エルフ考察

ファンタジーにおいて人気の高いエルフについて考察してみよう。

まずエルフの項で扱ったとおり、北欧神話のアールブが元であり、エルフという言葉自体も妖精全体・・・特に悪戯好きな悪ガキのような意味合いを持つ言葉である。

これがファンタジーものになるとまた異なった趣きを持つようになる。
指輪物語などに代表されるエルフである。
日本においてエルフといえば真っ先にこれが思い浮かぶだろう。
今回はそういった様々なエルフ像を取り上げてみるので、シナリオを書く際など参考にしてもらえると光栄である。

エルフは猿だったのだ!

エルフについて調べていた際に見つけたもので、又聞きになるがRPGマガジン1990年5月2日号で桐嶋 かずきという人がこのような小論を掲載したという。

一般的なエルフのイラストはエルフではなく、単なる耳のとがったかわいい女の子だと述べ、生物学的に見て猿によく似た生物だとしている。

爪や牙をもたない猿だから、自己防衛のために感覚器官を発達させた。

猿だから森に住んでいる。森の中で自由自在に活動でき、発見されにくいのもそのため。

猿だから身が軽く小柄。

猿だから、ふつうの人間には個体間の区別がつかない。

名前を受け継いでいく習慣があれば、非常な長寿と誤解されることも説明できる。

猿だから火が嫌い。

猿だから森林を開発しない。

(RPGマガジン 1990年5月2日(創刊)号、『ファンタジーRPG設定資料作成マニュアル』第3回より)

まあ、それなりに説得力のある説ではあるが、あくまでも生物学に基づいたものである。
ガメラやゴジラ辺りの怪獣なら生物学を入れればよりリアリティも増すであろうが、エルフはファンタジーである。
生物学よりも民俗学・神話学よりに設定する方が正解と思える。まあ、それは個人の自由なので参考程度に。

その方面でいけば、感覚器官が人間より高いのも、寿命が長いのもそれほど不思議ではない。
妖怪の類、自然霊のようなものならむしろ当然といえる。
人との混血についても妖怪と人間の間に生まれた子供というのはよく聞く話である。
有名なところでは雪女もそうだし、かの陰陽師「安倍清明」も母親は妖弧だという説もある、海外でも神との間に生まれた英雄の話は多いし、ヴァンパイアとのハーフという伝承も存在する。

創作作品におけるエルフ

何度も述べますが現在一般的なエルフは長身痩躯、容姿端麗、肉体的には脆弱で、生来魔術の素養がある。寿命は人間の数倍もしくは不死で、成長あるいは老化も遅いあるいは不老です。

このイメージは指輪物語から始まり、ソードワールド(ロードス島シリーズもこれ)などの作品設定が定着したものである。

ここではそういった創作作品におけるエルフの設定を取り上げてみようと思う。

ダンジョンズ&ドラゴンズ

人間よりも肉体的・精神的に優れ、生来より魔法の素質を有している。
寿命で死ぬことはなかったり、赤外線視覚を持っていたりする。その分成長が遅い。
性格は高慢で、「先端の尖った耳」と「アーモンド形の目」が特徴。

ちなみにアメリカ系の作品に登場するエルフはこれが多い。

指輪物語

神によって創造された、人間よりも高貴な種族。成熟した文化と高度な技術、そして美しい外見を持った異種族。

ソードワールド

「長命」「美しい外見」「小柄」「細身」「長く尖った耳」「つり目」が特徴。
性格はかなり幅があり、メインキャラは奔放な面が目立つが種族的には排他的なものが多いようだ。
現在の日本のエルフ像に一番近いのがこの作品・・・というかこの作品がエルフ像を固めたといってもいい。

成長速度は成人まで人間並み、以後は不老となる。

一説ではエルフの尖り耳はこの作品のせいだという。

レニフィルの冒険

今はなきコミック誌ギャグ王にて連載された作品。
一般的なエルフのイメージだが、人間嫌いの度合いは高い。
さらに成長速度は遅い=細胞の増殖が遅い。ということで少しの傷で失血しても命の危険がある。

ただし、戦闘技術に関してはそれなりに高いようだ。

スレイヤーズ

これも外見など一般的なエルフだが、成長速度は著しく遅く、成人した人間くらいの姿までになるとボケが出始めるというあんまりな設定。

変わり者のエルフ

次に創作作品に登場する変わり者のエルフについて上げてみよう。
基本的に人間に好んで関わりたがるのは変わり者のようだ。

悠久幻想曲

ヒロインのエルが唯一登場するエルフですが、少ない情報から判断するにこの世界のエルフはやはり一般的なエルフのようです。

で、このエルですが邪竜の転生体という裏設定のために魔法が使えません。代わりに怪力です。
まあ、邪竜の問題が解決した後は普通に魔法が使えるようになりましたが。

勇者カタストロフ

今はなきコミック誌ギャグ王にて連載された作品。

ヒロインのリプリィがエルフですが、まあハーフなので除外して・・・

こちらの作品も典型的なイメージのエルフですが、少々俗物的な印象を受けます。

ハーフのリプリィに汚れ仕事を押し付けたり、王様を人質にしようとしたり(王様の方も充分悪いんですが)、悪党と手を組んだり・・・主人公はエルフがこんな性分になったのも人間のせいなのかもなという台詞が印象に残ります。

ロードス島戦記

非常にメジャーな作品だけに疑問に思う人もいるかもしれませんが、ヒロインのディードリッドは変わり者のエルフです。

若い(ていっても100歳近いですが)ために好奇心が強く、ついには人間(主人公パーン)と恋人になってしまいます。
価値観もエルフと人間の中間に位置しているといえます。

特に「女性はね、この人となら不幸になってもかまわないって人を選ぶものよ。不幸になりたくないからという理由で、好きになることをためらう女性はひとりもいないわ」の台詞には感銘を受けたものです。

まとめ

まとめますと、細部の違いはあれ魔法・魔術に長けていますね。
そして非常に長命です。
身体能力に関しては作品によって違いますが、非力なのが多いですね。
そうじて直接戦闘技術は低いものが多いようです。

武具は軽装で、せいぜい短剣や細身の剣、弓矢など。
個人的には植物を大事にするという設定がある場合は、弓矢はやめた方がいいと思うが・・・材料は植物だもん。
となると戦闘は魔法がメインになりますかね。

全体的な扱いとしては、異人種みたいな感じですかね?
ファンタジーにおいては人間は基本的に単一種族で日本ではやはり黄色人種が多いですね。
でエルフはそれに対する白人みたいな位置付けに思えますね。

インパクトを狙う場合はここら辺の枠をぶっ飛ばす設定をすると面白いかもしれません。
種族的に傭兵やってるエルフとか、東方不敗ばりに格闘技術に長けたエルフとか。
ダークエルフみたいにエルフの亜種を創ると面白いかもしれません。