基本手当(雇用保険求職者給付)




基本手当の受給要件 受給資格の決定 基本手当の日額 所定給付日数 受給資格者とは
受給期間 60歳時等の特例 育児・介護休業の特例 給付日数の延長
給付制限 不正受給返還命令


 
基本手当の受給要件

基本手当は、雇用保険の被保険者が離職して、就職の意思および能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態にある場合で、

離職の日以前1年間(1年間に疾病、負傷等の期間があった場合には、最長4年間。また、当該1年間に短時間労働被保険者であった期間があった場合には、その期間に1年を加えた期間)に賃金支払基礎日数が14日以上の月が6ヶ月以上であったときに基本手当が支給されます。

平成19年10月1日以降に一般労働者と短時間労働者の被保険者区分が廃止され、基本手当の受給資格要件が一本化されています。
平成19年10月1日以降に離職された方の基本手当受給要件はつぎのとおりです。
特定受給資格者
(倒産・解雇等により離職された方)
過去1年間に被保険者期間(賃金支払基礎日数が各月11日以上)6ヶ月以上あること
一般離職者 過去2年間に被保険者(賃金支払基礎日数が各月11日以上)12ヶ月以上あること



同一の事業主の適用事業に引続き雇用された期間に被保険者区分の変更があった場合には、その区分の変更があった日の前日に離職したものとみなすこととされています。
これを「みなし離職」といいます。



 

受給資格の決定

受給資格とは、公共職業安定所長が基本手当を受給できる資格がある者と認定することをいいます。

受給資格者であると認定される3つの要件
@ 離職により被保険者でなくなったことの確認を受けたこと
A 労働の意思および能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること
B 算定対象期間(離職の日以前2年間)に被保険者期間(賃金支払基礎日数が各月11日以上ある月)が通算して12ヶ月以上あること
ただし、特定受給資格者については、離職の日以前1年間に、通算して6ヶ月以上あること


基本手当を受けるためには、上記の受給要件を満たしているほかに、その人が公共職業安定所に出向き、求職の申込みをしたうえで、失業の認定をうけなければなりません。

求職の申込み 居住地を管轄する公共職業安定所で行わなければなりません。

公共職業安定所は、基本手当を受けようとする人が離職票を提出して求職の申込みをしたときに、その人が受給要件をみたしているか否かを判断して、受給資格を決定することになっています。
離職票を2枚以上持っている場合には、そのすべてを提出する必要があります。

受給資格の決定を受けた場合に、公共職業安定所長から「受給資格者証」が交付されます。



 

基本手当の日額

基本手当の日額
被保険者期間として計算された最後の6ヶ月に支払われた賃金の総額を180で割り、その人の賃金日額を算定し、その賃金日額に、その賃金日額に応じた率を掛けて基本手当の日額が算出されます。

賃金日額に応じた率 45%〜80%(低所得者には高く、高所得者には低く)
なお、給付率の範囲となる賃金日額は、前2年間の国の統計に基づく労働者の給与額の増減により、毎年8月1日に変更されます。

基本手当日額の上限
29歳以下 6,365円
30歳以上45歳未満 7,070円
45歳以上60歳未満 7,775円
60歳以上65歳未満 6,777円
平成19年8月1日現在


賃金日額について
賃金日額を算定する場合には、未払い賃金なども含まれます。しかし、退職金、賞与は含まれません。
賃金が、日給、時間給、出来高給そのた請負制等によって支払われる人については、労働した日1日に支払われた賃金額の70%を賃金日額を最低限としています。



 

所定給付日数

基本手当の給付日数には上限が設けられ、離職時の年齢、離職事由、被保険者期間、就職困難者か否かにより以下の表のとおり定められています

@ 一般の離職者(AおよびB以外の理由の全ての離職者。定年退職者や自己都合退職者)

  被保険者であった期間
全年齢共通 10年未満 10年以上
20年未満
20年以上
90日 120日 150日


A 障害者等の就職困難者

  被保険者であった期間
1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45〜65歳未満 150日 360日


B 倒産、解雇等により、再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされたもの
<特定受給資格者>
  被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 90日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 90日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日



 

特定受給資格者とは

「倒産」等により離職した者
@ 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立又は手形取引の停止等)
A 事業所において大量雇用変動の場合(1ヶ月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者および当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
B 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む)に伴い離職した者
C 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

解雇」等により離職した者
@ 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により離職した者
A 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
B 賃金(退職手当を除く)額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引続き2ヶ月以上となったこと等により離職した者
C 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べ85パーセント未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る)
D 離職の直前3ヶ月に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間(各月45時間)超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
E 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
F 期間の定めのある労働契約の更新により、3年以上引続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
G 期間の定めのある労働契約(当該期間が1年未満のものに限る。)の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったこと(1年以上引き続き同一の事業主の適用事業に雇用されるに至った場合を除く。)により離職した者
H 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかった場合
I 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない)
J 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引続き3ヶ月以上となったことにより離職した者
K 事業所の業務が法令に違反したため離職した者

被保険者期間が6月(離職前1年間)以上12月(離職前2年間)未満であって、以下の正当な理由のある自己都合により離職した者(※)
@ 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
A 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
B 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した場合
C 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合
D
次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
@)  結婚に伴う住所の変更、、、、、
A)  育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼、
B)  事業所の通勤困難な地への移転
C)  自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
D)  鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
E) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
F)  配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
E その他、上記「解雇」等により離職した者のIに該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。



 

受給期間
基本手当を受給することができる期間 原則として離職日の翌日から1年間
この期間を「受給期間」といいます。

ただし、以下の@の者については、離職日の翌日から「1年間+60日」、Aの者については、離職日の翌日から「1年間+30日」が受給期間となります。
@ 受給資格に係る離職時におうて45歳以上65歳未満の就職困難者(被保険者期間が1年以上である者)
A 受給資格に係る離職時において45歳以上65歳未満の特定受給資格者(被保険者期間が20年以上である者)


基本手当は、受給期間内の失業していると認定された日について所定給付日数を限度として支給されます。
しかし、受給期間を過ぎると、所定給付日数に残りがあっても、それ以後基本手当は支給されません。

受給期間の延長
受給期間を過ぎると、所定給付日数に残りがあっても、それ以後基本手当は支給されませんが、以下の事情の該当する場合で職業に就くことが出来ない者は受給期間の延長が認められています。
A 離職の日の翌日から1年間(所定給付日数360日の人は「1年+60日」、330日の日は「1年+30日」)内に、妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由で30日以上職業に就くことができない場合
受給資格者の申出により、その日数が1年(所定給付日数360日の人は「1年+60日」、330日の日は「1年+30日」)に加算され、最大限4年間まで受給期間が延長されます。
B 定年退職等により離職した人が一定の期間求職の申込みを希望しない場合
離職理由が60歳以上の定年に達したこと又は60歳以上の定年に達した後の勤務延長若しくは再雇用の期間が終了したことによるものである人が離職後一定期間求職の申込みをしないことを希望する場合には、その期間が1年(所定給付日数360日の人は「1年+60日」、330日の日は「1年+30日」)に加算され、受給期間が最大で2年間(所定給付日数360日の人は「1年+60日」)まで延長されます。

上記Aの受給期間の延長手続は、離職後においてその状態が30日以上継続するとき、その30日を経過した日の翌日から起算して1ヶ月以内に、受給期間延長申請書に離職票を添付し公共職業安定所に申請しなければなりません。
この申請について、本人が出頭できない場合は代理人でも可能です。

上記Bの受給期間の延長手続は、離職した日の翌日から起算して2ヶ月以内に、受給期間延長申請書に離職票を添付して本人自身が行う必要があります。



 

60歳到達時等の賃金日額算定の特例(平成15年4月30日以前に60歳に到達した人のみ)
60歳以上の被保険者が離職したときは、次のすべての要件を満たす場合に、60歳に達した日等における賃金日額と離職時の賃金日額のどちらか高いほうの賃金日額により基本手当の日額が算定されます。

A 60歳到達時に被保険者であった人の場合
a 60歳到達時に離職したものとみなした場合に、基本手当に係る受給資格を得るものであること
b 60歳到達時以後、受給資格にか川離職の日までの間に基本手当(傷病手当、再就職手当を含む)及び特例一時金の支給を受けたことがないこと
B 60歳到達時に被保険者でなかった人が、60歳到達時以後、新たに被保険者資格を取得した場合、その被保険者資格の取得前の資格の喪失が1年以内にあり、かつ、その被保険者資格の喪失に係る受給資格により基本手当を受けていない人の場合
a 60歳到達時直前の離職時において、その離職に係る被保険者資格に基づき基本手当の受給資格を満たしていること
b 60歳到達時以後、受給資格に係る離職の日までの間に基本手当および特例一時金の支給を受けたことがないこと

この特例は、高年齢求職者給付金および特例一時金には適用されません。
60歳到達時の後に賃金水準が上昇することによって、登録賃金日額と比較してその後の賃金額の方が高くなる場合でも、原則として60歳到達時等における登録賃金日額と離職時の賃金日額の比較により基本手当が計算されます。
ただし、60歳到達時等に賃金日額を登録した人であって、60歳到達時等の後に定年又は雇用契約期間の満了がある場合は、登録賃金日額にかえて、定年時又は雇用期間の満了時で離職したものとして算定した賃金日額を基本手当の基準とすることができることになっています。



 

育児・介護休業、勤務時間短縮措置についてはの基本手当日額算定の特例
平成15年5月1日以後開始された育児・介護に伴う休業又は勤務時間短縮措置により賃金が低下している期間中に倒産、解雇等の理由により離職した場合は、一定の要件を満たす場合に、休業前又は勤務時間短縮措置ま前の賃金日額と離職時の賃金日額を比べて、高いほうの賃金日額により基本手当日額が計算されます。

この特例は、高年齢求職者給付金および特例一時金には適用されません。




 
給付日数の延長
給付日数については、その人の個別的事情等により以下のとおり延長されることになっています。

@ 訓練延長給付
訓練延長給付は、受給資格者が公共職業安定所長の指示により、期間が2年間以内の公共職業訓練等を受講する場合につぎの期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。
a 公共職業訓練を受けるために待機している期間(90日が限度)
b 公共職業訓練等を受けている期間
c 公共職業訓練等の受講終了後の期間(30日が限度)
ただし、この場合は公共職業訓練が終わっても就職の見込みがなく、かつ、特に職業指導その他再就職の援助を行う必要があると認められた人についてのみ訓練延長給付が行われます。
また、その延長された分だけ受給期間も延長されます。

A 広域延長給付
失業者が多数発生した地域において、広い範囲で職業のあっ旋をうけることが必要と認められる受給資格者について、90日分に限り所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。なお、受給期間も90日間延長されることになります。

B 全国延長給付
全国的に失業の状況が悪化した場合には、一定期間すべての受給資格者に対し90日分に限り所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。なお、受給期間も90日間延長されることになります。



 
失業給付の給付制限
A 離職理由による給付制限
次の理由で離職した場合には、待機(7日間)が満了した翌日から1ヶ月〜3ヶ月の間基本手当は支給されません。
ただし、受給資格者が公共職業安定所長から指示された公共職業訓練を受講するときは、この給付制限は解除されることになっています。
a 被保険者が解雇され、その解雇理由が被保険者自身に重大な責任がある場合
b 被保険者が正当な理由がなく自己都合によって退職した場合

B 紹介拒否等による給付制限
a 受給資格者が正当な理由がないのに公共職業安定所が紹介する職業に就くこと、又は指示された公共職業訓練等を受けることを拒んだ場合は、その拒んだ日から起算して1ヶ月間基本手当は支給されません。
b 受給資格者が正当な理由がないのに再就職に必要な職業訓練を拒んだ場合には、拒んだ日から1ヶ月を超えない範囲内で基本手当が支給されません。

C 不正受給による給付制限
受給資格者が、偽りその他不正の行為によって、失業給付等を受けたり、受けようとした場合は、その日以後失業手当等の給付は支給されません。



 
不正受給の返還命令
不正に失業給付の支給を受けた場合には、それまでに受けた失業給付等の全額又は一部を返還するよう公共職業安定所長から命令を受けたり、その不正が事業主からの虚偽の届出、報告、証明等による場合には、その事業主にも返還命令が下されることがあります。

また、その不正受給が離職票の偽造など悪質な場合は、返還を命ぜられた額の2倍以下の金額の納付を命ぜられることもあります。