前にやる」ことが、「5S」のスタートと言ってよいだろう。

7.安全教育・注意喚起:
 ・特に「新人教育」は大切。また熟練者でも「初めての工程作業」は同様だ。
 ・何かが変わった時は要注意:季節,生産量(増減),作業,週や月初め,新作業,異動時,などなど。
 ・事故が多いのは:作業終了直前、週明け、5月頃(作業に慣れた時期)、夏や冬の悪条件などなど。
 ・教育には、教える側の熱意と災害事例の説明が一番手っ取り早い。
 ・作業者のレベル(経験・男女・身体能力)によってやり方を変える。

8.安全活動は楽しく:全員参加
 ・ルールを守ることによって、社員全員が安心・安全な工場になる。
 ・工夫と「災害ゼロを目指す努力」が必要。
 ・改善活動なども有効。改善提案に対する報奨(または表彰)制度などを設け、楽しく。
 ・毎朝安全朝礼を実施。指差呼称やその日の作業の確認など、各種ツールを駆使する。
 ・「安全活動は朝の朝礼から始まる」ことを全員が良く認識すること。

9.快適な作業環境
 ・職場は常に快適(安全・安心)でなければならない。
 ・作業者の健康状態にも目を配る。心身ともに健全のこと。二日酔いなどもってのほか。
 ・また、職場内のコミュニケーションなども大切なこと。
 ・作業環境の他に、作業者の精神的環境管理(ストレスなど外的要因)も必要。
 ・必要に応じて職場配置(異動)にも目配りして、適切な対応が必要。

10.安全活動が企業業績(信頼)をUP
 ・安全活動は、不完全だと、企業にとってとんでもない、不利益(損失)を生じさせる。
 ・ひとたび災害が起こると、元には戻らない。(最悪は人命にかかわることである)
 ・安全管理活動を日々当たり前に継続することが、企業業績と信頼向上につながる。
 ・安全化にお金が掛かるというのはウソ。工夫次第で何とでもなる。
 ・「安全はTOPの意識」で決まる。「即,行動,実施」が原則。結果,快適工場となる。




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6-1.フールプルーフ化



俗に、工場(製造)現場では、「ポカよけ・バカよけ」と言われている。
本質安全化の3つの条件(他は,フェールセーフ・防護)の一つであるといえる。

人間は「ポカやミス」を犯すもの、という前提に立って、安全な機械の設計を行い、作業者の安全を確保しなければならない。
作業者だって人間だ、年がら年中、神経を集中して、仕事が出来るわけではない。事務作業なら、居眠りや報告書の記載ミスがあっても、上司から怒られるのが関の山(怪我はしない)だが、機械作業ではそうはいかない。下手をすると、人命にもかかわることになる。

労働安全衛生法は「労働者(作業者)の安全確保」の為の法律である。過去の多くの悲惨な災害の結果(再発防止の目的)で作られた法律である。しかし、労働安全衛生法や労働安全衛生規則にしても、最低限のことを決めているだけであって、守って当たり前。最低限の安全が保たれるだけのことである。それだけでは、まことに不十分である。

本質安全化のための(フールプルーフ化を中心とした)多くの安全活動ツールを使いながら、組織的に全員参加で職場や機械設備の安全化に、日々真剣に(継続して計画的に)取り組んでいかなければならない。
フールプルーフ化(ポカよけ・バカよけ)は、非常に分かりやすい(素人でも理解できる)言葉であり、本質安全化の実施を推進するのに非常に寄与する。

災害が起きると「何でそんなバカなことやったの?」と当事者に聞くことであろう。「信じられないことをしでかした」と思うだろう、第三者は…。しかし、そこが悲しいことに、人間の嵯峨というか、本質なのである。
人間とは、そんな(時に何をしでかすか分からない)もの(動物)なのである。
人間は「ときにはバカなことをやる(ミスを犯す)動物」なのである。信用してはいけない(できない)のが人間だ。

機械のことなど今まで全く知らず(はじめて社会人になって)分からないまま入社したばかりの新入社員などは、なおさらだ。
自分が作業する機械を見て、その新人が、はたして「その機械のどこに危険が潜んでいるのか」分かるだろうか。

製造業では、災害の中では「挟まれ・巻き込まれ」災害が最も多い。ベルトコンベアなどのどこにその「はさまれやすい・巻き込まれやすい」場所があるのか、新人は分かるだろうか。そんな場所は(安全対策をしていない限り山とあり)新人は知る由もない。

初めての作業者に新人教育を行うが、「作業方法や品質に関する事柄」についての指導が優先してしまうのが現実だ。
作業指導と同時に、安全上の留意点の指導をすることが当然必要である。ただそれだけではだめなのは前述のとおりだ。

たとえ、何も知らない作業者が、機械の操作をしても(機械の近くを通りかかっても)「機械が壊れることはあっても、絶対に怪我をさせてはならない」ということだ。もうこれは「安全哲学」として考えてもよいこと。これが安全管理の基本だ。

作業者は、仕事(機械作業など)は、上司の命令によって、その職場に配置され、その仕事(機械作業)をしなければならない。
「そんな危険なことは、いやだ!!」と言えない立場にある。
だからこそ、命令に従ってもらう代わりに「100%安全な職場(機械・作業場)環境の確保」が必須のことなのである。
たとえ作業者が「寝不足で、ボーットしたりしてミスしても」である。

そんな意味で、この安全用語である「フールプルーフ化」という言葉は、安全管理活動(特に工場・製造現場)では非常に重要なこと(安全化ツール)であり、管理監督者は、常にそのことに留意する(対策をする)必要がある。



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6-2.フールプルーフ化事例



1.カバー
 ・機械の回転部分:ベルトコンベアのローラやチェン等の危険(挟まれ・巻き込まれ等)部分へのカバー設置。
 ・機械やその他機器類の(鋭利な怪我しやすい)角部:カバーやクッション材を取り付ける。
 ・危険部分が機械全体であるときは、機械全体をカバー又は安全柵で囲い、立入禁止表示を掲示する。
 ・ロボット等危険な機械エリアは安全柵を設け、扉には安全SWを設け、扉開放時は機械を自動停止させる。

2.機械操作ミス防止システム:
 ・作業者が機械の非常停止ランプ表示などを無視してSWをONしても、ON出来ない(動かない)回路に…。
 ・部品搬送機械などは、動作中は非常停止しても安全な状態まで移動してから停止するシステム(ワンサイクル停止)
 ・作業者が操作ミスした場合、機械が感知して警告ブザーや警告ランプで知らせる共に機械を非常停止させる。
 ・正しい操作をしないと作業が終了しない工夫例:電車のブレーキハンドル(運転士が外すとブレーキング状態)
  電車の運転終了後、運転士が電車を離れる際ブレーキハンドルはブレーキをかけた位置まで回さないと外せない。

3.危険区域の立入り禁止表示やエリア区分表示
 ・危険ゾーンや機械作業エリア:部外者にとって危険な場所は「立ち入り禁止表示や安全柵」を設置。
 ・危険な機械:機械全体をカバーで覆うか、周囲を安全柵で囲み、部外者が容易に立ち入れない様にする。
 ・危険な作業のある区域(エリア)等がある場所や建物は、そのエリアを関係者以外立ち入り禁止にする。
 ・危険エリア内通路:関係者以外通行禁止にする。「関係者以外通行禁止」の表示などを設置。
 ・色による区分表示:機械エリアや通路の床・通路区分表示・その他危険な機械や場所など。

4.機械操作スイッチ
 ・スイッチの形・色・ON方向:工場・系列企業内では統一(標準化)しておくこと。
 ・スイッチのON方向:上下スイッチの場合は「上方向をON」にする。(重力に逆らう方向)
 ・非常停止スイッチ:周囲からよく見える位置・高さに「赤色の大きめのスイッチボタン」を設置
  (他のスイッチとは距離を離して、確実に・即座に・迷わず押せる位置・高さに設置)
 ・機械の駆動等スイッチ・操作盤類:容易に部外者が触れることが出来ない場所・位置に設置する。
 ・片手SW操作が危険な機械(プレス機械など)は「両手同時押しSW」でONする機構にしミスを防止。
 
5.5Sも効果がある
 ・整理・整頓など「5S活動」をすると、作業環境が整然と整い、作業ミスの発生も防止できる効果がある。
 ・何がどこにあるか、常に一定の場所に「整理・整頓」しておけば、必然的に工具などの間違いは防止できる。
 ・フールプルーフの一環として、まず「5S活動」は非常に有効である。
 ・又「5S」活動により、作業手順などの見直しや整理もでき、ひいては,ミスの無い作業にもつながる。




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7.災害の再発防止



不幸にして災害が発生してしまった場合は、とことん真の原因究明を行い、再発防止策(暫定対策や恒久対策)を実施する。
真の原因究明とは「なぜ、なぜ…」を5回ぐらい繰り返すとよい。また、そこまでやらないと真の原因が見えてこない。
災害発生当事者(被災者)の「ついうっかり・不注意だった」などは、真の原因でもなんでもない。

災害は「不安全状態+不安全行動」によって発生し、決してどちらか片方だけでは発生しない。
本質安全化の基本でもある「不安全状態をなくす」ことが、再発防止の基本である。
もちろん(並行して)徹底した安全教育により「不安全行動」を無くすことも必要であるが、あくまでも「基本は本質安全化」である。

再発防止を行う際には、徹底した真の原因究明が必要である。その際には、当事者を責めるのではなく、災害を発生させた環境(不安全状態)の原因究明が最も大切なことで ある。
当事者に、原因として思い当たることや、災害発生時の作業の一部始終を聞き出す(教えてもらう)ことである。
当事者(災害の被災者)はあくまでも災害の被害者なのである。

まずは、災害発生の事実(災害に至った過程)を、こと細かに調査する(被災者や関係者で…)。
また、以前、同じ作業で「ヒヤリ・はっと」したことは無かったのか、何か変化はなかったか、も災害要因をつかむ一つであることが多いので、その辺も、もれなく調べる。
何かの変化とは、いつもと違うことを(何か理由があって)したのか、作業者の変更・作業内容の変更・突発的な作業であったのか、はたまた非定常作業(機械の修理・メン テナンス…)などがあったのか、等々である。

また、災害の発生は経験上「季節・曜日・時間帯・など」に大きく関係することも分かっている。
新人が職場に慣れた5月頃や週明け月曜や週末、終業時間直前など、災害の多くは、季節・曜日・時間帯などに大きく関係することが多い。

例えば、ベルトコンベア機械の回転部分への「はさまれ事故(災害)」の場合、露出している(危険な)回転部分に安全カバーを設置する、というのが再発防止策である。
作業者が「不注意だった、あわてていた」等は原因でも何でもない。災害調査報告書にそのようなことを原因として記載してあったら、まったくもって論外である。災害報告書が何の為に(誰の為に)作成するのか(作成スタッフが)分かっていないということである。
これでは再発防止のスタートからしてダメだ。その後の対策が「作業 者に注意喚起する」などと、いい加減な対策でお茶お濁す結果となり、再発防止が全く期待できない状態となるのである。

作業者の精神的・身体的なこと(ストレス・心配事・身体の疲労・徹夜明けなど)も原因究明のチェックのポイントだ。
このような場合の原因は、職場環境(人間関係・室内安全環境など)の問題に起因しているかもしれないからだ。

したがって、再発防止は、まず災害の起こった原因の詳細な究明のための調査が第一歩である。
原因調査には、安全管理スタッフや安全管理者は、必ず災害現場・作業内容を良く現場で確認し、被災者から詳細な聞き取りを行うことがまず第一歩である。

災害報告書は記載内容(調査内容)に漏れが無いよう、よく熟慮して「定型化したフォーマットの報告書」を使用する。
そしてまずは、明確に容易に出来る対策(暫定対策)を即座に実施し、次に真の原因に対する対策(恒久対策)を実施する。

災害は二度と同じことを再発させてはならない。災害の大半は「再発」にあることを肝に銘じるべきだ。
再発防止が(同種の)災害発生の抑止(防止)に大きくかかわってくる。ただ単に、その場かぎりの、場当たり的な対策(処置)ではいつまでたっても災害は無くならない。

真の原因がわかったら「再発防止策(作業改善・機械の安全対策・その他)の標準化と実施」である。
災害の再発防止のために、改善すべきこと(対策)を「決めて・標準化し・それを守り・日々チェックする」ということである。(P・D・C・Aを回す)
日常の作業の中に、決めたこと(標準化したこと)を、いかに継続して定着させるかに、災害の再発防止の成否がかかっている。

とにかく一度でも災害が起きたら、再発防止は徹底して(継続して)やることである。
手を抜いたらそれで終わりだ。常に「努力の継続」しかない。
安全管理活動(災害の防止)とは、「このこと(再発防止)にかかっている」といっても過言ではない。



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8.本質安全化



○本質安全化とは:「本質的な機械設備の安全方策」を言う。(機械の安全対策の基本中の基本)
 ・要するに「人(機械に携わる作業者)の注意力に依存せず、安全状態を確保する」ことを言う。
 ・安全状態とは、どのようなことがあっても、災害が起きない(災害を起こさない)ことである。
 ・どのようなことがあっても「安全」とは、作業者が「ついうっかりミスを犯しても…」である。
 ・また、人のミス以外に、機械の故障(劣化・消耗・停電・地震など)にも対応しなければならない。
 ・たとえ何かの(人災・天災・他)エラーが起きても、災害に結びつかないようにすることである。

○すなわち「フェールセーフ化+フールプルーフ化+設備の防護」による安全化ということである。
 ・要するに、この趣旨は「人間はミスを犯す動物である」ということを大前提に考えることにある。
 ・絶対に「人間の注意だけに頼ってはいけない」ということが「安全管理の基本」である。
 ・機械設計者は、設計時には「安全化設計」を(第一に)同時スタートさせなければならない。
 ・安全化設計は多岐にわたる必要事項(要求事項)をも満足させていかなければならない。
 (機構動作・作業性・メンテ性:非常時対応・地震,火災対応・作業者(熟練度)対応,など)

○本質安全化方策:「フェールセーフ」+「フールプルーフ」+「設備の防護」
1.フェールセーフ:「設備が故障しても必ず安全な状態を保つしくみや構造」をいう。
 =対策例=
 1)冗長設計:双発飛行機・エレベータワイヤなどの安全機能の併設(ダブル)化。
  ・一つの安全機能が故障しても、もう一つの同一機能が補完して災害を防止する。
 2)安全の二重・三重化:エレベータのワイヤーが全て切れても自動的にブレーキが働く機構。
  ・安全化を二重・三重にし、一つの機能が故障しても他の別の安全機能が補完し災害を防止する。
 3)故障時の自動安全対応:機械が故障時に自動的に安全な状態に移行(安定)する機構。
  ・停電や地震時に自動的に電源がOFF(安全側)になるような設計・機構
 4)停電対応:地震その他による停電時の対策(バッテリー・自家発電機能・など)

2.フールプルーフ:「作業ミスしても災害にならない、又ミスをしにくい構造」をいう。
 =対策例=
 1)ミスを犯しても安全が保たれる機構:
  ・オートマのアクセル:レバーがPに入っていなければアクセルを踏んでも車は動かない。
  ・飛行機の自動操縦:パイロットがミス操作をした場合、自動的に警告を発するシステム。
 2)ミスを犯しにく機構:
  ・プレスの押しボタンSW:左右両手押し(2つのSWの両手同時押し)しなければ動作しない。
  ・核攻撃のスイッチ:離れた2か所で同時に(2人の人間が)スイッチを押さなければ作動せず。
 3)ミスを犯しにくいSW・機器配置:
  ・重要なスイッチ:非常停止スイッチは「赤色の大型のSW」でどこからも目立つ位置に設置。
  ・スイッチのON・OFF方向:OFFは下方向に倒す向きに設置。(重力に従うのが自然で確実)
  ・スイッチ・計器類のレイアウト:重要なスイッチや計器は目立つ位置(目の高さ近く)に配置。

3.設備の防護:「危険を含む機械設備部への人の接触を遮断し安全を確保する」方策を言う。
 =対策例=
  ・機械の危険部(歯車やベルトの回転部):安全カバー設置。「挟まり・巻き込まれ」を防止する。
  ・設備全体が危険な場合:安全フェンス・安全扉を設置。扉開放時は自動的に設備の電源がOFF。



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9.安全アセスメント



1.工場の機械設備の導入に際して「事前に安全性の評価」を行い「設備の本質安全化を図る」ことを目的とする。
 ・設備が本質安全化されているかを評価する。
 ・設備の「安全性、作業性、メンテ性、非常時対応…」等を、設計(図面)の段階から評価(チェック)する。
 ・このことによって、真の本質安全化が図れる。
 ・事後の安全対策は、多くの「時間と労力をコスト」を発生させる。災害が発生してからでは「後の祭り」だ。
 ・何事も「事前の策がベスト」である。安全も常に「一手先を読み」前もって策を講じておくことが必要だ。

2.ステップ例:1企画(仕様)→2構想→3設計→4製作→5設置→6稼働テスト→7本稼働→8維持管理
 ・上記ステップ中のポイントとなる所(例:2、3、5、6、など…)で関係区と共に安全性評価を行う。
 ・評価項目:設備本体、使用上・メンテ時の安全、地震対応確認、非常停止テスト、レイアウト・通路、など。
 ・非常停止テスト:いじわるテストも必要。非常時は人は頭が混乱。そのことを想定して行う。

3.最終評価者は安全管理者:評価結果がNGの場合、設置は認めない。対策後再評価し問題なければOKを出す。
 ・安全アセスメント参加者:関係部署全員で確認(最終的には現場・現物で実際に「運転テスト・操作」を行う)
 ・参加部署・関係者:S&H委員会(安全管理者)、設備設計者、設備使用区、作業者、設備保全部署、など。
 ・設備の取り扱い説明書:本資料は「設備の使用・稼働・維持」において必須の資料。これも評価の対象となる。

4.アセスメント合格設備:合格シールなどを貼り、実施完了の明確化を図る。
 ・アセスメントに合格しない設備は使用区には設置はできない。(S&H委員会の承認なしには設置させない)
 ・設備管理責任者:保全部署・製造部署の管理責任者を機械設備に明示。
 ・定期的チェック:安全委員会メンバー等による職場巡回時に「設置後の稼働状態の安全チェック」を実施。

5.安全アセスメントの実施:事前に関係者全員で、設備計画・設計の段階から完成・維持管理までを追跡評価。
 ・安全設計標準:本質安全化設計を柱にした「設計製作標準」を作成・使用する。
 ・アセスメント実施規定:アセスメント実施(作業)標準。(評価基準・実施フロー・合否判定基準・他)
 ・合否判断評価シート:各評価ポイントでのアセスメント評価で使用する「評価シート」を作成・使用する。
 ・継続的チェック:S&H・使用区(製造ラインなど)・保全区・等において継続的にチェックする。

6.評価項目(設計・操作・メンテナンス・設置エリア・通路・環境・他)
 ・設計:フェールセーフ化・安全化(フェンス・カバー・安全扉・防音・防塵・耐震化・停電対策・など)
 ・操作性:フールプルーフ化・作業者対応(男女・経験・身長)・操作のし易さ(制御盤・操作盤)・など。
 ・メンテ性:部品交換・異状確認・修理性・故障箇所表示・基盤解析機能・機械の異常表示・など。
 ・設置エリア:周囲の通路や隣接作業エリアとの間隔や干渉・通路のはみ出し・通路の直線性の確保・など。
 ・作業環境対応:隣接作業区への対応(騒音・振動・熱・有害粉塵の対策)・作業員の安全衛生確保・など。



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10-1.安全衛生委員会の役割



 事業場のTOPを中心に「組織化・役割分担」を明確にして日々改善に努め、しつこく継続すること。
 (法令の詳細はここでは省きます。ここでは、活動のポイントを中心に記載いたしました)

1.TOP(安全衛生委員会委員長):安全活動の重要性に対するTOPの強い意思・姿勢を見せること。
 ・毎回その時々の話題や災害事例を通して安全の重要性の話をする)
 ・安全管理はTOPダウンでしっかり行うこと。守るべきことは守らせる。
 ・TOPの安全に対する意思(意気込み・気構え)が無ければ、工場の安全管理は成り立たない。
 ・欠席者や代理出席者が多いのは、委員の意識低下に原因がある。TOPの毅然たる態度が必要。
 ・TOPは常に自らの行動で範を示す。自己管理できない(禁煙もできない)TOPなどもってのほか。

2.委員会委員の役目(各職場の委員・安全管理者・衛生管理者・産業医・事務局・他)
 ・委員会は全員参加が基本。欠席者は意識が無いと思うこと。委員会事務局はしっかり運営すること。
 ・委員会で決めたことは、確実に実施し、全社員一丸となて目標達成にむけて活動すること。
 ・各専門スタッフは、委員長(TOP)に専門的な助言を行う。日々の現場の状況把握が大切。
 ・専門委員会:必要に応じて、個別の課題解決の専門委員会を設け、迅速・活発な活動を行う。
 ・各管理監督者:職場の安全管理・仕事の指示命令権を有し役割と責任が大きく重要な存在。
  (災害発生多発職場の場合、往々にして「当該管理監督者の意識不足」が原因のことが多い)
 ・工場内巡視:委員全員による月一回の定期工場内巡視と不安全状態の指摘・改善は必須事項。
 ・職場の監督者・委員は、毎日,朝夕の現場巡視・問題点の発見(顕在化)・指示・改善の励行。

3.安全衛生委員の選出:委員の選任については法令に定められているが、さらに下記を考慮するとよい。
 ・委員構成のバランス:各職場の「管理者:作業者=1:1」になるような委員構成が望ましい。
 ・委員構成に偏りがあってはならない。「管理者・男性のみ」などでは現場の問題が反映されない。
 ・特に女性の多い職場では、一般女性作業者(または主任レベル)を委員に選任することが良い。
 ・委員(及び専門委員会)は実際の活動の実施部隊である。委員に対する安全教育は適時行うこと。
 ・安全活動においては(委員は役職の上下に関係になく)遠慮せずにリーダーシップをとること。 

4.工場の安全(無災害化)はまさにこの「安全衛生委員会」の活動の如何にかかっている。
 ・形だけの組織や活動だけでは、何の(活動)効果もない。やるからには「とことんやる」こと。
 ・安全活動が「働きやすい環境を作り、企業イメージも高め、業績と品質向上」に必ず寄与する。
 ・各委員:日ごろのたゆまない勉強とヒヤリハットを見過ごさない意識・姿勢がなにより大切。
 ・災害発生時は、即原因究明し、暫定処置・恒久対策を撮る。(絶対に対応が遅れてはならない)
 ・特に「災害の原因究明と再発防止活動」は、委員会が中心になって行う最重要課題である。

5.決まったことや方針・目標は社員全員に周知徹底すること。
 ・委員会の会議議事録は、各部署に配布し、社員全員が閲覧(回覧)のこと。
 ・決めたことは必ず実行し、結果報告を事務局へ適時行う。必要なら「作業の標準化」もおこなう。
 ・まずは「改善は即実行」。効果が無ければ「即検討・変更」する。(P・D・C・Aをまわす)
 ・安全目標や安全活動内容は、玄関前や社員通路などに掲示し、全社員に目的意識を共有させる。
 ・各職場の個別の目標は、各々の職場において「適切な方法で」方針・目標の徹底を図ること。



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10-2.安全衛生委員会の運営



1.明確なTOP方針の表明
 ・安全衛生計画で最も重要なのが,「TOP方針」であり,「その表明と周知徹底」である。
 ・TOP方針:前年度の反省から方針を導き出し決定する。
  (方針は全社員が分かる単純・明快な言葉で表現。具体的な行動方針が良い)
 ・方針は「安全衛生計画書」の最上段に明記し、全社員に周知徹底(表明)する。

2.TOP方針に沿った組織活動
 ・事業場の年度計画:TOP方針にもとに、当該年度の「安全衛生計画書」を作成。
 ・安全衛生委員会:計画の実行・予実績管理(月次報告)・計画の適時見直し。
 ・専門委員・管理監督者・作業者(社員)の責務(役割)の明確化と周知徹底。
 ・各安全活動の専門グループ:グループ設立と計画・管理・推進を行う。
 ・年度末の反省を実施、結果を次年度計画に盛り込む。
 (きちっとした会合を開催・予実績分析をし、結論を出す)

3.各部門(部・課・係・班 等,職場単位)の活動
 ・年度計画:昨年度の反省により「改善内容を盛り込んだ計画」とすること。
 ・各種ツールも、全社右へ倣えでなく、作業現場・事務所・等によってそれぞれ工夫して行う。
 ・事務所は他人事と考える傾向があり要注意。現場同様しっかりした活動をして現場の見本となること。
 ・部門間で安全活動を競い合うのも安全活動が活性化してよい。またグループ意識が高まり生産性も上がる。
 ・毎月の委員会では(各部門・各職場は)活動の進捗状況の報告・問題提起(提案)を行う。

4.災害発生原因の調査
 ・災害が発生した場合は「災害報告書」にもとづいて、処置と恒久対策を決定する。
 ・災害原因調査においては「事故がなぜ起きたのか」、「なぜ、なぜ、…」を繰り返し、真の原因究明を行う。
 ・災害は一般的には「再発が殆ど」である。再発は「管理ミスが原因」である。詳しく原因を調べること。
 ・調査は「災害の原因(不安全状態)」について特に詳細に調べる。
 ・被災者を責めてはならない。「なぜ怪我をしたのか」原因を聞き出す(教えてもらう感覚)ことである。
 ・被災者は仕事により被災した被害者である。全ての原因は管理監督者にある事を肝に命ずること。

5.再発防止策の決定・実施
 ・災害の原因をしっかり調査・把握し、二度と起きないよう、対策(処置や恒久対策・碑作業標準化)する。
 ・一職場(部門)の問題としてかたずけず、全社に公開、周知徹底し、再発防止に努める。
 ・対策で決まった(決めた)ことは全て機械・作業などの「標準化を実施」今後の再発防止に役立てる。
 ・又原因が「組織の問題・作業標準の不徹底の問題なのか」など、組織活動の問題点も洗い出し改善すること。
 ・全ての災害は、被災者は被害者である。災害は管理監督者が全責任を負わなければならない。
 ・災害は「本質安全化の不備・安全教育の不備が起こしてしまった」と考えるのが相当である。
 ・二度と同じこと(同種の災害)を繰り返しては絶対にならない。

6.安全衛生委員会の運営(準備等)
 ・委員会は「対策討議の場」ではない。対策討議は問題発生時に即実施。会議は結果報告のみ。
 ・重要な活動方針や共通認識するべき事項、各専門スタッフのコメント,などの周知徹底が主である。
 ・通常の問題点に対する対策は結果報告ですむように関係区で事前に済ませ、会議では結果報告のみでよい。
 ・委員会の議題は多岐にわたり、効率的な議事進行が求められる。従って、事前にできることは済ませて置く。
 ・TOPや安全管理者の話,各部門の問題提起,などは事前に事務局と調整し,開催通知の議題に明記しておく。



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11-1.不安全状態を無くす方策




1.安全活動の意味・意義
 ・安全な環境の職場環境を作り維持することにより、絶対に「災害が発生しないようにする」と言うことである。
  「不安全状態は人間がつくる」と言っても過言ではない。また反対に「安全は人間が作り出すもの」でもある。
 ・努力に努力を重ね、継続することこそが「安全(な状態)を作り出す」ことにつながる。
 ・すなわち「安全を作る」ということは、「工場・職場内の不安全な状態を無くす」と言うことに他ならない。
 ・では「不安全な状態」はどのように見つけ出せばよいか。それが実際の「安全活動のカギ」である。
 ・災害多発工場は、安全の基本の「不安全状態」が散在し「整理・整頓」すら出来ていない事(状況)が多い。
  誰が見ても不安全な状態が散在しているのに、何の手も打たれていないのが、このような工場の現状である。

2.不安全状態を無くす(発見すること)
 ・不安全状態を無くすことが、安全な工場作りにつながる。それが、安全活動の第一(基本)とも言える。
 ・もちろん、不安全行動を無くすことも重要であることは、言うまでもない。
 ・不安全状態は、災害を(怪我を)起こしやすい、危険な(機械や作業場のある)職場環境である。
 ・不安全状態の内容によっては、常にその状態が発生しなかったり、職場巡視でチェックしても見えない場合もある。
  高熱・漏電の状態や、機器の劣化によりいつ故障(事故・災害)が起きてもおかしくない状態、などである。
 ・不安全状態を無くすには、その状態の発見がまず必要で、通常巡視では発見できない場合もあり、工夫も必要だ。

3.機械は突然故障しない
 ・機械の故障や、種々のトラブルは、突然発生することはない。(日ごろから点検・監視を怠っていない限り)
 ・日々機械操作をしている作業者の声をよく聞くこと。ちょっとした異状を感じ取れるのは作業の当事者しかいない。
 ・定期的なメンテナンス作業を怠らない。機械は決して(何の原因もなく)突然故障する(壊れる)ことはない。
  必ず何らかの前兆現象(異常音・異常振動・電流変化・温度変化・などなど)があるものだ。
  前兆現象を日常点検や定期点検でとらえることで、災害を未然に防止する事が出来る。
 ・機械の重要部品は、寿命(壊れるまでの時間)が分かっていれば、寿命が来る前に(壊れる前に)交換する。
 ・要するに、日々の事前の策(点検作業や異状の気付き)が、災害防止に大きく寄与するのである。

4.不安全状態を見つける
 ・不安全状態を無くすには、「不安全状態が一体どういう状態なのか」を良く知っておく(わかっている)必要がある。
 ・工場内にはさまざまな不安全状態があるが、各職場のことは、その職場の管理監督者が一番熟知している(はずである)。
  ただ、不安全状態が「機械・作業内容・作業者・など様々なこと」に起因するため、見つけるための工夫も必要である。
 ・しかしながら、管理監督者は自分の職場の「不安全状態」をまずは発見しなければならないし、見逃してはならない。
 ・安全に対する意識がなくては不安全状態を見つけることはできない。管理監督者はそうであっては絶対にならない。
 ・安全に対する意識があるからこそ不安全状態に気づくのである。管理監督者は普段からのたゆまない安全意識が必要だ。

5.不安全状態を無くす(各種ツールの活用)
 ・KYT(危険・予知・トレーニング)訓練はその一つと言えよう。
  いろんな職場の場面を(絵や実際の現場で)見ながら、メンバーに考えさせ、討議しながら、教育・訓練をする。
  (事例を通して「どんな危険が潜んでいるか・安全対策はどうしたらよいか・など」いろいろ考え、学ぶ訓練)
 ・朝礼(及び夕礼など)で、当日の作業の内容や、やり方・危険が伴う場合の安全対策などの情報を周知徹底する。
  当日のことなので、朝一で各作業内容の確認が確実に全員に徹底でき、不安全状態を無くすことにつながる。
  多くの会社の作業員が共同作業する建設現場では、当日の作業の周知徹底で重要だが、一般職場でも同様である。
 ・TBM(ツール・ボックス・ミーティング):各職場単位で行う安全ミーティングで有効な安全活動である。
  各職場で実際の作業や作業環境も見ながら行われる安全ミーティングなので、不安全状態を無くす効果が大きい。
 ・5S活動:「整理・整頓・清潔・清掃・躾」である。簡単な方法では「整理・整頓・清掃」の「3S」でもよい。
  不安全状態は(自然に発生するものではなく)人が作り出すものである。一番効果があるのは「5S活動」である。
  「5S」 がなされていれば、自然と安全な(不安全状態の無い)職場環境が整い、又意識の向上にもつながる。
  この活動によって、不安全状態を見つける目が養われ、「不安全状態が見つけにくくなる」ことを防止する。
 ・ヒヤリ・ハット提案:この制度の活用で、不安全状態を事前になくすことができ、災害の防止効果は大である。
  社員全員参加で行うことが、社員の安全意識の向上になり、又作業者しか気づかない「不安全状態」を無くせる。
  「ヒヤリ・ハット」をそのままにせず、定型用紙で報告。全員で行う安全活動だ。報奨制度も実施するとなおよい。




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11-2.不安全行動を無くす方策



1.不安全行動
 ・不安全行動とは、災害を起こすかもしれない(やってはならない)危険な行動をいう。
 ・人間は(機械と違い)思わぬミスをしでかす。時によっては「判断や言動(指示・命令)のミス」もある。
 ・「ついうっかりして…、考え事をしていて…、無意識につい手を出してしまった…」などなどである。

2.不安全行動の原因:
 前記のように、知識・経験不足の他に人的要因(ヒューマンエラー)もある。
 1)知識・経験的な要因:
  ・作業や機械操作などの専門的経験の不足
  ・現場作業の一般注意点などの知識不足
  ・新入社員教育やその他特殊作業教育等必要な教育不備
  ・一般的危険状態の認識不足・その他

 2)人的要因(ヒューマンエラー):人間ならではのミス(人間は機械ではない…)
  ・身体的要因:健康障害や疲労その他健康上の要因
  ・心的な要因:職場環境やその他ストレス要因など
  ・危機的状況要因:非常時で慌てたなど、正常な判断・行動が出来なかった、など。

3.不安全行動を無くすには
 ・安全教育の徹底:
  ・新入社員教育・作業教育・管理監督者教育・安全衛生委員教育・一般社員教育・他
  ・教育方法:実際の事例(絵・写真・ビデオ)を使用し(座学・現場等で)具体的に分かりやすい形で行う。
  ・特に安全教育で必要なことは、絶対にやってはならない「危険な行動・動作」の教育(説明)である。
 ・安全朝礼:
   全社朝礼・職場朝礼・作業現場での合同朝礼・他
 ・安全夕礼:
   職場・現場にて適時(必要に応じて)実施
 ・危険表示:
   機械や通路などいろいろ教育・指導しても、作業時や通行時は忘れがち。適切な表示をして注意を促すこと。
 ・ヒューマンエラーの防止:人的な要因によるミスを防止するため「作業環境・健康」の改善・管理を実施
   ・作業環境管理:作業場の『温度・湿度・採光・照明・騒音・空調・など」の人的影響要因の改善・管理
   ・健康管理:作業が正常にできる「常日頃の体調管理、ストレスの排除やメンタルヘルス管理」などの実施

4.安全管理上の本質的対応:本質安全化
 ・不安全行動を無くす方策はあるが、安全管理の本質論から言えば、その方策だけでは万全ではなくい。
  なぜなら、残念ながら「人間はミスを犯す動物である」ということである。
 ・最終的には「本質安全化」が確実な(不安全行動に対応した)方策であることを認識しなければならない。
 ・すなわち「本質安全化=フェールセーフ+フールプルーフ+防護」である。
 ・その認識の上に立って無災害化に向けての方策として「不安全行動を無くすことに全力を尽くすこと」は言うまでもない。




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12.安全の意味と範囲(狭義・広義)



1.安全は作り出すものである
 ・安全とは一体どういうことか。「○○でない状態」という説明になる。要するに「危険でない状態」ということ。
 ・安全は実は「作り出すもの」で、何もしないでは「出来得ない」ものである。このことは案外認識されていない。
 ・安全とは、不安全状態が無い状態を「工夫して・努力して・継続して・作り出すもの」と言うことができる。
 ・安全とは、普通にしているだけでは得られるものではなく、意識と熱意があるところにだけやってくるものである。
 
2.安全の対象(狭義・広義)
 ・狭義の意味:「工場の職場環境の安全化」を意味する。これが一般的なとらえ方で、労働安全衛生法がよりどころ。
 ・広義の意味:「防災(地震・火災・台風・などの天災)・防犯・危機管理」など種々の災害・危機に対する安全化。
 ・安全活動は、出来れば「広義にとらえた活動」が望ましい。実際の安全活動では「広義の対応が必要」なのである。
 ・広義にとらえると所管官庁が(労基署・消防署・警察・など)異なってくるが、活動の全容が見え、漏れが無くなる。

3.広義の安全対象(安全管理は多岐に渡る:下記は一例)
 ・工場安全衛生:安全衛生管理(安全・衛生的労働環境)・労働条件の確保 …
 ・消防署関連:危険物保管管理・自衛消防隊組織・防火管理・消火設備・消火器点検 …
 ・国交省関連:建物の安全管理・通路,階段の安全・地震対策・災害時の避難経路・通路 …
 ・警察署関連:防犯対策・工場の入出門管理・リスク管理(企業情報漏えい・PCウイルス対策)
        安全運転管理・通勤時の安全運転・休日(プライベート)時の安全運転指導 …
 ・経産省関連:電気主任技術者の選任(事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督)

4.工場としての対応(広義の安全に対して)
 ・安全対象は多岐にわたるが、工場のTOPは全てにおいて、統括管理をしなければならない。
 ・安全をキーワードに全員で不安全なこと(災害に結びつきそうなこと)全てに目を光らすべき。

5.情報の一元化と共有化
 ・安全に関しては広義にとらえ、S&H委員会が中心となっての(情報の一元化と共有)活動が必要。
 ・安全は管轄官庁に関係なく工場が一つになって、積極的・横断的な(関係区の連携による)活動が適切である。




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13.設備の「設計~稼働~破棄」の留意点



1.設備計画(レイアウト・配置)
 ・配置:作業区域内の設置位置・スペースと形状
 ・通路と設備との間隔:通行の安全確保(通路との適切な間隔が必要)
 ・周囲にメンテスペース・通路があること。(メンテ作業の安全化)
 ・主通路から設備への通路:袋小路はNG。非常時の避難出口(通路)は2か所以上がベスト。
 ・メイン通路から設備の状態が見通せること。(設備の常時監視・視認性を良くする配置)
 ・メイン通路にはみ出しなど内容に、整然としたレイアウト・配置に。
 ・職場区域内での置き方:整然とした配置にする(直角・並行・整列)。(見通しの良さ)
 ・職場監督者が容易に(一直線状に)見通しが効くように(状況把握:視認性確保)配置。

2.設備の機構・構造・重量
 ・工場への搬入(高さ・幅・奥行き)考慮:トラック・クレーン用フック・重量考慮
 ・工場搬入経路:通路・階段・エレベータの許容重量と大きさを考慮
 ・設置フロア:「床強度(㎡当たりの許容荷重)・天井高さ」を考慮する。
 ・上記各項目がクリアできない場合:設備を適当な「大きさ・重量に」分割、設置後組立。
 ・設備の設置・固定:地震対応の為、通常はアンカー固定にする。
 ・設備が適時移動する場合:「キャスタ―&アンカー」両機能を有する固定方法とする。
 ・精密機器設備の場合:床の許容振動レベルを考慮。事前に振動系で加振実験・計測。
  (隣接通路においてのプラッター等運搬車の走行が影響するかどうかどうかなど…)

3.設備機構設計(本質安全化設計・等)
 ・安全対策(本質安全化):「フールプルーフ+フェールセーフ+防護」等、確実な安全設計の実施
  (冗長・多重安全化設計/非常停止(自動・手動)装置/安全カバー/耐震・防爆・等/各種安全対策)
 ・安全カバーの設置:動力駆動部・回転部・高熱部・電気配線部、など危険個所に安全カバー設置
  (常時監視が必要な場合は、カバー(一部など)を透明アクリルなどにする方法もある)
 ・機械の角部など怪我しやすい危険な形状部分:適切な大きさの面取りを施す。
 ・設備外部への環境影響対応:騒音・振動・有害物質・粉塵の飛散防止等機構・装置の設置
 ・非常停止・異常表示:操作・警報は、気づきやすい表示・警報にする。(音・色:工場内統一)
 ・機械装置の設計・製作・完成検査基準:必要な標準化をし、それに基づいて各ステップで審査する。
  (設備の「安全アセスメントの実施」による「事前診断」で、設置時の全ての安全性を確保しておく)

4.操作性・メンテ性
 ・操作盤:設備全体が見渡せる位置に設置。
 ・操作盤・制御盤前のスペース:作業に必要なスペース・通路幅を確保(法令順守)
 ・回路図は制御盤内に入れておく:故障時対応に即対応可で必要
 ・操作性:作業者の操作の安全性・操作性を考慮
 ・保全性:メンテ・修理時の作業性・安全性を考慮。
  (設備保全:定期メンテ・日常メンテ・突発トラブル修理,対応)

5.機械操作・取扱い教育(必要資格・講習の完了)など
 ・取り扱い説明書:設備機械図面・回路図・取扱い方法・留意点・交換部品リスト・他
 ・設備の操作教育:定常作業・非定常作業・非常(異状)時対応などの教育を行う
  (ロボットの教示等作業は、講習機関による特別教育受講終了者によること)
 ・作業開始・終了時の対応:必要事項を定めて確実に実行確認すること。
 ・長期休日(夏休み等)の設備管理:上記とは別に「やるべきことを決めて」実施のこと。

6.自然条件など各種対応(自然・作業者・作業場):
 ・自然環境対応:霧・風雨・湿気・黄砂・他
  粉塵対応:電子機器の「防爆、安増」対応機器の使用。
  天災対応(地震・火災・浸水):耐震構造・防水・耐火構造・他
 ・作業者対応(技量・男女・年齢・他)
  作業によっては、握力・身長などの身体能力(機能)が必要。
 ・最終破棄時の対応:環境安全材料使用:塩ビ不可・他
 ・(同上)リサイクル性考慮:材料別分解容易、他

7.環境(&隣接作業場)への対応
 ・有害物質排出機器:粉塵その他有害物質の排出を防止する機器の設置・管理を行う。
 ・振動・騒音:各種「防振・防音」対策等の実施。
 ・レーザ・放射線等使用検査機・発生機器:必要な法的措置を実施し必要な管理を行う。
 ・有害排水の排出等使用設備:排水処理設備・等、必要な法的処置・管理を行う。
 ・有機溶剤・はんだ付け工程:局所排気装置・等、必要な法的処置・管理を行う。

8.危機管理対応(各種)
 ・工場火災等への対応
  重要機能部品は単一工場のみでの政策は日避ける。他工場で即再開が可能状態可能が望ましい。
  (当該工場の設備オンリーでは、企業の生産が完全にマヒする。バックアップ体制が必要)
 ・コンピュータ故障対応:データのバックアップを遠隔地の他工場などに適時保管しておく。
   設備の重要な運用データ:遠隔地へ適時バックアップし、データーを保存管理・即使用可能状態に。
 ・24時間運転設備:設備の「メンテナンス・異状時の対応」の体制・対応をしっかり決めておく。
 ・連続自動運転設備(24時間連続):異常時(無人時)の対応の方法・体制を事前に決めておく。
   保全員の常駐監視・警備員の巡回監視・警備会社で対応(センサーによる自動検知・通報)など。




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14.安全意識と活動が「人と職場」を変える



1.安全管理は全員参加で意識を変える
 ・安全管理活動で重要なのはTOPの指導ばかりではなく、全員の意識にかかっていると言っても過言ではない。
 ・TOPに頼ってばかりでは、災害は絶対に無くならないと断言出来る。社員全員の積極的な活動が必要である。
 ・全員参加による継続した「積極的な全社的安全活動を推進していく」のが安全管理スタッフの大きな役割だ。
 ・特に安全管理者の役割は大きい。強い熱意と実行力で(安全スタッフと共に)工場を改革していかねばならない。
 ・何事もあきらめてはだめ。必死に行動し続ければ結果は後から付いてくる。必ず無災害工場が達成できるはず。

2.分かりやすい一言を言い続ける
 ・工場における安全管理も「分かりやすい一言」をいつも(S&H委員会などで)言うことが効果て的である。
 ・安全一言(標語)を決める:S&H委員会が先頭に立って決めるのが一番。とにかく工場として決める。
 ・その結果「不安全状態・不安全行動」が自然となくなり、災害の原因・発生が無くなる、ということである。
 ・「5S」は基本。「整理・整頓・清掃・…」を言い続け、意識するだけでも、自然と安全風土が出来てくる。

3.安全は意識・行動の問題(当然のことだが…)
 ・安全管理は、人間の意識と行動にかかっている。頭で理解しても行動しなければ、安全管理の実現は不可能である。
 ・安全活動をするのも、安全意識を持つのも人間。怪我をしでかすのも、不安全な状態を作るのも、もとは人間だ。
  とどのつまりは、人間とはどのような(思考パターンをする)動物なのか、よく考えなければならない。
  今はそのことが真に問われている。原発事故は「人間の愚かさを神様から突き付けられた」ようなものである。
 ・安全管理は「決めたこと(決まっていること)を、普通に実行・行動」すればよいだけのことなのだが…。
  言葉では「言うは易し、行うは難し」ではある。そのためには「やるべきことを淡々とやる」だけである。

4.安全活動(安全状態を保つ)に正解はない。
 ・これは、同じ企業内であっても、各工場・各職場においては、作業内容や環境が異なり方法は多岐にわたる。
 ・安全活動は「楽しく・全員参加で・試行錯誤しながら」継続してやっていくこと。活動の仕方に正解はない。
 ・安全教本などに頼り切ってはならない。どんな活動がより効果的か、皆で話し合うことに意味がある。
 ・工場は全社員の「安心・安全な場」でなければならない。他人任せにせず、全員で創意工夫することが必要だ。
 ・社員全員が(安全化を)自分自身のこととして捉えて、認識を新たにし、まずは、行動をすることである。

5.安全巡視:いろんな方法で行う
 ・安全巡視にもいろいろある。マンネリ化しない様に、いろんなやり方の組み合わせをするとよい。
 ・日々の巡視は、朝夕の管理監督者などによる職場巡視だ。日々の職場の変化を良く把握し、改善すること。
 ・月例巡視(各職場の活動)は、朝礼後全員で職場(全域)をくまなく見て回る。毎月日を決めて行うとよい。
 ・月例S&H委員会による定期巡視:工場全域を巡視し、問題箇所の撮影(記録)と改善計画・改善確認を行う。
 ・TOPによる工場の適時巡視:適時工場内(問題のありそうな個所など)を巡視・指導・改善命令を下す。

6.工場の安全風土づくり
 ・安全管理で重要なことは、活動の維持・継続。その結果、自然と安全意識の高い「工場風土」が生まれる。
 ・企業(工場)風土と言うものは、普段からの「全社員一体となった活動(意識統一)」からしか生まれない。
 ・その他には「企業の安全理念・工場安全の目標・指標」の明示と周知徹底が当然必要なことである。
 ・企業には社是同様、工場には創業時の工場コンセプトがある。それが工場の安全風土となり後進に引き継がれる。
 ・安全活動の再確認(見直し)の意味からも、世の中の他社の(異業種などの)工場見学なども非常に有益である。

7.安全活動を風化させない
 ・何年もたつと、実際問題、創業時の熱意あふれる安全意識も変わり安全風土も色あせてくる。再度磨くことだ。
 ・災害多発工場は工場の安全思想が無い訳でなく、常に熱意をもった行動・活動がされていないからである。
 ・地道に継続してやるべきこと(安全活動)をやり、安全に関しての良好な工場を作り続けなければならない。
 ・年間計画に各種活動を盛り込み安全活動を活性化する。安全月間行事や年末・年初の特別イベントを行うなど。
 ・毎年同じやり方(ツール)では、マンネリ化するのが普通。適時工夫をしてやり方に変化を持たすのが良い。




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15.非定常作業の安全管理



1.非定常作業とは
 ・通常のライン作業など、毎日行われている「通常の日々の作業(定常作業)」ではない作業。
 ・非定常作業は、一般に、作業頻度はごく少ないので、日常の職場巡視ではチェックできないことが大半である。
 ・従って、職場巡視をもって(中心に)安全管理の柱としていると、見逃してしまう。
 ・安全管理活動においての大きな落とし穴は、往々にして「非定常作業の安全管理」がおろそかなことである。
 ・非常に頻度の少ない作業やトラブルや災害時の対処など「非定常作業の安全管理」は非常に重要である。

2.非定常作業の安全管理
 ・非定常作業:大きく分けて下記の2つがある
  1)突破的(いつ起こるか分からない)作業:機械の故障・トラブル・停電・災害時など。
  2)定期的(計画して行う)作業:定期点検・休暇(長期・短期)前後の設備の点検作業など。
 ・作業標準の作成と教育が必要
  非定常時の作業といえども、その職場において行われる作業は「予想される作業がほとんどである」
  いろいろな作業を想定しておき、それぞれの場合に応じた作業標準の作成と教育を行う必要がある。
 ・突発的(非定常)作業は緊急性が高い(慌てるのが普通)
  特に「機械トラブル・故障時・災害時」などの作業は緊急性があるため、人間は慌てるものである。
  やってはいけないこと(注意事項・禁止事項など)を職場に掲示、日頃からの教育の徹底が必要。
 ・何事も備えあって憂いなし。「突発的・予想外…」は、(災害発生の)言い訳には全くならない。

3.各種作業時の注意点(安全管理)
 1)突発的作業:非常停止時・非常時(コンベアに物が挟まって非常停止させた時など…)
  ・突発的な事象なので、どこでどんな状態が起きるか、事象はさまざまである。。
  ・作業者は、この場合「一切機械には手を出さず、即上司に報告」し「機械から離れる」こと。
  ・機械トラブルの処置(対応)は、その後の専門作業者(部署)にすべてを任せる。
  ・作業者心理で思わず(何とかしようと)機械に手を出してしまう事が多い。これが一番の問題。
  ・絶対に「手を出さない・機械に触らない」ように、常日頃からの教育の徹底が必要。
   (もちろん本質安全化が最善の策であることは言うまでもない)  
 2)突発的作業:故障・トラブル・異常時(コンベアの故障・トラブル・異常音発生時など)
  ・故障の修理:とにかく機械をまず止めることが先決。その後決められた方法(連絡・処置)に従う。
  ・トラブル時:作業者は機械には絶対に手を出さず、そのままにし、職場リーダーに連絡、指示に従う。
  ・異常(原因不明)時:作業者は即職場のリーダーに連絡。異常の状況を詳しく説明、指示に従う。
 3)定期的作業:定期検査・保全作業(コンベアの定期検査・給油、部品交換などの保全作業など)
  ・作業手順(チェックシート・手順書)に基づいておこなう。必要に応じて専門職・専門部署が行う。
  ・当該職場・専門部署いずれが行う場合も、内容に応じた手順書に基づいて(担当部署が)実施する。
  ・作業の記録:作業が終わったら、原因と処置(対策)を記録・データ化し、その後の活動に役立てる。
 4)休日・長期休暇前後
  ・終業時・週末:終業時や週末は設備周りの片づけや、清掃など付帯作業が行われるのが一般的。
   機械を完全にまず止めてから行う(掃除・片づけなど)仕方等、ルールをしっかり決めておく。
   仕事が終わって、ほっとした気の緩みなどもあり得るので、要注意の時間帯だ。
  ・週明け・長期休暇明け:機械は長期の休止状態から、いきなりフル運転(通常運転)は出来ない。
   必要な暖気運転で油を隅々まで行きわたらせる等の準備作業が、稼働(始動)前に必要だ…。
   仕事始めは長期休暇などの余韻があって、仕事に就く気持ち(緊張感)に欠けている。
   気持ちを仕事モードに切り替えるために、朝礼時の管理監督者による「安全訓示や注意」が必要。




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16.安全管理:目標は「ゼロ災」



1.安全管理:目標はゼロ災
 ・安全管理の目標は災害の根絶(ゼロ災:ゼロ災害)である。法令順守は当然(当たり前)のことである。
 ・「人命をいかに大切に思うか」の一言だ。したがってTOP方針(考え方)がここでは非常に重要である。
 ・TOPばかりでなく、安全スタッフも積極的でなければならないし、「無災害=ゼロ災」を目指すべき。
 ・目標が「災害件数低減」などというのは、言語道断。目標はあくまでも「ゼロ災」達成である。
 ・ゼロ災目標は「いうは易し、行うは難し」ではあるが(いわば意思目標であり)目標の妥協は許されない。

2.TOPの責務
 ・安全管理は「TOPの考え方」の影響が非常に大きい。TOPの「真剣な一言」で全てが変わる。
 ・安全衛生委員会は「TOPの重要な活動」の一つだ。そこでいう一言が社員全員の安全意識を高める。
 ・委員会でTOPは「事例等の話題を通して」安全の必要性を、常に信念を持って説かねばならない。
 ・委員会は重要な会議。必然的な理由なくして欠席などもってのほか。TOPは厳しく指導すること。
 ・災害発生の芽は職場巡視時に摘み取ること。経験に裏打ちされた心眼をもってする巡視はTOPの役目。

3.災害の真の原因究明
 ・安全活動では「各種法令順守・安全ツールの活用」は日々やって「当たり前の話」である。
 ・「当たり前のこと」は、「当たり前にやって」当然で、それ以上のことをやることだ。
 ・真にやるべきことは「当該職場の過去の災害発生状況の真の原因究明」である。
  (一般に真剣にやられていないことが多い。しつこく行うことである)
 ・過去の災害がなぜ発生したのか。「なぜ・なぜ…」を5回繰り返すと、自ずと真の原因が見えてくる。
 ・職場の危険(不安全状態)には、それぞれ異なる事情があり、そこを突き止めなければ、又災害が発生する。
 ・災害の再発が防止できなくては「災害の根絶(ゼロ災)」は絶対にできない。無理である。

4.安全ツールの使い方
 ・安全活動ツールは、職種や仕事内容によって異なる。一番効果的な「安全活動の柱となるツール」を決める。
 ・通常のツールは一般的なものとして考えた方がよい。その「事業場独自のツール」を作り出すことだ。
 ・安全活動に「教科書」などない。安全活動ツールも自分たちでつくりだすこと。事業場独自のツールが必要だ。
 ・ベストなツールなどない。いろいろ考えて(思想の改革も必要)考え抜くこと。皆で考えることが必要。
 ・頼って良いのは「事実」だけだ。災害発生の事実と真の原因だ。それが分かればやることも必然的に決まる。




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17-1.工場の安全巡視(関係法令等 留意点)



1.労働安全衛生法
 ・工場巡視では最低限「労働安全衛生法・他」等、法に基づくチェックが最低限のやるべきこととなる。
 ・労働者の安全環境の確保として、機械・職場・通路など工場内・工場敷地内全域にわたる巡視が必要。
 ・通勤経路も労災の範疇であるり、通勤途上の交通事故防止も、安全管理活動に含めなければならない。
 ・すなわち「工場の安全管理」は「機械設備や職場だけなのね…」と考えているだけでは大間違いである。
 ・労働者の安全に関わること全てを網羅して「安全巡視」をしなければ真の工場の安全巡視とは言えない。

2.安全に関わる諸官庁の法律(安衛法以外)
 ・工場の安全管理に関わる安全関係を規制している「法令・諸官庁」は意外と多岐にわたる。
  安全管理は、関係諸官庁が「労基署・消防署・警察署・国交省・経産省…」など結構多く労基署だけではない。
 ・従って、安衛法以外の法律の目も持って「安全巡視する」必要がある。
  「消火器の期限切れや不適切な置き方や表示」や「火災時の避難通路の確保」などの確認も当然巡視対象だ。
  安衛法対象外だから関係ない、と見過ごすのはもってのほかだ。
 ・当然安全に関わるすべての法令順守の観点から、しっかりした「全方位の安全巡視」を行う必要がある。
  安全巡視は「作業者の安全確保(不安全状態をなくすこと)」が目的だから。そんなことは当然のである。
 ・そんな訳で安全巡視対象は「設備・防災・防火・避難通路・工場構内道路」など、広範囲が対象となる。
  その点を留意すし、漏れがないように(チェックシートを事前準備して)巡視する必要がある。
  工場の安全巡視(安全化の対象チェック)とは、そういうことなのである。

3.安全関連諸官庁:工場の安全管理にかかわる諸官庁と主な内容
 ・労働基準監督署(労働安全衛生法):
  工場の安全衛生管理(労働者の安全・健康の確保・安全衛生的職場環境)・災害の未然防止対策
  ・健康管理・適正職場配置・過労対策・適正労働時間管理…など。
 ・消防署(消防法):
  危険物取保管・管理・防火管理・自衛消防隊組織・防火管理・消防設備・消化器点検・誘導誘導訓練
  消防隊新入窓前の空間・消火栓前の空間確保・消火訓練…など。
 ・警察署(道路交通法):
  工場所有の自動車の安全運転管理・社員通勤時の安全運転管理・交通事故防止活動・安全運転講習
  車通勤社員の自主安全運転活動(組織結成と規則作成)・防犯対策・入出門管理…など。
 ・国交省(建築基準法):
  建物の安全性(耐震・耐火)・作業環境(気積・採光・換気設備)・通路,階段・避難経路…など。
 ・経産省(電気事業法):
  電気設備の安全:自主保安体制・高圧受変電設備・自家発電設備・電気主任技術者の選任…など。

4.安全巡視の範囲は広い
 ・ことほど左様に、安全化(巡視)の対象は様々な範囲に及ぶ。
  従って、職場巡視においては、巡視のポイント(対象事項)を予め決めておかなければ、十分な巡視は出来ない。
 ・不安全状態(危険)も、見えるものと見えないもの、時々危険になるものや、天災時の対策不備、など様々だ。
 ・工場巡視は、現場が広い場合メンバーが手分けして巡視するので、チェック員による偏りが出る。
 ・主に通路や設備エリアの5Sが中心になるので、全ての「不安全状態のチェック」にはならない。
 ・この点(チェック不足)は、日常の問題点の顕在化活動(ヒヤリハット)などで補うことが必要。
 ・消化器一つとっても「使用期限・管理担当明記・置き場所」等あり巡視時に確認することが必要になる。

5.工場巡視の留意点
 ・腕章を巻いての巡視はややもすると「イベント的活動」になりがち。チェック活動であることを強く意識すること。
 ・安衛法だけをよりどころとしての巡視では不十分だ。安衛法は最低限の災害防止の法律で万能ではない。
  その工場なりの「ルールを別途決めて」、巡回時にチェックすることが必要。
  全ての業種や職場において「安衛法」を守っていればそれでOKでなんてことはありえない。
  安全は必死に考えて(巡視・チェックし)地道な活動で勝ち取るもので、作り出すものである。
 ・作業手順や機械の設計・操作・保守、通路の基準、歩行ルート、通路状態の管理、などなど。
  とにかく「安全確保のための」細かすぎるぐらいの「標準を決め」、そして「それを守る」事に尽きる。
 ・活動の手を抜いたら、そこで終わりだ。そのぐらいの危機感を持って継続していかねばならない。
  工場職場巡視は、ただ漫然と実施しても意味が無い。
 ・メンバー全員で巡視場所や役割(チェックのポイント)分担して行うことが必要であり効果的だ。




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17-2.工場の安全巡視(チェック項目事例)



1.通路の安全
 ・通路表面:溝・段差・滑り・つまずき・引っ掛かり・水濡れ・油濡れ・ほこり・ゴミの有無
 ・通路経路:避難時の安全確保・停電時の照明・見通しの良さ(出来るだけ直線)・通路区分表示・など
 ・通路上の物:設置不許可物・不要物等の有無。保管許可物の「許可承認・設置責任者」の表示・など
 ・動力車と共用通路の場合:通路区分の表示・横断歩道表示・動力車や歩行者への適切な注意表示・など

2.階段の安全
 ・通行の安全:床材の破損・亀裂。剥がれやの有無。安全な階段歩行が可能な照度の確保。
 ・歩行面等:通路と同様の安全面の確認。「踏み代」と「蹴上げ」の適正状況確認。
 ・踊り場など:不要物・無許可の物が置かれていないかチェック(以外に見落とされている…)

3.機械・作業エリア
 ・避難時の安全性確保:避難経路は(袋小路ではなく)2ヵ所以上のこと。
 ・機械間通路:安全法令(80cm以上)を確保しているか。
 ・機械エリアの区分表示:一般他部門(関係者以外)立ち入り禁止など(必要な)表示の有無。
 ・機械の安全対策:安全カバー・安全柵(扉の施錠・扉用安全プラグ)・地震対策・床面の安全
 ・5S(整理・整頓・清掃…)は、しっかり実施されているか…。(工場全体に言えること…)

4.作業・作業環境・エルゴノミクス(人間工学的見地)
 ・作業方法:適正ルールに従って安全作業をしているか。
 ・保護具使用:安全帽・安全靴・保護手袋・保護眼鏡・遮光保護具・呼吸保護具・安全帯・耳栓など…。
 ・切削機械作業:手袋禁止(巻き込まれの原因)・保護眼鏡等必要な保護具の着用状況のチェック。
 ・適正な作業環境:粉塵防止・局所排気設備・換気扇・採光(照度)・騒音・温度室度管理など…。
 ・エルゴノミクス:3K作業の有無・やりにくい作業や負荷オーバーな作業の有無状況

5.建物・消火設備・防火扉
 ・消火器:消火器設置場所の表示・有効期限・管理責任者明記の状況
 ・防火扉:開閉可能状態。扉周辺の安全状況確認
 ・消防士突入窓(▽印):窓近辺の室内に適正な(突入に必要な)空間が確保されているか。
 ・消火栓前:不要なものが置かれていないか。消火時に支障なく扉の開閉消火活動が可能かなど…。
 ・非常時(地震・火災):避難経路の確保と表示。非常持ち出し書類などの管理保管状況など…。
 ・避難・誘導:防火管理体制の整備状況。避難用具保管管理・救助用担架の保管管理状況など…。
 ・建物の状況:床,柱,壁,等に(危険な)ひび割れや亀裂などはないか,など…。

6.巡視の留意点
 ・機械や建物の後ろ側・倉庫など:要注意箇所である。監視の目が行き届かず、ゴミの山かも…。
 ・非定常作業:巡回時には見れないので,別途聞き込み等の確認。(頻度の低い定常作業も同様)
 ・巡視の連絡:事前連絡すると,平常時の(正確な)チェックが出来ない。抜き打ち巡視も効果あり。
 ・工場が広く全人での巡視が困難な場合は、グループで分担巡視するなど工夫して工場全域を巡視。
 ・高熱,高電圧など危険な(目に見えない)状態は分からないので、検査機使用や聞き込み調査による。
 ・マンネリ化,形骸化防止:適時「重点チェック項目や巡視ルート」を変えるなど,工夫をすること。




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18.通路の安全管理(工場棟内・工場構内)



〔Ⅰ〕工場棟内通路

1.通路の安全化

 1)通路と作業エリア:区分の明確化
  ・通路の区分を明確化が安全管理の第一歩。隣接エリアと通路をはっきり区分(ラインなどで表示)すること。
  ・通路はできる限り「直線・直角・並行」にし、見通しの良い状態にすること。安全面の監視が容易になる。
  ・避難時の安全性から袋小路状態はNGである。レイアウト上避けられない場合は、その旨の注意表示をすること。
  ・コーナー部は面取りをする。人はコーナーはショートカットして歩く習性がある。安全のため適切な面取りをする。 
  ・通路に接する作業エリア(機械作業区域)は、一般の通行者には分からない危険が潜んでいる。適切な注意表示が必要。
   「関係者以外立ち入り禁止」などの注意表示が、当該職場の安全(危険)状態に応じて必要である。
  ・各種プラントや大型機械設備においては通路区分表示のみでは安全確保は不十分。必要い応じて通路用安全柵を設置。
   機械装置に直接(手指や身体が)接触の可能性がある場合、安全確保の観点から必要な安全柵を設置すること。

 2)安全な路面
  ・安全な路面:平坦(段差・凹凸がない)で「滑り・つまずき」がなく「ゴミや落下物」無きこと。
  ・通路は通常下を向いて確認しながら歩くものではない。普通に前方の実を見て歩ける「歩行の安全性」が求められる。
   日々の通行時には「段差・ひび割れ・へこみ・穴」等のチェックを怠らず、常に安全状態を維持・管理すること。
  ・食品工場など(水使用で)滑りやすい作業の場合、滑り止め対策や、滑りにくい作業靴着用等の対策が必要。
   路面や靴の安全化対策と共に、各種注意表示(水濡れ・滑りやすい、要注意!!)等も必要に応じて掲示のこと。

 3)通路条件(幅・高さ・照明)
  ・通路幅:機械間通路、メンテ通路、一般通路など、歩行に安全な通路幅を確保すること。
  ・通路高さ:安全な高さ空間を確保し、頭上部に対しての安全性を確保すること。
  ・照明(作業場・通路・階段・他):各作業場所等に応じた、適切・必要な照度を確保すること。
  ・法令遵守:通路幅・高さ・照明共に、法令遵守は当然のこと(法令は最低の基準値)である。
        工場の状況に応じた余裕ある(基準以上の)状態にすることが望ましい。

 4)通路に物は置かない(一時保管・消化器・資材・等)
  ・通路は安全化の基本:「5S」を守ることで、「不安全状態が顕在化し」容易に安全化を図ることが出来る。
  ・通路には物を置かない。設備作業域に対しては、安全柵やラインで明確に区分を行う。 
  ・消化器の設置と表示:法令に従い、適切な配置・表示を行うこと。(通路にはみ出さないこと)
  ・消火栓の周囲は適切な広さの作業エリアが確保されていること。扉の開閉と作業に支障があってはならない。
  ・通路上に資材など一時保管しない。一時的に置く場合は緊急時に限る。最小限の通路幅を確保し、注意表示する。


2.各種通路の留意点

 1)メイン通路:
  ・多くの人が通行するメイン通路は歩行者数に応じた余裕のある幅にすることが必要。
  ・社外の工場見学者の案内に使用する場合は、見学時の注意点を十分説明し、通行の安全確保に努める。
  ・通路がフォークリフト等荷役動力車と共用の場合、明確なラインで区分し安全で余裕のある通路幅を確保する。
  ・通路エリアに隣接の動力車路がる場合、横断用の通路は、適切な(一般道同様の)路面表示を行うこと。
   横断場所には「左右確認!!」等の注意表示を掲示すること。
   動力車の運転は常に全方位の安全確認での注意運転が重要。荷積み高さ制限順守(安全走行・前方視野確保)

 2)機械間通路:80cm以上を確保(法令上)
  ・機械の種類や作業場の状況に応じて、安全な距離が確保できる(可能なら法令基準以上の)通路幅にする。
  ・必要に応じて「当該機械区分エリアへの関係者以外の立ち入り禁止」表示を掲示する。

 3)メンテナンス通路(機械周囲のメンテ上必要な通路・スペース)
  ・メンテナンス作業などを行う通路においては、作業者が安全に作業できる通路幅を確保すること。
  ・制御盤や操作盤などの前は「扉の開け閉めや作業に必要な通路幅(スペース)」を確保すること。
  ・必要に応じて「関係者以外立ち入り禁止」表示を掲示する。

 4)避難時の安全確保:
  ・機械作業エリア内通路は袋小路にならないように、2方向への避難が可能な通路レイアウトとする。

 5)階段
  ・階段(特に踊り場)は物置き場ではない。一般に避難経路でもある事の多い階段は絶対に物置き禁止だ。
  ・適切な照度の照明が必要。省エネ対策で「通行時だけ点灯」というケースがあるが、階段はその状態は危険だ。


〔Ⅱ〕構内通路(工場敷地)

 1.構内全体の安全管理(通路・自動車路・動力車路・資材置き場・他)
  ・工場構内は多くの工場内外関係者が出入りするところ。通路の安全を含めて確実な安全管理状態の確保が必要。
  ・基本は「物の置き場・通行路区分」などの区分表示をしっかり実施し、順守すること。
   構内は、社内・外部の納入業者・お客様など多様な人の出入りの混在する場所。安全には十分な配慮が必要。
  ・歩行者通路・自動車通行路・資材等物の置き場・各種規制表示など、適切な区分・表示が必要である。
   構内エリアに区分表示がなく、無秩序状態は厳禁だ。構内にも安全化の目が行き届いていなければならない。
  ・構内全域に「管理責任区分」を明確にしておくことが必要。区分責任がないといい加減な(無責任)管理となる。
   特に工場棟内でも工場構内においても「共通エリア(多くの部署が共通使用)」はその点、要注意である。
  ・構内の「物の置き方・歩行路・自動車走行路・等々」全てが安全な管理状態でなければならない。
  ・工場棟から構内にかけては、災害時の避難経路・一時避難場所など、安全管理面での決めごとは多岐にわたる。
   非常時の工場棟出口からの避難通路(経路)・集合場所についても平常時からしっかり決めておかねばならない。

 2.構内通路の安全性の確保
  ・構内通路の安全性確保:通路区分を(車道と隣接部分など)明確に表示(白線ラインなどで)すること。
  ・安全な通路幅の確保、横断歩道の表示(立ち止まれ・左右確認…など)の設置、等安全化の徹底実施が重要。
  ・構内通行車両に対しての各種規制表示(速度制限・一時停止など)や走行路(一方通行など)表示設置の徹底。




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19.通広い視野を持って活動(目的を見失わず)



1.ツールに振り回されない事
 ・何事も(安全のツールなど)やりすぎは良くない。周りが見えなくなる。
 ・安全のツールにこだわり、やりすぎると(時として)データの山になり、事務作業が目的になるばかり。
 ・安全管理の趣旨・目的を(常に考えながら)見失わないこと。
 ・安全ツールは使い方次第で効果を発揮する。
 ・ツールは活動の一つの手段。目的化しないことだ。

2.前提条件:人間はミスをおかす動物である
 ・人間はミス(行動や判断)をおかす動物である。このことを「確固とした前提条件」として活動のこと。
 ・人間の判断や行動は当てにならない。時として考えられない行動や思考をする。あとで反省するがもう遅い。
 ・感情が理論を遮ることもある。そんな変な動物が人間だ。なにせ高度な頭脳を持ってしまったから仕方がない。
 ・人間は、複数の条件(考えること)が重なると、正確な(というか)判断が出来なくなる(頭真っ白状態)
 ・信頼性が高いのはメカだけだ:蒸気機関車は何十年も走り続ける。メンテさえすれば壊れたためしがない。
 ・今の科学でまだよくわかっていないのが(指示命令するご当人の)人間なのである。人間はそんな動物である。

3.井の中の蛙にならず(同業者・異業種交流・など)
 ・同じ会社内だけで活動していては、空気がよどむ。「新鮮な知識や情報」が入ってこない。
 ・たまには優良他社工場の見学をするとよい。同業者でも異業種でもよい。勉強になることが山ほどある。
 ・同業他社とは「情報交・勉強会・など:連携組織(安全会など)があるとよい。
 ・異業種へは:工場見学会が効果がある。又く違う仕事における「安全管理の厳しさなど」勉強になる点が多々ある。
 ・見学でも何でも構わない。他社の良いところ・見習うべきところを参考に、目から鱗状態になるとよい。
 ・見学はTOP・スタッフとと共に、一般委員レベルの参加も効果がある。TOPが気付かないことも気がつく。

4.講習会・勉強会
 ・スタッフは適時、外部の「講習会・勉強会」に積極的に参加し勉強・研鑽に励むこと。
 ・受講内容は「報告書など」を通じて、他のスタッフ・関係者に報告、受講内容を有効活用・実践に生かす。
 ・世の中の災害事例から学ぶ:各種災害事例の勉強会を安全委員会や職場内で実施。世の中の事例から大いに学ぶ。
  写真や動画などを最近のIT機器を有効に使うと良い。
 ・安衛法令・各種ツール:これらについても同様。OJT・OFFJTなどいろいろ工夫して行う。




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20.災害防止の答えは過去にある



1.災害防止の答えは過去にある
 ・災害抑止の答えは「過去の災害事例の原因」ある。
 ・過去の事例は災害防止の教訓の山だ。いろいろなことを教えてくれる。
 ・又過去に被災した作業員たちの苦しみ(無念)を無にしてはならない。
 ・過去は消しゴムで消せない、又消してはならない。しっかりと保存しておくべきことである。
 ・人間は(すべてにおいて)過去から学ぶものなのである。過去からしか学べないのも事実。 

2.安全計画は前年の反省から
 ・「年間計画」はまずは「前年度の反省点」から始まる。結果につながる計画立案のために…。
 ・PDCAを回すこと。すなわち「反省無くして計画作れず」と言うことで、言わずもがなである。
 ・昨年の活動の反省(予実績の検証)をし、初めてそこから新年度のやるべき課題が明確になってくる。
 ・「計画書という形を整える」ことにのみ専念していては、しっかりした活動などできるはずがない。

3.形・形式(組織・書類)より行動
 ・活動は「人を管理すこと」が目的。目的を見失わないこと。
 ・立派な安全管理組織・活動計画・各種書類の山があっても、活用しなければただのゴミ。
 ・「書類は立派だが、災害は多い」のが、災害多発事業場での良くある話。紙は見るが現場は見ない。
  これでは、いかんともしがたきかな。実際の現状の把握すらできていない事多し。
 ・目的は形式ではなく、結果。形だけの(形式に執着し、実態が伴わない)活動は、活動とは言わない。
 ・結果が伴わない活動は、そもそも「実態の無い形式的な計画」にある。
 ・報告書の検印は少なく:多いと無責任体制になり時間の無駄。それだけ対策に時間が掛かり危険放置状態だ。

4.TOPの姿勢(熱意)
 ・計画達成はTOPの強い姿勢・熱意にかかっている
 ・TOPが強烈な指導力を発揮して、初めて「ゼロ災」達成が出来る。活動を軽視(形骸化)してはならない。
 ・TOPが忙しいなら誰でもよい。例えば、安全管理者がTOPの代わりをやれば、それも適任かも…。
 ・TOPと同じ思いでスタッフも行動する。決めたら行動あるのみ。理屈はいらない。あとから解析すればよい。
 ・人間は大半は「指示がないと動かない」のが実情だ。正しい指示・命令があれば、生き生きと行動する。




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21.災害に想定外はない(安全管理不備の問題)



1.災害の殆どは「その事業場(工場)での過去の災害の再発」が大半である。
 ・過去の災害発生時に、真の原因を究明・明確にし(安全管理上の問題点)再発防止策を実施していればよかったのである。
  原因究明で止まり、再発防止策不実施(不徹底)、安全標準化・しくみの改善・徹底がなされなかった結果である。
 ・災害が発生すると「やっぱり起きたか」となる
  「予想外の出来事(災害)」だとか、「想像もできなかったこと」などありえない。
 ・予想・想定するのが安全スタッフや管理監督者の仕事。それが出来なければ安全管理はできない。

2.全ての災害は何らかの予兆がある。
 ・通常「何らかの予兆(ヒヤリ・ハット)」があって、しかしそのままにしていた結果の災害である。
  災害発生前に、ヒリハットやその他の危うい何らかの予兆(事象)が必ずあったはずである。
  そのことを分かっていながら、あるいは、原因追求の甘さから、分からずにそのままにしていた結果である。
 ・機械が見たこともない初めての機械であったとしても、本質安全化がなされていれば、災害は起きない。
  作業者(人間)の問題にすり替えてはならない。もともと、人の注意に依存することは不可能だ(限界がある)から…。
  本質安全化(フールプル化+フェールセーフ化+防護)がやはり安全確保の原点(基本)であることは言うまでもない。
  作業が初めての作業であっても、作業者が新人(作業が初めて)であっても同様である。

3.危険な状態を顕在化する:しっかりした仕組みを機能させること
 ・社員の誰かが危ないと感じていること(危険な事象)を報告する仕組みや職場の安全意識の欠如なども原因としてある。
 ・「ヒリ・ハット」や「失敗・ミス」の報告を、奨励する(貴重な報告と受け止め、褒める)社内風土が必要だ。
 ・社員全員の「安全意識」があれば、災害発生前に誰かが(危険を予知し)不安全状態や不安全行動を顕在化できたはず。
 ・「何かがおかしい」を言うレベルで上司に報告する仕組みや風土がないと、危険な状態の顕在化はできない。

4.「たまたま運が悪く」や「ついうっかり」などはもってのほか
 ・災害は起きるべくして起きるのであって、決してたまたまではない。
 ・作業者の不注意(ついうっかり)であっても、決してし作業者を被災させてなならない。
  そのためにやるべきことは「本質安全化」である。
 ・災害を起こしたら、管理監督者の責任である。このことが企業における認識において重要であり当然の事柄である。
 ・従って「本質安全化」がいかに重要か、と言うことになる。

5.想定外を想定内に取り込む(本質安全化の活動が答えをだしてくれる)
 ・それには、普段からの職場巡回や作業者の作業の現実(仕事の状態)に安全監視の目を向けることである。
 ・想定外と見過ごすのは、巡視や現場の安全チェック時に「不安全状態」を見抜く目が無い証拠である。
 ・管理監督者は常日頃から「各作業者の作業・作業環境」に問題がないか見つける目を養うことである。
 ・災害がいったん起きたら「全ての管理責任は管理監督者とTOPにある」と言うことを肝に銘じなければならない。
 ・本質安全化の重要性を認識し、実行すべきことを常日頃から考え、継続して行動することが安全管理なのである。




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22.安全ツール活用の留意点(ツールは手段)



1.適切なツールの活用
 ・安全活動のツールはいろいろあり、適切なツールの活用が肝要。
 ・ツールは手段の一つである。目的化しないこと。
  必要なのは現在起きている事実・問題点等の把握
  法令順守は(やって)当たり前…。当然のこととして「地道に確実に行う」のみ
  全ての事実(災害や問題点)を見据えた活動が大切
 ・各種ツールは目的と趣旨をしっかり認識し、ポイントをつかんで重点思考で行う
  やりすぎで書類の山になり結果が有効活用されず「災害防止活動の効果なし」とならないように…。
  趣旨を理解しないで「ツールに頼れば災害が無くなる」という根拠の無い思考パターンに陥らないこと。
  過ぎたるは及ばざるがごとし。やりすぎると何をやっているのか分からなくなる。無駄な書類の山になる。

2.ツールは手段の一つ
 ・ツール活用の目的は無災害
  ツールはあくまでも目的達成の手段。適度な(適切な)活動で、より大きな効果を生むやりかたがベター。
  それぞれの職種・事業場で「工夫したツールを考えて活用する」のもベターなやり方で、良い結果も期待できる。
 ・マンネリ化を防ぐには
  時には、マンネリ化を防ぐ目的で、従来のツールと違うものを活用するのも活性化の一つのやり方でもある。
  目新しいものは、誰でもそれを活用するのは(安全活動といえども)楽しく活性化する。
  安全管理活動も、ただ決められた手法のみで(いつも変わらず)やっていればいいというものではない。
  人間がかかわっている組織活動では、常に「改革・進化・高い目標・熱意」が求められる。
 ・各種ツールの活用:下記いろいろあり、各ツールの特質を理解して適切な活用が求められる
  KYT(危険・予知・訓練)・ヒリハット提案・TBM(ツール・ボックス・ミーティング)・指差呼称
  安全朝礼・安全夕礼・安全標語(啓蒙)運動・職場の安全評価(職場間競争)・各種提案表彰制度…・など

3.ツール活用の留意点
 ・その時々の現状(災害発生状況)に応じた有効な活動ツールを利用
 ・ツールは手段。目的は「災害の撲滅」。ツールが目的となってしまわないこと。
 ・「各種提案制度」なども、ツール(提案制度)が目的にならないようにしなければならない。
  全社を挙げて提案活動を活発に行うのは良いが、提案件数を競うあまり提案書の山となってはならない。
  事務局はその(多くの提案の)処理に明け暮れ、重要な提案は埋もれ、何か月もの間手つかず状態に…。
  過ぎたるは及ばざるがごとしで、やりすぎは良くない。重要な内容が軽微な提案の山に埋もれてしまう。
 ・ツールやその他、安全諸活動は、災害撲滅が目的
  せっかくの提案が「紙の山状態のまま」になってはいけない。
  本来の趣旨を見失わないよう、基本に立ち戻って、活動を見直すことが(常日頃から)必要である。

4.災害の原因究明:これだけは一定の形(プロセス)に従って行う
 ・災害発生時にやらなければならないことは、ただ一つ「事実(真の原因)の究明」である。
 ・災害の大半は「再発」である。原因究明無くして「災害を無くすこと」はできない。
 ・「なぜ、なぜ」を5回繰り返せば真の原因が見えてくるはず。災害発生の事実調査をしつこくやること。
 ・災害発生時は「適切な再発防止の暫定処置」と同時に「災害原因の究明」を即時にスタートさせる。



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23.H22「災害の現況」と考察
(参考出所「H22年度厚労省統計HP」



〔Ⅰ〕労働災害発生状況 
1.災害の現況(死傷・死亡・重大災害)
 1)死傷災害発生状況(死亡災害及び休業4日以上の死傷災害)
   (1位)製造業:21.4% (2位)建設業:19.9% (3位)陸上貨物/運送事業:12.1%

 2)死亡災害発生状況
   (1位)建設業:30.5% (2位)製造業:17.7% (3位)陸上貨物運送業:12.9%

 3)重大災害発生状況(一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害事故)
   (1位)建設業:87件  (2位)製造業:49件  (3位)陸上貨物運送業:12件

2.業種・事故の型別死亡災害発生状況
 1)全産業(1195人)
   (1位)墜落・転落:311人    (2位)交通事故:290人  (3位)はさまれ巻き込まれ:171人

 2)製造業(211人)
   (1位)はさまれ巻き込まれ:68人 (2位)墜落・転落:40人 (3位)交通事故 :18人

 3)建設業(365人)
   (1位)墜落・転落:159人    (2位)交通事故 :40人 (3位)はさまれ巻き込まれ:39人

 4)陸上貨物運送事業(154人)
   (1位)交通事故88人       (2位)墜落・転落:12人 (2位)はさまれ巻き込まれ:12人


〔Ⅱ〕H22年度災害現況に対する所感
1.災害状況
 (1)全般
   ・過去10年ほど前から全体的に減少傾向にあるものの、各状況(業種・事故の型)は相変わらずの感。
   ・災害は「減少すればよい」というものではなく、災害の目標は「無災害の達成」である。
 (2)死傷災害
   ・製造業・建設業の合計で50.3%と、死傷災害の大半を占めている。
   ・製造業が建設業同様、全体の約2割を占めているのは問題である。
 (3)死傷災害・死亡災害・重大災害
   ・上位(1~3位)の業種は、共に「製造業・建設業・陸上貨物運送業」である。
   ・ゼロ災で一番有効な手段である「再発防止活動」が機能していないのではなかろうか。再考を促したい。
 (4)死亡災害(全産業)の上位(1~3位)の事故の型
   ・上位は相変わらず「墜落・転落/はさまれ巻き込まれ/交通事故」である。
   ・毎回原因(事故の型)は変わっていない。根本的な対策が効果を上げていない結果であると言えよう。

2.全体の所感
 (1)災害の現況
   ・現状では災害は減少傾向はあるが、頭打ちではあり、とにかく抜本的な改革が必要と考える。
   ・安全管理活動が、世の中どこでも「マンネリ化している」ことは否めない感がする。これが問題だ。

 (2)無災害達成には
   ・業種・業界の横断的な協力活動が有効ではなかろうか。
   ・災害情報の共有により、共通の対策があれば情報共有が有効な対策手段だ。
   ・安全管理組織と現場の管理監督の両輪が常に有効に機能していなければ無災害は程遠い。
   ・TOPの人を思う気持ちと熱意、これに尽きる…。従って全てはTOPの資質にかかっている。




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24.工場は「5S」が基本



1.基本は5S
 ・5S:整理・整頓・清掃・清潔・躾
 ・工場の安全は「5S活動」で見違えるように変革する。
 ・工場はみな「5S」が全くできていない。
 ・優良工場は、やはり「5S」がしっかりやられている。
 ・不思議なことだが、現実はそうだ。関係がある。

2.見た目の気持ちが心構えを変える
 ・「5S」がなされると、工場内は見違えるように「綺麗で爽やか」な感じになる。
 ・仕事をやるにも「気持ちよく作業することができる環境」がそこにはある。
 ・やってみると分かるが「5S」をバカにしてはいけない。
 ・意外に簡単なことに見えるが、やるとなかなか…、でも効果抜群だ。

3.5Sを進める一言:
 ・「直置き禁止、直角並行」など、単純明快な一言を決めるて行うのも,分かりやすく,実効性があってよい。
 ・5Sツール(チェックシートで細かに…)もよいが、頭に叩き込んで巡視できなくては困る。
 ・工場も事務所も現場もすべて「5S」が役に立つ。

4.5Sで生産性も向上
 ・工具箱・部品置き場・きれいなでゴミの無い通路→作業場
 ・工具や部品が整理され、部品や製品の組み立てミスを防止。
 ・作業性も良くなり生産性(品質・作業性・作業効率)が向上する。

5.5Sは工場の玄関(入門)から始まる
 ・工場の作業場が整理整頓されていればいい訳ではない。
 ・当然のことながら工場全体が5Sの対象である
 ・工場の門をはいったところから5Sははじまる
 ・社員の出勤(仕事)は入門から既に始まっている。
 ・工場玄関(門扉)は工場の顔である。

6.初めは「2S」からでも良い
 ・初めは2S(整理・整頓)からでもよい。とにかくスタートをきってやることだ。
 ・次第にレベルを上げて工場の良き風土としていく。2S→3S……5S。
 ・やり方はいろいろある。試行錯誤や工夫もいろいろしてみるとよい。
 ・「掃除」なども嫌なものだ。でもやってみると「気持ちすっきり,仕事もしっかり」になる。
 ・「仕事は何でも」全ては「しっかり継続して行う」ことから始まる。
 ・「5S」も精神修養(修行の一つ)と思えばよい。結果は後からついてくる。
 ・全員参加で(皆で)楽しくやることだ。グループのコミュニケーションも図れる。


   


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25.安全管理10訓(安全哲学・心得)



1.安全哲学
 ・安全管理において一番大切なことは,安全哲学をもっているか…,である。
 ・TOP(事業者・管理監督者)は安全哲学をもつこと。
 ・TOPの言動の重みは大きい。責務も大であるとともに,大きな権限も有している。
 ・多岐にわたる経験に裏打ちされた確固とした哲学(信念)をもって,何事にも処することが必要。
 ・工場はTOPの安全哲学(信念)・姿勢によって,大きく変革・進化する。
 ・社員はTOPの背中を(良くも,悪くも)見ている…。

2.日々現場の動きを知り,予測する
 ・現場は日々動いて(変化して)いる。
 ・可能な限り「変化の先取り(先を読む)」をし,予測しなければならない。
 ・不安全状態も不安全行動も日々変化している。
 ・見る目を(日々の変化に合わせて)養い、日々自己研鑽する。
 ・日々現場から学び、現場にお返し(指摘やアドバイス)する。

3.災害報告は再発防止にある
 ・単なる報告書ではダメ。原因をとことん追求し、真の再発防止につながる原因(間接原因)を突き止める。
 ・再発防止報告は、安全管理においては、命令書(指示書)となる。おろそかにしてはならない。
 ・真の原因追求の記載の無い報告書は「災害報告書」ではない。
 ・原因記載に「ついうっかりした」など(直接原因記載)もってのほかである。
 ・このような報告書を見過ごしてはならない。

4.書類は内容簡潔・即決即断
 ・検印が多い報告書は責任の不在。誰も責任を取らない役に立たない報告書となる。
 ・検印は、安全管理者とTOPだけでよい。特に安全管理者は内容のチェックに責任を持つこと。
 ・言い訳の多い書類(報告書)ほど、紙面(頁数)が多い。
 ・内容の整った正しい報告書は「A4:1枚」の書面で事足りる。(添付・補足資料は別…)

5.基本は「5S」
 ・工場,工事現場,事務所,どこであろうと,基本は「5S」で事足りる。
 ・「5S」無くして、安全管理なし、とまで言える。
 ・安全管理においては「5S」は全ての基本であり、活動の修練・修業と考えてもいい。
 ・全ては「5S」から始まる。「5S」が出来なくて「安全」を語る資格なし。

6.安全教育:事例が一番
 ・教育は分かりやすくなくてはならない。座学でやってもすぐ忘れる。
 ・五感を総動員して学んだことは体が覚えてくれる。
 ・従って、事例(絵・ビデオ・現場でやって見せる・など)での教育が一番。
 ・ここでの事例とは「実際のあった災害事例(自社・他社)」を用いての教育のことである。

7.安全は入門から出門まで
 ・安全は工場内の機械などの作業現場だけと勘違いしてはならない。
 ・安全は「工場の門を入ってから門を出るまで」である。
 ・工場内は、車道・は歩道(通路)・物の置き場などが整然と明確になっていなければならない。
 ・工場内敷地全体を「安全管理」しなければ、やったことにならない。

8.災害調査は「なぜ・なぜ…」5回
 ・災害報告の原因に「ついうっかり…、気をつけなかった」などの記載を目にすることがあるが,これではだめである。
 ・人間は「うっかりするのは当たり前…」。直接原因ではあっても真の原因(間接原因)ではない。
 ・真の原因をつかむには「なぜ災害が起きたのか?」という問いかけを何回も(5回ぐらい)すること。
 ・「なぜ,なぜ…」を5回(真の原因にたどりつくまで何回もという意味)行うこと。
 ・真の原因(根本原因)すなわち間接原因にたどりつくまで、原因追求をやめてはならない。

9.被災者を責めてはならない
 ・被災者は災害の被害者であることを忘れてはならない。
 ・災害当事者の被災者を責めてはならない。
 ・被災者には聞く(いきさつの事実を教えてもらう)態度が大切。
 ・そのことなくして、真の原因追求(再発防止)はできない。
 ・少なくとも、管理不十分で、怪我をさせてしまったのだから…。

10.災害は「起こしてしまった」のである
 ・災害の責任は、全てTOP(事業者:管理監督者)にあると考えなければならない。
 ・たとえ「作業者の完全なミス」であっても…,なのである。
 ・作業者を思う(絶対に怪我をさせない)強い気持ちがなければならない。
 ・TOPには業務上の命令権があると同時に,その結果(災害)にも全て責任がふりかかってくる。
 ・従って,安全哲学を持つことがいかに大切か,ということになる。


   


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26.労働安全衛生法(総則・管理体制:抜粋)



〔Ⅰ〕総則
1.目的(第1条)
 『この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び
 自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における
 労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。』

2.事業者の責務(第3条)
(1)事業者は労働災害防止の最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて
   労働者の健康を確保し、国が実施する労働災害防止施策に協力しなければならない。
(2)機械等の設計・製造・輸入または、原材料の製造・輸入、建築物の建設・設計をする物は、設計・製造・輸入
   建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の防止に努めなければならない。
(3)建設工事の注文者等は施行方法・工期等について、安全で衛生的な作業が出来るよう配慮しなければならない。

3.労働者の責務(第4条)
 労働者は、労働災害防止の必要事項を守るほか、事業者等が実施する労働災害防止の措置に協力するよう努め
 なければならない。


〔2〕安全衛生管理体制
1.総括安全衛生管理者(第10条)
 事業者は、一定の規模の事業場ごとに、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者,衛生管理者等の
 指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
(1)労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
(2)労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
(3)健康診断の実施その他健康の保持増進に関すること。
(4)労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
(5)その他労働災害を防止するため必要な業務で労働省令で定めるもの。

2.各管理者等の選任(管理者・業種・労働者数)
(1)総括安全衛生管理者(第10条)
  1)建設業、林行等屋外産業的業種:常時100人以上
  2)製造業、電気業等工業的業種、各種製品卸業・小売業、旅館、ゴルフ場業等:常時300人以上
  3)その他の業種:常時1000人以上
(2)安全管理者(第11条)
  上記、1)2)の業種の事業場:常時50人以上
(3)衛生管理者(第12条)
  全業種:常時50人以上
(4)安全衛生推進者(第12条の2)
  安全管理者を選任する業種:常時10人以上50人未満
(5)衛生推進者(第12条の2)
  その他の業種:常時10人以上50人未満
(6)産業医(第13条)
  全業種:常時50人以上

3.安全衛生委員会(第19条)
(1)安全委員会(第17条)
  ・50人以上の建設業
  ・100人以上の製造業等
(2)衛生委員会(第18条)
  ・50人以上の全業種
(3)安全衛生委員会(第19条)
  ・安全衛生委員会=安全委員会+衛生委員会
(4)委員会の会儀(安衛則第23条) 
  ・事業者は、安全委員会、衛生委員会、又は安全衛生委員会を月1回以上開催するようにしなければならない。
  ・事業者は、委員会における議事で重要なものに関わる記録を作成し、3年間保存しなければならない。


   


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27.ヒューマンエラー(原因と対策)



1.ヒューマンエラーとは:
 人間はエラー(ミス)を起こす動物である。
 本人が気がつかないで(正しい判断が出来ないで)ミスを犯すことがしばしばある。
 ヒューマンエラーは不安全行動を引き起こす要因の一つとして考えてよい。
 どんなに注意深く行動していても思わぬミスをしでかす動物、それが人間だ。
 精密機械でもコンピューターでもない人間だ、致し方がない…。

 いろいろ原因は考えられるが、「ミスを犯すことは避けれれない」ことは歴史が物語っている。
 したがって,しかし「だからと言ってしょうがない」では,工場の安全管理は済まされない。
 自然の成り行きに任せるだけでは「年中災害だらけ状態」になり,そんな事業場には誰も勤めたくはない。
 そこで「安全管理の活動の中でどう考えて対処していけばよいのか」を考えなければならなくなる。

2.「ヒューマンエラー」と「不安全行動」の関係
 両者の意味するところは異なる。ミスした行動が意図的か否かということがポイントだ。
 下記のように考えれば分かりやすい(安全帽の例)
 ・不 安 全 行 動 :安全帽の着用義務を知っていながら(面倒で、又は忘れて)着用しなかった。
 ・ヒューマンエラー:安全帽の着用義務を知っていたが(なぜか忘れしまって)着用しなかった。
 ・不安全行動の大きな要因の一つとして、ヒューマンエラーがある、と考えればよい。
 ・ヒューマンエラーは「心的要因を柱にした人的ミスの捉え方」であるといえる。

3.ヒューマンエラー(人間なるがゆえ)の原因
(1)注意力は持続せず
  ・勉強でも何でも集中できる時間はせいぜい数十分である。
  ・学校の授業が「50分で10分休み」は理にかなっている。
  ・仕事の場合(現場作業では)せいぜい「2時間で10分休み」といったところだ。
  ・決まった(特に単純な)繰り返し作業など時間がたつにつれて注意力も散漫なる。
  ・特に午後2時頃の時間帯は(講義や事務作業など)眠気も襲い、魔の時間と言われている。
(2)2つのことを同時に考えることは出来ない
  ・人間同時に2つ以上のことを行ったり考えたりはできないのが普通だ。聖徳太子は別だが…。
  ・真剣に与えられた作業に取り組めば取り組むほどに、他の注意すべきことは忘れてしまう。
  ・作業に集中しているときに、朝の安全朝礼で訓示されたことなどは頭には浮かばない。
  ・作業中に他のことを考えながら作業をしたら(2つのことを考えている状態)それもまた危険である。
(3)疲れやストレスがあるとミスや忘れが発生
  ・疲れると歩いていてもしっかり足が上がらず、ちょっとした段差にも引っかかったりする。
  ・ストレスもあると、作業以外のことを悩んだり考え込んだりし、作業を(安全に)集中して出来ない。
  ・身体的な不調は、判断ミスや,うっかり,忘れ,などの原因となる。
(4)緊急時は頭が真っ白になる
  ・機械が故障したり,災害時など,緊急時には平常心を失ってしまうことはよくある。
  ・当然,普段なら冷静に判断できることに対して,正確な判断が出来なくなる。
(5)心身が健康(健全)でないと自分の意思通りには身体は動かない
  ・二日酔い,寝不足,風邪で熱がある,などの体調不良の時などは,体が思い通り動かないこともある。
  ・やる気がない,やる気が起きない,など,気力が失せているときも同様で,体力気力は一体である。
(6)老化現象
  ・年齢と共に体力は知らぬ間に衰えてくる。以前考えていた通りに身体が動かない。
  ・老化現象などはおSの傾向が顕著であるが、誰もが初めての経験なので、予測が出来ないでいる。
(7)単調な連続作業の(慣れによる)意識低下
  ・長時間同じ作業を連続して行っていると、慣れにより危険に対する意識が低下してしまう。
   その結果、無意識に危険な動作をしてしまう。
  ・昼食前や終業直前に災害が多いのも、そのことが要因の一つである場合が多いことが考えられる。
(8)作業負荷が過大な場合
  ・過酷な作業や作業負荷が過大な場合、作業に伴い疲労は増大し、気力の低下と共に注意力も散漫になる。
  ・作業負荷が作業当事者にとって適切かどうか、適時見直し(作業管理)が必要である。
(9)作業内容の問題
  ・仕事内容への不適応(業種・職種・熟練度,など)があると,作業ミスや怪我の要因ともなる。
  ・技能,技術,経験,などに応じた適切な職場配置が必要。
  ・特に,新入社員や職場配置転換等においては,この点を留意する必要がある。  
(10)作業環境(温,室度・騒音・レイアウト)の問題
  ・作業者にとって,作業しやすい環境下で初めて正常な作業が出来る。
  ・悪環境下では,正しい作業が出来ない可能性もあり,適切な作業環境管理が必要である。


4.ヒューマンエラー対策(個別対応)
(1)常日頃からの社員の作業状況のチェックと管理が必要である。
(2)一人ひとりの心身の健康状態と職場環境の把握と対策を実施のこと。
(3)安全衛生の三管理(下記)をしっかりと行うこと。
  1 健康管理
  2 作業管理 
  3 作業環境管理
(4)安全衛生教育の徹底
  ・全社:安全週間・その他適時
  ・職場別:各職場においてそれぞれで必要な教育カリキュラムに沿って行う。
  ・階層別:管理監督者・S&H委員・一般社員、における教育計画の作成と実施
(5)健康診断:
  ・産業医による定期健康診断の実施と個別の診断指導。配置転換の必要性の有無の判断。
  ・産業医の診断結果によっては、適切な職場への配置換えなども検討・実施。
(6)衛生管理者による職場内定期巡視
  ・巡視による問題点の把握と改善
  ・巡視記録と継続経過管理実施

5.ヒューマンエラー対応(工場として)
 ・単に職場巡視では人間の内面的なことは分からないことが多い。
 ・ヒューマンエラーは巡視などとは別の観点(視点)から見ていかなければならない。
 ・すなわち、個人個人の問題(プライベートの過ごし方)にも目を向けた,きめ細かな対応が必要である。



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28.安全衛生教育(勉強・心構え)



1.安全衛生教育計画
 安全衛生教育や訓練は、しっかりとした計画をたてて確実に実施していくことが大切。
 計画の作成に当たっては、法令に定められている教育内容に沿いながら,現状の災害発生状況や現場の問題を
 見極めながら,作業現場の実情に沿った計画を策定することが必要である。
 また、年間の生産計画や各種事業場の生産環境等の状況変化を先取りして計画に盛り込むようにする。
 そして、各階層に応じた内容で、計画的に(年間計画に盛り込んで)実施することが望ましい。

2.法規制に基づいた安全衛生教育
(1)安全管理者等に対する教育等(第19条の2第2項)
  ・対象:安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、作業主任者、他、
(2)安全衛生教育(第59条)
  ・労働者を雇い入れた時
  ・作業内容を変更した時
  ・危険または有害な業務に就かせる時(特別の教育)
(3)新たに就任する職長・監督者に対する安全衛生教育(第60条)
(4)危険または有害な業務従事者に対する安全衛生教育(第60条の2)    

3.階層別教育
(1)経営TOP
  ・企業における安全衛生管理活動がいかに活発に進むかは、まさにTOPの考え方一つにかかっているといえる。
  ・TOPは率先して現場・世の中の状況を把握,また積極的に社外の各種TOPセミナー等を受講してもらいたい。
(2)管理監督者
  ・管理監督者は職場において具体的指示を出す長である。その考え方一つで職場の安全確保が左右される。
  ・職場特有の問題点を常に把握,又作業者一人一人の健康状態など常に木目細かな配慮が必要。
  ・常日頃からその辺のことを十分認識しての専門的な勉強も必要である。
(3)安全衛生委員会委員
  ・安全衛生委員会員は各人の職場における問題点を(職場巡視を通じて)常に把握し,委員会に問題提起する。
  ・また常日頃から,労働安全衛生法や危険予知訓練などの勉強も必要。
  ・ヒヤリハット提案活動などの推進も行い,職場の安全意識高揚の推進リーダーとして活発に活動して欲しい。
(4)現場作業者
  ・実際に作業をしている作業者は,災害において常に被害者になるケースが多い。
  ・災害を他人事と思わず,職場全体の問題と捉え,無災害活動に組織的に参画する意識で望んで欲しい。
  ・自分たちの職場の安全は自分たちで守る,というぐらいの積極的な気持ちを常にもって、また、他人の安全
   ルール違反にも注意するという厳しい各人の姿勢が,企業全体の安全を支えるのである。
(5)一般スタッフ
  ・一般に、安全管理は安全衛生のスタッフの仕事と言う感覚(勘違い)が多い。
  ・現場の設備やレイアウト、作業手順や作業方法など、安全衛生に関してスタッフが決めていることは非常に多い。
   言い方を変えると、実際の仕事での道具や設備、しくみやルール、など殆どの具体的な事柄を左右している
   (決めている)のが、スタッフである。まずその認識に立って、安全管理の勉強をして欲しい。
  ・設計者が実際に始める仕事は図面を書くことであるが、一般に安全に関わる制約条件(法規則その他)を学ぶ
   機会は殆どない。TOPや管理監督者もそのことを十分に認識して,安全衛生計画に生かすことが必要。
(6)全社員対象
  ・安全週間などの機会を利用して,災害事例説明,各種表彰,安全講演,等行うのが良い。
   安全公演では,外部講師などを招いて,世の中の動向や,自社では気付かない安全活動などを学ぶ有効な方法だ。
  ・出来るだけ(自社・他社・世の中の)事例を使用しての教育(勉強会)が良い。
   事例はビデオや画像(OHPなど)を使用して,五感に訴えたやり方が効果的だ。
   事例説明は,災害の悲惨さを身にしみて感じ,絶対に災害はあってはならないということを真剣に学ぶ事が出来る。




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29.災害発生と時間(時間帯・季節・曜日)



○工場災害の一般的な傾向:
 災害発生の一般的な傾向として「時間帯・季節・曜日」などの時間的要因が少なからずあることは否定できない。
 したがって,安全管理活動での災害の原因究明,教育指導に際して,重要な事項の一つであり,留意すべき点である。
 (下記は,小職の知見と経験則によるものであり,公式データによるものではないことを,予めご承知おきください)

1.作業終了直前
 災害の原因調査で、まず「発生した時間は?」と問うと、なぜか「終業直前」や「昼休み直前」であることが多い。
 これは「ヒューマンエラー」であることははっきりしている。機械設備の故障などは時間には殆ど関係ないからだ。
 なぜか「あと5分で終業」と言う時間に、危険な行為(本人承知)をしてしまう。終業までの5分間が「待てない」。
 これが人間というものだ。人間を改造したいが…,出来得ないことだ。
 そんな人間と言う動物を受け入れて(理解して),対策を打つしかない。仕方がないことだ…。
 
2.季節
(1)5~6月頃
  新入社員がぼちぼち仕事に慣れたころ、初めは真剣だった仕事に対する緊張感が薄れ、慣れてきた頃だ。
  またゴールデンウイーク明けと言うこともあって、お休みモードから気持ちの切り替えもできていない。
  すなわち仕事モードに完全になっていない時期と考えられる。
  工場災害ばかりでなく、交通災害(通勤事故)も同様にこの時期が多い。特に新入社員に多い。
  3日,3ヶ月,3年が何事も要注意の時期,とよく言われている。何事も慣れてきた時期が要注意だ…。

(2)年末
  年末は仕事納めの時期でもあり、また、現場作業もスタッフ業務も何かと期末報告など忙しい時期である。
  仕事も忙しい、納期は年末に間に合わないと年を越せない、そこへ来て忘年会やクリスマス…。
  はたまた、冬休みの帰省の計画など、仕事・世の中・プライベートなど、いろいろ忙しない時期だ。
  「年末災害対策運動」など行われるが,イベント化して,きめ細かな対応がおろそかになってしまうのが常。
  非常に目が離せない時期である。より一層の注意が必要の時期といえる。

3.連休・長期休暇(前後)
(1)長期休暇明け
  ゴールデンウイーク・夏休み・冬休み明けは,まだ出勤してもお休みモードから気持ちの切り替えが出来ていない。
  仕事モードの緊張感に欠けるため、作業の注意事項(やってはいけないこと:禁止事項)を忘れているかも…。
  作業開始前の朝礼では,しっかりした安全訓示が必要。監督者は作業者の状態や職場の巡視も行う事が必要だ。

(2)曜日
  災害が起きやすい曜日については,業種によってその傾向はいろいろである。
  一般論としては「週明けの月曜日・週末の金曜日」等が要注意の曜日だ。
 ・週明け(月曜日など)
  最近は土日の2日連休は当たり前。場合によっては土日を挟んで3連休の場合もある。
  長期休暇明け同様に,たとえ2~3日の休暇後といえども,気持ちはまだお休みモード。
  監督者は朝礼で,しっかりとした安全訓示をし、職場をしゃきっとした気持ちに切り替えること。
 ・週末(金曜日など)
  明日からお休み,と言うことで、気もそぞろになるのが人間だ。心の中は見えないから始末が悪い。
  朝礼時には,当日の「仕事内容とやり方」の指示において,特にゆとりを持った計画等の留意が必要だ。

4.何事も敵を知ること
 完全管理の目標は「無災害達成」の一言。
 となれば「敵(災害)の発生メカニズム」を研究し,よく知ることが必要になってくる。
 やみくもに「労働安全衛生法や安全管理」の勉強をしても(するのはまことに結構だが)的外れでは何にもならない。
 まずは、各々の事業場の現状(災害現況・他)を良く知り、ポイントをついた(的を得た)活動が効率的である。
 ただ単に「形式的な活動」では,何の意味も効果もないことは,言うまでもない。



   


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30.「故事・ことわざ」から学ぶ(10の言葉)



○古来,安全管理(災害防止)の言い伝えは,人間の歴史の中にある。
 すなわち,災害に遭わないために,先人はいろいろの「言葉」を残してくれている。先人に学ぶところは多い。
 安全管理は「労衛法」や「各種教本」で学ぶだけではなく、本来「災害を予防する知恵」を学ぶことにある。
 それには「事実に学ぶ」ことが必要だ。事実とは,とりもなおさず「過去に起こった事柄=災害」である。
 そのためには,「過去に起きた災害から得た教訓」すなわち「先人の苦難の歴史教訓=諺」からしか学べない。
 そこで,あらためて,先人の災害防止の知恵である「故事・ことわざ」の類を列挙してみた。(活動の参考に…)

○安全に関する「故事・ことわざ」
(1)急がば回れ
  急いでいる時こそ遠回りでも安全な方法や通路の利用をするこ。安全を得るとはそういうことだ。

(2)横着しない
  決められた作業手順はしっかり守ること。横着する(面倒で必要な作業を省略する)のは事故のもと。

(3)災難は忘れたころにやってくる
  災難(災害)は本当に忘れたころにやってくる。過去の悲惨な経験を忘れず、安全活動を継続することだ。

(4)石橋をたたいて渡る
  不安全状態は(高熱や通電状態など)時に見えないこともある。石橋をたたくつもりで,しっかり安全確認だ。 

(5)君子危うきに近寄らず
  危険には近づかないことだ。現場で事故などあった場合は,安易に手を出さないこと。専門家に任せることだ。

(6)猿も木から落ちる
  どんなに技術があっても,ときには失敗することもある。どんな作業も,常に真剣に対応していて丁度いい。

(7)油断大敵火がぼうぼう
  日頃から安全に気をつけていても「油断」と言う魔の手が伸びることがある。気を許してはいけない。  

(8)二度あることは三度ある
  一度ならず二度も起きる事(災害)は、起きるべくして起きたのである。しっかりした再発防止が必要。

(9)念には念を入れよ
  危険な作業などでは,確認不足で災害が起きたら大変。安全確認はしっかりと,念には念を入れて行うこと。

(10)のど元すぎれば熱さ忘れる
  人間,悲惨な災害に遭っても,時間と共に忘却の彼方へ…。災害から得た教訓は,絶対に忘れてはならない。

   


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31.安全標語(一般工場・建設現場)



1.一般工場
(1)安全標語は効果のある活動である。
 ・一般工場や建設現場など各種業種において,安全標語は効果のある活動である。
 ・安全標語は安全活動ツールの一つであり,安全意識高揚策の効果が大きい
 ・社員が率先して安全活動に参加すると言うやり方が「社員の安全意識の向上」につながる。
 ・安全週間や安全大会などにおいて,全員参加で「標語の応募」をし,優秀作品を選んで表彰するなどがよい。

(2)安全標語の決定(全体と個別)
 ・安全標語の使われ方として、「全体と個別」がある。
 ・全体:工場全体に寄与する標語で「安全第一」、「今日一日,安全・安心で,楽しい職場」など…。
 ・個別:個々の職場にあった標語で「仕事始めは点検から」,「5Sは職場の大前提」など…。

(3)活動は全員参加
 ・全社活動で行い,時期などは「春の安全週間」や「年末防災活動」など,各職場に則したやり方で…。
 ・全員参加:どんなことでもいいから「全員考えて提案して貰う」ことが全社員の安全意識高揚策となる。
 ・安全大会などで「優秀賞・敢闘賞・努力賞」などいろいろの「賞や商品」など工夫する。

(4)掲示
 ・工場玄関や各職場ごとに、それぞれの職場にあった(適する)「標語の掲示」を行うとよい。
 ・工場玄関のみ「標語旗」でもよくない。各職場において,適当な大きさの「標語掲示」が良い。

2.建設現場(一般工場と違う部分)
 ・現場全体から見通せる高い場所に「大きな横断幕などの標語」が効果的である。
 ・多くの業種の作業員が混在する場であり、「安全標語」はまさに「安全の要」である。
 ・「墜落・転落」など重大災害が未だに多発しており,「安全標語」は「必須の掲示物」である。
 ・安全朝礼時や仕事中も常に目に入る「安全標語」は,おろそかにしてはいけない。
 ・一年中(適切な内容)掲示が必要で,「安全第一」,「高所作業は安全帯厳守」などである。

3.目的は人命尊重
 ・安全活動はいろいろのツールがあるが,「適切,かつ効果的な活用」が効率的で効果がある。
 ・ただやみくもに「一般的なことをやる」のではなく,各職場・作業現場に適したやり方を創意工夫すること。
 ・ただ単に平凡にやるのは「マンネリ化あるのみで,効果なし」である。
 ・安全管理は常に「高い目標と熱意」で「攻めの姿勢でやる」ことが必要だ。


   


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32.快適工場を目指す(快適な職場環境の形成)



1.快適な職場環境(安衛法の目的)
 ・労働安全衛生法の目的(総則,第1条)
  『この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び
  自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における
  労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。』と明記されている。
 ・すなわち、労働安全衛生法の趣旨は,「労働者の安全(災害防止)」に留まらず「快適な職場環境の形成」にある。
 ・そのことを,安全管理スタッフ,及び,管理監督者はよく認識しておかなければならない。

2.法令順守は当たり前(目標は快適)
 ・法令(安衛法など)遵守は当然のことで,実はそれ以上のことを目指さなければ,真の安全管理活動とは言えない。
 ・一般に安全管理(災害防止等)の各種活動のみにとらわれている活動であるのが現状である。
 ・安全活動によって「無災害工場」が達成できたとしても「快適工場の実現」にはならない。
 ・「快適工場の実現」は,さらなる活動によってのみ実現可能であり,目標はそこにある。

3.安全工場から快適工場へ
 ・とはいえ、なかなかそこまで踏み込んだ活動にはなり得ていないのが,現状であることは否めない。
 ・特に,中小企業などにおいては,安全管理さえままならない状態が多く,そこからの脱皮が,まずは第一歩ではある。
 ・実際に行動に移せなくても,目指すところは「快適工場である」ということは,常日頃から意識する必要がある。
 ・「労働安全・労働衛生」管理をベースに「快適職場・快適工場」の実現があるといえる。
 ・衛生管理は三管理(作業管理・作業環境管理・健康管理)が柱だが,さらに「メンタルヘルス」が重要である。
 ・人が人として「安全・快適・苦痛なく・楽しく」作業ができる「快適職場」である必要がある。
 ・人にやさしい環境:作業・設備・照明・騒音・空気・人間関係・職場・企業風土…)

4.3K作業の制限・排除
 ・3Kとは「きつい・汚い・危険」な作業ということである。
 ・「危険・汚い作業」は当然のことながら,「きつい」作業は、作業の内容をよく把握しないと見過ごしてしまう。
 ・きつい作業は,人間工学的見地,あるいは健康管理の面からも,より具体的な「許容限度・規格」を定めるのが良い。
 ・「1日と1回の作業量」などを規制するとよい。重量物運搬はで「1回の運搬重量と1日の回数」の制限とか…。
 ・車の運転であれば「1回の運転距離や時間と1日の運転距離や時間」等の制限である。

5.エルゴノミクス(人間工学)の追求
 ・使いやすい機械:人間工学的な観点を考慮した機械を使用
 ・やりやすい作業:手の動き(半円形運動)や腰の負担を考慮した操作器具や作業対象物の配置
 ・操作しやすい形:取っ手や道具(握りやすい,力の入りやすい形状の取っ手)
 ・持ちやすい方法:片手で持つよリ両手持ち(重さ半分・2つに分けて両手で持つ)の方が楽だ。
 ・女性や高齢者にやさしい(考慮した)作業方法や作業機械
 
6.人的環境・人間関係(メンタルヘルス)
 ・物理的「作業環境」ばかりでなく,精神面での「環境改善」は,仕事が楽しく,作業効率や業績向上にもつながる。
 ・働きがい:仕事がやりがいがあり,また人間関係も健全でなければ,人的労働環境としては成り立たない。
 ・遣り甲斐のある職場環境:管理監督者は「常日頃からメンタルヘルスの管理」を行い(社員の悩みなどを聞く),
  職場の人間関係の改善を行うと共に,管理監督者自身もメンタルヘルス管理の自己研鑽(勉強)が必要である。
 ・このことにより,職場のコミュニケーションの向上,企業の業績UPにもつながることになる。


   


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33.リスクアセスメントの導入



1.リスクアセスメント(RA)
 RAは,労働安全衛生法「第二十八条の二(下記)」に従い「職場のリスクの調査,評価,必要な措置を行う」ことにある。
 まずは簡単な方法で「リスクの抽出,評価,措置」の作業をやってみて、やり方のポイントを早くつかむとよい。
 従来の,KYTや安全巡視のチェック項目などを利用し,RA内容を付加して,まず第一歩を踏み出すのも一つのやり方だ。
 第一歩を踏み出すことにより,進め方のコツもつかめ,リスク評価の基準(レベル分けを決める)も固まってくる。
 その後はPDCAを回して改善してゆけばよい。自ずと,その事業場に適したやり方が見つかるはずだ…。

3.過ぎたるは及ばざるがごとし… 
 あまり初めから細かく(完璧に)やりすぎて,資料の山に埋もれては何もならない。過ぎたるは及ばざるがごとし…,である。
 従来活動に「RA」をプラスする考えで,まずは「簡易な方法」で始め、PDCAを回しながら改善してゆくのが良い。
 ある職場を対象に(モデル職場を)選び,スタートを切るのもよい。良ければ,その方法を全体に水平展開していくやり方だ。
 安全活動に王道なし,である。何事も試行錯誤が必要。やり方にBestな方法はない。まずは進めることが第一である。

4.各事業場に応じたやり方で
 リスクが多く存在する特殊な機械装置工場と,そうではない工場では,自ずとやり方は異なってくるのは当然のこと。
 また、大企業で多種の機械装置を扱う工場と中小零細の組立工場では,これまた当然,RAのやりかたは異なってくる。
 いろんなRA事例は参考にはなるが,実際に実施するときは,必然的にその事業場のオリジナルなものが必要となる。
 まずは,やり易い方法でスタートし,PDCAを回しながら,その工場独自のRAの実施方法を作り上げてゆくとよい。

5.RAでより安全な職場を確立する
 安全管理活動において,RAは非常に有効な安全化手法である。全体活動の中での位置づけを十分理解して進めること。
 RAと共に,従来からの安全管理諸活動(災害の原因究明,5S,KYT,安全巡視,など)も従来通り活発に進めること。
 RAの目的(趣旨)を十分理解した上で,社員全員で考えて,活動を進めていくことが,大切であり必要なことなのである。
 同業種や異業種の進め方も,大いに参考にして進めることも大切である。


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【労働安全衛生法:第二十八条の二】
 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動
その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による
措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。
ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれの
あるものに係るもの以外のものについては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。
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34.業種別安全管理の留意点



1.一般製造工場
 ・ベルトコンベア作業(簡単な組み立て軽作業)では、女性(主婦・パート・新卒者)社員など,機械の知識が
  ないため,怖さを知らず,不安全(危険)行動が多い。そのために,危険な行動を「つい、うっかり」やってしまう。
 ・本質安全化(巻き込まれ,挟まれ個所であるベルトの回転部などの安全カバー等対策)を徹底して行うこと。
 ・毎日朝礼時の「安全訓示」を欠かさぬこと。そして日々作業場の巡視を行い,問題あれば,即指導・改善を行う。
 ・特に「動いている機械には手を出さない」、「異常時は機械を止めて上司を呼ぶ」など、日々徹底教育のこと。
 ・5Sは工場の安全活動の基本。日々の活動が工場の安全風土を作り上げてゆく。「継続こそ力なり」である。

2.機械加工工場
 ・加工機械などは専門技能者による作業(その機械を熟知している)が多く、つい担当者任せになりがちである。
  作業者は機械を知り尽くしているので怪我はしないはずだが、そこに落とし穴がある。
 ・安全管理(安全対策)は、専門機能集団の職場といえども、任してはいけない。自己管理はできないものである。
  安全管理は第三者(安全管理者や管理監督者)の安全巡視や点検チェックっしないと災害は必ず発生する。
 ・災害発生当事者が「その道の専門家であることは少なくない」のが(往々にしてあるのが)現実である。
 ・管理監督者は,安全化作業の徹底と指導を(専門技能者であれ,新人であれ)区別なく徹底して日々怠らず…。

3.大型機械装置工場
 ・大型機械装置工場(プラントなどの工場)では,機械が重厚長大であり,ひとたび災害が起きると大災害になる。
 ・機械設備も特殊である。設備の導入(計画・設計)から運用・維持にかけて,本質安全化と安全指導の徹底が必要。
 ・このような機械設備に対しては,設備エリア全体を安全柵で完全に囲う等の,確実な人に対する安全化が必要だ。
 ・部品や製品も「重量物で転がりやすいロール物」である場合も多く,物の置き方に対する十分な安全対策が必要。
 ・機械を動かしながらの作業では,適切な(手の代わりになる)工具,道具を使用し,災害防止に万全を期すこと。
 ・機械設備の裏側は要注意で,日々5Sは当然で,メンテ時等の安全化(照明・通路・安全カバー等)の確保を期す。

4.建設業(作業現場)
 ・多くの業種の共同(混在)作業場であり、各業種で「作業内容や注意事項など」の(日々の)周知徹底が必要。
 ・現場の管理監督者は,日々(作業中の)安全巡視を怠らず,安全作業の指導・監督を徹底し,無災害をめざす。
 ・毎日全員集合の安全朝礼は当然だが,その日の作業内容と特段の留意事項をきめ細かく全員に周知徹底すること。
 ・特にこの業種は,高所作業・仮設通路等,危険な作業が多い。保護具の着用等,安全対策には,万全を期すこと。
 ・作業場所の(通路・動力車等)区分,及び各業種の作業域,注意表示は常に明確にし,5Sも怠りなく実施すること。
 ・安全ミーティングや協力会社間の会議等により,作業期間中の作業工程,安全化等の周知徹底を確実に実施のこと。

5.食品製造工場
 ・ベルトコンベアなどによる軽作業が多く,作業者の大半が女性であることが多い。
  そのために,機械設備に対する危険認識(知識)があまりなく,時として不安全(危険な)行為をしてしまう事が多い。
 ・ベルトコンベアなどには,本質安全化(回転ローラー部等,危険個所に対するカバー)を完璧に施すこと。
 ・食品冷凍庫前の床など,解けた水で床濡れ(危険な)状態が多い。床や靴底の滑り止め対策等安全対策を実施する。
 ・機械類は「直線・並行・直角」に整然と配置し,安全な通路設定と区分表示を行い,歩行の安全化を図ること。
 ・機械間通路の安全化(幅80cm以上),及び,通路・機械エリアの明確な区分表示等,確実な安全化対策を行うこと。
 ・安全朝礼等,日々の安全指導や朝夕の職場巡視による作業状態チェック等々,きめ細かな安全指導を実施すること。

   


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35.安全標準(災害防止の決め手)



1.安全標準化(ルール化)
 ・作業や機械の安全化などした場合は、他部署への水平展開のためにも、必ず「標準化(文書化)」しておく。
 ・標準化したら、徹底してそれを守り、改善点があれば、適時改善(標準の改定)を行う。
 ・何事も、決めたら「紙に残し(標準化)」、それを徹底して「守る(厳守する)」こと。これが標準化。
 ・標準化することによって「判断ミス」や「判断の迷い」を防止できる。(災害防止につながる)

2.安全標準の改定
 ・安全標準(作業標準・設計標準・環境標準・など)は、作成した時点ですでに過去の物となる。
 ・技術の進歩や工場の労働環境の変化は早い。常に最新の安全標準でなければならない。
 ・標準が古くなった場合は、即時(安全衛生委員会主導で)改定する。古い標準にこだわっていてはいけない。
 ・常に改善作業を継続して行う(P・D・C・Aを回す)ことが必要である。

3.工場は安全標準で守る
 ・その事業場(工場)独自の「ルール(安全標準)」がなければ、安全管理は成り立たない。
 ・安全標準は専門家の最新の機械知識と作業現場の変化に対応した「必要な決めごと」を標準化する。
 ・決めたこと(安全標準や安全会議で決まったこと)は必ず明文化(標準化)し、確実に守らせること。


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36.安全管理に正解はない



1.安全管理に正解はない
 ・正解はないし、誰も教えてはくれない。誰かが教えてくれると思ったら大間違い。
 ・確固とした哲学のみ(高い目標と熱意)。(井の中の蛙になってもいけない。他から学ぶべきは学ぶ)
 ・良いと思ったことは、どんどんやればよい。迷いは禁物だ…。(やると決めたら、即行動)

2.守るべき事は決める
 ・禁止事項だけは、きっちりと決める。法令巡視は当たり前(最低限のこと)
 ・気持ち(心・信念)があれば、自然と(やることが)決まってくる。
 ・決めた後は、PDCAを回せばよい。自然と常に改善され、次第に良いもの(やり方)になってくる。

3.世の中から学ぶ(正解が見えてくる)
 ・世の中から学ぶ。どんな災害も他人事ではない。「学ぶこと多し」である。
 ・勉強の教材(事例)は多い。積極的に(いろんなところから)学ぶ姿勢が必要である。。
 ・学ぶことは常に目の前にある。その気がなければ(折角の学ぶ対象が)目の前を通り過ぎてしまう。

   


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37.安全はタダでは買えない



1.安全はタダでは買えない
 ・安全は苦労して工夫して得るもので、タダでは買えない。
 ・普通にしていたらタダでもらえる(何も余計なことをしないのが安全)と思ったら大違いだ。
 ・何もしないからこそ(危険が放置され、無意識に危ない行動をするために)災害は起きる。

3.普通にしてれば「安全」ではない
 ・普通にしてれば「安全な状態が保たれる」と思ったら大間違い。
 ・「普通にしている」という考え方は、「何もしない」ことにつながり、災害防止にはならない。
 ・常に「安全管理活動を意識的に、苦労や労力を惜しまず」継続して行っている所こ「安全」が訪れる。

2.安全は「苦労と試行錯誤で得る」もの
 ・「苦労と試行錯誤で得る」ものが「安全」だ。
 ・何もしないで(楽していては)得ることが出来ないのが「安全」である。
 ・苦労し、努力し、継続の結果、得ることが出来る物が「安全」だ。

   


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38-1.安全管理は「人の管理」



1.安全管理は「人の管理」
 ・安全管理とは安全活動の運営管理と思われがちだが、実は「人の管理」なのである。
 ・災害の原因は(危険な機械や人の行動にあるが)、根本的には「人の判断と行動」である。
 ・安全管理の基本は「如何に(問題である)人を管理するか」と言うことにたどりつく。

2.人は機械ではない(不完全である)
 ・人が完全であればよい。ところが、どっこいそうではない。人は完全ではない。機械ではないから…。
 ・何万回に一回は「危険な行動や判断ミスや指示ミス」をやらかす。いや、何万回に一回ではないかも…。
 ・災害の原因は全て人間のミス(安全管理ミス、機械設計ミス、指示・命令ミス、作業ミス)と考えてもよい。

3.「人の育成」が最も重要
 ・人間「頭がいい人が、間違った判断をする」ことぐらい怖いことはない。独裁政治などがそうだ…。
 ・安全管理において、根源的に重要なことは「管理する人間が、正しい(適切な)判断と行動をする」ことである。
 ・安全管理は「人の管理」である。それには「管理する人を育成する」と言うことが非常に重要な事となる。


   


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38-2.人が人を管理:安全管理は難しい



1.人が人を管理する:
 ・同じ日本人(こんな小さな島国)でなぜ言葉(真意)が通じないのか…。言葉だけではだめなのである。
 ・人は生まれも育ちも違う。どこの会社でも,北は北海道から南は九州まで各地から集まっているのが会社。
 ・安全管理の各種ルールがあるからと言って、その通りに「確実に守ってくれれば」何の心配の要らない。
  だが、どっこいそうはいかないのが「人の世(人間関係)」である。人は機械とは違うのである。
 ・感情もあり、自分に都合のよい勝手な理屈を言うのも人。そんな人を管理するのが「安全管理」である。

2.人をまずは理解すること:
 ・人の管理が根源にある「安全管理」。困難だが逃げてはならない。人間の特性(感情の動物)を理解すること。
 ・今も昔も「人の関係が難しいのは,変わらない永遠の課題」である。世の中の悩みの大半は人間関係でもある。
 ・人間はプライドの塊。人間関係がこじれると,下手すると「会社を辞める(辞めさせる)…」ことにもなる。
 ・人それぞれ価値観が違い,皆「自分の意見が正しいと思ってしまう」と言うのが,人間なるが所以である。
 ・組織活動では「一つの方向にまとまる」事が必要。最後は「異論はあっても,規則を厳格に守る」事に尽きる。

3.人の行動が人を動かす:
 ・人が人(他人)を「自分の意のままに動かす」ことはできない。たとえ安全管理のためであっても難しい。
 ・この難題に挑むには「人の安全を確保するために,真剣に(必死に)人を守る」という信念(哲学)が必要。
 ・そのためには,人の立場に立って理解し,聴く耳を持つことである。人を思う気持ちが一番大切なことである。
 ・また、人を動かすには確固とした信念がなけれ成し得ない。安全哲学に基づいた「ぶれない指導」も必要。
 ・安全スタッフは,日々研鑽に努め「自らが行動で示す」こと。その後ろ姿が人を動かす最大の原動力である。


   


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39.事務部門の安全活動



1.事務所は工場の顔
 ・工場の事務所(事務部門)は事業場の顔である。事業場の内外を問わず、部外者が訪れることが多い。
 ・安全スタッフ席や受付などがあり、事業場(企業)にとって、安全活動のモデル職場でなければならない。
 ・事務所を一目見れば、その事業場の「安全管理のレベル」が分かってしまうのである。
 ・事務所だからと言って「危険も少なく活動の対象ではない」などと考えたら、とんでもないことである。
 ・安全活動の見本となるように「常にトップを目指した(推進役的)活動」を維持しなければならない。

2.事務所の安全管理
 事務所には不安全状態がないと思われがちだが決してそうではない。工場と同様に安全チェックが必要だ。
 <よく見かける危ない行動や状態>
   ・キャスター付き事務椅子を踏み台代わりに使用:もってのほか。専用の「踏み台・脚立」を常備・使用すること。
   ・デスクの上は書類の山(帰宅後もそのまま):終業後は片づけること。「5S」を徹底し、現場に見本を示すこと。
   ・書棚やPCの転倒防止(地震対策)の不備:スタッフが災害時に初期行動がとれなくてどうする。万全な対策を…。

3.事務所(総務部門)の役割
 ・安全管理・災害時の本部:平常時は安全管理スタッフの居室だが、災害時には緊急対策本部となる。
 ・緊急会議場所と役割:組織化し役割分担を明確にしておく。非常時持出し書類・緊急連絡・担当者・なども…。
 ・他工場などへの支援を求める緊急時連絡手段の設置:緊急無線装置・アマチュア無線・など…。
 ・安全管理(非常時対応も含む)の中核機能:安全スタッフ部署として見本となる意識と姿勢を示すこと。


   


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40.安全管理は世の中から学ぶ



1.世の中の災害から学ぶ
 ・過去に起こった災害の数々は「起こるべくして起きた…」と言っても過言ではない。
  すなわち、殆どが人災であり、未然に防止できたはずである。
  そう考えると災害(事実)から学ぶべき教訓がいっぱいあるはずで、そこから謙虚に学ぶべきである。
 ・過去の大きな事故例
  ・御巣鷹山墜落事故:原因は「修理ミス」だが、真の原因は「修理ミスミスのチェック不備」。整備体制の問題だ。
  ・JR福知山線事故:原因は「速度超過」だが、真の原因は「(新型)列車自動停止装置不備」。原因は単純である。
  ・福島第一原発事故:原因は「電源喪失」だが、真の原因は「災害の予知不足」である。原因は予知分析の問題だ。

2.各種企業活動から学ぶ
 ・同業他社や異業種企業の「安全管理活動」を参考にする。機会があれば「工場見学」などで大いに学ぶこと。
 ・同業他社は業務内容が同じで、いろいろ情報交換すれば、参考になることが多々あるはず。組合などを通じて行うとよい。
 ・異業種においては、「思わぬ参考になる活動などがある」ことが多くあり、「井の中の蛙状態の防止」になる。
 ・自分の会社の中だけでいくら努力しても限界もある。世の中の各種企業から「有益な情報を得られる」ことが多い。

3.各種講習会へ参加して学ぶ
 ・スタッフは特に機会があれば、年に一度ぐらいは各種講習会などへ参加して、最新の情報を学ぶことが必要である。
 ・TOPや管理監督者もたまには「TOPセミナー」などへ参加するとよい。いろんな業種の人との情報交換が出来る。
 ・公的講習会や工場見学会などへの参加は、安全管理の勉強になり、機会があれば積極的に参加することが必要だ。

4.各界で成功した人から学ぶ(TV・書籍・他)
 ・世の中には苦労して努力して成功した立派な人が多くいる。TVや書籍で見かけたら(参考になる事は)どんどん学ぶ。
 ・工場など安全管理に関係の無い仕事(芸能界・スポーツ界・各業界)でも、その道のTOPに立った人の言葉は重い。
 ・世の中の出来事(人や組織活動・など様々な事柄)は「安全管理」の勉強には決して無関係ではなく、非常に参考になる。
 ・仕事が終わって帰宅したら「安全管理は関係なくTVを見てビールを飲んで…」だけでは、つまらない人生だ…。
  プライベートな時間でも安全管理の参考になることがあれば(仕事にも役立ち)積極的にどんどん吸収するとよい。

5.人は謙虚に世の中の事実から学ぶべき
 ・機械にかかわる「人間の存在」が災害の原因。「人と機械の安全な共存」が必要なこと。
  機械は故障しない限り異常な動作はしない。しかし「人の管理」は、そうはいかない。人は何をやらかす分からない。
 ・安全管理を徹底することで「災害を未然に防止する」と考えるしかない。災害を防ぐには、これをとことんやるしかない。
  諦めずに、懲りずに「災害と向かい合う世の中が今後も永遠に続く」だろう、人間だから。だからやるしかない。
 ・動物の世界は、自然の摂理に従って淡々と過ごしている。集団(群れ)で安全を(身を)守っている。素晴らしいことだ。
  人間も動物や自然から学ぶことが多い。動物は人間のように間違っても危険なもの(原子力や核兵器など)は作らない。

   


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41.管理/監督者「10の心得」



  1.人を思う(怪我させない)心で行動する

  2.信念が知識を深め、人を動かす力になる

  3.災害再発防止策は即実行(時間が勝負)

  4.安全管理は「人を管理すること」である

  5.教育は最初が肝心(危険なことを徹底して教える)

  6.災害の悲惨さを教えることが教育で最も効果がある

  7.人間は機械ではない(人の行動はあてにならない)

  8.人の性格は変えられないが、行動は変えられる

  9.現場を常によく見る(現場は常に変化する)

  10.世の中の出来事をよく見る(学ぶことが多い)

   


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42.機械設計者の役割と責務



1.労働災害の実態と安衛法令等を知る
 ・機械設計者は一般に,必要である安衛法知識や労働災害の真の原因が本質化安全設計にあることをよく知らない。
  学校でも入社時にも,安全化設計に必要な「法令内容」の教育が現状では行われていないのが一般的だ…。
 ・設計する機械に必要な「関係法令」等の安全化の遵守内容を調べて(勉強し)設計に盛り込む事は必須事項。
 ・安衛法令以外にも,設計者が知っていなければならない法律(消防法・他)があり,範囲は広い。要注意だ…。

2.安全設計標準化と安全アセスメント
 ・使用環境条件(作業者・設置条件・環境対応)を十分に把握して設計作業に臨む。
 ・安全設計標準を作る(標準仕様書・設計/製作標準・設置標準・…)
 ・設備管理標準を作る(取扱説明書・メンテナンス・維持/管理・交換部品・修理方法・…)
 ・安全アセスメント標準の作成と実施(企画~構想~仕様~設計~製作~設置許可基準~合否判定~設置許可)

3.設計条件(各種制約条件)の把握
 ・基本仕様書:各種制約条件(設計要求条件)を網羅・確認しておく。そこで,はじめて設計のスタートとなる。
 ・設計仕様書:各種安全化条件(安全化設計具体策)を盛り込んで作成する。
 ・操作手順と維持メンテ:取扱説明書に詳細を明示。特に操作の留意点を(禁止事項などを)明確に明示する。
 ・作業条件:操作作業者の条件(公的資格や公的講習修了者/その他条件なども…)あれば明示。
 
4.機械や制御盤等の安全化と設置
 ・本質安全化設計:「フェールセーフ化+フールプルーフ化」の盛り込み。
 ・操作盤:各種SW・非常停止ボタン類の配置等(色と大きさを統一,見やすくし,操作ミスの防止をする)
 ・制御盤・操作盤:設置場所・大きさ(特に高さ制限)の統一。通路から作業者の状況確認の容易性を確保。
 ・機械間通路の確保:80cm以上。できれば「1~1.5m」は欲しい。(作業環境によって一概に言えないが…)
 ・避難通路の確保:機械の設置レイアウトが袋小路にならない様に,また停電時でも迷わない様,配置は整然と…。

5.安全アセスメント:設計図面上で安全性を審査(評価)
 ・機械設計の「基本計画~仕様/構想~設計/製作~設置/稼働」まで,全てのステップで機械の安全性をチェックする。
 ・チェックの主体:機械設計部門が主体となって行う。S&H部門は当然(全ステップを)サポートする。
 ・参加部門:全行程には関係部門すべてが参加(設計・製造・S&H・安全管理者・他)して,もれなく行う。
 ・最終評価は安全管理者が行う。(関係部門の確認と安全衛生委員会の最終承認が必要)
 ・安全アセスメントは設計内容の安全チェックが主目的。リスクアセスメントのプロセスに組み入れて実施するとよい。


   


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43.機械設備設置の留意点



 1)設備設備の設置/レイアウト
  ・機械作業エリアと一般通路は明確に区分し、歩行者の安全化を図る。
  ・機械間通路は法令では最低80cm以上だが、出来れば1.2m以上は欲しい。(機械回りの危険度によるが…)
  ・通路高さ:法令では最低1.8m以上であるが、出来れば(照明器具や配管等最下端で)2.2m以上は欲しい。
  ・メンテ作業空間等:作業時の安全(作業に必要な作業空間や作業通路)を確保する。
  ・避難通路:安全に非難が出来る通路レイアウト状態(袋小路や曲がりのない経路)を確保。

 2)機械設備回りの安全化
  ・非常停止ボタン:操作性,高さ,視認性の良い(よく見える)位置へ設置する。
  ・機械回りの安全:回転部等危険個所へのカバー/安全柵・囲い等の安全対策を実施。
  ・危険・注意表示:立入禁止・触るな・高温注意/異常表示ランプ/警報、などの設置。
  ・機械設置エリア:は明確に隣接エリアと区分(区画)表示を(白線ラインなどで)行うこと。
  ・地震対策(転倒・移動防止対策)を施すこと。(アンカーボルト等で床に確実に固定する)

 3)機械設備の注意表示等
  ・機械設備の管理責任者の明示(各機械設備ごとに)
  ・機械設備の作業その他で「禁止事項」があれば、機械の見やすいところ(正面など)に掲示すること。
  ・異常時の連絡先の表示:機械操作近傍位置に異常時の連絡先、緊急処方法などを明示する。
  ・その他注意事項の表示:機械回り・通路歩行等に対する注意事項があれば表示(職場状況に適した表示)


   


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44.機械設計のミス防止(標準化/安全アセス)



1.人が設計する機械:
 ・何事においても信用ならない「人間」、その人間が作る機械だからこそ100%安全ではない。
 ・設計ミスはついて回る。「本質安全化」を十分考慮して設計したつもりでも、漏れは「ゼロではない」。
 ・だから、設計ミスがあって当然。それを防止するのは組織的な設計チェックである「安全アセスメント」。
 ・大型機械装置も組立図は一般に一人で行う。(一枚の絵画を共同作業はできないのと同じ)
 ・何百枚の部品図の設計作業は分担作業でも一人作業でも大変。だからミスは少なからず発生して当たり前だ。
 ・製図の時点での寸法数値入力ミス(仕様書の読み違い)や,そもそもの構造的なミスなど,ミスもいろいろだ。

2.人が作成する設計図:
 ・人間が手作業で作成する設計図面であるがゆえに、重大なトラブルにつながるミスもあり得る。
 ・機械の基本構造(通常稼働状況:機械の通常の動き)に関係する設計ミスは、完成検査で十分チェックが可能。
 ・ただ、異常時(非常時)対応の機構(停電時・非常停止時・部品の破損・摩耗による故障)などのチェックは難しい。
 ・これらのことを、全て未然に図面上で検図(第三者がチェック・確認)するのは,ほぼ不可能と言える。
 ・第三者のチェックは,完全にやろうとすれば,設計者がやった全ての確認作業を行うしかない。それは不可能だ。

3.設計作業のミスを防ぐには:
 ・設計のミスを確実に防ぐには、設計しながら(設計者が自分で)確実に,検図(チェック)することに尽きる。
 ・設計ミスを発見するには、まずは確実に設計者本人が「設計作業と同時に検図・確認を行う」ことしかない。
 ・図面になってしまった段階での第三者の検図は、完全に行おうとすると,設計者本人の何倍もの時間が必要。
 ・設計者は「設計仕様を十分理解し、構造部材の材料選定と必要な設計強度計算をして」設計図面を作成する。
 ・従って、図面完成後「第三者による検図は,抜き取り検査のようなもの」で,完全なミス発見にはつながらない。

4.ミス防止の決め手は標準化:
 ・殆どの機械は従来の機械の類似設計が多い。構成要素部品ユニットは、一度使ったものを標準化しておくとよい。
 ・要するに「出来る限り既知の標準ユニットの組合せで行うようにすれば,非常に信頼性の高い機械設計が可能。
 ・使用する「各種部品・各種機構ユニット・制御回路・その他,構成機構要素類」の標準(汎用)化なのである。
 ・機械設計の90%は従来機構(従来技術)の活用が可能である。新規開発設計は概ね10%程度であると考えられる。
 ・常に機械の全てが新規設計と言うことはない。出来る限り「機構・部品の標準化」をし,その有効活用が必要。

5.設計プロセスの標準化(安全アセスメント)
 ・設計プロセスを標準化し,機構や部品は,出来る限り信頼性の確認のとれた既存技術(機構・部品・図面)を使用。
 ・このことにより、既に過去に使われ,安全と信頼性の実績が確認され他機構で構成され,安心してそのまま使用できる。
 ・本質安全化は設計開始と同時進行で行うこと。本質安全化設計は,後からでは設計のし直しになり,一般に困難である。
 ・機械全体の信頼性(設計ミス防止)の確認は,設計プロセス全体をチェックする体制(安全アセスメント)が不可欠。
 ・設計プロセス(機構・材料・強度計算・制御・部品など)の完全なチェック(安全アセスメント)が必要なのである。


   


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45.安全管理の三つの視点(人・ソフト・ハード)



1.人:
 ・人が人を管理するのが安全管理。トップや管理監督者,安全管理スタッフ,社員全員で安全管理を行う。
 ・安全管理のスタートは,まずは,やはり「人の育成」にある。全社員に言えることだが…。
 ・事業場の全員が,安全哲学(人思う気持ち)を持ち,日々「災害防止活動に積極的に参画」することが必要。
 ・安全活動(意識・行動)は,自ら考え,行動すること。「当たり前のことを当たり前にやる」だけのことである。
 ・最悪は「分かっていて行動せず」,「知らずに誤った行動をする」ことである。(根絶しなければならない)

2.ソフト:
 ・安全管理は人の管理である。人が人を管理するところに難しさがある。でもやらねばならない。
 ・事業場は人が組織で仕事をする場である。安全も組織活動があって出来ること。その為の「しくみづくり」だ。
 ・組織活動の目的は,禁止事項をルール化し,仕事を安心して(遣り甲斐をもって)出来る環境を作ることにある。
 ・ヒアリハットや各種安全ツールを駆使し,また,災害の(大小にかかわらず)再発防止に,これ努めるのが重要。
 ・組織的な活動は,ルール厳守・徹底が最重要。危険を見過ごさず,即手を打つ。全員参加が大前提である。

3.ハード:
 ・安全管理の現実的な手法は,真に「本質安全化」にある。
 ・ハード面(作業環境や機械の安全化)の活動が災害の防止に対しては即効性があり,また不可欠なことである。
 ・本質安全化や安全環境は,誰かがやるのではなく,各機械や作業環境に対する責任体制を明確にして運用のこと。
 ・とにかく安全は「徹底してハードで守る」と言うことに他ならない。再重要であり,また,最有効な最後の砦だ。
 ・ハード対応は不備が分かったら即対策。時間がなければ暫定対策で処置し,並行して恒久対策を行う事が大切。


   


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46.安全管理活動マンネリ化防止10訓



1.継続は力なり
 マンネリ化していると思っていたら、ただひたすら(やるべきことを淡々と)行うこと。結果は後から付いてくる。

2.改善・改革の手は緩めない
 安全はタダでは買えない。何もしなければ「不安全極まりない工場」とあいなる。常に「改善・改革」だ。

3.井の中の蛙にならない
 世の中の事象に常に目を向けること。工場の外の世界(世の中)から学ぶことは多い。常に広い視野で勉強だ。

4.壁は必死で突き破る
 安全管理活動は人間相手の活動。難しく,壁に突き当たること,しばしばだが,壁は当たり前。必死で突き破ること。

5.人間の特性をよく知る
 世の中で一番分からないことの一つが,我々人間自身である。災害の根源的原因である人間の特性を良く知ること。

6.人を大事にする気持ちが第一
 誰かがやってくれるものでもない安全管理。人を思う(怪我をさせない)気持ちの大切さ,これが一番重要である。

7.ゆるぎない哲学と信念を持つ
 なにごとも,真剣に取り組む姿勢や熱意なくして成し得ない。やれたとしても形だけ。安全哲学と信念を持つこと。

8.出来ない言い訳はしない
 いくらできない言い訳をしたところで,所詮前へは進まない。言い訳はせずに,出来るよう工夫をすること。

9.安全の鬼が一人いると良い
 優良事業場には「安全の鬼」と言われる人が,一人はいるものである。誰もいなければ,安全管理者が適任だ…。

10.明日とお化けは出たためしがない
 やるべきことは即実施。「明日やろう」と言うのは,やらないことと同じ、即実行。災害は待ってはくれない。


   


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47.効果的な活動を心がける



1.だらだらしていては効果なし
  何事もだらだらするのは良くない。効率よく(要領よく)メリハリをつけて活動。 
  やることが一杯あれば、どれかをまず選び、一点集中で行う。
  他のことは、それが終わってから、時期をずらして行う。
  あれもこれも、ではなく「あれか、これか」である。

2.やりたいことと,やれることを区別
  世の中何事もやりたいことは一杯ある。
  しかし、時間は有限、能力や経費にも限りがある。
  ある期間にやれることは、限られている。
  やれることにしぼってやる。意外と効果大だ。
  
3.形(形式・書式)に拘らない
  何事も中身が大事。形式や書式にこだわらなくても良い。
  ヒアリハット提案や巡視チェックでも、書式がなければ白紙のA4用紙でもよい。
  まずは「提案や気づいたこと」を書いて報告することが第一だ。
  定型書式を標準化するのは「活動が定着してきてから」でも遅くはない。

4.雛形は参考に(後で見る方が効果的)
  「巡視チェックシートやいろいろの書式」の雛形は書籍などにも掲載されている。
  だが、それらは「あくまでの一般的な汎用例」である。
  実際に有効に利用できるものは、そこの現場の関係者が考えたものでないと役に立たない。
  オリジナルなもの(独自性のあるもの)が有効だ。  

5.やり方は「簡易」から「詳しく」へ
  物事なんでもスタートはごく簡単なやり方でまずはスタートを切ると良い。
  ある程度全体像がわかったら、少し細かく体系化して行く。
  PDCAをまわしながら、次第にその仕組み(安全管理)完成させてゆく。
  何事も初めは単なことから勉強しながら、段階的にレベルを上げてゆくと良い。


   


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48.「いつかと,お化け」は出たためしがない



1.いつかとお化けは出たためしがない
  やるべきことは即実行。「いつかやる」は「やらない」と同じ。決断・行動は早く。
  特に決済の必要な書類の棚上げはもってのほかだ。一人で判断ができないときは上司に相談。
  60%主義でよいから,決めなければならないことは「早く決める」こと。
  決定内容が不完全であれば,後日見直しをし,修正決定をすればよい。決めないよりは良い。

2.とにかく行動する:調査・決定・指導
  あれこれ考えるより,直感的な判断が良いこともある。
  やってダメなら,元に戻せばよい。PCDAをまわすということ。
  何もしないより行動したほうが良いに決まっている。
  結果は後からついてくる。地道な行動こそが良い結果を生む。

3.決定したら:周知徹底は迅速に
  決めたことは即実行するとともに,全員に周知徹底を図ること。
  会議で決まったことや,話し合われたことは,全て議事録として記録しておくこと。
  決定したことは(どのようなレベルであっても)迅速に周知徹底を図ること。


   


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49.仕事に悩みはつき物(仕事は楽しく…)



1.悩むことにで進歩する
  悩みや試行錯誤で進歩し,良いものができる。
  苦労せずして,良いものなどできるはずがない。
  苦労するからこそ,その職場ならではの,よりよい改善案や解決策が出来る。

2.問題は細かく分ける
  悩み迷うことも「問題点を細分化すること」によって,少なからず進歩がある。
  全体ではなく,一部分でも良いから決める,そして,決まったことは文書化すること。
  このことで,一歩でも二歩でも問題が解決し,活動が進む。活動は小さなことの積み上げである

3.体系化・文書化
  一つ一つ決まったことが集まったら体系化する。さすれば「一つの確立された標準化」ができる。
  「標準化」したことは「文書化」し,正式に「社内標準化(ルール・規則化)」し,周知徹底をはかる。
  悩みも,内容を「細かくし,標準化にこぎつければ」完了だ。もう悩むことはない(忘れてよい)。
  あとは,次の悩みに(課題に)じっくりと挑戦してゆけば良いだけのこと。
  
4.仕事は楽しく(何事も同じ)
  悩むことがあるから,解決すべく,物事に挑戦し,結果達成できれば,遣り甲斐もまたひとしおだ。
  何も問題がない仕事なんてありえない。仕事なんて,毎日が悩みだらけといってよい。
  「仕事は楽しく」をモットーに,皆で「悩みを吹っ飛ばす」ことで乗り切れば,何てことはない。


   


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50.重要事項の決定はトップダウン



1.重要な決定はトップダウン
  重要な事柄の決定はトップダウンで決め,指示・命令事項として周知徹底を行う。
  重要事項は「その事柄に知識・経験・判断力のないメンバーの賛否」で決めてはならない。
  重要事項は「判断するべき立場の人間が決断すべきもの」である。
  決定内容の指示・命令はトップダウンでなければならない。

2.決定は事実に頼る
  安全管理における再発防止等,種々の決定は,しっかりした事実確認のもとに原因究明し実施のこと。
  決定のよりどころは,「思いや考え」ではなく、唯一「事実のみ」である。事実に勝るものはない。
  机上の空論や現場や事実確認もしないでの決定は,事実の裏づけがない砂上の楼閣に他ならない。
  事実は何事にも優先する真実でもある。事実に頼る。これしかない。

3.皆なで渡れば怖い…
  皆んなで渡れば怖くない式の決め方が,ややもすると,組織での決定の過程で起こりがちである。
  この皆んなが誰なのかが問題。決め事はその関係の専門家の助言でトップが決めなければならない。
  安全管理の知識の浅い者や新入社員等,皆の意見を参考にはしても,多数決決定で決めてはならない。
  皆んなで渡る(皆に任せる)でなく,さまざまな意見を聞き,トップが決断するやりかたが正しい。

4.文字(文書化)の力は大きい
  特に重要決定事項は必ず即文書化すること。これによって,周知徹底を迅速に図ることが重要。
  文字の力(文書化と周知徹底)は大きい。人に確実に正しい行動を起こさせる。
  決まったことを文字に記録する(文書化する)ことで,思い違いも,間違い(勘違い)もなくなる。
  決めたことは全て「議事録や文書記録」に残し,配布・回覧等により周知徹底する。
  特に,計画(年度計画・役割分担など)を明確にし,予実績の記録をとることが肝要だ。


   


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51.管理監督者の姿勢



1.管理監督者の姿勢
 ・社員を思う強い信念と哲学を持つ。
 ・高所から見る。常に高所大所から,世の中や工場内の変化を予測し,状況を感じ取ること。
 ・継続は力なりである。常に「安全の一言(オリジナルな一言)」を言い続けること。
 ・朝礼や会議では「その時々の世の中の事例などから得られる話」を訓話などで指導すること。

2.安全管理は再発防止が管理の要
 ・企業にはそれぞれ特有の作業があり,「特有の危険状態」が存在する。
 ・トップは孤独である。常日頃からのたゆまない研鑽が必要。誰も対策は教えてはくれない。
 ・答えは過去の災害の原因の中にあり,また世の中の災害事例にも常に目を配っておくことである。
 ・トップ方針を明確に表明し,それに基づいて地道な活動を全社一丸となってするしかない。

3.管理監督者の行動(後姿)が教育
 ・教育は座学が全てではない。座学は教材中心で,実際のインパクト(教育効果)が薄い。
 ・常日頃の「現場での行動や指導」が,実は真の(効果的な)教育となる。
 ・OJTなどはそのいい例である。実際の仕事の現場で仕事を通しての教育が重要。
 ・つまり社員は「常に管理監督者の後ろ姿を見ている」のである。これが真の教育である。


   


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52.企業経営と安全管理



1.企業と安全
 ・安全管理はマンネリ化するが,ひとたびことが起きると「やっぱり…」ということになる。
 ・常日頃からの活動が,安全管理を含めた,危機管理につながる。
 ・災害は忘れた頃にやってくる。(ほとんどの災害は再発である)
 ・災害発生がなくなり,安全管理の活動が暇になった,安泰な時期こそが危ない。

2.リスク管理と人材育成
 ・利益追求(&社会貢献)が企業の大きな目的(役割)であり,安全管理(リスク管理)がこれを支えている。
 ・経営管理は,安全管理とともに,企業活動の両輪でもある。安全管理は,常に企業活動の土台となっている。
 ・人材(育成)は安全管理にとっても非常に重要である。長年にわたって培われ,育成された大切な財産である。
 ・人材は企業にとって,唯一,買うことのできない財産でもある。

3.マネージメント
 ・人を動かす。これ程難しいことはない。
 ・培われた企業風土とトップの人を思う心が「人を動かす」のである。
 ・馬を水のみ場に連れて行くことはできても,水を飲ませることはできない(西洋のことわざ)
 ・人は機械ではない。人格もあり,意思もあり,感情もある。
 ・それぞれ皆,個性があり,有能である。企業の宝(人材)である。
 
4.企業と安全コスト
 ・生産効率,品質向上を常に考えた工程設定された現場において,ベースに安全管理をすえての活動がある。
 ・安全管理活動に裏打ちされた生産活動であるがゆえに,「高い商品価値・信頼性」が生まれ得る。
 ・コスト度外視で,安全管理を行うわけではない。コストも意識し,工夫し,安全管理活動を行うのである。
 ・間違ってはいけないのは,安全管理コストとリスクを天秤にかけてはならない,ということだ。
 ・安全は何事にも優先する,という思想は,ゆるぎないものである。心して物事に(何事にも)対処すること。


   


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53.マネージメント(組織活動の基本)



1.安全はマネージメント
 ・安全管理はマネージメントそのものである。
 ・安全化対策をすればよいというわけではない。
 ・世の中の災害の多くが人災(人の管理が原因)であることが,その重要性を物語っている。
 ・しっかりした人材なくして,安全管理は成し得ない。マネージメントは非常に重要な課題である。

2.危険の予知・排除
 ・危険の予知・排除は「機械はやってはくれない」。人間の経験に裏付けられた知識が必要である。
 ・それには「過去の経験から謙虚に学び,優れた人材を育成する」マネージメントが必要となる。
 ・新入社員は「育成することによって立派に成長する」のである。
 ・最初から優れた人間(人材)などいない。入社後の教育が真の社会に役立つ教育といえる。

3.危険は見えない
 ・危険は見えいない。たまに起きる危険状態は,安全巡視では発見できない。
 ・常に当該職場で仕事をしている作業者が,一番そのことを知っている。
 ・巡視などで(ただ漫然と)見るよりも,担当者から聞き出すことで(危険が)顕在化することも多い。
 ・見えない危険を顕在化する(見えるようにする)ことが,マネージメントでもある。

4.管理で見えるようにする
 ・管理とは「安全な状態を確保する管理監督者の行為全て」を言う,と言ってよい。
 ・災害が起きたら「原因の全ては管理不十分」といっても,言い過ぎではない。
 ・管理という言葉は漠然としているがゆえに「非常に大きな力と幅を持っている」のである。
 ・管理監督者が常日頃から検査しなければならないのは,言うまでもなく「管理」の仕方である。
 ・管理は指示・命令だけでなく,安全維持,危険発見,職場の状況,を常に見ていることでもある。


   


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54.人を動かす(これほど難しいものはない)



1.人を動かすのが管理
 ・トップに立つ者は,人を正しい方向に導かなければならない。
 ・ルール違反や危険な行為をしないよう,指導をしなければならない。
 ・危険な状態をなくす組織的活動(人が行う行為)を,先頭に立ってしなければならない。
 ・そこには「人を動かす」という,難しい課題が待ち構えている。

2.馬に水を飲ませることはできない
 ・「馬に水飲み場へ連れて行くことはできても,水を飲ませることはできない」という西欧の諺がある。
 ・人は皆,誰もが,他人にとやかく言われたくない「プライドや自分の意思」というものを持っている。
 ・人は「自分の意思で行動」はするが,「他人の意思で行動したくはない」ものである。それが自然だ。
 ・人は皆「自分の意思」を持っている。各人の人格や意思を尊重して「行動してもらう」のである。
 ・これができなければ「人の管理(安全管理)」は到底,出来得ない。

3.人を知る
 ・安全管理においても、マネージメントの知識なくしては、成し得ないものと考えること。
 ・それには、「人を尊重し、人を大切に思う気持ち」が大切であり、このことが「人を動かす」のである。
 ・人を知る。簡単な用でこれほど難しいことはない。人間の歴史がそのことを物語っている。
 ・こと「人の管理」になると、人間であるがゆえに難しい「永遠の課題」でもある。
 ・とどのつまりは「コミュニケーション」の大切さであり、「個々の人を知り、尊重する」ことが重要である。

4.人の意思を尊重する
 ・人には意思がある。皆固有の価値観があり,それにもとづく「人それぞれ自由な意思」がある。
 ・人それぞれの「考え方」があり,それはまた自由である。「意思」とは,その結果の表明でもある。
 ・安全管理においては「法を守り,人命えを尊重する」という考えに基づいた「意思」を持たねばならない。
 ・この点だけは「全社の全員が共有し,コンセンサスを得る」必要がある。
 ・安全管理は,法令順守が第一優先で,個々人の意思は,安全活動において有効に生かして欲しい。


   


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55.無知は怖い:知らないことを知る



1.知らないことは多い
 ・「知らないこと(分からないこと)が多々ある」ことを知る。
 ・意外と「分からないこと(知らないといけないこと)がある」ことを知らないでいることが多い。
 ・井の中の蛙にならないことが,歯止めとなる。世の中のことに対して,全方位でアンテナを張ること。

2.知らない(分からない)ことを知る
 ・知らない(分からない)ことを知るには,方法はいろいろあるが,「知ろうとする行動・努力」が大切。
 ・知る方法は,それぞれの事柄によるが,一般に「知ることは簡単」である。
 ・要は「知らないことが多いことを認識し,知ろうとすること」である。

3.知らないことを調べる
 ・分からないことがあれば,まず動く(調べる・聞く)ことである。行動に移せば,いろいろ分かってくる。
 ・調べる対象は「法令集,安全関連図書,安全管理関連の書籍,世の中の災害事例」など,などいろいろある。
 ・動かないで「机上で考えても」答えは見つからない。所轄官庁(労基署)に聞くのも,一番の解決法である。

4.無知・無経験は怖い
 ・災害が起きてから「知らなかった」では,済まされない。
 ・誰も教えてくれなかったから「知らなかった」では済まされない。そんな言い訳がきかないのが,安衛法だ。
 ・聞いて分かることは,どんどん出向いて聞く。「聞くは一時の恥,聞かずは末代の恥」とは,よく言ったものだ。


   


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56.変化を見つけだす(災害の隠れた原因)



1.人の動きで見る
 ・人の動きは正直である。危険な状態(状況・予知)を感じさせる。
 ・災害は「人+機械」で起きる。どちらかの単独な動きでは起きない。
 ・人の不安全な行動は最も災害に結びつきやすく,厳しく指導しなければならない。
 ・人の動きが「不自然,不安定」な場合,何か危険な状況が潜んでいる,と考えた方が良い。

2.危険は五感で見る
 ・現場巡視などで危険を予知するのは,理屈抜きで,五感で感じ取ることも必要である。
 ・チェックシートはその職場の問題点を予測して作成され,それだけに頼ることでは不十分である。
 ・現場の危険を見つけるには,チェックシートのみならず,全ての感覚を総動員しなければならない。
 ・管理監督者の経験に裏打ちされた五感を大いに使い,研ぎ澄ました感覚での巡視が必要となる。
 ・現場の状況は常に変化している。定型化したチェック項目のみでは,危険を見つけることはできない。

3.変化を感じ取る
 ・ただ漫然と現場を見てはならない。日々変化している(はずである)からである。
 ・現場の変化を見るには,チェックシートのみに頼ってはならない。(チェックの手段の一部であるから…)
 ・定型化されたチェックシートは,使い方次第によっては,マンネリ化し,見つけ出す力を失いかねない。
 ・変化を感じ取るには,白紙の状態のほうが,かえって,見落としがない場合もある。
 ・マンネリ化しないよう,日々種々の観点から「現場の変化を見る,危険を見逃さない姿勢」が大切である。


   


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57.見える管理(10項目)



安全管理では「見える管理」が現実の管理では、一番「災害発生の抑止効果」が大きい。
管理においては、安全状況が見えるように管理(問題点を可視化:見える化)することが効果がある。

1.管理が見える
 ・安全管理は組織活動だ。組織は管理というツールで仕事が進んで行く。
 ・人を管理することが、すなわち安全管理活動や企業活動を推進する。
 ・管理は人が人に対して行う。真実は会話(対話)で全てが分かる(見える)。
 ・人の行動や職場の雰囲気、職場の状況(安全化)などを見れば、管理の良し悪しが良く分かる。

2.組織が見える
 ・部レベルの大きな組織、課や係、班などの現場組織。組織の大小にかかわらず、職場を見れば一目瞭然。
 ・朝礼や会議の進行、決め事の決済の早さ、などなど、組織活動の良し悪しが見える部分がある。
 ・一番は、調査報告書(災害対策報告書)などで真の原因が明記されているかで、組織の活性度が分かる。
 ・管理は組織(人の集まり、共同作業)で行われる。組織活動は安全管理活動においても重要な事柄である。

3.計画が見える
 ・スローガンや目標は常に見える場所に掲示。
 ・月次報告会では、予実績管理をしっかりと行う。
 ・報告(改善や再発防止)は文章(説明)だけでなく、画像や実物、図などを用いて分かりやすい体裁をとる。
 ・各種データ(災害発生率や活動実績)などは、棒グラフなどや具体的実績数値などを用いて見える形にする。

4.行動が見える
 ・安全行動が見えるということは、逆に「危険な行動、災害に至りそうな行動」が見えることを言う。
 ・不安全行動は(概ね見れば分かるが)中には見ても分からないこともある。見えるようにすることが必要。
 ・危険な作業(保全・修理等)は、周囲に注意・喚起(看板表示など)し、見て分かる状態にする必要がある。
 ・当該職場外の部外者(安全巡視者・見学者・他)は、必要に応じて、腕章などでして見える管理が必要。

5.規則が見える
 ・紙に書いた安全管理規則などは、現実的に現場ではわからない。いちいち見て作業するわけではない。
 ・重要なポイントは、各職場及び個別の作業場に「注意点や禁止事項を掲示すること」である。
 ・日々の作業では仕事をこなすことで頭が一杯になり、安全の注意事項などを忘れがちになるのが常である。
 ・安全標語やその他、当該作業の注意点は、作業しながらでも視野に入るような位置に掲示することである。

6.活動が見える
 ・その日の作業内容は朝礼で確実に(管理監督者は)職場の全員に周知徹底させること。
 ・その他、掲示板に各人の作業内容はや、業務スケジュール、当日の達成目標、安全課題などあれば掲示。
 ・安全活動の予実績が見えるように、常に目標と注意事項及び当月の達成内容(実績)を掲示する。
 ・安全活動は、全社・各職場・個々人、それぞれ目標がある。適切な方法で明確にして見える管理をする。

7.危険が見える
 ・機械職場は勿論のこと、一般作業場においても、事務職場においても、必ず危険が潜んでいる。
 ・危険があることは問題であるが、危険を知らせないことは、もっと問題である。
 ・安全対策未完(暫定対策中)の機械やその他危険な機械は危険箇所や注意内容の表示(掲示)を行う。
 ・見て分からない危険(鋭利な部分・高温・蒸気・電気・他)などは見えるように明確な注意掲示を行う。

8.対策が見える
 ・安全対策不完全(対策予定で暫定対策中)の機械は、その旨の表示を行う。
 ・安全対策の計画(対策完了予定期日)の明確化と計画書等での明示。
 ・再発防止対策は、必ず紙に書いてデータとして残すこと。この積み重ねが防災の要となる。
 ・細かな対策(作業改善レベル)の記録を(いつでも誰でも見えるように)することが必要なことである。

9.結果が見える
 ・安全対策を実施した箇所などは、現場の作業場や機械などにおいうて、積極的にその結果をアピールする。
 ・当該職場の活動結果は他部門の参考にもなり、何より現場・現物での説明(掲示)が説得力がある。
 ・安全管理活動の結果は現場に現れるのは当然。その内容(結果)も現場で見えることが活性化につながる。
 ・事故原因の究明結果安全ルールとして決めたこと等はとにかく「文書や画像と共に、紙に書き残す」こと。

10.効果が見える
 ・安全活動の結果、効果があった活動は、他部門の参考情報として有効に活用してもらうため啓蒙掲示する。
 ・安全掲示板などにおいて、対策の前後と対策の効果、活動の経過など、掲示板などで情報公開すると良い。
 ・掲示物や改善物(物や機械部分)を当該職場で見て分かるような形が良い。
 ・効果が見えるということは一番の安全活動の啓蒙であり、やり方はそれぞれの職場での工夫があってよい。


   


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58.人を育てる(人は企業の宝)



人材の育成は、企業にとって、生産活動のみならず、その基盤をなす「安全管理活動」のベースである。
人はみな仕事を通じて育っていく。入社時からの継続的な育成によって、有能な人材が育ってゆく。

1.良さを生かす
 ・育成に当たっては各人の特性に応じた計画と実施が必要となる。すなわち個人の良さを生かすことが必要。
 ・人には長所もあり欠点もある。各人の長所(優れた才能)に目を向けて、磨きをかけることの効果は大きい。
 ・得てして人材育成においては、欠点を何とか向上させる方に目が向きがちだが、長所も大いに伸ばすこと。
 ・言い方を変えれば「各人の強みを伸ばす」と言うことにもなる。一般教育より効果は大きいといえる。

2.信念あるのみ
 ・個々人の良さや努力を褒め、向上することを信じて、育成していくことに意義がある。
 ・人を育てることは、(人を大切にするという)信念あるのみ。
 ・確固たる信念の元に、新人の育成に努力すること。
 ・そのことにより、育成者の側も、共に育つ(経験を得る)という側面がある。

3.事実から学ぶ
 ・教育は、必ず事実に基づいて行う。OJTが安全管理においては好ましいが、座学も適時取り入れる。
 ・過去の災害事例から学ぶことは必要不可欠な内容である。一般論や法令などは、それと並行して行うと良い。
 ・世の中の災害事例や事故などの事例を、グループで防止策など話し合うのも効果が大であるやりかたである。
 ・災害の再発防止や安全教育(人材の育成)は現場の過去から現在の「事実から学ぶ」こと以外にはありえない。

4.現場が人を育てる
 ・現場があるから、そこで災害も起きる。まさに勉強の(学ぶ)原点は、現場そのものであり、全てである。
 ・現場なくして人材育成はありえない。日々の仕事を通じて(安全指導は基本で)実施する効果は大きい。
 ・現場が人を育て、技能向上と共に安全意識の向上も図ってくれる。現場から学ぶことは非常に大である。



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59.百聞は一見にしかず(事実は現場にある)



安全管理において、これほど分かりやすい教訓はない。
真の情報(真実)を得るには、現場(事実)を自らの目で見て把握(確認)することが最も重要である。

1.災害の原因究明
 ・現場をまずは見る:現場には全ての災害原因がそこにある。現場をまず見て、事実を確認する事が大事。
 ・現場の状況を調べる:見て分からないこともある。管理監督者や被災者からの聞き込みをする事が大事だ。
 ・作業手順を見る:災害がどのような作業(手順の)中で発生したのか、作業内容や手順を実際に調べる。

2.優良企業の工場見学
 ・他社の工場見学は得ること(学ぶこと)が多いが、特に安全における優良企業の見学はぜひ行うべきだ。
 ・異業種で自社では出来ない活動やルールであっても、必ず参考になることが多いものである。
 ・井の中の蛙にならず、何事も視野を広くして学ぶ姿勢が大切だ。

3.他社の活動を見る
 ・同業他社の活動を見る:同業であるがゆえに具体的に(活動そのものが)参考になることが多い。
 ・異業種の活動を見る:業種が違うことで活動も異なり、かえって意外なことが参考になることがある。
 ・世の中の関連情報を見る:世の中には様々な安全活動がある。井の中の蛙にならずに勉強する(学び取る)こと。

4.日々の現場巡視の大切さ
 ・報告など紙情報は当てにならない:情報が第三者のフィルターがかかり、真実(事実)が隠れることがある。
 ・自分の目で巡視し、変化や異常を感じ取る:異常を感じ取る感覚(センス)を日々の巡視の中から習得する。
 ・現場に居ずして安全管理は出来ない:机にへばりついていては(机上の空論となり)真の情報は把握できない。

5.事実は現場にある
 ・事実を現場・現物で確認:事実を見て初めて真実が解き明かされる。事実は現場を見ることから始まる。
 ・当事者から話をじかに聞く:現場の当事者の話が一番信用できるし、真実解明の全てをつかんでいる。
 ・現場で詳細を確認(資料など間接情報に頼らない):どんな資料よりも現場が詳細に事実を教えてくれる。



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60.組織を動かす(安全管理の鬼になれ)



1.安全管理の鬼
 ・どこの会社,工場でも(安全管理が徹底して機能している事業場には)安全管理の鬼と言われる人がいる。
 ・鬼は誰でも良い:TOPでも安全管理者でも安全管理担当者でも誰でも良いが、とにかく必要だ。
 ・一般に安全管理の企業風土がしっかり根付いている会社では、鬼といわれる人間が一人はいるものである。
 ・安全管理の鬼が常に厳しい目をもって指摘・指導活動をしていってこそ、優良企業になりえるともいえる。
 ・安全は人間が作り出すものであり、規則や組織という漠然としたものが作るものでは決してあり得ない。

2.組織は動かすもの
 ・組織を動かすのは勿論TOPの強烈な指導力が必要だが、それだけでは動かない。
 ・組織は人が動かすものである。「自分が動かず誰が動くか」という強烈なリーダー(管理の鬼)が必要。
 ・組織活動に全社員が参画する。消極的参加ではなく、積極的参加が遣り甲斐があり、効果がある。
 ・全社員の意識、組織の質(企業風土)、TOPや管理監督者、安全管理部署の指導力等々が組織を動かす。

3.目標を明確にする
 ・目標を明確にして予実績管理を行う。明確な目標が組織を動かす原動力となることは明らかである。
 ・組織はとかく楽なほうへ流れる。目標は常に高く、明確に(数値などで)提示・徹底する。
 ・日々改革しなければ、ただの仲良しグループに成り下がる。改革なくして進歩無しである。
 ・現状維持は後退につながることは歴史が物語っている。常に前進(継続的努力と改善)あるのみだ。

4.動かして始めて効力を発する
 ・組織の活性化(活発に動く組織)なくして、安全管理活動は成り立たないし前進しない。
 ・TOPや管理監督者、安全管理者などの、たゆまぬ努力と全社員の安全意識のもとに組織は動く。
 ・組織は動いて初めて効力(効果)を発揮する。頭で考えるより、まずは行動することから全ては始まる。
 ・動かぬ組織のもとでは安全管理はない。組織活動によって動けば、結果は必ず後からついてくる。

5.安全管理の仕事
 ・仕事と思わずに日々研鑽し安全活動を先頭に立ってこれ勤めるべき。組織をいかに動かすかがカギ。
 ・しっかりとした計画のもとに、目標を立て、予実績管理を行う。そしてPDCAをまわして改善する。
 ・災害の再発防止がカギ:世の中からいろいろ学び、組織間のコミュニケーション力も必要となる。
 ・活動のマンネリ化:安全活動ツールの工夫をし、常にマンネリ化を防ぎ、組織活動を活性化してゆくこと。



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☆ 安全衛生関係図書のご紹介 ☆



ご参考までに「安全衛生関係図書」を下記にご紹介いたします。
他にも(業種・作業別に)多くの図書がありますが,ここではその一部にとどめます。

○ 法令集等の図書(毎年度版発行)
(1)「安衛法便覧」労働調査会(安全衛生担当者必携)
  ・第Ⅰ巻:法令・様式編
  ・第Ⅱ巻:告示・指針編
  ・第Ⅲ巻:行政通達編

(2)「安全の指標」中央労働災害防止協会   
  ・安全の指標:災害現況や安全活動の進め方等解説

(3)「安全衛生法令要覧」中央労働災害防止協会
  ・携帯が容易な「ハンディーな法令集」

○ 各種参考書
(1)「これからの安全管理」西島茂一著 中央労働災害防止協会

(2)「安全衛生の考え方進め方」森田福男/谷村冨男著 日科技連

(3)「中小企業の経営と安全衛生」中央労働災害防止協会

(4)「安全管理者の実務」中央労働災害防止協会

(5)「安全衛生推進者必携」中央労働災害防止協会

(6)「ヒューマンエラーの分析と防止」谷村冨男著 日科技連

(7)「労働災害分類の手引き」中央労働災害防止協会

(8)「安全管理のソフト学」西島茂一著 中央労働災害防止協会

(9)「安全のための心理学」正田 亘著 中央労働災害防止協会

(10)「快適工場への挑戦」長町三生著 日本プラントメンテナンス協会


   


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