エクスカリバー

Excalibur

アーサー王の持つ伝説の剣。

マビノギオンと呼ばれるウェールズ伝承を収録したものの中の、「キルッフとオルウェン」でアーサー王の剣はカレトブルッフCaledfwlchとされている。
意味としては硬い切っ先だとか色々あるようだ。
これはケルト神話でクー・フーリンの友人の持っていた、硬い稲妻、硬い鞘などの意味を持つカラドボルグがモデルだともいわれる。

このエクスカリバー・・・この名前になったのは割と最近で、司祭ジェフリー・オヴ・モンマスの色んな資料を神話も史実もなんでも収録した(おお、うちのサイトみたいだ)ブリタニア列王史(12世紀の前半頃)ではこの剣の名はカリバーンCaliburn。
これは英語名、本はラテン語なのでラテン語名カリブルヌスCaliburnusが正しいかもしれない。

その後、フランスに渡りフランス国王・ヘンリー二世のお抱え詩人、ロバート・ワースによって、フランス語韻文「ブリュ物語」に翻訳。
フランス語風にカリブールに変化する。

綴りはいくつも存在するので省く。
写し間違いや勘違いによって、同じ写本でも異種つづりが出るのは常。
これで新たな解釈ができたりして・・・そこが神話の面白いところである。

で、さらにフランスの宮廷詩人クレティアン・ド・トロワの手によって、騎士文学の形に整えられ現在彼の作品とされるものが5編残っており、これがその後のアーサー王伝説のエピソードの大半を形成していく。

ここで剣の名はエスカリブールEscaliborとなる。
「そして」などの意味があるEtをEsと間違え、さらにcaliborと合体して固有名詞になってしまったという説もあるが、詳しいことは不明。

さらにこれが再び英語に訳された際に、EsがExになりExCalibourエクスカリボーになり、ブリテンに逆輸入されトーマス・マロリーが書き直した際にエクスカリバーとなった。

アーサー王は、イングランド王ウーサー・ペンドラゴンとティンタジェル公夫人イグレーヌとの間に生まれた、不義の子である。
生まれてすぐ魔法使いのマーリンにあずけられ、さらにウーサーの臣下エクター卿に託される。
ウーサーの死後後継者争いが勃発。マーリン(諸説あり)は一本の剣を石に突き刺し、これを抜くことのできた者が王になると予言した。
が、誰一人抜くことができなかった。
一方、自分が王の息子であると知らずに育ったアーサーだったが、かの剣をふとしたことで引き抜いてしまい、王として認められることになった。

この剣は、湖の騎士ランスロットを臣下に従えるときの戦いで折ってしまうが(他の人という説もある)その後、湖の精より託された剣がエクスカリバーである。
別の説では、この折れた剣を鍛えなおしたものとも言われる・・・が、この説は後付けのようだ。

というのも、マロリーがフランスで作られたアーサー王伝説を元にして自分の作品を書いているのだが、「石から剣を抜く」エピソードと、「湖の精から剣をもらう」エピソード・・・本来は別の説だったものを一つにしたことでアーサー王の剣が2本になり、さらにExは「〜から出た」という意味があるため、このような後付け設定ができたようだ。

これはマロリーの間違いとも、マロリーは別の剣として扱っていたが別の人が間違えて同じにしたなどいくつか説がある。

エクスカリバーには、鋼鉄をも断ち切る力があり、鞘には傷を癒す力と持つ者を不死にする力があると伝えられている。
エクスカリバーの力に酔いしれるアーサー王に、マーリンは剣よりも鞘の力こそが重要だと諭したという。
敵を倒すことよりも、国を守ることのほうが重要だという含みがあったのだろう。

この剣はアーサーが死をむかえるとき、臣下に言いつけ湖の精に返したそうだ。

その形状は諸説あるが、一般的に柄・鍔が黄金、両刃の長剣として描かれることが多い。

なお創作作品における登場頻度はかなり高く、聖剣の代名詞とも言える存在になっている。
剣だけの登場も多く、本来の使い手よりも有名となっている。

他の物にも名前が採用されていることも多く、マイナーなところではロボットアニメ勇者エクスカイザーの初期設定名はエクスカリバーであった。

自分のシナリオではカラドボルグと対の剣であり、あるキャラが二刀流で使ってますが、そのキャラの名はエリ・・・おっと、とにかく意外なキャラが使ってます。