百々目鬼(どどめき)

鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』(巻之下 明)に記された妖怪。

描かれた絵には、顔を隠した女の腕にびっしりと見開いた目が描かれている。

絵には、「函関外史云 ある女生れて手長くしてつねに人の銭を盗む(たちまち)腕に百鳥の目を生ず
是鳥目の精也 名づけて百々目鬼と云 外史は函関以外の事を記せる奇書也 一説にどゝめきは東都の地名ともいふ」と記載されている。

函関外史という書物も現存していないため、出典は不明。
鳥山石燕の創作とも見られている。

手が長いというのは、盗み癖があるという比喩表現。
江戸時代の金銭には雁の目に似た穴が開いていたため、お金に鳥目という異称があったという。
つまり鳥目の精とは、銭の精。
それに憑かれる手に罹る、足が付く(お金の呼び方に御足というのがある)、手に縄をかけられる。
つまり盗みをして、捕まってしまう。それが百(たくさん)。

だから早く足を洗えという二重三重の意味のある洒落だと思われる。
上手い例えだ。

またどどめきとは地名に引っ掛けているネーミングだという説もある。

創作作品ではコミック「地獄先生ぬ〜べ〜」、ゲーム「ONI」などに登場している。