ティルフィング

Tyrhung

テュルフング、ティルヴィングTyrvingとも。

北欧神話の持ち主を破滅へと導く魔剣。北欧神話はそんな剣ばっか。偏見ですが。

マイケル・ムアコックのエルリック・サーガに登場する魔剣「ストーム・ブリンガー」のモデルとも言われています。

 オーディンの末裔である一人の王スヴァフルラーメがドヴァリン、ドゥリンの黒き小人に、
「柄もベルトも金じゃなきゃ駄目。狙いは絶対外さない。手入れめんどいから絶対錆びないように。それと鉄も石も紙みたいにスパスパ斬れる剣作れ。それ一本でどんな戦いも完全勝利って剣にしろ。出来なきゃ死刑」
という子供の我侭以外なにものでもない注文で作らせた剣。

小人はこのふざけた注文の剣を完成させるが、仕返しとばかりに王に渡すとき、「この剣は鞘から抜くたびに必ず一人の人間に死を与え、やがて持ち主も破滅させる」という呪いをかけたと言い渡した。

そんなこと言えば、普通殺されるぞ。それとも、呪いをかけてはいけないと言われなかったと言って切り抜けたのか?
呪いの剣使うやつも使うやつだが・・・

ティルフィングの形状は両刃の大剣で、柄は黄金、鞘から抜くと闇の中でも輝きを放ち、決して錆びることはなかったという。そしてその斬れ味は注文通り、鉄の鎧も紙のように斬り裂いたという。

ただ装飾に関しては記述がありません。

その後どうなったかというと、
ティルフィングを手に入れたスヴァフルラーメ王は、幾多の戦いに勝利し権勢をほしいままにしていました。

しかし、アルングリムという男が率いた軍との戦いにおいて、アルングリムと一騎打ちをし、その戦いでアルングリムに一撃を加えたが、彼が持っていた楯によって剣が滑り、ティルフィングは地面に突き刺さってしまいます。慌てて剣から手を放した隙に、アルングリムはティルフィングを奪いそのまま王に突き立てました。剣の呪いでスヴァフルラーメ王は破滅することになったわけです。

こうしてティルフィングの新たな持ち主になり、アルングリムはスヴァフルラーメ王の娘を娶り、王になりました。

その後、十二人の息子が生まれましたが、みな狂戦士だったそうです。

アルングリムの死後、剣は長男アンガンチュールが引き継いだそうです。そして彼は戦争で死に、剣は彼と共に葬られ呪いは終わったかに見えました。

アンガンチュールの娘ヘルヴォールが、男装をしてヴァイキング船に乗り込み、男勝りの戦士として各地を荒し回っていたのです。そしてある日、アンガンチュールの怨念が吹き出し、周囲には炎が燃え盛るという父親の葬られている塚へとやってくると、炎をものともせずに塚に歩み寄り、父親に剣を差し出すように要求したのです。
彼女の呼び声に応えたアンガンチュールの霊は、塚から手を出すと、生前愛用していた魔剣を娘に譲ったのでした。

魔剣の所有者となった娘は多くの敵を倒しますが、後に結婚し2人の息子をもうけたそうです。

しかし、魔剣の物語は終わりません。

彼女の二人の息子のうち、兄は穏やかで人徳のある人物でしたが、弟ヘイドレクは猛々しく狂暴だったそうで、あるとき、ヘイドレクが祝宴の席で無礼を働き家を追い出されると、弟思いの兄は一緒に付いていくことにしました。そして出ていく息子に対して、ヘルヴォールは魔剣を譲りますしかしこれが、悲劇の始まりでした。ていうか、呪いの剣なんて渡すな!!

ヘイドレクはその美しさに魅了され、剣を抜いてしまいます。 魔剣の呪いでヘイドレクは狂戦士となり、隣にいた兄を殺してしまうのです。
それからというもの、ヘイドレクの人生は戦いの一言に尽きます。敵を打ち破り、敵がいなくなると味方を裏切り・・・ 周りのもの全てを滅ぼして、ついに彼は王となるのです。王となっても彼には平安は訪れることはなく、死ぬまで戦い続けました。

魔剣を持つヘイドレクを倒すことができる者はいませんでした。しかし、ゲッツムブリンドと言う狡猾な男が、ヘイドレクを打ち破れるようオーディンに祈りを捧げると、何とオーディンがゲッツムブリンドそっくりの姿で降臨し、身代わりを申し出たのでした。

ゲッツムブリンドに姿を変えたオーディンは、ヘイドレクを訪ねると戦いではなく知恵比べで勝負しようと申し出たのです。 オーディンにしてみれば、自らの知識に優るものはいないと言う自信があったのでしょう。そして何より魔剣を危険視したためと思われます。

しかし、ヘイドレクは信じられないことに賢かったのです!!

オーディンのどんな難問も全て答えてしまうのでした。

大人気ないオーディンは、自分しか知るはずのない神々の国での出来事を問題にしました。
このことで、ヘイドレクは眼前の男がゲッツムブリンドではなく、神が姿を変えていると言うことを悟り、怒髪天を突き魔剣で斬りかかりました。

オーディンは間一髪、鷹に姿を変え飛び去ることに成功しますが、尾を切られてしまいます。伝説では、いつまでの鷹の尾が短いのはこのためだと伝えられています。

頭にきたオーディンは翌日の夜、魔法の力で暗殺者を忍び込ませ、ヘイドレクを殺してしまいます。
お、大人気ない・・・こんなだから、フェンリルに食われるんだよ。

ヘイドレクの死後、魔剣は彼の二人の息子が受け継ぐことなりました。

ところが、それぞれが結婚して離れ離れになるときになって、剣の所有を巡って兄弟の間で争いをはじめ、それが婚姻先の家をも巻き込んだ戦争にまで発展してしまったのです。アホとしか言いようがありません。
結局、魔剣を持った兄の軍が勝利します。

勝利の後、兄弟の不和がこの剣の呪いによってもたらされたことを悟った兄は、剣を捨てようとしますが、それができないのです。 剣は、所有者を破滅させるまでは決して離れないのでした。

その後、この剣の行方を知るものはいません・・・

いまもどこかで、所有者に凄惨な破滅をもたらしているのかもしれません。

ファイアーエムブレムでは聖剣として出てきます。

自分のシナリオだと、アリオクが持ってます。アリオクもティルフィングもおいしい役どころが与えられてます。

絵・・・はドット絵を描いたことがあるので、それを載せようと思ったんですがデータがどっかいっちゃいました。