逆さ柱とも。
建築物を建てるときに用いられる木製の柱が、樹木本来の上下逆に設置されることを指す。
こういう柱は気の流れを乱し、家相や運気に悪影響を与えるとされる。
また柱が妖怪と化し、柱からは葉の妖怪が生まれるという言い伝えもある。
鳥山石燕 『画図百鬼夜行』でも妖怪として描かれている。
古来より逆柱にされた木は、夜中になると家鳴り等を起こすとも言われていた。
そして前述の通り、家運を衰微させ、火災などの災いや不吉な出来事を引き起こすと言われ、忌み嫌われていた。
これらの言い伝えは、逆柱を戒めるためのものであるが、どのような理由から逆柱が嫌われたのか?
まず自然とは逆向きに柱を建てるということが、精神的に良い気分がしないというのが一つ。
では物理的にはどうか?
建築士の父に聞いてみたところ・・・
同じ太さに切り揃えた所で、密度が違う。
そのため本来生えていた方向と逆にすると、強度的に問題が出る(そのときは良くても、何十年もすると違いが出てくる)とのこと。
しかし魔除けのためにわざと逆柱にすることもある。
日光東照宮の陽明門が有名で、彫刻の向きが一本だけ逆になっているためそれと分かる。
建物は完成と同時に崩壊が始まるという概念から、逆柱にすることで未完成の状態として災いを避けるというお呪いなのである。