アジ・ダハーカ

Azi Dahaka

悪の光輪者ドゥシュ・クワルナフという別名がある。

ゾロアスター教の悪神アンラ・マンユが生み出した最強の邪悪なものと呼ばれる3頭、3口、6眼の強大な竜である。
また虚偽の女悪魔ドゥルジに所属する存在だともいう。

千の魔術能力を持つといわれる。
これは千種類の魔術を操るのか、同時に千の魔術を使えるのか定かではないがどちらにしろ凄まじいことにかわりはない。
また文献によっては炎や毒を吐くようだ。

ダハーカが名前であり、アジは竜、蛇を意味する。

ゾロアスターの聖典アヴェスタ『ザームヤズド・ヤシュト』では、アフラ・マズダの息子にあたる火神アータルと、世界の支配者を象徴する『輝く光輪アクワルタ・クワルナフ』を巡り戦ったとされます。
それによれば善神と悪神の両陣営からもっとも素早い者を派遣したという。
それがアータルとアジ・ダハーカである。
だが結局のところ光輪は互いに威嚇しあい奪い合った末に、どちらも手に入れることが出来ずにアパム・ナパートという神の手に渡ったという。

このように凄まじき戦闘能力を誇るアジ・ダハーカですが天上の戦いにおいてスラエータオナという神の力を授かった英雄に敗れます。
しかし止めを刺そうと剣を突き刺すと傷口から蠍、蜥蜴、蛙などの有害な無数の生き物が這い出してきたという。
このままでは地上が害虫であふれるために、殺すことができず捕縛してダマーヴァンド山に幽閉したという。

10〜11世紀のペルシアの詩人フィルドウスィーの著した『王書(シャー・ナーメ)』にも登場しており、そのなかではこのような話になっている。

イランがジャムシードという王が治めていた時代、彼の信仰心を高く見たアッラーは、700年間イランでは死ぬ者を一人も出さないという祝福を与えた。
しかし王は自分を造物主とまで呼ぶほど驕り高ぶった。

そのとき砂漠の向こうにザッハークという王が現れた。
ザッハークはアンラ・マンユに唆され父を殺して王位を奪ったのであった。
王位に就いたザッハークの前に再びアンラ・マンユが現れ、両肩に口付けをしました。
するとアンラ・マンユの呪いによって両肩に龍(蛇)が生え、何度切り落としても再生する呪いが、長きに渡って彼を苦しめることになります。
医者を呼び寄せた彼は、その医者がアンラ・マンユの化身とは知らず、一日に 二人の人間の首を狩れば、呪いは解けるとの言葉を信じ、呪いを解くために 殺人を繰り返す残虐な魔王になったといいます。
もしくは最初からアジ・ダハーカがザッハークに取って代わっていたという説もあります。

そうとは知らないジャムシードに愛想をつかした部下たちは、ザッハークに忠誠を誓いジャムシードを討ち滅ぼします。

ザッハークはジャムシードの妹シャハルナーズとアルナワーズを妻にし、国を建て直し、国民の住みやすい国家を作って千年の安泰を保ちますが、徐々にアジ・ダハーカとしての正体を現していきます。

正義感の高い者や聖者は次から次へと処刑されていき、また自分の肩に生える龍の生贄を要求し民を殺していきます。

しかしファリドゥンという英雄がこれを退治しようと立ち上がった。
聖なる雄牛ビルマーヤに修行を受け、アッラーの加護を得て鍛えられた力でアジ・ダハーカに立ち向かった。

魔法や腐食性の黄色い毒液などを駆使するダハーカとの戦いは凄まじかったが、ファリドゥンはなんとか勝利をおさめる。この後、心臓をぼろぼろに刃毀れした剣で突き刺して殺したという結末と、傷口から有害な生き物が這い出して、退治できず捕縛してダマ−ヴァンド山に幽閉したという結末がある。

この後ファリドゥンはザッハークに代わって法を敷き、イランに500年の治世をもたらしたとされます。

しかし終末にはアジ・ダハーカは縛めを破り、世界の生物の三分の一を滅ぼすといわれる。
そしてクルサースパという英雄の手により今度は完全に討ち滅ぼされる宿命なのだという。

 

アジ・ダハーカはいささかマイナーな存在ですが、最近はドラゴンヴァラーというゲームでラスボスとして登場し、モンコレでも登場(ちなみにイラストは一般募集された)、ドラゴン伝説という食玩でもラインナップに入っており知名度が上がってきているようだ。
ちなみにドラゴン伝説でのデザインは三つ首で手足のない翼の生えた蛇であった・・・手足の描写はないしね。

またコミック「ドラゴンロアー」においては、ザッハークはペルシア国の宰相であり、その魔の手から逃れた王妹が中国に渡り龍使いの少女(主人公ね)に助けを求めるという話であった。
おちとしてはザッハークは壷に封印された魔竜アジ・ダハーカに取り付かれただけ?であり、その壷を売りつけたのはシンドバットである・・・なかなか面白い話なので機会があれば読んでみるといい。

自分のシナリオでは結構変わったデザインに設定してます。
手はなく、代わりに頭が生えてます・・・というか頭と手が一緒になったようなデザイン。手に頭の上半分がめり込んでるような感じといえばいいか・・・
イメージとしてはコミック「ドラゴンクエストダイの大冒険」の竜魔神化したバランの腕みたいな感じで。わかる人にしかわからない例えですが。
目は本体の頭に二つ、手の代わりの頭に一つづつ、両肩口に一個づつ。
口は本体の頭と、手の平に口があるという凄まじいデザイン・・・ちなみに本体の両目以外は魔眼だったりします。