エルフ

Elf

トラックの名称・・・ではなく、アメリカを中心に活動している過激派環境保護団体・・・でもなくて、エロゲー作ってる会社・・・でもないですよ。というか、エルフで検索すると真っ先にこれが来るってどういうこと?

エルフとは固有の種族を指すものではなく、日本語でいう妖精。つまり、妖精全般を指す言葉である。
コミック「ベルセルク」のパックもエルフと呼ばれてますね。
この意味ではドワーフやトロール、ゴブリンなどもエルフになる。

一般的には、人間より華奢な体型で身長は頭一つぐらい高いか低い。
耳は長く、先は尖り、美しい姿で描かれ、不老で寿命は非常に長命で少なくても数百年、下手すると不死である。
作品によってまちまちであるがおおよそのイメージはこれで間違いないだろう。

ところがこれは、耳こそ尖っていないが大本はトールキンの指輪物語の影響が大きい。

では実際の伝承を見てみよう。

エルフとは古代ドイツ語で妖精を意味するアールヴァー、アールブálfrに由来する。
他にも古代ノルウェー語のアルファルAlfr、アルフAlfより派生。
この語源はラテン語のアルブスAlbus(白の意味)、あるいはアルペスAlpes(山)、北欧語のエルフElf(水)であるなど諸説ある。

またアールブも北欧神話の妖精のことである。

これはリョースアールブLjosalfarとデック(ディック)アールブDokkalfarに分かれる。
ようはライトとダークである。普通アールブとだけ呼ぶとリョースアールブのことになる。
リョースはアルブヘルムに住み、外見と性質は太陽よりも白く、人間に好意的だという。

デックは創作作品に登場するダークエルフの元になった・・・というと実は×
デックはドヴェルグすなわちドワーフと同一視されるようになった(別物とも)。というわけで、こっちはドワーフの項で説明する。

で、このアールブが時代が下るとともに、ケルト系の妖精と混じり妖精の総称となり、キリスト教が入るとお得意の俺達以外は皆悪魔理論が炸裂し、悪い存在になってしまいます。もう少し正確にいうと、地獄には落ちないが天国にはいけない連中だとか。尖り耳も悪魔的な要素を付加したためという説もあります。

そういう経緯もあってか、実際はあまり良いイメージではなかったりします。
具体的には妖精の中でも悪戯好きな悪ガキってイメージの言葉になってます。

スカンジナビアの伝承ではエルフは美しいが、人間を誘惑して連れ去ってしまうとされる。
まず戻ってくることはなく、戻ってきても気がふれて死んでしまうと。

デンマークでは男は老人で女は美しいが背中にすり鉢のような窪みがあるとされ、背中を見せようとはしないという。

スコットランドの伝承では、長い牛の尾を持つという・・・ただ露骨に非難すると殺されてしまうという。
だが気の利いた言い方でさり気無く注意すれば幸福にしてくれるともいう。

また踊りを踊るとエルフリングという輪が出来るという、この踊りは人間には見えないが、輪に入ると姿が見えるといわれる。
だが一緒に踊らされ、疲労死させられるか気が狂うかしてしまうともいう。

スコットランドの民謡にも妖精の少女が歌ったとされる歌唱が残されている。

エルフかインプとお呼びなら
よくよくお気をつけなさい
フェアリーとわたしをお呼びなら
たんとお邪魔を致しましょう
良いお嬢さんとお呼びになるなら
わたしは貴方の良いお嬢さんに
ああでも素敵なシーリーとお呼びであれば
わたしは貴方の素敵なお友達
昼も夜もずっとお友達

シーリーとはシーリー・コート(祝福された妖精)、つまり神に認められている存在だとアピールしているわけである。