名誉牧師あいさつ
                     
                                             
                                                                             
               
  
 今年で改革派静岡教会が、この地に伝道を開始して五十年が過ぎました。
 この度、インターネットのホームページを開設するにあたて、最初の開拓伝道から四十年間、この働きにあずかった者として、五十年間支え、導いてくださった神様とその恵みに心から感謝するとともに、読者の皆様に心からのご挨拶をさせていただきます。
 現在、私は静岡教会から離れた自宅(伝道開始から十三年間、会堂として用いられた建物です)で個人的に聖書塾を開いています。そこで、テープや電話などで聖書の学びや、盲人・障害者の方たちの相談の傍ら、盲人信徒の集会などを持って、引退後の日々を過ごしております。
          静岡 泉町の自宅前にて鶴江夫人と    それでは自己紹介をかねて四十年間、静岡教会の牧師として、この教会の誕生と歩みをお話し、神様のすばらしいお導きを語ることにします。
 私は1925年台湾で生まれ、八歳で内地に戻り、福岡・長崎・秩父・横浜と父の勤めのため転々とし、旧制横浜一中、旧制横浜高工に進みましたが、終戦の年の五月、横浜空襲で不発弾に触れ負傷、瞬時に全盲となりました。
 学校は九月に卒業となりましたが、失明寸前の二月に父を失っており、病弱の母と二人だけで戦後の混乱期を生き延びていました。不安と苦しみの中でラジオを通してキリスト教に触れ、新約聖書「ヨハネによる福音書」9章の、生まれつき盲人の物乞いの人について「彼が盲人として生まれたのは、親の罪でも彼自身の罪の結果でもなく、ただ彼の上に神のみ業が現れるためである・・・」と語られたイエス・キリストのみ言葉に、生きていく光と力を与えられました。
 47年5月、母の死と友に岐阜の親戚に移りました。その秋に受洗し、当時盲人のキリスト教活動の先進地であった大阪のライトハウスで、障害者福祉の先覚者岩橋武夫先生のお世話になり、48年4月神戸改革派神学校に入学しました。
 51年、卒業と同時に岐阜女子医専(現在の岐阜大学医学部)を卒業した姉妹と結婚し、福井県を経て香川県の坂出伝道所に赴任しました。妻も医師として保健所に勤めながら伝道を続けました。
 
 翌年、娘が誕生したこともあって両親からの勘当が解け、妻の実家のある静岡で開拓伝道ができればという幻が与えられました。東京・名古屋間には当時改革派教会がなかったので、最初の教会を作ることができれば素晴らしいと考え、坂出伝道所を辞して静岡に移りました。
   53年11月1日の日曜日から礼拝がスタートし、静岡に初めて改革派の伝道所が設立されることになります。同時に教会学校・諸集会・盲学校のバイブルクラス・病院伝道も開始されました。妻は保健所勤務の後乞われて静岡盲学校理療科専任医師・校医となり、伝道を支えてくれました。
 そのうち、内外の諸教会・宣教師の先生方の厚意で会堂のための土地も与えられ、バイブルクラスの卒業生のための小さな盲婦人ホーム治療所、そして最初の小さな会堂も与えられました。ついで全国も盲人信徒のための点字・カセットテープによるキリスト教専門の点字図書館を教会内に設置しました。
                             
 そして伝道開始後あしかけ15年、67年4月30日の日曜日に改革派静岡教会の設立式が中部中会の3名の特命委員を招いて行われました。東京・名古屋間に改革派教会を設立するという幻がようやくかなったことになります。
  
  この時期には恵まれる出来事が重なりました。静岡伝道所の浜松在住の会員が日曜日の午後に守っていた集会が4月に中部中会管轄の伝道所として正式に認められます。また、同様に吉原にもたれていた集会が認められ、現在は吉原富士見伝道所として着実に歩みを続けています。79年秋には現在の建物である静岡教会・盲人伝道センター統合館も与えられました。
 なお、娘は静岡教会出身のの田村英典牧師と結婚しました。彼は現在淀川キリスト教病院伝道部で奉仕をしています。
 
 私は引退のころ、盲人伝道センター図書館の蔵書で、ある有名な神学者の著書に出会い、そこからまた新しく神とキリストについての信仰の確信と喜びを与えられ、日々この広汎な書物から学ぶ喜びを与えられております。夫婦とも働ける限り働き、語れる限り神のみ言葉の喜びを人々に証し、述べ伝えたいと願っております。
 過ぐる五十年の間、主がともにいて教会を導いてくださったことを感謝し、これからの静岡教会と盲人伝道センターのため、なお一層のお祈りとお力添えをお願い申し上げます。