朱の盆(しゅのぼん)

会津の諏訪の宮(現在の福島県の辺り)に現れたという妖怪。

朱の盤(しゅのばん)首盤(しゅばん)とも。

新潟県に朱盤としても伝わっている。

江戸時代中期の古書、老媼茶話に記された物の怪であり、話の内容から狐などの狐狸の変化、あるいは物の怪や九十九神の類と思われるが姿が鬼に似ているので、鬼の項目に収録させてもらった。

その姿は顔一面朱を塗ったように赤く、皿のような目、額に一本の角、髪は針のようで、口は耳まで裂けているという。
夕暮れ時、25、6歳の若侍が頻繁に怪物が出没するという諏訪の宮付近を歩いていると、後ろから同年輩の美しい侍がやって来たので喜んで道連れとした。
道中の話題に出没する朱の盆に話が及び、若侍がその物の怪をご存知ですかと聞くと侍は、おおかたこんなものでしょうと言ってひょいと振りかえった。
その顔は真っ赤な顔、皿のような目、額には一本の角、針のような髪、耳の脇まで裂けた口、まさしく話の物の怪そのものであった。

それを見た若侍は一時間ばかり気を失った後、どうにか近くの家にたどり着き、出てきた女房に一杯の水を所望した。
若侍の様子がただごとでないので、何事か尋ねた。
若侍は朱の盆に出くわしたと話すと、女房はそれは大変な目に会いましたね。時に、朱の盤とはこんな顔でしたか?と言って振り向くと、その顔は先ほどの朱の盤の顔そのもので若侍は再び気を失い、その後しばらくして死んでしまったという。

というようなのっぺらぼうに酷似した話である。

また越後三条南郷談に記された話では、越後の見附町付近の青石塔に出没し、その下にある富豪が埋めた金を掘り出そうとするものを悉く阻んだという。

とまあこんな感じの正体がよく分からん、どマイナーな怪物である(それを紹介してる俺はなんだろう・・・
遭遇したものが死んでいたりするが、精気を吸い取ったりしているかは不明。
単に恐怖によるショックのせいとも考えられる。
ここから考えるに日本の典型的な人を驚かせる妖怪の一種といえるだろう。

ちなみに伝承としてはマイナーではあったが、ゲゲゲの鬼太郎でぬらりひょんの部下としてレギュラーキャラになったため有名になってしまった。
・・・しかし奴は初登場時、ぬらりひょんとため口をきいていたと思うが・・・いつの間に部下になったのか・・・