ミストルテイン

mystletainn

これを武器と呼んでいいものかどうか・・・
というのも特に特殊な能力を持っているわけではないのだ。

北欧神話の光の神バルドルは、誰からも愛される人格者だった。
ある時彼は、自身の死を告げる恐ろしく不吉な夢を見て、苦しむ。

心配した神々・・・特に母フリッグは、世界中のすべてのものにバルドルを傷つけないことを誓ってもらった。
そう、炎も水も岩も動物も病気すらもバルドルに害をなさないと誓った。
無機物や病原菌にまで誓わせるとはさすがは神である。

バルドルが何をしても傷つかないことを確かめた神々は、面白がって色々なものを投げる遊びを思い付いた。

面白くないロキは老婆に化けてフリッグに近づき、本当に何もかもが誓いを立てたのか尋ねる。
フリッグは誓いを立てるには若すぎるという理由で、ヴァルハラの西に生えている宿り木を抜かしてしまったことを洩らしてしまう。

さっそくロキはその宿り木を手に入れるとバルドルの盲目の兄弟ホズに近づき、何故バルドルに物を投げる遊びに加わらないのかと尋ねた。

盲目でバルドルのいる場所が分からないし、武器も持っていないからだと答える。
ロキは彼に宿り木を持たせ、バルドルのいる方を教える。
言われるままにホズは宿り木を投げ、バルドルはそれに貫かれて死んでしまったのである。
耳無しほういちみたいである。
この話は傷つける意思がなかろうと、武器を遊び半分で人に向けるなという教訓だろうか?

神々は死の国からバルドルを取り戻そうとした。
死の王は世界中の全てがそれを望むならとそれを許した。
恐らくはフェンリルやヨルムンガンドも誓ったのだろう・・・だがただ1人ロキだけが誓わなかったためにバルドルは生き返ることはなかったのである。

このようにミストルテインは武器ではなく、だたの宿り木の枝だったのである。
誓いを立てなかった・・・そう唯一つ特別ではなかったのである。

 フレイザーの金枝篇では、アーリア民族が樫の樹を神聖視しており、樫は炎を宿しており、太陽の炎は樫の炎から補充されるという考えが合ったようである。

太陽の炎=樫の炎=光神=バルドル=樫の樹

つまりバルドルとは樫の樹の神格だったという推論である。

そして樫に生える宿り木は、樫の葉が落ちても青々と葉を茂らせている。
このことから、樫の樹の命は宿り木にあると考えられた。

金枝篇では、命を外部に移して安全な場所に保管しておくという伝承をいくつか挙げて、バルドル=樫の樹の命とは宿り木ミストルテインであり、バルドルの肉体をいくら攻撃しても死ぬことはないが、命であるミストルテインを投げつけらたので、死んでしまったのだとしている。

 

武器としては矢か槍の類になるだろう。
剣として登場することもあるが、宿り木をわざわざ剣として仕立てたとは考えづらい。

ちなみにミストルテインとは古ノルド語で宿り木を意味する普通名詞。

自分のシナリオではグングニルとミョルニルが融合した武器にしようかと・・・検討中。