フィン・マックールの剣

The Sword of Finn MacCool

フィン・マックールは日本における知名度は低いといわざるをえませんが、ケルト神話ではクー・フーリンに次ぐ英雄です。

フィンの詳しい話は別項でおこなうとして、今回はフィンの所持した剣について紹介します。

フィンの剣は二振りありますが、どちらも無銘だったようです。

一振りは父親から譲られた地下世界の鍛冶屋が鍛えた名剣です。
フィンはこの剣を使って囚われていた光の神ルーフを救出しますが、彼自身は囚われて剣を鍛えた鍛冶屋の息子の奴隷にされてしまいます。

脱出のチャンスを狙うフィンはある日、鍛冶屋に「お前の父が鍛えた剣はルーフを捕らえていた鎖を断ち切るほど素晴らしいものだったが、お前にはそれを凌ぐものはつくれまい」と挑発します。
頭にきた鍛冶屋は父を凌ぐ剣を作ってお前の首を刎ねてやると剣を鍛え始めます。

隕鉄に含まれる蒼い金属を、炎と氷水と血(獅子と狐と梟を混ぜてあったといいます)で3度鍛え、ぼんやりと青い光を放ち、鋭い切れ味があり、錆びることもない剣が打たれました。
柄は仔牛の皮と黄金の糸で拵えてあり、鍔は花びらのように薄い真鍮を何枚も重ねたもので、突き通せる武器はどこにも存在しなかったという。

鍛冶屋は頭が悪かったようで、この剣をフィンに渡して試し斬りをさせます。
剣で枷を斬り鍛冶屋を倒したフィンは自由の身になりました。

ただ切れ味が鋭いだけでなく加護の力もあるようで、フィンが冷たい暗闇で過ごしたとき光を放ち温もりを与えたといいます。

ただし、この剣は闇の神の力を受けているので、闇の神がその気になれば力を失ってしまいます。

この剣は無銘ではありますが、蒼の剣などの俗称があるようです。

その後の行方は伝わっていません。