ダマスカス

Damascus

これを神話関係で紹介するのは間違いかもしれないが、あえてここで紹介することにする。
なぜなら、ダマスカスは現実に存在しているのだ。

正確にはダマスカス鋼というべきだろう。
シリアの首都ダマスカスで作られていた鍛造鋼。

刃物の材料として有名で、絹のネッカチーフが刃の上に落ちると自分の重みで真っ二つになり、鉄の鎧を切っても刃こぼれせす、柳の枝のようにしなやかで曲げても折れず、手を放せば軽い音とともに真っ直ぐになるといまでいわれていた。

十字軍遠征の時に,西洋人は初めてこのダマスカスに出会ったといわれる。

その最大の特徴は木目のような美しい模様を持ち、西洋の王侯貴族の憧れだったが、剣を故郷に持ち帰り細かく調べてもダマスカス鋼を復元することはできなかった。
さらには現地でさえもその製造技術が失われてしまい魔法の金属のような扱われ方をした。

産業革命が起きると、錆びないという特性を持った金属は関心が高く、開発を望まれた。
そして伝説のダマスカスを再現しようとする過程でステンレス鋼が誕生することとなった。

ダマスカスも一応は開発が成功している。性質の違う2種類の金属を、鍛接し薄く延ばしてから折り返してまた延ばしというのを繰り返すことにより、普通の合金のように溶けあわせずに、木目状の美しい層を呈し、硬度と粘りが両立した金属が出来る。これがいまのダマスカス綱です。
ナイフや包丁に使われたりして、検索して調べれば販売しているところがいくつもあります。

ただこれ・・・ものによっては錆びるそうです。
本当の作り方は、非常に高温でとろとろになるまで溶かした鉄をるつぼの中でゆっくり冷やし。融点の高い部分(炭素分の少ない粘りにある鉄になるところ)が最初に固まり始め結晶化し、このまま温度が下がり続けると、結晶は枝が延びるように成長し、他の成分部分も固まり始めて、複雑な文様が出来るのだそうだ。

だが本当にこれがダマスカスなのかはもう分からない。
製法が失われて久しいのだから・・・
ひょっとすると伝説に謳われる本物のダマスカスが別に存在しているのかもしれない。