ルシファー

lucifer

ルチフェル、ルシフェル、ルキフェル、ルチフェロとも。

名の意味は、光を掲げる者、炎を運ぶ者。また朝の子、明けの明星の称号をもつ。
明けの明星が輝く頃、一つの光が宇宙へ飛んでいく。それがルシファーなんだ・・・嘘です、ごめんなさい。

一般的なルシファー

最高位の天使であり、熾天使のなかでもトップ(さらに上の天使階級に属していたとも)に位置しており、神に次ぐNo.2だったとされる。
そして神からもっとも愛されていた天使であり、唯一神の玉座の右側にいることが許され、天使の中でも最高の気品と美しさを備えていた。

通常の熾天使が6枚の翼を持つのに対し、それに倍する12枚の輝く翼を持っていた。

だが神に反逆を起こし、地獄に落とされ悪魔の王サタンとなった。

これが一般的なルシファーであるが、実際はどうなのか見てみよう。

起源

語源がラテン語のluc光、fer生むからだといわれ、聖書の原典には登場していない後付の創作のようなのだ。
キリスト教文献に登場するのは405年聖ヒエロニムスがラテン語に翻訳したウルガタ聖書(普及版の意)が最初のようだ。
これにおいてLuciferは単にヘブライ語の明けの明星を意味する言葉Heylel Ben-Shachar(イザヤ書14 章12節)の翻訳語として当てられたものであった。これは本来、バビロンの王を指すものである。

その起源、モデルとなったとされるものはいくつかあるが、順番に紹介しよう。

バビロニア神話の雷鳥ズー

ギリシャ神話のゼウスの前身ともいわれる嵐の鳥で、空を飛ぶ火の蛇と言われることもある。
つまり稲妻を動物に見立てたものだったようだ。

女神ティアマートは長男マルドゥークに、魔力に満ちた天命の書板を与えたが、ズーはこの書板を欲しがり、そのために罰せられた。ズーは心の中で、「わたしは天命の書板を手に入れてやろう。そうすれば、神々の神託はわたしの思い通りになる。わたしは玉座について命令を発し、天界の精霊たちすべてを支配してやろう」と思ったのだった。

カナン神話のシャハル

これが一番有力な説で、カナン神話の明けの明星神シャハル(シャヘル)がモデルだという。

シャハルは父である至高神エルの地位を奪うため、母アシュラを娶ろうとした。母なる女神との婚姻は、至高神としての地位獲得の証であった。

だがその反乱は双子の宵の明星神シャレムによって阻まれ、天から落とされた。
ルシファー=サタンとミカエルが双子の兄弟とされるのは、この兄弟神の話から来ているようだ。

このシャハルが天から落ちる姿を表した一節を、聖書が借用してイザヤが書いたものとしたなどという説もある。

またルシファーの原型としてはエジプトやメソポタミアの神話も断片的にだが取り込まれていたようだ。
その中にはフェニックスの原型でもあるベンヌも見られる。

ルシファーとサタン

キリスト教においてルシファーはサタンと同一視されるが、その原因は前述のイザヤ書「あしたの子、ルシファーよ、いかにして天より墜ちしや」という一節・・・ルシファー(金星)を亡くなったばかりのバビロン王になぞらえたこの一節が誤解釈され、サタンに関係するとされたためのようだ。

またルカによる福音書の中に、イエスが語ったとされる「私は、サタンが稲妻のように天から落ちるのを見ていた」という一文から、ルシファーの堕天と解釈しサタン=ルシファーという図式が出来上がった。

さらにミルトンの失楽園においてルシファーを主役においたことによってこの解釈が確固としたものになる。

ルシファーの乱

ルシファーは最高の権威と力を与えられやがて驕り高ぶり、神に取って代わろうとした。
そして彼は自分に賛同する天使を集めて神に反旗を翻した。

もしくは、ルシファーは神が人間を創りこの上ない寵愛を注ぎ、天使以上の優遇を与えようとしたことに嫉妬したため反乱を起こしたという解釈もある。

また異説の一つに、神が兄弟になる御子を生みだし、御子に最高の栄誉を与えられたことがルシファーの嫉妬をあおったという解釈もある。ミルトンの失楽園では、怒り狂うルシファーの頭から罪が生まれ、この娘との間に交わって死を誕生させた。御子とは後に人類の原罪を償うために受胎して地上に降り立つイエス・キリストのことだされる。

グノーシスの考えでは、人間に智恵という光を与えるために神に逆らったとしている。

堕天使ルシファー

反乱は結局失敗に終わり、彼ら反逆の天使たちは神が彼らを罰するために創った地獄へと追い落とされ、堕天使となった。
この後、地獄に君臨したルシファーは堕天使=悪魔の王となる。
また堕天した天使たちからはかつての霊質は失われ、物質化した肉体を持つともいわれる。

失楽園ではこのあと、万魔殿(パンデモニウム)を築き、力を蓄え反撃の機会をうかがっているという。

別の説では地獄に君臨することなく、神とも悪魔とも敵対する道を選び闇に覆われた地上を照らしているとしている。

またルシファーとルシフェルは読み方、発音の違いに過ぎないが、天界にいたときはルシフェル、堕天後はルシファーと呼ぶという俗説もある。
これは多くの天使の名にもあるelエルが神を意味しておりそれを捨てたためだともいわれる。

堕天からの連想からか、民間伝承で隕石はルシファーの仕業だという言い伝えがあるようだ。

様々なルシファー観

文学において、ルシファーが登場する作品としては、神曲と失楽園が有名だろう。
失楽園はルシファーを中心に据えたため、その後のルシファーの逸話に多く関わることになる。
神曲では地獄の底で半身を氷づけにし罪人を食べている巨大な姿で登場している。
失楽園では天使の輝きは失ったが、威厳と堂々たる姿は失っていなかったとしている。

 ルドルフ・シュタイナーは、ルシファーを悪神アーリマンの敵対者であり、霊的領域に上るための力を人間に吹き込み、大地から解き放とうとする存在とした。

しかしルシファーの行為はやりすぎる傾向もあり、無責任な霊的世界への落下には時として抵抗する必要もあるとしている。
アーリマンは人間を生命のない土に変えてしまおうとするが、ルシファーが生命を与えすぎても人間は愛に満ちた大地の再生に関わることを忘れてしまうのだと。

グノーシス

グノーシスと呼ばれるキリスト教の分派がある。

これはルシファーのもたらす光こそが真の啓蒙であり、ルシファーは神に逆らって人間に智恵という光を与えてくれたと解釈する宗派である。

つまり神はアダムとイヴを無知のままにして飼っておこうと考え、知恵の木の実を食べさせなかった。
しかし、ルシファーが蛇の姿で現れ、アダムとイヴに知恵の光を与えたという。

すなわち神を悪とみなし、ルシファーこそが人間の味方であって、神が隠匿している知識を人間に明かしてくれる者と考えた。

この考えはかなり広まり、ときに啓示の神ヘルメスと同一視されることもあった。
となるとルシファー=錬金の神って解釈も出来るな。

むろんこの考えは、正統派(まあ、誰もが自分の信じるものが正しいと思い込んでるんでしょうが)のキリスト教によって異端とされ、多くのものが殺された。

また14世紀にルシフェル信徒Luciferiansという分派も存在し、ルシフェルは神と兄弟だったが、不当にも天界から追放されたとしていたと伝えられている。

まとめ

ぶっちゃけた話、ルシファーの逸話はその存在も含めすべて俗説である。
似てるから、間違えてで話がどんどん継ぎ足されて生れた存在なんだよ!!

な、なんだってぇーーーー!!??

もともとルシファーなどという天使、悪魔はどこにも存在していなかったのだ。
ヨブ記にもルシファーの名が出ているようだが、これはラテン語訳のもので良き行いをするものを表す単語に過ぎないようだ。

それを様々な神学者がだんだんと悪魔化させていったもののようだ。

ルシファー=サタンも一説に過ぎず、別存在とする学者も多い。
そもそもサタンとは敵といった意味の単語であり固有名ではなかった。
七つの大罪ではルシファーは高慢、驕りを司り、サタンは憤怒を司るとされ別物とされる(七大罪に対応する悪魔はいくつか説がある)。
他にもあるが、これについては様々な解釈があり、悪魔の王に与えられる称号という説もある。
そのためサタンにはベルゼブブ、サマエル、サタナエル、リヴァイアサンなども候補に上がる。
ここら辺はまた別項にて・・・

姿に関しても様々にいわれ、神曲では三顔三対六翼を持つ魔王として登場し、罪人を齧っている・・・なんでかね・・・悪の王なら逆に助けるもんだと思うが・・・他に齧るものがないのか・・・はっ!?地獄には食べ物がない→罪を犯して地獄に落ちる→食糧確保→だから人を罪に誘う。
つまり悪魔が人間を罪に誘うのは食料を確保するためだったんだよ!!

な、なんだってぇーーーー!!??もういいって・・・

そして有名な12枚の翼だが当然原典にはない。
だって最初はたんなる単語だもん。

ではいつのころからかというと・・・不明です・・・絵画でも六翼が多いしな。
本当に何が最初なのやら・・・情報プリーズ。

余談だが日本の切支丹にはじゅすへるの名で伝わっていたようだ。
最初の人類を堕落させた事で神の怒りを買い、鼻長く、口広く、手足に鱗、角を振り立てる凄まじき姿にされ、彼に従った多くの天使あんじょと共に中天に落とされると記されている。

創作作品の扱い

デビルマンでは同一説で描かれている。
創作作品ではこちらの説の方が採用率が高い。
因みに孔雀王では孔雀明王=ルシフェルという設定だった。サタンは第六天魔王ね。

バスタードではまだ明らかになっていないが、どうもサタンとは別存在でどちらとも敵対しているようだ。

女神転生では別存在だが、サタンが大天使で、ルシファーが魔王になっている。

ちなみにSDガンダムで、サタンガンダムの正体はブラックドラゴンであった・・・さらにその正体は騎士ガンダムと分かれた半身でもとは光の竜であった・・・子供向けとはいえなかなか興味深い。まあ、次のシリーズがアーサー王系だし・・・ あんまり深い意味はないか・・・

また格闘ゲーム「封神領域エルツヴァーユ」では魔刃シャハルという剣が登場・・・この剣をコキュートスの女と呼ぶ場面がある。

では自分のシナリオでの扱い・・・
12枚の翼を持つ最強の天使。ちなみに天使の翼の数は単純に強くなれば増えるって設定。神は108です、特に意味はないです。キリがよくてでかい数字でそれなりの意味がある数字を当てただけです。
12枚の翼を持つ存在は他にベルゼブブ、ラハブなどを含め10人、ちなみにこの数はセフィロートから。
また天界側には12枚以上の存在は現在いないとしてます。
=サタンで設定してますが、他にも色々な説を混ぜてます。
タイトルのラグナロク、主人公、バハムート等の故郷、ウロボロスなどなど色々関係してます。
ちょっとネタバレすると、シナリオ開始時にはすでに故人です・・・でも出張って来ます・・・さすが。