雇用契約 労働条件Q&A



Q1 会社の都合で所定労働時間を法定労働時間内で延長しようと考えているが問題ないか?
また、一部の従業員の賃金を月給制から年俸制に変更した場合はどうか?


労働時間や賃金などは、労働者と使用者とで結ばれている労働契約によって決定されています。
その契約で定められている賃金などの労働条件の内容を変更する場合には、相手方、すなわち労働者の同意が必要になります。
当然、変更内容が労働者にとって不利益な場合は、同意を得られないことも考えられます。同意が得られない場合には、就業規則等を変更したとしも、一方的に労働者に不利益になる労働条件の変更は原則として認められません。
ただし、判例では、「不利益変更に客観的合理性があるときは、変更に同意しない労働者にも、変更後の労働条件を適用することができる」と、されていますので、同意が得られない場合には、変更理由に客観的合理性があるかどうかで判断されることになります。
なお、賃金などの重要な労働条件の不利益変更についての客観的合理性については、不利益を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容であることが求められています。


Q2 正社員である期間の定めるのない従業員を1年契約に切り替えることは可能かは?


本人の合意があれば期間の定めのない労働契約を有期労働契約に切り替えることが可能です。
なお、満60歳以降の定年以後の労働者を再雇用する場合には、合意がなくても切り替えることが可能です。


Q3 有期労働契約の従業員を、その契約期間中に解雇することは可能か?


契約期間中に解雇できるか否かについては、労働基準法には規定がないため、民法により判断することになります。
第628条では、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」とあります。
よって、やむを得ない事由があれば解雇できることになりますが、この場合の解雇事由については、期間の定めのない契約のときの解雇に比較してより厳格な解雇事由が必要になります。
また、使用者に過失がある場合には、債務不履行による損害賠償を求められることもあるので注意が必要です。


Q4 1年契約で雇用している従業員に対しても、契約を更新しないときは30日前に予告をしなければならないか?


雇用期間が継続して1年以内であれば、予告は必要ありません。
更新しないときの予告については、契約期間を通算して1年を超えている場合に30前の予告が必要になります。
雇止めをする場合の予告は、「1年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、契約期間が継続して通算1年を超えた労働者」と「1年を超える契約期間の労働契約を締結している労働者」に限られます。
(1年以上雇用継続した場合のほか平成20年3月より「契約が3回以上更新された場合」も追加される見通しです。)
ただし、契約期間を更新して契約期間が1年を超えたしても、最終の契約に更新しない旨の合意があった場合や最初から更新回数に上限がありそれ以上更新しない旨の合意があった場合には予告は必要ではありません。


Q5 パートやアルバイトのような短時間労働者を雇用する場合でも、労働契約書は必要か?


労働基準法では、労働者を雇う場合には労働条件を明示しなければならないと規定されています。
たとえ、パートやアルバイトでも労働者に変わりがなく、賃金や労働時間等の労働条件を書面で明示する必要があります。
また、労働契約法では、労働契約を締結する際に労使間に交渉力の差があったり、契約の内容が明確にされていないことが多いので、あくまでも対等の立場で契約内容について合意し、できる限り契約内容を文章で確認することを求めています。


Q6 62歳のときに、会社と3年の雇用契約(職種は営業)を締結し、2年が経過している。契約期間は満了していないが、退職を考えている。法的に問題はないか。


期間に定めのある雇用契約は、原則として最長3年、また、満60歳以上の労働者や高度専門職の場合は、契約期間を最長5年とすることが認められています。
また、1年を超える雇用契約の場合は、労働者から1年を経過した日以後においては、何時でも退職することができることになっています。
ただし、この規定は、雇用期間の5年が適用される高度専門職や60歳以上の方には適用されません。
よって、民法の原則のとおり、やむを得ない事由があれば雇用契約を解約することができますが、会社から損害賠償請求を受ける可能性があると思われます。
もちろん、会社が同意するのであれば問題はありません。


Q6 会社として、労働条件を不利益に変更することができると聞いたが、どのような条件が揃えば不利益に変更できるか。
また、労働者とのトラブルを回避するための方法は?


景気事情や経営状態の悪化などによりやむを得ず従業員の労働条件を変更する必要が出てくることがあります。
労働条件を変更する方法としては、@労働協約(労働組合と)を締結するA就業規則を変更するB従業員各人の同意を得るC降格などの人事権の行使、などがありますが、どの場合も当然に労働基準法などの法令に反してなりません。
また、トラブルを回避するためには、各労働者に変更の必要性、合理性、相当性を十分説明したうえで、会社として、それを証明できるようにしておかなければなりません。
好ましい変更方法としては、労働協約を締結するかそれができないときは、就業規則により変更することが良いと考えます。
労働契約法では、「原則として労働者の合意ながない場合には、就業規則で労働者の労働条件を不利益に変更することはできない。」とされていますが、つぎの場合には変更することができます。
・変更した就業規則を周知させたうえで、その変更により受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、内容の相当性、労働組合などの交渉の状況、その他就業規則の変更が合理的であるものであること。
注意
各労働契約において、会社と労働者とで就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意している部分がある場合には、その部分については就業規則で定める基準に達しないものでない限り就業規則で変更されるこはありません。

もう一つ、個別的に労働条件の変更に関して、同意をした場合で、その労働条件が就業規則の定めより低い場合は、その同意は無効となります。この場合にも、就業規則も変更する必要がでてきますので注意が必要です。もちろん、同意をとる場合には書面することをお勧めします。

なお、労働契約を締結する場合や就業規則を定める場合には、事前に労働条件の変更する権限を会社側にあることを権利濫用にならない程度に定めておくことが有効であると思います。