輝くトラペゾヘドロン

Shining Trapezohedron

シャイニング・トラペゾヘドロン。

トラペゾヘドロン とは偏四角多面体、四辺形体など各面が不等辺四辺形からなる多面体のことなので、直訳すれば輝く偏四角多面体になるが、和訳は何故か輝くトラペゾヘドロンとされることが多い。

まあ偏四角多面体とか言われるより、トラペゾヘドロンとした方が響きはいいですが。

なお、単にトラペゾヘドロンという場合は、ガーネットの結晶に見られる偏方二十四面体を指すことがままある。

クトゥルフ神話群に登場する謎の物品。

本体である輝く黒い多面体と、それを収める金属製の小箱からなる。

多面体は、直径約10cm程の不規則な球形、卵形に近い結晶体で、不揃いな大きさの切子面を数多く備えている。
色は漆黒で、ところどころ赤い線が入り宝石のようにも見えるが、内部から光っているような輝きをたたえている。

黄色がかった金属でできていて、蝶番の蓋がついた、非地球的な生命体を象った不均整な形状の奇怪な装飾箱の中で、金属製の帯と箱の内側から伸びている7つの腕のような支柱に支えられて箱の内面に触れ ぬように宙吊りの状態になっている。

あらゆる時間と空間に通じる窓と言われ、見つめることで邪神の世界を幻視できるが、逆に彼ら(這い寄る混沌)もこちらを窺うことが出来る。
さらに箱を閉じ闇に晒す事で混沌の彼方より這い寄る混沌の化身「闇をさまようもの」と呼ばれる存在が召喚される。

この物品自体の力か、あるいはこれを通してこちらを窺う這い寄る混沌が心を捕らえるのか、妖しい魅力を持っている。

一説によれば深きものなどへの、肉体の異形化を促進する力があるという。

かつて暗黒星ユゴス(冥王星)で造り出され、古のものが地球に持ち込んだとされる。
彼らの滅亡後、ヴァルーシアの蛇人間によって廃墟から持ち去られた後、太古のレムリア大陸で初めて人類の目に触れる。
その後、アトランティスとともに海底に没し、ミノアの漁師によって引き上げられ、ケムの商人に売り渡され、エジプトの暗黒のファラオ、ネフレン=カの手に渡った。

ネフレン=カは輝くトラペゾヘドロンを用い、邪悪な儀式に耽り歴史から抹消されたが、輝くトラペゾヘドロンはニトクリスの手に渡り、その後神殿廃墟にて眠り続けたが1843年にボウアン博士に発見され、 プロヴィデンスのフェデラル・ヒルの丘の教会を本拠地に宗教団体『星の智慧派』の信仰基盤になる。

だが邪教として1877年に解散に追い込まれ、輝くトラペゾヘドロンは閉鎖された教会跡に取り残されたままになった。

しかし1935年・・・怪奇作家ロバート・ブレイクがネタのために教会跡に侵入、輝くトラペゾヘドロンを発見。
その数週間後の嵐の日に召喚された闇をさまようものにより殺害される(死因は落雷による感電死とされた)

この事件が切欠になり、地元の医師アンブローズ・デクスターによってナラガンセット湾の深海に遺棄されました・・・

1980年にダゴン教団と新生された星の智慧派が回収活動を行ったという報告もあります。