窮奇きゅうき

向こうの発音だとチョンジーかな。

中国神話に登場する怪物、四凶の一体。

四凶の中では一番影が薄いかもしれない。

有翼の人食い虎で、頭から人を喰らうという。
五帝の一人、少昊の不肖の息子の霊が邽山けいざんに留まって変化したともいう。

以上が海内北経という書物での説明で、現在創作品などでの窮奇の一般的なデザインである。

前漢初期の神異経でも、翼の生えた虎とされ、人語を解するとされた。
また喧嘩している人がいれば正しい方を喰らい、誠実な人がいればその鼻を喰い、悪人には獣を捕まえて贈るとしている。

他にも、窮奇の翼は 足の付け根から生えているともいわれる。

一方、中国最古の地理書山海経では虎ではなく、針鼠の毛が生えた牛とされ、邽山に住み、犬のような鳴き声をあげ、人を食べるものとされている。

日本では、鳥山石燕が窮奇と書いてカマイタチとルビを振って描いている。
石燕は妖怪画の中に見立てや洒落を盛り込んでいるので知られている。
だが当時ならばもしかすると、ごく当たり前に分かったことかもしれないが、現在ではどういう意図があったのか知られていないものも多い。

窮奇かまいたちもその一つであるが、 淮南子という書物で窮奇は広莫風*吹き起こすと あり、風の神ともみられていたと思われる。
同じ風に関わる存在であり、日本の知識人が、中国にいるものは日本にもいると考えていたため両者が結び付けられたのではないか?という説がある。