ニトクリスの鏡

THE MIRROR OF NITOCRIS

タイタス・クロウの親友、アンリ−ローラン・ド・マリニーが唯一単独で登場する作品である。

あらすじ

ある日アンリはオカルティスト達の間では知らぬものはないという一品、古代エジプトの女王ニトクリスの所持していたという鏡を購入した。

アンリは購入した際に一緒に付いてきた失踪した前所持者ブラウン・ファーレイの日記を読み耽っていた。

それによればニトクリスの鏡は午前零時に怪異を起こすという。
女王ニトクリスもこの鏡を夜に見ることはなく布を被せちらちら見る程度に留めたという。
ブラウンの日記には鏡を手に入れてから悪夢が続き、まともに眠れない。
そして午前零時に鏡を覗き、怪異に立ち向かう、午前零時だ、今こそ布を取ると書かれそこで終わっていた。

その時、遠くで零時を告げる時計の音が響いた。

その音でふとアンリが鏡を目にしたとき、狂気が生んだ地獄めいた悪夢の産物としか思えぬ冒瀆的形状をしたなにものかが、ぶよぶよした体表が、顔があるべきでない位置にもう一つの顔がある何かが這い出し来ていた。
その顔は女王ニトクリスの肖像、そしてもう一つは失踪したブラウン・ファーレイ!!

パニックになるアンリは机の引き出しからリボルバーを取り出すと、銃弾を鏡にぶち込み気絶する。

翌日、アンリはテムズ川に鏡の破片を不法投棄

鏡の縁は火で溶かし庭に埋め、日記も燃やして風に飛ばし、主治医に睡眠薬をもらいアンリはようやく一息ついたのであった。