基本手当(雇用保険求職者給付)
雇用保険の一般被保険者が失業した場合の失業給付

スポンサーlink

基本手当の受給要件

基本手当は、雇用保険の被保険者が離職して、就職の意思および能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態にある場合で、

原則、離職日以前2年間(算定対象期間)に、被保険者期間が通算して12か月以上あり、失業した場合に基本手当が支給されます。

例外(特定受給資格者等)
倒産や解雇等により離職を余儀なくされた場合や期間の定めのある雇用契約が更新されなかったことなどやむを得ない事由で離職した場合には離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あり、失業した場合も基本手当が支給されます。
算定対象期間の延長
算定対象期間の中に、疾病、負傷、出産、出張等による海外勤務などのため、引続き30日以上の賃金の支払いを受けることができなかった場合は、その賃金を受けることができなかった日数を加算した期間が算定対象期間になります。ただし、加算される期間は最大で3年間となります。

現在、一般労働者と短時間労働者の被保険者区分はありません。
基本手当受給要件はつぎのとおりです。
特定受給資格者等
(倒産・解雇等により離職された方)
過去1年間に被保険者期間(賃金支払基礎日数が各月11日以上)6ヶ月以上あること
一般離職者 過去2年間に被保険者(賃金支払基礎日数が各月11日以上)12ヶ月以上あること


被保険者期間の考え方
1か月として計算 被保険者でなくなった日(離職日)から遡って1か月ごとにくぎり、その区切られた各期間に賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上あるとき
2分の1か月として計算 上記のように区切った場合において、1か月未満の期間が生じたときに、その期間の実日数が15日以上であり、かつ、その期間内の賃金支払い基礎日数が11日以上あるとき
※被保険者でなくなった日(離職日)から遡って1か月ごとにくぎり、その区切られた各期間に賃金の支払いの基礎となった日数が10日以下のものは被保険者期間として計算しません。



同一の事業主の適用事業に引続き雇用された期間に被保険者区分の変更があった場合には、その区分の変更があった日の前日に離職したものとみなすこととされています。
これを「みなし離職」といいます。


基本手当を受けることができる人が、再就職後、その離職日の翌日から起算して1年間内に再度離職したときには、再就職において、被保険者期間における新たな受給要件を満たしていない場合でも、前の資格に基く基本手当が支給されます。





受給資格の決定

受給資格とは、公共職業安定所長が基本手当を受給できる資格がある者と認定することをいいます。

受給資格者であると認定される3つの要件
@ 離職により被保険者でなくなったことの確認を受けたこと
A 労働の意思および能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること
B 算定対象期間(離職の日以前2年間)に被保険者期間(賃金支払基礎日数が各月11日以上ある月)が通算して12ヶ月以上あること
ただし、特定受給資格者については、離職の日以前1年間に、通算して6ヶ月以上あること


基本手当を受けるためには、上記の受給要件を満たしているほかに、その人が公共職業安定所に出向き、求職の申込みをしたうえで、失業の認定をうけなければなりません。

求職の申込み 離職した被保険者の居住地を管轄する公共職業安定所で行わなければなりません。

公共職業安定所は、基本手当を受けようとする人が離職票を提出して求職の申込みをしたときに、その人が受給要件をみたしているか否かを判断して、受給資格を決定することになっています。
離職票を2枚以上持っている場合には、そのすべてを提出する必要があります。

受給資格の決定を受けた場合には、公共職業安定所長から「受給資格者証」が交付されます。
受給資格者証について
受給資格者証は、離職者が失業給付の受給資格の決定を受けたことを証するものであり、基本手当の日額、所定給付日数、失業認定日等が記載されていて、失業認定を受けるときなど失業給付を受ける場合には必ず提出するものです。




基本手当の日額

基本手当の日額
被保険者期間として計算された最後の6ヶ月に支払われた賃金の総額を180で割り、賃金日額を算定し、その賃金日額に、その賃金日額に応じた率を掛けて基本手当の日額が算出されます。

賃金日額に応じた率 50%〜80%(低所得者には高く、高所得者には低く)
なお、給付率の範囲となる賃金日額は、前2年間の国の統計に基づく労働者の給与額の増減により、毎年8月1日に変更されます。

賃金日額および基本手当日額の上限  (平成25年8月1日現在)
離職時の年齢 賃金日額の上限(下限額2,310円) 基本手当日額の上限(下限額1,848円)
29歳以下 12,810円 6,405円
30歳以上45歳未満 14,230円 7,115円
45歳以上60歳未満 15,660円 7,830円
60歳以上65歳未満 14,940円 6,723円
失業の期間にアルバイト等により収入がある場合には、基本手当が減額されことになっています。


賃金日額について
賃金日額を算定する場合には、未払い賃金なども含まれます。しかし、退職金、賞与は含まれません。
賃金が、日給、時間給、出来高給そのた請負制等によって支払われる人については、労働した日1日に支払われた賃金額の70%を賃金日額の最低日額の最低限としています。
なお、船員の場合には、賃金日額を算定する場合に特例が設けられています。


基本手当日額の計算の仕方 (平成25年8月1日現在)

離職時年齢 29歳以下 (離職時年齢が65歳以上の人で高年齢休職者給付金を受給する場合同様)
賃金日額 (W円) 給付率 基本手当日額 (Y円)
 2,310円以上   4,610円未満 80% 1,848円〜3,687円
 4,610円以上 11,680円以下 80%〜50% 3,688円〜5,840円 (※2)
11,680円超  12,810円以下 50% 5,840円〜6,405円
12,810円超 6,405円(上限額)
離職時年齢 30歳〜44歳
賃金日額(W円) 給付率 基本手当日額(Y円)
 2,310円以上   4,610円未満 80% 1,848円〜3,687円
 4,610円以上 11,680円以下 80%〜50% 3,688円〜5,840円 (※2)
11,680円超  14,230円以下 50% 5,840円〜7,115円
14,230円超 7,115円(上限額)
離職時年齢 45歳〜59歳
賃金日額(W円) 給付率 基本手当日額(Y円)
 2,310円以上   4,610円未満 80% 1,848円〜3,687円
 4,610円以上 11,680円以下 80%〜50% 3,688円〜5,840円 (※2)
11,680円超  15,660円以下 50% 5,840円〜7,830円
15,660円超 7,830円(上限額)
離職時年齢 60歳〜64歳
賃金日額(W円) 給付率 基本手当日額(Y円)
 2,310円以上   4,610円未満 80% 1,848円〜3,687円
 4,610円以上 10,510円以下 80%〜45% 3,688円〜4,729円 (※3)
10,510円超  14,940円以下 45% 4,729円〜6,723円
14,940円超 6,723円(上限額)
計算式
※2
基本手当日額(Y)=(−3W2+70,390W)/70,700

※3
@基本手当日額(Y)=(−7W2+126,670W)/118,000

A基本手当日額(Y)=0.05W+4,204
上記@、Aのいずれか低い額




所定給付日数

基本手当の給付日数には上限が設けられ、離職時の年齢、離職事由、被保険者期間、就職困難者か否かにより以下の表のとおり定められています

@ 一般の離職者(AおよびB以外の理由の全ての離職者。定年退職者や自己都合退職者)

  被保険者であった期間
全年齢共通 10年未満 10年以上
20年未満
20年以上
90日 120日 150日


A 障害者等の就職困難者

  被保険者であった期間
1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45〜65歳未満 150日 360日


B 倒産、解雇等により、再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者
<特定受給資格者および特定理由離職者>
なお、被保険者期間が離職以前2年間に12カ月以上ある、正当な理由のある自己都合により離職した特定離職者は除く
  被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 90日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 90日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日




特定受給資格者とは

「倒産」等により離職した者
@ 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
A 事業所において大量雇用変動の場合(1ヶ月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者および当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
B 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む)に伴い離職した者
C 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

「解雇」等により離職した者
@ 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により離職した者
A 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
B 賃金(退職手当を除く)額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引続き2ヶ月以上となったこと等により離職した者
C 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べ85パーセント未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る)
D 離職の直前3ヶ月に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間(各月45時間)超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
E 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
F 期間の定めのある労働契約の更新により、3年以上引続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
G 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記Fの該当者を除く)
H 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかったことにより離職した者
I 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は該当しない)
J 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引続き3ヶ月以上となったことにより離職した者
K 事業所の業務が法令に違反したため離職した者

特定離職者の範囲
期間の定めのある労働契約期間が満了して、かつ、その労働契約の更新がないことにより離職した者(更新を希望したにもかかわらず、その更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る)(特定受給資格者の範囲の2のF、Gに該当する場合を除く)
※契約に更新する場合があるなど契約の更新について明示されていいるが契約の更新の確約まではない場合が該当
@ 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
A 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
B 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した場合
C 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合
D
次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
@)  結婚に伴う住所の変更、、、、、
A)  育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼、
B)  事業所の通勤困難な地への移転
C)  自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
D)  鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
E)  事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
F)  配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
E その他、上記「解雇」等により離職した者のIに該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。




受給期間
基本手当を受給することができる期間 原則として離職日の翌日から起算して1年間
この期間を「受給期間」といいます。
この期間が経過してしまうと、所定給付日数が残っていても基本手当を受けることはできません


受給期間が延長される場合
受給期間を過ぎると、所定給付日数に残りがあっても、それ以後基本手当は支給されませんが、以下に該当する場合で職業に就くことが出来ない者は受給期間の延長が認められています。
A 一定の理由により職業に就くことができない場合
離職の日の翌日から1年間(所定給付日数360日の人は「1年+60日」、330日の日は「1年+30日」)内に、妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由で30日以上職業に就くことができない場合は、
受給資格者の申出により、その日数が1年(所定給付日数360日の人は「1年+60日」、330日の日は「1年+30日」)に加算され、最大限4年間まで受給期間が延長されます。
B 定年退職等により離職した人が一定の期間求職の申込みを希望しない場合
離職理由が60歳以上(船員は50歳以上)の定年に達したこと又は60歳以上(船員は50歳以上)の定年に達した後の勤務延長若しくは再雇用の期間が終了したことによるものである人が離職後一定期間求職の申込みをしないことを希望する場合には、その期間が1年(所定給付日数360日の人は「1年+60日」、330日の人は「1年+30日」)に加算され、受給期間が最大で2年間(所定給付日数360日の人は「2年+60日」)まで延長されます。
Bの受給期間が延長された人がその期間内にAに該当したときは、さらに受給期間を延長することが可能です、ただし、受給期間は最大4年間で、これを超えることはありません。

上記Aの受給期間の延長手続は、離職後においてその状態が30日以上継続するとき、その30日を経過した日の翌日から起算して1ヶ月以内に、受給期間延長申請書に離職票を添付し公共職業安定所に申請しなければなりません。
この申請について、本人が出頭できない場合は代理人または郵送でも可能です。

上記Bの受給期間の延長手続は、離職した日の翌日から起算して2ヶ月以内に、受給期間延長申請書に離職票を添付して本人自身が行う必要があります。




給付日数の延長
給付日数については、その人の個別的事情等により以下のとおり延長されることになっています。

@ 訓練延長給付
訓練延長給付は、受給資格者が公共職業安定所長の指示により、期間が2年間以内の公共職業訓練等を受講する場合につぎの期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。
a 公共職業訓練を受けるために待機している期間(90日が限度)
b 公共職業訓練等を受けている期間
c 公共職業訓練等の受講終了後の期間(30日が限度)
ただし、この場合は公共職業訓練が終わっても就職の見込みがなく、かつ、特に職業指導その他再就職の援助を行う必要があると認められた人についてのみ訓練延長給付が行われます。
また、その延長された分だけ受給期間も延長されます。

A 広域延長給付
失業者が多数発生した地域で厚生労働大臣が指定した地域において、広い範囲で職業のあっ旋をうけることが必要と認められる受給資格者について、90日分に限り所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。なお、受給期間も90日間延長されることになります。(船員の求人を希望するものは対象外)

B 全国延長給付
全国的に失業の状況が悪化した場合には、厚生大臣が一定期間を指定して、すべての受給資格者に対し90日分に限り所定給付日数を超えて基本手当が支給されます。なお、受給期間も90日間延長されることになります。




失業給付の給付制限
A 離職理由による給付制限
次の理由で離職した場合には、待機(7日間)が満了した翌日から1ヶ月〜3ヶ月の間基本手当は支給されません。
ただし、受給資格者が公共職業安定所長から指示された公共職業訓練を受講するときは、この給付制限は解除されることになっています。
a 被保険者が解雇され、その解雇理由が被保険者自身に重大な責任がある場合
b 被保険者が正当な理由がなく自己都合によって退職した場合

B 紹介拒否等による給付制限
a 受給資格者が正当な理由がないのに公共職業安定所が紹介する職業に就くこと、又は指示された公共職業訓練等を受けることを拒んだ場合は、その拒んだ日から起算して1ヶ月間基本手当は支給されません。
b 受給資格者が正当な理由がないのに再就職に必要な職業訓練を拒んだ場合には、拒んだ日から1ヶ月を超えない範囲内で基本手当が支給されません。

C 不正受給による給付制限
受給資格者が、偽りその他不正の行為によって、失業給付等を受けたり、受けようとした場合は、その日以後失業手当等の給付は支給されません。




不正受給の返還命令
不正に失業給付の支給を受けた場合には、それまでに受けた失業給付等の全額又は一部を返還するよう公共職業安定所長から命令を受けたり、その不正が事業主からの虚偽の届出、報告、証明等による場合には、その事業主にも返還命令が下されることがあります。

また、その不正受給が離職票の偽造など悪質な場合は、返還を命ぜられた額の2倍以下の金額の納付を命ぜられることもあります。



スポンサードリンク