ルフ

Rukh/Rukhs/Roc

ルクとも。もっともロック鳥といった方が圧倒的に通りがいいだろう。

アラビア伝承に伝えられる鷲に似た巨大な鳥。
頭上に来ると太陽の光が完全に遮られるほどの巨体。

インド洋のとある島に棲むといわれ、象を一呑みにする蛇(それも凄いが・・・)を食べる、あるいは象そのものを爪で抱えて空から落とし、その死骸を食べるなどと伝えられる。

マルコ・ポーロは、インド洋のどこかにモグダンヲ島という世界最大の島があって、そこに住民たちがルフと呼んでいる巨大な怪鳥が住んでいると東方見聞録の中に書いてある。
ここで、ポーロはルフこそがグリフォンと呼ばれている怪鳥の正体だときっぱり断言している。

それには、ルフは翼の全幅が30ペース(約22.5メートル)、羽毛の長さは12ペース(約9メートル)もある巨鳥であること。
もっとも当人は巨鳥を見たわけではない。

しかし、彼がモンゴル王カーンのところに使えていた頃に使用人の一人がその鳥の羽を持ってきたことがあるという。

もっともこれはバナナだかヤシだかの葉っぱだったようだ。

他にはシンドバットの物語に登場したのが有名だろう。

ここではルフの卵が登場しており、一周するのに150歩の大きさであった。
ルフは巣を作り、つがいで活動するようでシンドバットの乗った船に同乗していた商人が卵を食べてしまった際に、報復として巨石を船に落としている。
このことから知能はかなり高いようで、人間の個体識別などもできるのだろう。

マルドリュス版アラビアンナイトでは全てのランプの魔神はルフの奴隷らしい。太陽と天空の象徴だからのようだ。

起源ははっきりとは分かっていないが8世紀頃には伝承があったようだ。
フェニックス、シームルグなどが起源の一つと思われる。

またマダガスカル島に生息していたダチョウの仲間エピオルニス(16世紀頃に絶滅)がモデルともいわれる。

 

さて、少し突っ込むと鳥類は基本的に骨がスカスカである。
これは飛ぶために極力軽量化するためであり、また羽を動かす胸筋が非常に発達している。
だからこんなとんでもない巨体では自重を支えることが出来ないので、ルフは想像も出来ない未知の身体構造をしているのだろう。
象やそれよりも重い巨石を軽々と抱えて飛ぶことから、飛行能力、積載量も相当なものだ。
察するに、体重は割りと軽いと思われる。そしてそれに反比例するように強靭で、莫大な浮力を得る翼と強大な筋力を有するだろう。
そのためルフが現れると、周囲には暴風が吹き荒れるはずだ。

あるいは魔術的な能力でもあって、斥力でも発生させているのか?