建設業(有期事業)の労災保険手続き

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建設の事業は、初めからその事業期間が予定され工事が完成することによって終了します。
これを「有期事業」と呼んでいます。




建設業の労災保険

A 建設業は二元適用事業として「労災保険」および「雇用保険」とが別個の事業として取り扱われます。

建設現場
労災保険 取り扱う
雇用保険 取り扱わない


B 建設業の事業単位
事業単位 工作物等が完成するまでの作業全体が一つの事業単位

マンション等の建築工事は、その工事が開始されるごとに労災保険の加入手続が必要

例外 ただし、工事の請負金額が1億9千万円未満で、かつ、概算保険料額が160万円未満のものは一括して一つの事業として一つの労災保険関係を成立させ、継続事業に準じて取り扱うことになっています。
これを「有期事業の一括」といいます。

したがって、建設工事開始ごとに労災保険の手続が必要なのは、一括有期事業に該当しない建設工事の現場となります。


C 建設工事における下請事業者の取扱い

建設工事が数次の請負で行われる場合は、工事全体を一つの事業として取り扱われます。
したがって、次の※を除き、その建設工事において元請負事業者が使用する労働者および下請負事業者が使用する全ての労働者についての労災保険料を納付しなければなりません。

下請負事業の分離
上記の例外として、以下の条件に適合し都道府県労働局長の認可を受けた場合には、その下請負人がその下請負事業の事業主となることが認められています。ただし、この場合でも労災保険の料率は元請負事業の労災保険料率と変わりません。
条件
@ 概算保険料の額が160万円以上又は請負金額が1億9千万円以上であること
A 保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に元請負人と下請負人が共同で「下請負人を事業主とする認可申請書」の所轄の労働基準監督署を経由して都道府県労働局長に提出すること


D 保険料の算出方法

原則
その事業の全期間に使用するすべての労働者に支払われる賃金の総額に、その工事に該当する労災保険料率及び一般拠出金率を乗じて計算します。

例外
下請負人が多ければ多いほどその工事全体の支払い賃金を正確に把握することが困難な場合に特例として請負金額に「労務比率」を乗じた額がその工事における賃金総額とされています。
計算式
労災保険料(一般保険料)=請負金額×労務比率×労災保険料率
一般拠出金        =請負金額×労務比率×一般拠出金率

注意
請負金額とは、請負金額そのものではありません。
工事の注文者等から支給される工事用の資材や機械器具等が貸与された場合は、その支給された価格相当額又は機械器具などの損料が請負金額に加算されますので注意が必要です。ただし、一部の工事用物の価格は加算されず、請負金額に工事用物の価格が含まれている場合には、その価格を差引いた額が請負金額てして計算します。


参考
建設事業の労災保険料率・労務比率(平成18年4月現在)

番号 事業の種類 平成24年4月1日以降の工事
労災保険料率 労務比率
31 水力発電施設、ずい道等新設事業 89/1000 18%
32 道路新設事業 16/1000 20%
33 舗装工事 10/1000 18%
34 鉄道又は軌道新設事業 17/1000 23%
35 建築事業(既設建築物設備工事業を除く) 13/1000 21%
38 既設建築物設備工事業 15/1000 22%
36 機械装置の組立又は据付の事業
 組立又は取付けに関するもの
 その他のもの
7.5/1000
38%
21%
37 その他の建設事業 19/1000 23%


建設事業の工事用物表

事業の種類 請負金額に加算されないもの
機械装置の組立又は据付の事業 機械装置




建設事業(有期事業)における保険関係成立届の提出及び概算保険料の申告・納付

工事開始時における手続
保険関係成立届 事業開始日から10日以内に、工事現場所在地を管轄する労働基準監督署へ
概算保険料申告書提出・保険料の納付 事業開始日から20日以内に、工事現場所在地を管轄する労働基準監督署か都道府県労働局または日本銀行(本店、支店、代理店又は歳入代理店(銀行、信用金庫の本店・支店、郵便局)に、概算保険料とともに提出
なお、申告書を労働基準監督署又は都道府県労働局へ申告書を提出し、その後に銀行から概算保険料を納付することも可能


工期の中間における手続
増加概算保険料申告書 すでに報告した賃金総額の見込額が2倍を超えて増加し、かつ、その賃金総額による概算保険料額と申告済みの概算保険料額との差額が13万円以上となったときは、その日から30日以内に提出
名称、所在地等変更届 すでに申告した次の事項に変更があった場合は、その日から10日以内に提出
@事業の名称又は所在地
A事業主の住所(法人の場合は主たる事務所の所在地)又は名称・氏名(法人の場合は名称のみ)
B事業の種類(労災保険率適用事業細目表のよる)
C事業の予定期間

建設事業(有期事業)における確定保険料及び一般拠出金の申告・納付

工事が終了したときの手続
確定保険料申告書 事業廃止又は終了した日の翌日から50日以内に申告済みの概算保険料を清算及び確定保険料申告に併せて一般拠出金を申告・納付
確定保険料の額が概算保険料の額よのも多い場合は、追加納付する必要があり、少ない時は還付請求をすることになります。


メリット制の適用について
メリット制適用の規模 確定保険料の額が40万円以上または請負金額が1億2千万円以上、立木の伐採事業は、素材の生産量が1,000立方メートル以上の場合にメリット制が適用
メリット率 メリット収支率に応じ、確定保険料額の40%(立木の伐採事業は35%、建設業または立木の伐採事業で年度中の確定保険料額が40万円以上100万円未満の事業は30%(一括有期事業))範囲内で増減
※一般拠出金については、メリット制は適用されない




概算保険料の延納
延納の条件 概算保険料の額が75万円以上で、かつ、工事の全期間が6ヶ月を超えるもの

延納方法

事業の全期間を通じて次の各期に分けて納付することができます。
ただし、工事を開始場合の第1期の概算保険料の納期限は工事を開始した日から20日以内です。

第1期 毎年4月1日〜7月31日 第2期 8月1日〜11月30日 第3期 12月1日〜翌年3月31日
      納期限 3月31日     納期限  10月31日 納期限  翌年 1月31日


各期の途中で工事が開始された場合
事業が開始された日(保険関係が成立した日)からその日の属する期の末日までの期間が2ヶ月を超えるときは、事業が開始した日からその日の属する期の末日までを最初の期とします。
その日の属する期の末日までの期間が2ヶ月以内の場合は、次の期の4ヶ月と合わせた期間を最初の期とします。

延納の場合の端数処理
延納をする場合の納付額は、概算保険料の額を期の数で割った額が、各期の納付額となります。
その額に端数が生じた場合には、その端数は第1期分に加えることになっています。


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