キュベレイ

Cybele/Κυβέλη

キュベレ、キュベレーとも。正式な発音はキュベレーの方が近い。
ギリシア語の髪の毛のある女性が語源とされる。

ローマでは大地母神の元祖としてラテン語でマグナ・マーテール・デオールム・イダエアMagna Mater deorum Idaeaイーデーの神々の母、または単にマグナ・マーテールMagna Materとも呼ばれる。
イーデーとは山の名で、ようは出身地の名前です。

元来は小アジア地方はアナトリア半島のプリュギアの大地母神クババ、グババ(クベの貴婦人)がルーツと見られ、古代ギリシャ、ローマにも信仰が広がったと思われている。
また大地の女神であるアグディスティスやレアと同一視されることもある。

新石器時代からの女神の系譜に連なっているとも見られ、非常に古い起源の女神である。
紀元前5、6千年、くらいには存在した痕跡が見られるという。

初期は単体で崇拝されていたようだが、後にキュベレーの夫は、息子アッティスとされた。
柘榴またはアーモンドを食べて産んだ、両性具有だったキュベレイが自らの男根を切り取り、その血からアッティスが産まれたなどの説がある。

嫉妬によってアッティスを狂わせて自らの性器を切り落とさせるという逸話がある。
アティスは死に、キュベレイは嘆き彼を復活させ、常緑の松と蔦がアッティスに献じられた。

季節の移り変わりなどの象徴として女神が夫を殺し、生き返らせるというのはよく聞く逸話である、それの元祖といえるだろう。

これに基づきキュベレの祭司はそれに習って関節の骨で飾った鞭で自らの肉体を打ちさいなみ、去勢するという儀式を行ったという。
キュベレを信仰する者達はこの儀式の中で、雄牛か雄羊の生贄の血を祭壇で浴びることにより、死後に新しい世に目覚めることができると信じていたという。

ちなみに後代にはアッティスの祭祀集団が結成された。

ローマでは流石にそこまでやる気はなかったようで、牛の睾丸を捧げていたようだ。

彼らは社会的に女性とみなされ、女性名詞ギリシア語複数形のガッライGallai、男性名詞 ギリシア語単数形のガッロスGallos、ラテン語複数形ガッリーGalliと呼ばれた(呼び名が注釈をつけた者によって違う

ローマでは紀元前203年に、マグナ・マテルとしてキュベレイ信仰が公式にもたらされたと記録されている。
これはいかなる外敵が戦をしかけようと、マグナ・マテルをローマに招けば退けることができるという予言があったためのようだ。
ちょうど第二次ポエニ戦争に巻き込まれていた前年の捜査で予言の言葉が見い出されたという。

最高神にして繁殖の神として予言、治療、戦での加護、獣の守護者など多方面に力を持ち、自然や野生動物(特にライオン)を体現する存在とされた。

姿に関しては特に言及はされていないが、彫刻などではライオンが供に付くことが多い。

ギリシア神話では、主神ゼウスがディンデュモン山に流した精液から生まれ、両性具有であったために去勢されて女神になったという。

小惑星のキュベレイ、さらにガンダムに登場したMSキュベレイのネーミングはこの女神から来ている。