バジリスク

Basilisk

甲賀忍法帖・・・じゃなくて(^^

古代ギリシャ・ローマで実在を信じられた、蛇の怪物。

世界中の動植物に関する話を集めたプリニウスの『博物誌』に登場し、アフリカ、リビア東部のキレナイカ地方の砂漠に生息していた とされる。
名の意味はギリシャ語の小さな王バジリスコスBasiliskosに由来するという。
博物誌によると20〜30cmくらいの毒蛇で、後頭部に王冠のような白い模様を持ち、さらにはいるだけで草木を枯らし、鳥は落ち、岩を割り、動物を死に至らしめ、大地を焼いて荒地にしてしまい、流れる川は毒の川に、槍で突けば槍をつたって毒が回り人を殺すほどの恐ろしい猛毒を持つとされる。
他の毒蛇たちはバジリスクの前を横切るには深くお辞儀をするという。(矛盾してるぞー、毒蛇だからへいきーとかいうのかー?)
移動するときは身体をうねらせることはなく、身体の中ほどを持ち上げて前に進む・・・尺取虫かこいつ?

この白い模様は、コブラなどの背によくあるもので場所的にも、エジプトコブラを指していたのではないかと言われる。
色々符合するところもあるし、話が大袈裟すぎただけかな。

天敵はイタチで、リビアの人々はバジリスクの巣穴を見つけると、そこへイタチを放りこんでいた。
イタチは毒で死んでしまうが、バジリスクもイタチの放つ悪臭で死んでしまうのだという。
・・・バジリスクの毒を考えると近づくだけでやばいんじゃ?

と思われますが、動物詩などに毒蛇とイタチ云々の場合、ヘンルーダという薬草を服用すべしとあります。
ヘンルーダはミカン科の実在する薬草で、古代から用いられてきたものです。
毒消しの効果もあり、また蛇には猛毒になると信じられていたようです。
そのためバジリスクの毒を受け付けないという伝承が出来たようです。

ここら辺はロードス島でも使われてましたね、まああっちはコカトリスで、石化を受け付けないので唯一コカトリスが食用できるものだとしてましたが。

中世のバジリスク

中世のキリスト教時代になると、姿も能力も一変します。

王冠を頂いたドラゴン又は蜥蜴、もしくは鶏冠を持つ蜥蜴、鶏と蜥蜴の合いの子のような姿で、水掻きのある4対8本 の足を持ち、10mほどに成長するという。

さらに毒を放つだけでなく石化もしくはバロールのように見ただけで相手を殺す邪眼まで使うようになっている。
ただこれは諸刃の剣のようで、この邪眼・・・鏡で跳ね返せるんだと・・・かのアレキサンダーもインド遠征の際に遭遇し部下たちの盾に鏡をくくりつけてバジリスクを取り囲み、あっさり倒してしまった話などもあるようだ・・・って毒は?
ヘンルーダでも常食しとったんかこの軍隊は!?

うーむ、どうも毒を放つタイプと放たないタイプがいるようです。
盲目の人は邪眼が効かないので飼いならせるなんて話もあるみたいですし・・・毒があればそんなの関係ないしな。

他にも雄鶏に弱く、ときの声を聞いて死んでしまったという話もある。

まあこのように、だんだん誇張されキリスト教では死の象徴として捉えられるようにな り、ついにはバジリコックという新しい怪物を生み出します。
バジリスクと古代スペイン語の鰐を意味するココトリスCocotrizを合わせた名前だとされます。
やがてコックが英語で雄鶏と解釈できることから、バジリコックは雄鶏と蜥蜴を合体させたような姿の怪物とみなされるようになったとみられます。

さらにこれはコカトリスと呼ばれるようになり、バジリスクとは区別されるようになっていきます。
コカトリスはまた別項で。

バジリスクは雄鶏が7歳になった頃に産む卵から産まれる、老いた雄鶏が糞の上に産む卵から、鶏とガマガエルの間に生まれた卵を蛇が温めるとバジリスクが誕生するなど諸説ある。

また毒蛇を食べる鳥が、毒が蓄積されバジリスクを産むという説もあるようだ。

その他

16世紀のイタリアの博物学者アンドロヴァンディの「蛇及びドラゴンの博物誌」では、バジリスクは全身がウロコで覆われた、頭に王冠をかぶった8本足のニワトリのような姿で描かれている。また、フローベルは「聖アントワーヌの誘惑」に、大きな牙を持った蛇のような姿のバジリスクを登場させている。

さて、実はバジリスクと呼ばれる生物・・・実在する。
ほれ、あの右足を前に出してそれが沈む前に左足を出し、それが沈む前に右足を・・・これを繰り返せば水の上を歩けるという方法。
馬鹿げた理論だと思いますか?でも実際にこれを実践できる生物がいるんですよ?
その生物こそグリーンバジリスクという名の蜥蜴です。
TVでたまに出てきますよね。

創作作品では中ボスや雑魚敵として扱われることが多いバジリスクですが、実際の伝承はこんなでたらめに強い怪物なのですよ。
この伝承に一番近い描かれ方をしたのは小説「魔術士オーフェン」でしょう。
砂の獣王バジリコックとして登場・・・というか話だけ出てきます。
何百年前だかに倒されてしまったそうですので・・・ですが凄まじい猛毒で結局バジリコックを倒した連中も死ぬことになったわけですが。