労働条件の明示義務
募集時・労働契約を結ぶとき等の場合は、使用者は労働者に対して給与額等の労働条件を明示しなければなりません。

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求人の際の労働条件明示

ハローワーク及び職業紹介事業者において従業員を募集する際は、つぎの労働条件に関する項目について明示しなければなりません。
(職業安定法第5条の3)

労働契約の期間に関する事項
従事する業務に関する事項
就業の場所に関する事項
始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項
賃金(臨時に支払われる賃金、賞与及び一箇月を超える期間の出勤成績によつて支給される精勤手当、一箇月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当、一箇月を超える期間にわたる事由によつて算定される奨励加給又は能率手当を除く。)の額に関する事項
 健康保険法による健康保険、厚生年金保険法 による厚生年金、労働者災害補償保険法 による労働者災害補償保険及び雇用保険法 による雇用保険の適用に関する事項


新聞や求人雑誌等により労働者を募集する場合においては、労働条件について募集に応じようとする労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならない。とされていいます。
(職業安定法第42条)

虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者については罰則規定があり、「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」とされています。
(職業安定法第65条第8項)


労働契約時の労働条件明示

労働契約時の明示義務
労働基準法は、労働者の雇入れに際し、使用者は労働条件を書面により明示すべきことを義務づけています。
(労働基準法第15条)
この規定は、労働者を雇入れの際の義務規定であるので、雇入れ後の労働条件の変更については、該当しません。ただし、有期契約の場合で契約を更新する際には、新たな契約となりますのでこの規定が適用になります。

★「雇入れ後の労働条件の変更」の場合の労働条件の確認については、
労働契約法第4条において、
「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。」
「2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。」
とされていますので注意が必要です。


出向の場合の労働条件の明示については、つぎの2つの考え方があります。
1 在籍出向・移籍出向ともに、出向先との雇用契約が成立するのであるから労働条件の明示は必要
2 出向元と労働契約が継続している場合には、新たに契約が成立するわけではないので、労基法第15条の労働条件の明示は必要ない。ただし、労働契約法第4条の説明義務がある。



明示事項(労働基準法施行規則第5条)
労働契約の期間に関する事項
→(契約期間の定めがある場合にはその期間、ない場合にはその旨)
労働契約期間の定めがある場合→更新の有無および更新の基準
就業の場所及び従事する業務に関する事項
→(雇入れ時における場所、従事する業務についての明示で良い)
始業及び終業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交代制の就業転換に関する事項
→(各項目に関しての考えたかを示した上で、就業規則上の関係条項名を明示するでも良い)
賃金(退職手当及び8に掲げるものを除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締め切り及び支払の時期、昇給に関する事項
→(基本となる賃金、出来高制の場合は基本単価と保障給、手当を支給する条件と額、時間外、休日、深夜労働に対する割増率、賃金の締切日と支払日)
退職に関する事項(解雇の事由を含む)
→(退職の事由と手続、解雇の事由と手続等を明示)
退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
臨時に支払われる賃金、賞与及び一箇月を超える期間の出勤成績によつて支給される精勤手当、一箇月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当 、一箇月を超える期間にわたる事由によつて算定される奨励加給又は能率手当並びに最低賃金額に関する事項
労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
10 安全及び衛生に関する事項 (パートタイマーについては努力義務)
11 職業訓練に関する事項 (パートタイマーについては努力義務)
12 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
13 表彰及び制裁に関する事項
14 休職に関する事項 (パートタイマーについては努力義務)

短時間労働者(パートタイマー)の場合は、上記にあわせてつぎの項目が必要です。
15 昇給の有無
16 退職手当の有無
17 賞与の有無


以上が最低限明示しなければならない事項ですが、7〜14までは定めがある場合にだけ明示すれば良いことになっています。

労働条件の明示義務に違反した場合には、30万円以下の罰金に処せられます。


明示の方法
上記の1〜6および15〜17の事項(ただし、4の事項のうち「昇給に関する事項」を除く)については、書面を交付して明示しなければなりません。(労働基準法第15条第1項、労働基準法施行規則第5条第2項)
パート労働法においては、労基法上、書面交付義務がない、上記7〜14も書面等を交付するよう務めることとされています。

明示方法としては、通常労働契約書や労働条件通知書・雇用通知書などの交付によって行われますが、3〜12(3のうち、所定労働時間を超える労働の有無を除く)は、就業規則の必要記載事項(労働基準法第89条)ですので、これらの項目は就業規則を交付することで明示することも可能です。

また、1〜5の事項が就業規則に記載されているのであれば、これも就業規則を交付するとにより明示することができます。

もし、労働条件を記載した書面の交付がなされていないとしたら、それは違法ということになりますので注意。
なお、明示した労働条件が事実と相違していたときは、労働者は即時退職することができ、その労働者が就業のために住居を変更していた場合で、退職後14日以内に帰郷するときは、その帰郷に必要な旅費を請求する権利があり、事業主は旅費を支払う義務を負うことになります。(労働基準法第15条第2項第3項)


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