ファーブニル

fefnir

ファフニール、ファフナーとも。
その名は抱擁する者を意味する。

北欧・ドイツの伝承においてもっとも代表的なドラゴンといえる存在である。

姿に関する記述は少なく、かなり巨大だというぐらいである。
一説では足のある蛇のような姿ともいわれる。
また毒竜であるともいう。
伝説を記した資料の中には、竜とも蛇ともとれる記述が混在しており、現在一般的なドラゴンの姿が定着する以前の話であるためと思われる。

あるときロキが誤って1人の男を殺してしまう。
その土地の有力者の次男であり、神々は賠償金を払うことになった。
このとき、あろうことかアンドヴァリという小人から黄金を始めとする財宝を奪い取りこれで支払いをした。
奪われるときにアンドヴァリは財宝に死の呪いをかけたにもかかわらず・・・

呪いにあてられたのが長男ファーブニル、家族を殺し財宝を独り占めにしてしまう。
それに飽き足らずついには竜になり、誰にも取られないように見張りつづけ、水を飲むとき以外は財宝から離れなかったという。

生き残った末っ子のレギンも、財宝に魅入られており兄を殺して奪おうと画策していた。

白羽の矢が立ったのがレギンの義子ジークフリート。
かつて自分の一族に伝わり、オーディンによって砕かれた剣の破片から鍛えられた名剣グラムを手にファブニールを退治に向かう。

ちなみにニーベルンゲンの指輪では、シグルドは黄金を奪われた小人の弟ミーメに育てられる。

そしてジークフリートはグラムでファーブニルの心臓を貫き財宝を手に入れる・・・
ちなみにこのとき、ファーブニルを落とし穴に落としてという話しもあるようだが・・・どんな巨大な穴だよ!?
気付けよファーブニル、落ちるなよファーブニル。
まあ、ジークフリードが穴に隠れて、ファーブニルが通りかかったところをって話もあるんでこの方が・・・
最期を悟ったファーブニルは、財宝の呪いを実感しジークフリードに宝を捨てるよう警告し、息絶える。

このとき、返り血を浴びてジークフリードは不死身になったというのは有名な伝説だが、エッダ「ファーブニルの歌」では不死は心臓を食べたことによるものとされている。
ニーベルンゲンの歌では、伝説どおり竜の血を浴びたことにより不死となるが肩の中央に月桂樹の葉が張り付いており、血を浴びなかったため唯一の弱点となったという。
この葉っぱはファーブニルが断末魔に振った尾によって落ちたともいう。

まあ、なんというか・・・ジークフリードは素っ裸で戦ってたんでしょうか?
この葉一枚分遮られたところだけ不死身ではなかったていうんですから、そりゃあもう全身に血を浴びたんでしょう・・・
服なんて着てたら・・・ねえ?
それとも何?自分で全身に血を塗りこんだの?悪趣味な・・・

この不死身だが、どうも体が鉄のように硬くなるといういわば防御力UPの効果だったらしい。
となると厳密には不死ではないってことか・・・

ちなみに血は猛毒だったという話もある。

さて、のこのこやってきたレギンはレディルという剣で心臓をえぐり、竜の血を飲んだという。
そしてジークフリードに心臓の丸焼きを作るように命じ、摘み食いするなと命じた。

兄気の心臓食うのか!?

言い付けを守るジークフリードだが、調理中に火傷をして指を加えてしまう・・・そう汁を舐めることになったのだ。
ケルトのクーフーリンも同じことやってましたね・・・
効果も同じ・・・知恵がつくのです。
鳥の言葉が理解できるようになったジークフリードは心臓を食えば誰よりも賢くなれること、そしてレギンが自分を殺そうとしていることを知り逆に返り討ちにします。