ハーピー

harpy(英)

ハーピィとも。
ラテン語ではハルピュイアΆρπυια(Harpuia)。
複数形はハルピュイアイHarpyiai。
掠め取る者、むしり取る者といった意味を持つ。

ギリシャ神話に登場する上半身が女性で、鳥の下半身と翼を持つ種族である。
翼に関しては、手の代わりに生えているという説と、手とは別に背中から生えているという説がある。
絵画や創作作品などでは前者の説の採用が多く見受けられる。

因みに後者だと、生物学的に云々言い出す輩がいるが、根本的な仮定から間違っているので相手にしないのがベストである。

老婆のように醜い顔を持っているとされ、イアソンのアルゴー号の探索やアイネイアスの放浪譚といった物語に登場したハーピーは、ゼウスやハデスの部下で禿鷲の羽根、鷲の爪を持つとされる。
彼女達は食い意地がはっており、食べ物を見ると食い漁った挙句に残飯に汚物を撒き散らして去っていくという、この上なく迷惑な連中である。
臆病だが、反面好奇心も強く悪戯好きな面が見られる。
一応、神の手下なので下手に手を出すと天罰を喰らいかねない、別の意味でも厄介な相手。

起源はクレタ島の旋風や嵐、竜巻などの精霊もしくは女神とみられており、地元のクレタ島の伝承では上記と違って美しく描かれることも多い。
また死の女神としての側面も持っていたとされる。

神話的な出自としてはヘシオドスによれば、ガイアとポントスの子タウマスと海神オケアノスの娘エレクトラの間に生まれた娘とされる。
虹の女神イリスの妹でもあり、メデューサとは従姉妹になる。

この時生まれたのは三姉妹であり、ハーピー族を統べる女王ともいわれ、醜いハーピー一族の中で例外的に美しい容姿をしているとされる。

三姉妹は

長女:アエローAello、疾風や嵐を意味する。
次女:オキュペテーOkyupete、速く飛ぶ者。
三女:ケライノーKelaino、黒雲。

となっている。

個々の神話はほとんど語られていないが、ケライノーはポセイドンとの間にカライスとゼテスという息子を儲けている。
あ、れ・・・?上の二人は・・・行き遅れ?

えー、この他にホメロスという人は、三姉妹ではなくポダルゲーPodarge、足の速い者を加えた四姉妹としている。
ポダルゲーは西風の神ゼピュロスZephyrosとの間に神馬アイトーンAithon燃え盛る馬を儲けている。

・・・結局、上の二人は行き遅れなんですね。

ゼピュロス自体は他にもハーピー一族との間に、何頭もの神馬を儲けている。

またケライノーの息子であるカライスとゼテスの二人は、アルゴー探索隊に加わっており、冒険の途中でハーピーを追い払う場面がある。

ダンテの神曲では地獄篇で、地獄第七圏第二の環・自殺者の森で、自殺した者が変容した樹木を啄ばむ怪鳥として描写されている。

創作作品では基本的にファンタジーなどで敵として登場することが多い。
作品によっては友好的に描かれるものもあるが少数派。

遊戯王だと、ドラゴンをペットにしてたりとはっちゃけてたなあ。

余談だが、イスラエルの無人攻撃機にハーピーというのがある。