ラグナロク

Ragnarok

ラグナレクとも。北欧神話の最終戦争、終末の日。
神々の黄昏という訳が一般だが、これはワグナーの楽劇ニーベルングの指輪の訳が広まったため。もとは神々(世を治めるもの)の運命の意。まあ、これを詩的に表現したんでしょうが。
原語は万物の力の破壊だそうだ。

またRagnarökが本来の綴りのようで、oの上にある点々はドイツ語などで使われているウムラウトというもので、これが付くと、本来のoにeという音が加わるそうで。あんまり詳しくないですが。
だから発音的にはラグナロクともラグナレクともとれるようで・・・

ラグナロクはエッダ巫女の予言に顛末が書かれている。

ラグナロクの前触れにフィムブルヴェトと呼ばれる長く厳しい冬が訪れる。
ミドガルドは霜と氷に閉ざされ猛吹雪に見舞われ、冬が夏を挟まずに三度訪れ、更に三度繰り返される。
人心は荒廃し、親子兄弟姉妹同士が見境なく殺し合い姦淫するようになる。

そして、太陽と月が狼に喰われ(北欧神話の世界観)、星々は落ち暗黒が訪れる。
ヨルムンガンドがのたうち津波が起こり、大地は激震し山々は崩れ落ちていく。

これらの天変地異であらゆる束縛は解かれ、囚われていたロキやフェンリル等も解き放たれる。

 アスガルドには東方より巨人族が船で来襲、南方からは火の巨人スルトが押し寄せ、天地を結ぶビブロストの橋を踏み砕き進撃する。ヨルムンガンドも毒を吐き地上に迫りくるという。
水底から死者の爪で出来た船ナグルファルも死人たちを乗せ進軍、舵をとっているのはフリムという巨人。
ちなみにフリムと死人たちの関係は上明。

ビブロストの橋の番人ヘイムダルは角笛ギャラルホルン吹き、ラグナロクの到来を告げ、神々はオーディンを先頭に出撃し、最後の決戦場と定められたヴィーグリーズの広野で迎え撃った。

グンニグルを手にフェンリルと戦ったオーディンだが、力及ばず飲み込まれて最期を遂げる。
だがフェンリルもオーディンの息子ヴィーザルに口を引き裂かれ、剣で心臓を貫かれて絶命する。
雷神トールは仇敵ヨルムンガンドと激闘を繰り広げ、ついにミョルニルで頭を叩き潰すが、ヨルムンガンドに吹きかけられた毒によって力尽きる。
軍神ティールは冥府の番犬ガルムと一騎打ちになるが昔フェンリルに食い千切られ片腕のためか相打ちになってしまう。
ヘイムダルもロキと一騎打ちになり、相打ちになる。一説によれば互いの頭が相手に刺さるというわけのわからん最期のようだ。
そしてフレイはスルトと戦うが、美女ゲルズと結婚するために宝剣を手放してしまい、牡鹿の角で戦わねばならない状態になり、善戦虚しく敗れ去ることになる。

この殺戮の野で勝ち残ったスルトは世界に火を放ち焼き尽くす。
こうして世界は滅びるが、やがて海中から常に緑に覆われ種を撒かずとも穀物が自然に実る新しい大地が浮上する。そして冥府よりバルドルとホズが帰還し、ヴィーザルと兄弟のヴァーリ、トールの子モージとマグニがミョルニルを携え現れ、若き神々はこの新世界を統治する。
一方、スルトの放った劫火で唯一焼け残ったホドミールの森には、朝露で命を繋いだリーフとリーフスラシルと呼ばれる一組の男女か生き残っており、新しい人類の祖となる。

ちなみにスルトは火を放って、何をしたかったのか上明。

これがラグナロクの概要。この終末の様子は、天空に現れた巫女の予言をアスガルドの玉座にかけた大神オーディンが傾聴する形で記されている。