ヒュドラ

Ύδρα/hydra

ヒドラ、ハイドラとも。

エキドナとテュポーンの子供。当然、ケルベロス等とも兄弟になる。
ちなみに登場順から考えると三男坊である。

レルネのアミュモネ河の水源近く(単純にレルネの泉、レルネの沼とも)に生息する多頭の竜。
もともと名前を与えられていなかったが、古ギリシャ語で水蛇を意味するヒュドラがこの怪物の名前になった。
だから正確にはレルネのヒュドラである。

頭の数は諸説あり、3本〜100本以上まで・・・基本は9本。

このレルネの泉は底無しで冥界に通じていたともいう。
つまりある意味、ケルベロスと同じく冥界の入り口の番人だったとも言える。

猛毒を持ち、凄まじい再生能力を持つ。
大きさに関する記述は特にないが、人が首を切り落とせる大きさなので、恐らくは大きくて三十メートルぐらいではと推測する。
それでもとんでもない怪物ですが。

その再生能力は首を切り落とされても直ぐに新しい首が生えてくるほどだという。
またただ再生するのではなく、その切り口から首が二つ生えてより強大になっていくともいわれる。

最期はヘラクレスによって倒されるがもっともヘラクレスを苦しめた怪物である。

そのエピソードを簡単に説明しよう。

ヘラクレスはヒュドラの吐く毒気にやられないように口と鼻を布で覆いながらヒュドラの住むレルナ湖近くの沼地にやって来た。
そしてヒュドラの巣に火矢を打ち込み、ヒュドラを燻り出し立ち向かった。
だが首を切り落としても(棍棒で叩き潰したとも)、無限に再生するヒュドラにヘラクレスも追い詰められます。
さらにヘラが送り込んだ、大蟹も加勢とばかりにヘラクレスの足を挟みます。まあこの大蟹は気付かれることもなくあっけなく踏み潰されて、やられてしまいますが。

ヘラクレスは甥(従兄弟とも)のイオラオスに助けを求めた。
イオラオスは傷口を炎で焼き焦がす方法を思いつき、焼いていった。一説にはこのために森を丸ごと焼き払って松明を用意したとも。

そしてとうとう一本の首が残ったが最後の首だけは不死身で、殺すことが出来なかった。
結局その首を巨大な岩の下敷きにし、残った胴体を切り刻み倒すことに成功する。
ここらへんはさすがにテュポーンの子だと思います。親父と似たような末路をたどったわけですが。

この後、ゼウスがヘラクレスの偉業の証としてヒュドラは星座になり海蛇座になりました。またヘラがヘラクレスを苦しめてくれたから星座にしたという説もあります。首が一本なのはヘラクレスが切り落としたためとか。ちなみに蟹も星座になってます。

ヒュドラの血は猛毒であり、ヘラクレスはこれを矢に塗って使い数多くの敵を倒したが、この毒で友人を死なせ最後には自身もこの毒で地獄の苦しみを味わい、耐え切れず自身を炎で焼き果てることになる。

結局ヘラクレスはヒュドラによって死んだのだ。

クトゥルフ神話にも同名の怪物がいますが、これは完全に別物です。

ヒュドラは実在する

このヒュドラだが実在する。

身体をバラバラにしてもそれぞれが完全なヒドラとして再生する、恐るべき再生能力を持ち、体長は10mmにも及ぶ。

ぶっちゃけた話、微生物ですが・・・刺胞動物門、ヒドロ虫綱、ヒドロ虫目、ヒドラ亜目に属する生物の総称。

 

創作作品では、多頭型ドラゴンの総称ですね。
個体名ではなく、種族名として使われることが多いです。
再生能力は高く、知能は低いと神話のイメージどおりの怪物として描かれますね。