火烏

日烏とも。

かとりではなく、かうですからね。鳥じゃなく烏ですから・・・バーニン、ファーイバード♪

カラスはあまり知られていないが、東西で神の使いや太陽の化身として信仰されている鳥である。
もっとも徐々に零落していくのも東西で共通している。

カラスは鳥の中でもっとも知能が高く、近年の研究ではチンパンジーくらいの知能があるらしいということが分かった。
学習能力も高く、人間の顔を識別して見分けることも出来る。

そういうところから神格されたのかもしれない。

またカラスは黒色と思われがちだが、実際は深い藍や紫で筆舌に尽くしがたいほど複雑で美しい色をしている。
見事な黒髪のほめ言葉に鴉の濡れ羽色という言葉があることからもうかがえる。
もっとも神話における色は、白や赤が多い。

さて話を戻して、火烏とは中国の神話で太陽そのもの、もしくは太陽の化身を指す、瑞鳥である。

天帝の子であり、西王母に仕えているという説もある。

淮南子では広々とした東海のほとりに扶桑の神樹があり、10羽の火烏が住んでいたとされる。

この火烏は口から火を吐いて太陽になるという。
あるいは太陽を背に運ぶともいう・・・どんだけでかいんだ!?

火烏は扶桑の木の枝からから昇って、西方の若木を経て、地下の虞淵に至り太陽の運行を司っていた。

当初は順番に太陽が出ていたが、尭の時代に10羽が一度に太陽になって出てきたため地上は灼熱地獄と化した。
天帝は弓の名手である羿を派遣し、火烏を射落とさせた。
このときあまりの腕前に太陽が全て落とされることを懸念した尭が矢を1本抜き取っておいたため1羽だけが残ったという。

羿さんは見事仕事をやり遂げたわけですが、天帝は自分の子を殺されたので不機嫌です。
もう帰ってくるなと暇を出してしまいます。

不死でもなくなり天にも帰れなくなった羿さん。
奥さんにいびられ、西王母さんに不死の薬を貰います。
半分飲めば不死になって、全部飲めば天に帰れるよ・・・羿さんは奥さんと半分づつ飲んで不死になろうと思いましたが、奥さんは天に帰りたかったので一人で飲んでしまいます。

さすがにやるせなかったのか、素直に天に帰れず月に行きますが奥さんはそのとたん蛙になってしまいました(なぜ!?)

こうして中国には太陽に烏、月に蛙がいるという話になりました。

ちなみに火烏は足が三本あったので三足烏とも呼ばれます。

この3本足というのは太陽の化身のため、陰の数である偶数ではなく陽の数である奇数本にしたためともいわれるが、有力なのは地上から観測した太陽の黒点の数というのが有力説。

他の神話の烏も三本足というのはよく見受けられる。

日本の霊鳥でもある八咫烏にも大きく影響を与えたと見られる存在である。

日本サッカー協会のシンボルマークでもある・・・が、日本なら八咫烏ではないのだろうか?
確かに八咫烏の足が三本というのは俗説だが、日本でなんで中国神話を持ってくる?