瘴気しょうき

μίασμα/miasma

ミアスマ、ミアズマ。

ギリシア語で不純物、汚染、穢れを意味する。
瘴は熱病や生む風土を意味する。

また瘴気によって起こるとされた流行性の熱病を瘴疫という。

古代ギリシアのヒポクラテスが提唱した一説。
瘴気説、ミアズマ説と言われる。

病気は穢れた空気などにより発生するという考え。
瘴気は気体または霧のような物質と考えられ、穢れた水、沼地や湿地から発生し、人間がこれを吸うと体液のバランスを崩し病気になる。
そして瘴疫を起こした人間も瘴気を発し、周囲の人間を感染させる、病を引き起こす空気とされた。

近代までインフルエンザ、コレラ、赤痢、天然痘、敗血症、ペスト、マラリア、癩病などは瘴気によるものだとされている。

マラリアなどは古い伊語で悪い空気という意味のmal ariaから来ている。

中国でも遅くとも唐代には、穢れた水が瘴の原因らしいと認識されていたようだ。

17世紀イギリスのトーマス・シーデナムは、天然痘、赤痢、敗血症、ペストなどを瘴気が起こす病気として挙げた。
また瘴気は地球内部から発生すると主張している。

19世紀イギリスのエドウィン・チャドウィックは、瘴気説を根拠に下水道の整備を訴えた。
アメリカのジョン・ゴーリーは、空気中の瘴気を除去するために、氷冷式エアコンを発明し病院に導入している。

大局的に見れば瘴気の考え方は、特定の感染症などに対しては、そう間違ってはおらず公衆衛生において一定の成果を上げている。

逆に古代ローマのヴァロは、瘴気とは気体ではなく微小な動物だと主張した。
確かにマラリアは蚊を媒介するので、真実といえるが主流にはならなかった。

16世紀イタリアのジローラモ・フラカストロも、病気が伝染する原因は、微小な生物である接触性伝染体contagium vivimとの接触によるものだと提唱した。
これを接触性伝染体説、コンタギオン説という。

その後、1674年にアントニ・ファン・レーウェンフックが微生物を発見すると、微生物がそうではないかという推測がなされた。
ルイ・パスツールが細菌による発酵と腐敗を研究した結果、接触性伝染体の正体は細菌だとする説を主張した。

1876年、ロベルト・コッホが、炭疽症の病原体と推測されていた炭疽菌が実際に病原体であることを実験で証明した。
その後も次々と感染症の病原体が発見され、瘴気説は否定されることとなった。

創作作品、取り分け ファンタジーなどでは、瘴気が有毒な気体や、精神的・魔法的なものとして登場するものが多い。
風の谷のナウシカに犬夜叉などが代表だろう。

その他に、RPGなどでは魔界の空気にされたり、瘴気で満ち満ちたダンジョンなどがあったりして、進入に瘴気を防ぐ道具が必要だったり、瘴気の発生源を止める必要があったり、強引にダメージを受けつつ移動する必要があったりするものだなあ・・・

取り敢えず自分とこのシナリオでは・・・障りを起こす呪いの類としてます。