労働契約法
平成20年3月1日施行

川村法務事務所
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第一章 総則 第二章 労働契約の成立及び変更
第三章 労働契約の継続及び終了 第四章 期間の定めのある労働契約
第五章 雑則

 
労働契約法とは

労働契約法は、労働基準法とは別の民事的な労働契約に係るルールを定めたものです。
この法律は、労使当事者が対等な立場で自主的に労働条件を決め、合意することによって、労使紛争を未然に防ぐことを目的として定められたものです。

内容は、労働契約の締結から始まり、継続、変更、終了などの基本的なルールが定められていますが、あくまでも民事上のルールであるため、この法律に違反したからといって罰則が課せられるわけではありません。
なお、労働基準監督署の行政指導の対象にもなりません。

労働基準法は労働者を法的に保護するために労働条件の最低限度を定めた強行法規であり、刑罰及び罰則で定めたものですが、その中に民事上のルールである「解雇権濫用法理」が条文として明記されていましたが、労働契約法が制定されたことによって「解雇権濫用法理」に関連する条文が労働基準法法から労働契約法に移行されています。
また、労働契約法の施行に伴い、労働基準法第93条がつぎのように改められています。
(労働契約との関係)
第93条
労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成19年法律第128号)第十二条の定めるところによる。

通達
労働契約法の施行について(平成20年1月23日付け基発0123004号)(PDF:228KB)(厚生労働省)

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労働契約法 条文と解説

第一章 総則
第1条 (目的)
この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。


第2条 (定義)
この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。


第3条 (労働契約の原則)
労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。


第4条 (労働契約の内容の理解の促進)
使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

労働契約を締結する際に労使間に交渉力の差があったり、契約の内容が明確にされていないことが多いので、あくまでも対等の立場で契約内容について合意し、できる限り契約内容を文章で確認することを求めています。


第5条 (労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

使用者による安全配慮義務を明文化したものであり、労働契約を締結する際は、労働者の身体はもちろん、精神的な面にも配慮しなければなりません。

 
第二章 労働契約の成立及び変更
第6条 (労働契約の成立)
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。


第7条 (労働契約の内容と就業規則との関係)
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

労働契約を締結する時は、就業規則で定める基準を上回る基準を定めている場合を除いて、合理的な労働条件が定められている就業規則が周知されていれば、その労働契約は就業規則で定める労働条件によることになります。


第8条 (労働契約の内容の変更)
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

原則として、労働条件を変更するする場合には合意が必要です。
就業規則で労働条件が定めてられいて、合意によって変更する場合、就業規則で定める基準を上回るときは有効ですが、下回る(不利益変更)ときその部分は無効となります。
よって、不利益変更となる場合には就業規則の変更が不可欠となります。



第9条 (就業規則による労働契約の内容の変更)
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合はこの限りでない。

ここでいう合意とは、あくまでも就業規則を不利益変更することに対しての合意と考えられます。よって、労働者個々へ適用した結果の不利益についての合意を求めるものではないと考えられます。


第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

原則として、就業規則の変更により労働条件を一方的に不利益変更することはできませんが、しかし、その理由に合理性があれば変更することができるとしています。
合理性が認められる場合とは
@労働者の受ける不利益の程度 A変更の必要性 B変更後の就業規則の内容の正当性 C労働組合などの交渉状況 その他の事情を考慮して判断することになります。

判例(最高裁大法廷判決 秋北バス事件)
新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解するべきである

ゆえに、変更した就業規則が合理的である場合には、その変更に同意しない労働者へもその効力が及ぶことになります。


第11条 (就業規則の変更に係る手続)
就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第89条及び第90条の定めるところによる。


第12条 (就業規則違反の労働契約)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。


第13条 (法令及び労働協約と就業規則との関係)
就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。


 
第三章 労働契約の継続及び終了
第14条 (出向)
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。


第15条 (懲戒)
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。


第16条 (解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

労働基準法第18条の2が移設されたもので、解雇するには、客観的に合理的な理由あり社会通念上相当として是認できる場合でなければ、その解雇は無効となります。

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第四章 期間の定めのある労働契約
第17条
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

有期労働契約の場合、その期間中の解雇は、やむを得ない事情がなければ認められませんし、期間の設定についても考慮することが求められています。
なお、第1項に反する合意は無効と解されています。


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第五章 雑則
第18条 (船員に関する特例)
第12条及び前条の規定は、船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。
船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法(昭和二十二年法律第百号)第百条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第百条」と、第11条中「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第九十七条及び第九十八条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第百条」とする。


第19条 (適用除外)
この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。
この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。

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