健康保険から受けられる給付の種類と概要
(政府管掌健康保険)
〜あなたは、もらえるものをもらっていますか? 給付申請は忘れずに〜
健康保険の給付は、業務外の「病気」「ケガ」「死亡」「出産」を対象にしています。
健康保険では、治療費のほかに傷病手当金出産手当金埋葬料などの給付も行われています。しかし、これらは申請してはじめて支給されるものであり、申請しなければ何にももらうことはできません。〈申請は、忘れずに〉

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健康保険と労災保険のちがい

健康保険 事業所等で働く人たちを被保険者として、被保険者及び被扶養者の、労災保険法に規定する業務災害以外による病気・ケガ・死亡、出産に対し給付を行うための保険です。(ただし、法人の役員としての業務を除く)

参考条文(健康保険法) 平成25年10月1日施行
第1条 この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
労災保険 正式には「労働者災害補償保険」といいますが、労働者が業務上と通勤途上におけるケガ、病気、死亡場合、労働者と遺族に対し給付を行うための保険です。

業務上でケガや病気などを労働者が被ったときは、「労働基準法第八章」で定めているとおり、その労働者の治療費や休業・障害補償などは、使用者が負担しなければなりません。労災保険は、その負担すべき補償保険といえます。



 
健康保険給付の種類
被保険者本人(一部扶養家族を含む)に対し次のようなものがあります。

1. 医療保障
療養の給付 病気やケガの診療費で、通常の場合は3割の自己負担をしなければなりません。
ただし、個室に入ったり、健康保険で認められていない薬、注射を受けたときは保険外診療となりますので、その差額又は全額が自己負担となります。
入院時食事療養費 入院したときの食事費です。入院して食事療養費を受ける場合は、食事費の一部(標準負担額)を負担することになります。
入院時生活療養費 介護保険との均衡の観点から、療養病床に入院する65歳以上の者の生活療養(食事療養並びに温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養をいう。)に要した費用について、保険給付として入院時生活療養費を支給されます。
入院時生活療養費の額は、生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して算定した額から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況等を勘案して厚生労働大臣が定める生活療養標準負担額(所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の状況をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に軽減して定める額)を控除した額となっています。
 被扶養者の入院時生活療養にかかる給付は、家族療養費として給付が行われます。
保険外併用療養費
「評価療養・選定療養」
平成18年10月1日より、従前の特定療養費制度が見直しされ、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な「評価療養」と、特別の病室の提供など被保険者の選定に係る「選定療養」とに再編成されました。
この「評価療養」及び「選定療養」を受けたときには、療養全体にかかる費用のうち基礎的部分については保険給付をし、特別料金部分については全額自己負担とすることによって患者の選択の幅を広げようとするものです。
訪問看護療養費 難病患者、末期のがん患者、重度の障害者などで、病状が安定して居宅にて継続的に療養を受ける状態の患者が、訪問看護ステーションから派遣される看護師などから受ける療養上のサービスです。このサービスを受けるときは、かかりつけの医師に申込みを行わなければなりません。
療養費 健康保険では、健康保険証を提示して診療を受けるのが原則ですが、海外で診療を受けたとか、資格取得届けの提出が遅れたため自費診療を受けたなど、何らかの事情で、自費で診療を受けた場合に「療養費支給申請書」を提出することにより、その費用について療養費が支給されます。
柔道整復師等からの施術 整骨院や接骨院で骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合に保険の対象になりますが、骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。
ただし、単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません。
移送費 入院が必要で、転医する場合に歩くことが困難なためタクシーなどを利用した場合にそのタクシー代などが支給されます。具体的には、負傷した患者がその場から医療機関に緊急に移送された場合、医師の指示により緊急に転院した場合などが該当します。申請は「移送費請求書」を提出します。
高額療養費 療養の給付(医療費)を受けるときは、医療費の3割の一部負担金を負担しなければなりません。その一部負担額が規則で定める一定額(自己負担額)を超えた場合に、超えた額のお金が支給されます。

保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。

被保険者、被扶養者ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢及び所得に応じて計算されます。
高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月内に同一世帯で21,000 円以上の自己負担が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額が支給されます。(世帯合算)
なお、同一人が同一月内に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21,000 円以上ある場合も同様です。(70〜74歳の方がいる世帯では算定方法が異なります。)
なお、同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が変わります。(多数該当)
高額介護合算療養費
世帯内の同一の医療保険の加入者について、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担(高額療養費及び高額介護(予防)サービス費の支給を受けることができる場合には、その額を除く。)(※1)を合計し、基準額を超えた場合(※2)に、その超えた金額を支給されます。 
※1 医療保険・介護保険の自己負担額のいずれかが0円である場合は支給しません。また、入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。
※2 その超えた金額が501円以上の場合に限ります。

1. 生活保障
傷病手当金 被保険者が傷病のために休業し、賃金が支給されなかった場合に支給されるものです。申請は「傷病手当金支給申請書」を提出します。
なお、任意継続被保険者の方は、傷病手当金は支給されません。ただし、健康保険法第104条による継続給付の要件を満たしている者は対象となります。

3. 葬祭費用
埋葬料又は埋葬費 埋葬料は、被保険者が死亡したとき、被保険者により生計を維持した者で、葬儀を行う者に、埋葬費は生計を維持した者がない場合で埋葬を行った者に支給されます。申請は、「埋葬料(費)支給申請書」を提出します。

4. 出産育児費用
出産育児一時金・家族出産育児一時金 被保険者が妊娠4ヶ月以上で出産したときに一時金で支給されます。(出産には、早産、死産、人口妊娠中絶、流産が含まれます。)申請は、「出産育児一時金請求書」を提出します。

また、被保険者が、被保険者の資格を失ってから6ヶ月以内に出産された場合にも、被保険者期間が継続して1年以上ある場合には、出産育児一時金が支給されます。


5.出産した人の生活保障
出産手当金 出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)以内、出産後56日以内の期間中で仕事に従事できなく賃金を受けなかった日ついて、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。申請は、「出産手当金請求書」を提出します。
なお、任意継続被保険者の方は、出産手当金は支給されません。ただし、健康保険法第104条による継続給付の要件を満たしている者は対象となります。


6.被扶養者への給付
家族療養費 被扶養者の病気やけがについては、家族療養費が支給されます。その給付の範囲・受給方法・受給期間などは、すべて被保険者に対する療養の給付と同じです。
保険診療として家族療養費の支給を受けることができない場合には、現金給付として家族療養費の支給を受けることができますが、この場合には、被保険者に対する療養費と同じ条件が必要です。

また、入院時食事療養費、入院時生活療養費と保険外併用療養費は、家族療養費として給付されます。
高額療養費 被保険者と同じです。
高額介護合算療養費 被保険者と同じです。
家族埋葬費 埋葬の費用の一部として被保険者に家族埋葬料が支給されます。ただし、死産児については支給されません。
家族出産育児一時金 被保険者と同じです。




退職後の健康保険給付

1) 傷病手当金・出産手当金を受けている人が退職した場合
資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人は、退職(資格を喪失)したときに、現に受けていた傷病手当金及び出産手当金を引き続き受けることができます。
傷病手当金は1年と6か月間、出産手当金は出産前後合わせて原則98日間の範囲内で、支給を受けることができますが、この期間から在職中の間にすでに支給を受けた残りの期間について受けることができます。

2) 退職後(資格を喪失した後)に保険給付を受ける事由が生じた場合
死亡に関する給付(埋葬料又は埋葬費の支給)
@ 傷病手当金又は出産手当金を継続して受給しているものが死亡したとき
A 傷病手当金又は出産手当金を継続して受給しなくなってから3か月以内に死亡したとき
B 退職(被保険者が資格を喪失)して3か月以内に死亡したとき
出産に関する給付
退職の日(資格を喪失する日)の前日までに、継続して1年以上被保険者であった人が退職の日(資格喪失の日)後、6か月以内に出産をしたときは、被保険者として受けられる出産育児一時金及び出産手当金が受けられます。



保険給付が制限されるとき

以下のような場合には、保険給付の制限または調整が行われることになっています。
故意の犯罪行為又は故意に事故をおこしたとき
けんか、よっぱらいなど著しい不行跡により事故をおこしたとき
正当な理由がなく医師の指導に従わなかったり保険者の指示による診断を拒んだとき
詐欺その他不正な行為で保険給付を受けたとき、又は受けようとしたとき
正当な理由がないのに保険者の文書の提出命令や質問に応じないとき
感染症予防法等他の法律によって、国又は地方公共団体が負担する療養の給付等があったとき
第三者行為による場合
自動車事故など第三者の行為による傷病で、健康保険で治療したときは、かならず「第三者行為による傷病届」を保険者へ提出しなければなりません。事故証明書、および示談が成立していれば示談書なども添える必要があります。届書をすぐには作成できないときは、口頭でも電話でも、早めに保険者に届け出ておき、後日できるだけ早く正式な書類を提出することになります。
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