モロク

Moloch

モレクMolech、メレクMerekとも。

その名はヘブライ語の王を意味する。

出土されたモロクのブロンズ像は、玉座に座る人の体に子牛の頭を持つ異形の姿であった。
ヨルダン川東岸に住んでいたアモン人の崇めた神であり、その後イスラエルでも崇められるようになる。

生贄を要求する神であったが、ソロモン王の時代では人間を捧げることを禁じていたようだ。

だが次第にそれも廃れ、人間が生贄に捧げられるようになる。
この風習は国家規模であり、モロクは生贄を捧げる代わりに様々な恵みを与えると信じられ、特に王の初子が生贄として好まれたという。
一説ではモロクとは神の名ではなく、この儀式の名だとも言われる。また生贄ではなく夭折した子供を葬る儀式、つまり火葬であった可能性もあるという。

シンバルやトランペット、太鼓などが鳴らされ、その中で親たちが生贄となるべき子供を業火の中に放り込み、子供たちの泣き叫ぶ声は周囲の喧騒にかき消されたという。

エルサレムの近くのトペテという場所のヒノムの谷の神殿で行われた。ここは儀式を行うために作られた場所だった。
またこの一帯はゲヘナと呼ばており・・・この儀式から地獄、特に炎の地獄と同義にされるゲヘナのルーツである。
現在も地獄の業火はゲヘナの火と呼ばれる。

この儀式はユダヤ教が広まるとしだいに(それでも最初は行われていたようだ)廃れていき、モロクも悪魔とされた。

ユダヤのラビ(律法学者)によれば、モロクの像の中には、七つの戸棚があるとされた。
一つ目には小麦粉が捧げられ、二つ目にはキジバト、三つ目には牝羊、四つ目には牝山羊、五つ目には子牛、六つ目には牡牛、そして七つ目には子供が置かれて、火が焚かれ、燃やされたという。

キリスト教ではゲヘナ(地獄)の底には真鍮で出来たモロクの象があり両手を広げ、地獄に落ちてくる罪人を待ち構えているという。
このモロク象の内部は空洞になっており、まるで炉のような構造になっています。
胸などには独房のような部屋が幾つも有り、罪人たちは底へ放り込まれ地獄の業火に攻められ、モロクはこれを見て微笑むのだとされています。

また最初からか、この頃からなのかは不明ですがモロクは生贄をとるために長い腕を持つとされます。

ユダヤ・キリスト教はモロクを散々に非難している。
列王記ではアモン人の憎むべき神、レビ記では自分の子を誰一人として火をくぐらせモロクに捧げ神の名を汚してはならないとしている。

ミルトンは母親の涙と子供の血に塗れていると称している。

現在は悪魔の中でもっとも残忍な存在とされている。
そしてルシファーの副官で、有力な悪魔の一人なのだと。

またモロクはカルタゴの神バール・ハモンのことではないかとする研究もある。
またソロモンの悪魔の一柱、マラクスのモデルだとも言われる。

・・・創作作品ではなにか出演してたかな?
自分のシナリオでは、炎の悪魔として登場・・・こちら側の炎使いと一騎打ちをしますが・・・いえ好きなんですよ、こういう目には目を的な同能力対決って。