カシマ系

カシマさん、カシマさま、カシマレイコ、仮死魔霊子などなど。
いまいち謎な存在であるのが、これだ。
派生パターンも多く、姿もいくつか、出現場所もなかなか広い。
というわけで、カシマ系と銘打って紹介しよう。

その前に一つ注意。
都市伝説系に多い、話を聞いて何々で実際にやってくる系の話なので気にする人は注意。
回れ右でも、左でもいいんで戻ってください。
まあ、自分はその手の話結構聞きましたが、やって来たためしがありません。
いえ、来てほしいわけじゃないです、むしろ来るなです。
それとも聞いた人が多いんで順番待ちなんでしょうか?

ではいってみましょう。

前述したとおり複数のパターンがあるので、ざっと書いてみます。
まずカシマ某という悪霊的な存在が現れる。
その姿は身体のどこかが(足が多い)欠損した女性が一般的だが、旧日本軍の兵士というのもある。

出現パターンは、夜中寝ているときに枕元へ立つ、夜中に家にやってきて呼び鈴を鳴らす、学校のトイレに出る、夢の中に出るというパターン。

そして、謎掛けを出し、答えないときは自分の欠損した部分の身体、酷いときにはその命を奪っていくという。
有名パターンは「足いるか」と聞かれて「いる」と答えなければ、足を奪われてしまうという。

謎掛けに全問正解すると消えてしまうそうだ。賞品は?自分の命ですか?いきなりやってきてハイリスクノーリターンで謎掛けですか、酷いですね。

またいきなり襲い掛かってくるという話もある。
このタイプは呪文で追い払えるそうで、「カシマさん、カシマさん、カシマさん」と三回唱えるか、「カシマのカは仮面の仮、カシマのシは死人の死、カシマのマは悪魔の魔」という呪文を唱えることで追い払えるという。

で、最初の注意書きの通りこの話を聞くとカシマさんが現れるという。
期間はその日のうち、三日以内、一週間以内、一ヶ月以内、一年以内、次の雨の日などなど。

正体はレイプされたうえ四肢を切り落とされて死んだ女性の怨霊とも、交通事故に遭って手足がバラバラ千切れて死んだ女性の怨霊であるともいわれ、生前の名前が「カシマレイコ」とされることも。
「レイコ」は「霊子」からきており、不吉そうな名前を選んでつけたと思われるが、「カシマ」という名は最初からだったようだ。

また「カシマさん」とは、鹿島神社のある「鹿島山」のことで、「鹿島山、鹿島山、鹿島山」と三回唱えることで悪霊から身を守ってくれるのだというのもある。ちなみに祭神はタケミカズチだ。
旧日本軍兵士(カシマさん)は予想通り戦傷で手足を欠損した軍人の怨霊であるとされる。

ではかなりパターンの多いカシマ系の話を三つほど。

トイレに現れるバージョン

パターン1

両足のない女性の怨霊で、深夜に学校のトイレに入ってきたものに対して質問し、答えられないと足を引き千切るという。
質問内容は、「私の足は何処?」と聞いてくる。答えは「名神高速道路」。次に「誰に聞いた」と質問され、「カシマレイコさんに聞きました」と答えれば、助かるという。

パターン2

夜中に、トイレに行くと「右足いるか?」と声が聞こえてくる。
「いる」と答えなければ足を取られるという。続いて「左足いるか?」と聞かれる。さらに質問は続き、「この話、誰に聞いた?」と聞かれる。「カシマさんに聞いた」と言うと危害を加えられないが、きちんと答えないと祟られるという。またこの話を聞いた人は同じ話を五回、五人に話さなければならないそうだ。

夢の中に現れるバージョン

パターン1

 夢の中にカシマレイコと言う女性が現れる。そして「足要るか?」と訊ねてくる。
ここらへんは前述したのと同じですね。「要る」と答え「カシマの”カ”は仮面の”仮”、”シ”は死人の”死”、”マ”は悪魔の”魔”」と言う呪文を唱えれば助かるという。この話を聞いた場合、三日以内にカシマレイコが夢に現れると言う。

パターン2

レイプされ殺された女性バージョン。
ある女性が加古川駅付近で数人の米兵にレイプされ、両腕・両足の付け根に銃弾を叩き込み道路上に放置したまま立ち去りました。
医者に発見され両手足を切り落とすことを代償に一命を取りとめたものの、女は生きることに希望が持てず加古川線の鉄橋上へ車椅子で散歩につれられた際に隙を見て車椅子を倒し、体を捩らせ鉄橋の上から走ってきた列車へ身投げ自殺しました。

線路中で肉片の収集をしましたが、不思議なことに首から上の部分の肉片は全くみつからなっかたとのことです。
しかし時代が時代、数日経過するとその事件を覚えている者はほとんど居なくなりました。
事件が起こった数ヶ月後のある日、朝は元気だった者がなぜか変死を遂げる事件が多発するようになりました。
それも一軒の家庭で起こるとその近所で事件が起こるといった具合です。
事件が起こった家庭への聞き込みで共通点が浮かび上がりました。

それは死亡者は必ず死亡日の朝に、昨日夜におかしな光を見たというのです。
実際に当時の新聞にも記載された事件であり加古川市では皆がパニックになりました。
加古川所では事件対策本部がおかれ事件解決に本腰が入りました。
そこである警察官が事件が起こった家庭を地図上で結んでみると、あることに気がつきました。
なんとその曲線は手足も首もない胴体の形になりつつあったのです。
こうなると当然 次はどのあたりの者が事件に遭うか予測がつきます。
そこで前例にあった光を見た者は警察に届け出るように住民に知らせました。
やはり曲線上の家庭では光を見たといい死んでいきました。
しかし実は光ではなかったのです。
死者の死亡日の朝の告白はこうでした夜、なぜか突然目が覚めました。
するとかすかな光が見え、見ているとそれはますます大きな光となります。
目を凝らしてみると何かが光の中で動いているのが見えます。
物体はだんだん大きくなりこちらへ近づいてきます。
その物体とはなんと首も四肢もない血塗れの胴体が肩を左右に動かしながら這ってくる肉片だった。
ますます近づいてくるので怖くて目を閉じました」というのです。
次からもその同じ肉片を見た者は必ず死にました。

そこで次は自分だと予想した者が加古川市と高砂市の間にある鹿島神社でお祓いをしてもらいました。
すると「暗闇のむこうに恐ろしい恨みがあなたを狙っているのが見えます。
お払いで拭いきれない恨みです。どうしようもありません。
唯一貴方を守る手段があるとするならば、肉片が這ってきても絶対目を閉じずに口で鹿島さん、鹿島さん、鹿島さんと3回叫んでこの神社の神を呼びなさい」といわれました。

夜、やはり肉片は這ってきましたが恐怖に耐え必死に目を開いて「鹿島さん」を3回唱えました。
すると肉片はその男の周りをぐるぐる這った後、消えてしまいました。
通常、話はこれで終わりますが、やはり恨みは非常に強くその男が旅へ出てもその先にて現れました。
その後その方がどうなったかは知りません。
ただ非常にやっかいなことにこの話は、もし知ってしまうと肉片がいつかはその話を知ってしまった人のところにも現れるということです。

というバージョンがある。当時の新聞に載ったなど、非常に眉唾物である。

またカシマレイコという名前は、「口裂け女」の本名だとされることも。

カシマ系の都市伝説は謎が多い。何故カシマなのか?
どうしてそうなったか?ルーツは?どうして聞いた人のところに来るのか?
何らかの元になる話があり、それに他の都市伝説が混じったものなのかもしれない。

かの地獄先生は、この話を聞いて怖がるとその想いが霊を縛りつけ成仏できなくなるからとしていた。