解雇、退職Q&A



Q1 期間を定めて雇用する従業員に対し、契約当初から3ヶ月間を試用期間として雇用契約を締結し採用しています。
その試用期間満了に合わせて退職を申出てきた場合、会社は1年契約を根拠にその退職を拒むことができるか?


期間の定めのある雇用契約について民法では、「やむを得ない事由がある場合でなければ、労働者側から契約を解除できない」とされています。
よって、労働者側にやむを得ない事由がないときは、退職を拒むことも可能であると考えます。
また、退職によって損害が生じた場合には、退職者に対して損害賠償を請求できる場合もあります。


Q2 2ヶ月契約を3回更新している有期雇用従業員がいます。その従業員を入社5ヶ月の段階で契約を解除したいと考えている。
契約期間が1年を超えていないので解雇予告は必要ないと考えるが、問題はないか?


原則として30日前の解雇予告か30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。
労働基準法では、2ヶ月以内の期間を定めて使用される者は、解雇予告を要しないことになっていますが、2ヶ月の雇用期間を超えて引続き使用され、かつ、契約期間の満了前に契約を打切ることになりますので、解雇予告が必要になります。
1年を超えていないので予告が必要ないというのは、有期労働契約の雇止めの問題となりますので、ご質問の内容には該当しません。
これは、雇用継続期間が1年以内であり、雇用契約期間が満了する時点で契約の更新をしない場合には、予告がいらないという意味です。
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準、第2条」には、「有期労働契約(雇入れ日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、予め更新しない旨明示されているものを除く)を更新しない場合には、少なくとも30日前までに予告しなければならない」とされています。
ご質問のケースで、もし3回目の契約更新後の契約期間が満了するのを待って雇止めするのであれば、1年を超えていないので予告はいりません。
この規定は、労働契約法の制定の関係で見直しが検討されており、予告が必要な場合として1年以上雇用継続した場合のほか平成20年3月を目標に「契約が3回以上更新された場合」も追加される見通しです。


Q3 退職願は本人の直筆でなければならないか?


退職願は、本人の直筆および押印が望ましいものであり、有効なものと推定されますが、絶対そうでなければならないということはありません。
本人の直筆で押印がある退職願だとしても、退職願の提出に錯誤、強迫等の瑕疵があれば、退職そのものが影響を受けることになりますし、また、本人が作成したものでなくても本人の真意に基づいたものであれば、有効として取扱っても問題はないと考えます。


Q4 有期労働契約の期間満了についても、労働基準法第18条の2は適用になるか?


労働基準法第18条の2は、労働者の意に反して使用者が一方的に労働契約を解除(解雇)するという規定でですので、労働者と使用者の契約に基づいて労働契約が終了する「期間の満了」については適用されません。
ただし、過去の判例で期間満了について解雇に関する法理が類推適用され事案があり、裁判に至った場合には類推適用される可能性がないとはいえません。


Q5 解雇の無効など効力について争いが生じた場合には、労働基準監督署で取扱ってもらえるか?


解雇についての客観的合理的理由や相当性について、労働基準監督署は判断したり処理することはできません。
ただし、労働基準監督署には労働局の個別紛争解決制度(あっせん制度)の申請窓口として総合労働相談コーナー設置されていますので、そちらで申請することができます。


Q6 アルバイト従業員を雇用していますが、中には1日、2日で退職する者もいます。この場合、新たに求人広告を出すことになるため費用がかかってしまいます。この費用を求職者に請求したいので、雇うときに予め承諾書をもらっても良いか?


予め定めた損害額を請求することを約束することは、労働基準法に抵触し違法となります。
有期労働契約の契約期間中の退職や遅刻、無断欠勤、不注意に不良品の生産などあったとしても、これらについて損害賠償金を予定することもできません。
ただし、違法となるのは、あらかじめ違約金や損害賠償額を予定することであり、現実に生じた損害については賠償請求することが可能です。


Q7 民事上では普通解雇の有効性をはどのように判断するのか?


裁判所は、勤務成績、勤務態度等が不良で職務能力や従業員としての適格性があるかどうか、また、規律違反行為があるかどうかを総合的に検討するようです。
勤務成績、勤務態度等が不良で職務能力や従業員としての適格性があるかどうかについては
・会社の種類や規模
・職務内容
・職務に要求される能力や勤務態度の程度
・勤務成績、態度不良の程度とその回数
改善の余地はあるか
会社からの指導はおこなったか
・他の従業員とに不均衡はないかなど

規律違反行為があるかどうかについては
・規律違反の態様(業務命令違反など)
・違反行為の程度
・違反行為の回数
改善の余地があるかなど


Q8 転勤命令を拒否した場合は、解雇されるか

解雇もありえますが、転勤の命令が有効であることが前提となります。
その命令が、業務上に必要性がない場合、不当の動機や目的の場合、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるような場合には、その転勤命令は無効となる可能性が高いと思われます。
なお、労働契約に勤務地が限定されているときは、労働者の同意なければ原則として転勤を命ずることはできません。命じてもそれは無効となります。
有効な転勤命令を拒否すれば、業務命令に違反することになりますので懲戒の対象となると思われます。
会社としては、転勤命令を拒否したからといって即解雇の措置を取るべきではなく、転勤の必要性や拒否の理由を聞き取るなどの措置を講ずることになると思います。最終的に転勤命令を拒否するのであれば、最終期限と措置を文書(内容証明)で通告することになると思います。会社としては懲戒に際して二重処罰にならないよう注意する必要があります。