ベヒーモス

behemoth

ベヘモス、ベヒモス、ベヘモット、ベヘモトなど。

ヘブライ聖書・ヨブ記に記述されている巨獣。

ヘブライ語で動物を意味するb'hemahの強調複数形が語源と見られる。
これはあまりにも巨大なため、単体でありながら複数形で呼ばれるのだという。
また牛の中の牛という意味合いもあるという。

神が天地創生の6日目、文献によっては5日目に創り出した獣であり、神にしか殺すことが出来ない。

ユダヤ教の言い伝えでは、世界の終末の日にリヴァイアサンやジズとともに食料にされてしまうという。

またユダヤの伝承ではリヴァイアサンとベヒーモスが共に海に住むことになっていたが、両者のあまりの巨体に海水が溢れ出してしまうためリヴァイアサンが海に、ベヒーモスが陸に住むことになったのだいう。
エノク書ではリヴァイアサンが雌、ベヒーモスが雄でありデンダインと呼ばれる広大な砂漠に棲み、最後の審判の時に殺しあうという。

・・・そんな巨体を陸に持ってきたら地盤沈下とか起こりかねんぞ・・・
ノアの箱舟に搭載されていたという説もあるんだが・・・さすがにこの巨体は無理だろ。

その姿は河馬に似て、尾は杉の枝のようにたわみ、骨は青銅の管のようで、骨組みは鋼鉄の棒を組み合わせたように強く、牛のように草を食べるという。
・・・いや、そんな強度じゃこの巨体の維持は出来んと思う。
神の傑作と評されているので、体重が絶妙に分散されているのかもしれない・・・そりゃ確かに傑作だ。

一説では食べ尽くしても一晩で草の生い茂る千の山に住み着き、天地開闢以来肥え続けているのだという。
この説では神はあまりの大食いに増えては大変と、雌を殺してしまったという。

メシアが現れるまで死ぬことはなく生き続けるとされるも、膨大な量の草を食べないと死んでしまうという・・・一晩で草の生える山も神が創ったってことだから、神様がそのときまで死なせないようにせっせと世話をしているのだろう。

中世辺りになるとリヴァイアサンと同じく悪魔だと考えられ、その姿はカバ、牛、サイ、象に似ている 、あらゆる大型の獣の特徴を持つなどと言われる。
また犬、像、狼、狐に姿を変えると唱えた学者もいる。
ヘブライ人を迫害したというエジプトのファラオの象徴という説もある。

地獄の辞典ではインドのガネーシャを思わせる象頭の容貌で描かれた。

詩人たちが描いたベヒーモスは穏やかな性格とされることが多かったが、グリモアの伝統においては暴食を司る悪魔であり、サタンとも目されている。
性格は陽気で温厚だが 悪く言えば鈍重で愚昧、体格は逞しい。
地獄のソムリエと酌人頭を務めているという説もあり、ひとたび暴れると無秩序な混乱を巻き起こすという。
自然そのものを象徴しているという説もある。

またバルク黙示録では、ベヒーモスは雄の魔獣、リヴァイアサンは雌の魔獣とされている。

ちなみにアラビア読みではバハムートで同じものだとされるのだが、伝承がぜんぜん違って別物になっている。

ちなみにバハムートより創作作品での登場頻度は高く、FFで雑魚敵(でも並みのボスより遥かに強い)、サンサーラナーガでは思いっきり間抜けな河馬の姿、フルメタで巨大ロボの名(特殊な力場で巨体を維持しており、力場が消失すると自壊する)、割と各所で使われている。