労災保険の給付の概要

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健康保険と労災保険のちがい

健康保険は、主として民間の事業所で働く人たちを被保険者として、その被保険者及び被扶養者の、業務外(私傷病)による病気・ケガ・死亡、出産に対し給付を行うための社会保険です。
労災保険(正式には「労働者災害補償保険」といいます)は、労働者が業務上と通勤途上におけるケガ、病気、死亡に対し労働者と死亡した労働者の遺族に対し給付を行うための労働保険です。

本来、業務上でケガや病気などを労働者が被ったときは、「労働基準法第八章」で定めているとおり、その労働者の治療費や休業・障害補償などは、使用者が負担しなければなりません。労災保険はその負担すべき補償の保険といえます。



 
労災保険給付

医療保障

療養(補償)給付
療養(補償)給付は、労働者が業務上又は通勤により負傷し又は疾病にかかり治療が必要の場合に給付され、現物給付の「療養の給付」と現金給付の「療養の費用の支給」があります。

現物給付である療養の給付は、被災労働者が労災病院労災指定病院等において、必要な治療などを受けることができる給付です。

この支給を受けるためには
業務災害の場合は、「療養補償給付たる療養の給付請求書」(様式5号)を、
通勤災害の場合は、「療養給付たる療養の給付請求書」(様式16号の3)を、病院を経由して所轄労働基準監督署へ提出します。


労災病院や労災指定病院以外の病院などで治療など受けた場合は、「療養の費用」として、それに要した費用を労働者本人が病院に支払い、その後所轄労働基準監督署に請求し現金で受給することになります。

この支給を受けるためには
業務災害の場合は、「療養補償給付たる療養の費用請求書」(様式7号)
通勤災害の場合は、「療養給付たる療養の費用請求書」(様式16号の5)を所轄労働基準監督署に提出します。

なお、請求書は労働基準監督署に提出することになりますが、管轄の労働基準監督署は労働者が雇用されている事業場を管轄する監督署になります。


自己負担については、業務上災害の場合は無料ですが、通勤災害の場合は200円の一部負担金を支払わなければなりません。ただし、支払は病院などではなく休業給付の請求を行ったときに休業給付の額から控除されます。


生活保障

休業(補償)給付

労働者が業務上又は通勤による傷病のために休業し、そのために賃金を受けない場合、その4日目から支給されます。その額は賃金を受けない期間1日につき給付基礎日額の60%が支給されますが、給付基礎日額の20%が特別支給金として支給されますので、合計で給付基礎日額の80%が支給されることになります。
最初の3日間は、待機期間として休業日数には計算されません。なお、業務災害の場合は労働基準法の定めにより事業主が補償することになっています。なお、通勤災害の場合は、3日間についての補償義務はありません。

(給付基礎日額とは)
原則として災害が発生した日以前3ヵ月間に被災労働者に支払われた賃金の総額をその期間の総日数(暦の日数)で割った額です。(平均賃金相当額)
なお、算定した給付基礎日額がその額に満たないときは、最低保障額が決められておりその額が給付基礎日額になります。

この支給を受けるためには
業務災害の場合は、「休業補償給付支給請求書」(様式8号)
通勤災害の場合は、「休業給付支給請求書」(様式16号の6)を所轄労働基準監督署に提出します。

傷病(補償)年金

療養(補償)給付を受けている労働者の傷病が療養開始後1年6ヵ月経過しても治らず、傷病等級(第1級〜第3級)に該当し、その状態が継続している場合に給付基礎日額の313日(1級)、277日(2級)、245日(3級)分の年金がその障害の状態が継続している間支給されます。
傷病(補償)年金を受けている人の傷病が治った後に障害が残った場合は、その障害の程度に応じた障害(補償)年金が支給され、その傷病が原因で死亡したときは、遺族(補償)給付と葬祭料が支給されます。

障害(補償)年金

傷病が治ゆ(病状が固定)したとき身体に一定の障害が残った場合に支給されます。障害(補償)給付には、障害の程度に応じて障害(補償)年金と障害(補償)一時金とがあります。

この支給を受けるためには
業務災害の場合は、障害補償給付支給請求書」(様式10号)
通勤災害の場合は障害給付支給請求書」(様式16号の7)を所轄労働基準監督署に提出します。

@ 障害(補償)年金
障害等級第1級〜第7級の場合に給付基礎日額の313日〜131日分の年金が支給されます。
同一事由により厚生年金保険の障害厚生年金等が併給される場合には、一定の調整率によって調整され支給されます。
A 障害(補償)一時金
障害等級第8級〜第14級の場合に給付基礎日額の503日〜50日分の一時金が支給されます。


障害(補償)年金差額一時金
障害(補償)年金の受給者が死亡した場合、その者に支給された障害(補償)年金の合計額が下表の額に満たないときは、その差額が一時金として遺族に対して支給されます。
支給請求するためには
、「障害(補償)年金差額一時金支給請求書」(様式37号の2)に必要書類を添えて所轄労働基準監督署へ提出します。
障害(補償)年金前払一時金
傷病が治ゆした直後において、被災労働者が一時的に資金を必要とする場合に、受給権者の請求に基づいて、その障害等級に応じ下の表に掲げてある額の範囲以内で定めてある一定額を前払で受けられます。
ただし、その場合前払一時金の額に達するまでの間、年金は停止されます。
支給請求するためには、
「障害(補償)年金前払一時金請求書」(年金申請様式10号)を、所轄労働基準監督署へ提出します。
障害(補償)年金前払一時金
障害等級

第1級

給付基礎日額の
200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分、1,200日分又は1,340日分
第2級 給付基礎日額の
200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分又は1,190日分
第3級 給付基礎日額の
200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分又は1,050日分
第4級 給付基礎日額の
200日分、400日分、600日分、800日分又は920日分
第5級 給付基礎日額の
200日分、400日分、600日分又は790日分
第6級 給付基礎日額の
200日分、400日分、600日分又は670日分
第7級 給付基礎日額の
200日分、400日分又は560日分

介護(補償)給付

障害(補償)年金又は傷病(補償)年金の第1級又は第2級(精神・神経障害及び胸腹部臓器障害の者に限る。)の者のうち、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ民間の有料介護サービスや親族または知人により現に介護を受けている場合に月を単位として支給されます。
ただし、身体障害者療護施設、老人保健施設、特別養護老人保健施設などの施設に入所している人には支給されません。

この支給を受けるためには

「介護(補償)給付支給請求書」(様式16号の2の2)を、所轄労働基準監督署へ提出することになります。


遺族補償

遺族(補償)年金

労働者が業務上の事由又は通勤により死亡した場合にその遺族に支給されます。

受給資格者となるのは、労働者の死亡当時その者の収入によって生計を維持していた配偶者、子、父母孫、祖父母、兄弟姉妹の遺族です。
この受給資格者のうちの最先順位者(受給権者)に年金が支給されることになります。

この支給を受けるためには、

業務災害の場合は、「遺族補償年金支給請求書」(様式12号)
通勤災害の場合は「遺族年金支給請求書」(様式16号の8)を所要の書類とともに、所轄労働基準監督署に提出します。
遺族(補償)年金の支給額は次のとおりです。
遺族数 年金額
1人 年金給付基礎日額の153日分
55歳以上の妻又は
労働省令で定める
障害の状態にある家
年金給付基礎日額の175日分
2人 年金給付基礎日額の201日分
3人 年金給付基礎日額の223日分
4人 年金給付基礎日額の245日分

遺族数は、遺族(補償)年金の受給権者および受給権者と生計を同じくしている受給資格者の人数



遺族(補償)一時年金

労働者の死亡当時遺族(補償)年金の受給資格者がいないときに一時年金として給付基礎日額の1,000日分が支給されます。
受給資格のない遺族のうち最先順位者に支給されます。

この支給を受けるためには

業務災害の場合は、「遺族補償一時金支給請求書」(様式15号)
通勤災害の場合は「遺族一時金支給請求書」(様式16号の9を所轄労働基準監督署に提出します。


遺族(補償)年金前払一時金

労働者の死亡直後において一時的な費用を必要とする場合は、遺族(補償)年金受給者の請求に基づいて、年金給付基礎日額の1,000日分の額の範囲以内で定めてある一定額を前払で受けられます。
ただし、その場合前払一時金の額に達するまでの間、年金は停止されます。

この支給を受けるためには

「遺族(補償)年金前払一時金請求書」(年金申請様式1号)を所轄労働基準監督署へ提出します。


葬祭料(葬祭)給付

死亡労働者の葬祭を行う者に支給されます。

支給を受けるためには

業務災害の場合は、「葬祭料請求書」(様式16号)
通勤災害の場合は「葬祭給付請求書」(様式16号の10)を所轄労働基準監督署に提出します。

葬祭料(葬祭給付)額
 =315,000円(平成25年4月現在)+給付基礎日額の30日分
 又は
 =給付基礎日額の60日分のいずれか高い方が支給されます。

葬祭料については、遺族(補償)給付のような受給順位はなく、遺族がいなくても現実に葬祭を行う者に支給されますので、遺族以外の者でも支給対象になることがあります。



労災保険の特別支給金

特別支給金制度は、保険給付とは別に支給されるもので、見舞金や弔慰金的な性格をもったものをいいます。

特別支給金の種類
下記内の「障害特別年金」、「障害特別一時金」、「遺族特別年金」、「遺族特別一時金」、「傷病特別年金」については、特別給与(特別給与とは賞与などをいい、臨時に支給された賃金は含まない。)を基礎としたもので、
その額は、被災前1年間に、3か月を超える期間ごとに支払われた賃金の総額を365で割った額です。
この3か月を超える期間ごとに支払われた賃金の総額を算定基礎年額といい、これを365で割ったものを算定基礎日額といいます。
なお、算定基礎年額は、給付基礎日額の365倍に相当する額の20%が限度とされています。ただし、最高限度額は150万円となっています。
(特別給与を基礎とする特別支給金の額は、年金給付基礎日額のスライド方式によりスライドする)

1. 休業特別支給金

対象者
休業補償給付または休業給付の受給権者
休業給付基礎日額の100分の20に相当する額
2. 傷病特別支給金

対象者
傷病補償年金または傷病年金の受給権者

傷 病 等 級   

       額       

第  1  級
第  2  級
 第  3  級 

114万円 
107万円 
100万円 

3. 傷病特別年金

対象者
傷病補償年金または傷病年金の受給権者

傷 病 等 級 

    額

第  1  級
第  2  級
 第  3  級 

算定基礎日額の313日分
算定基礎日額の277日分
算定基礎日額の245日分

4. 障害特別支給金

対象者
障害補償給付または障害給付の受給権者

障害等級

額 

 障害等級

額 

障害等級 額  障害等級

第1級

342万円

第5級 225万円 第9級 50万円 第13級 14万円

第2級

320万円

第6級 192万円 第10級 39万円 第14級 8万円

第3級

300万円

第7級 159万円  第11級 29万円

第4級

264万円

第8級 65万円 第12級 20万円

※障害が2つ以上残った場合で、その障害が1つの等級に併合された場合で、各々の障害等級の合算額が併合された等級の額を下回るときは、合算額が支給されることになっています。
5. 障害特別年金

対象者
障害補償年金または障害年金の受給権者

障害等級

額 

障害等級 額 

第1級

算定基礎日額の313日分

第5級 算定基礎日額の184日分

第2級

算定基礎日額の277日分

第6級 算定基礎日額の156日分

第3級

算定基礎日額の245日分

第7級 算定基礎日額の131日分

第4級

算定基礎日額の213日分

6. 障害特別一時金

対象者
障害補償一時金または障害一時金の受給権者

 障害等級

額 

障害等級 額 

第8級

算定基礎日額の503日分

第12級 算定基礎日額の156日分

第9級

算定基礎日額の391日分

第13級 算定基礎日額の101日分

第10級

算定基礎日額の302日分

第14級 算定基礎日額の56日分

第11級

算定基礎日額の223日分

7. 遺族特別支給金

対象者
遺族補償給付または遺族給付を受ける権利を有する遺族
300万円
8. 遺族特別年金

対象者
遺族補償年金または遺族年金の受給権者

人数

額 

1人

算定基礎日額の153日分
ただし、55歳以上または一定の障害の状態にある妻は175日分 

2人

算定基礎日額の201日分

3人

算定基礎日額の223日分

4人以上

算定基礎日額の245日分

9. 遺族特別一時金

対象者
遺族補償一時金または遺族一時金の受給権者

 要件

額 

労働者の死亡当時、遺族補償年金の受給資格者がいないとき 

算定基礎日額の1000日分 

遺族補償年金の受給権者がすべて失権し、支払われた年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に達していないとき

算定基礎日額の1000日分と支給年金合計額の差額 



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