労働契約法
平成25年4月1日最新施行

川村法務事務所
<社会保険労務士・行政書士川村事務所> ホームへ ご相談・お問合せ
広告

第一章 総則 第二章 労働契約の成立及び変更
第三章 労働契約の継続及び終了 第四章 期間の定めのある労働契約
第五章 雑則

 
労働契約法とは

労働契約法は、労働基準法とは別の民事的な労働契約に係るルールを定めたものです。
この法律は、労使当事者が対等な立場で自主的に労働条件を決め、合意することによって、労使紛争を未然に防ぐことを目的として定められたものです。

内容は、労働契約の締結から始まり、継続、変更、終了などの基本的なルールが定められていますが、あくまでも民事上のルールであるため、この法律に違反したからといって罰則が課せられるわけではありません。
なお、労働基準監督署の行政指導の対象にもなりません。

労働基準法は労働者を法的に保護するために労働条件の最低限度を定めた強行法規であり、刑罰及び罰則で定めたものですが、その中に民事上のルールである「解雇権濫用法理」が条文として明記されていましたが、労働契約法が制定されたことによって「解雇権濫用法理」に関連する条文が労働基準法法から労働契約法に移行されています。
また、労働契約法の施行に伴い、労働基準法第93条がつぎのように改められています。
(労働契約との関係)
第93条
労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成19年法律第128号)第十二条の定めるところによる。

通達
労働契約法の施行について(平成20年1月23日付け基発0123004号)(PDF:228KB)(厚生労働省)

ページトップへ
 
労働契約法 条文と解説

第一章 総則
第1条 (目的)
この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。


第2条 (定義)
この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。


第3条 (労働契約の原則)
労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。


第4条 (労働契約の内容の理解の促進)
使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

労働契約を締結する際に労使間に交渉力の差があったり、契約の内容が明確にされていないことが多いので、あくまでも対等の立場で契約内容について合意し、できる限り契約内容を文章で確認することを求めています。


第5条 (労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

使用者による安全配慮義務を明文化したものであり、労働契約を締結する際は、労働者の身体はもちろん、精神的な面にも配慮しなければなりません。

 
第二章 労働契約の成立及び変更
第6条 (労働契約の成立)
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。


第7条 (労働契約の内容と就業規則との関係)
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

労働契約を締結する時は、就業規則で定める基準を上回る基準を定めている場合を除いて、合理的な労働条件が定められている就業規則が周知されていれば、その労働契約は就業規則で定める労働条件によることになります。


第8条 (労働契約の内容の変更)
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

原則として、労働条件を変更するする場合には合意が必要です。
就業規則で労働条件が定めてられいて、合意によって変更する場合、就業規則で定める基準を上回るときは有効ですが、下回る(不利益変更)ときその部分は無効となります。
よって、不利益変更となる場合には就業規則の変更が不可欠となります。



第9条 (就業規則による労働契約の内容の変更)
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合はこの限りでない。

ここでいう合意とは、あくまでも就業規則を不利益変更することに対しての合意と考えられます。よって、労働者個々へ適用した結果の不利益についての合意を求めるものではないと考えられます。


第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

原則として、就業規則の変更により労働条件を一方的に不利益変更することはできませんが、しかし、その理由に合理性があれば変更することができるとしています。
合理性が認められる場合とは
@労働者の受ける不利益の程度 A変更の必要性 B変更後の就業規則の内容の正当性 C労働組合などの交渉状況 その他の事情を考慮して判断することになります。

判例(最高裁大法廷判決 秋北バス事件)
新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解するべきである

ゆえに、変更した就業規則が合理的である場合には、その変更に同意しない労働者へもその効力が及ぶことになります。


第11条 (就業規則の変更に係る手続)
就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第89条及び第90条の定めるところによる。


第12条 (就業規則違反の労働契約)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。


第13条 (法令及び労働協約と就業規則との関係)
就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。


 
第三章 労働契約の継続及び終了
第14条 (出向)
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。


第15条 (懲戒)
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。


第16条 (解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

労働基準法第18条の2が移設されたもので、解雇するには、客観的に合理的な理由あり社会通念上相当として是認できる場合でなければ、その解雇は無効となります。

ページトップへ
 

第四章 期間の定めのある労働契約
第17条(契約期間中の解雇)
使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

有期労働契約の場合、その期間中の解雇は、やむを得ない事情がなければ認められませんし、期間の設定についても考慮することが求められています。
なお、第1項に反する合意は無効と解されています。


第18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

同一の使用者との間で、有期労働契約が通算して5年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申し込みで無期労働契約に転換します。
平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、対象にはならず、平成25年4月1日以後に契約または更新した有期労働契約が対象となります。

申し込みは、平成25年4月1日以後に開始した有期労働契約の通算期間が5年を超える場合、その期間の初日から末日までの間することができます。(申し込みは労働者の意思によるもので自由)
申し込みは、口頭でも有効ですが、後々のトラブルを回避するためには書面の方が良いと思われます。

労働者が申し込みをした場合には、使用者は拒否できませんので無期労働契約がその時点で成立することになり、使用者が無期労働契約を解約する場合には解雇の扱いとなります。
(使用者が申し込みをする前(有期労働契約中)に契約を解除する場合には、有期労働契約期間中の解雇となり、やむを得ない理由がないかぎり解雇することはできいので注意が必要です。)
また、無期労働契約後の解雇については、職務が限定されているなど労働条件や雇用管理が正社員とかけ離れている労働者は、限定等がない正社員と同列に扱われることにはないと解されています。


無期労働契約となった場合の労働条件(賃金、時間など)については、事前の有期労働契約と同一となりますが、使用者と労働者の合意により別段の定めをすることにより変更することができます。ただし、労働条件を低下させることは問題があります。
無期労働契約に転換後の労働条件については、トラブルを避けるためあらかじめお互いに確認することが重要であり、新たな労働条件を定める場合には、就業規則や個別の労働契約で明確に定めることが必要です。
労働条件を有期労働契約の更新毎に所定労働日や労働時間などの労働条件を変更していた場合は、無期労働契約への転換後もそれまでと同様、定期的に変更すを行う旨の定めをすることは可能です。

★無期転換を申し込まないことを条件とする労働契約はでません。


クーリング期間について
有期労働契約と次の有期労働契約の間に、6か月以上の空白期間(契約がない期間)がある場合には、その空白期間の前の有期労働契約期間は5年(通算契約期間)に含みません。よって、空白期間が6カ月未満の場合には、前後の有期労働契約期間を通算して計算します。

通算期間の計算対象となる契約期間が1年未満の場合のクーリング期間について
通算期間の計算対象となる有期労働契約期間に応じて、つぎの表に掲げる期間に該当するときは、通算がリセットされることになっています。
該当する場合には、その次の契約期間から通算契約期間が再度始まります。
通算の対象となる有期労働契約期間 空白期間(契約がない期間)
2カ月以下 1か月以上
2カ月を超え4カ月以下 2カ月以上
4か月を超え6月以下 3か月以上
6か月を超え8カ月以下 4か月以上
8か月を超え10か月以下 5か月以上
10か月を超え〜 6か月以上



通算契約期間の計算方法
@通算契約期間は、同一の使用者ごとに計算
  有期労働契約期間中に勤務場所が変わったとしても同一の事業主であれば通算されます。
A通算契約期間は、労働契約が存続していいる期間で計算
  育児休業などの期間があっても、労働契約が存続していれば通算されます。
B通算契約期間は、暦で、年、月、日で計算
  契約期間の初日から起算し、翌月の応答日の前日をもって1か月とされます。複数の契約期間に1カ月未満の日がある   場合は、その端数どうしを合算した後に、30日をもって1か月とします。



第19条(有期労働契約の更新等)
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

有期労働契約は、使用者に更新の意思がない場合には期間の満了により契約が終了します。これを「雇止め」といいますが、この雇止については、最高裁の判例により一定のルールが確立しています。
該当する有期労働契約は、
@過去の反復更新された有期労働契約で、その雇止が無期労働契約の解雇と社会通念上同視できるもの
A労働者において、有期労働契約の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待すること合理的な理由があると認  められるもの
  (合理的理由は、いろいろな事情が勘案されて判断されることになりますが、一度労働者が雇用継続に合理的な期待を持ったにもかかわらず、使用者が一方的に契約期間の満了前に更新年数や更新回数の上限などを決めたとしてもそれのみで合理的な理由を否定されることにはならないと解されています。)


@およびAに該当する場合には、雇止が認められず、従前と同じ条件で有期労働契約が更新されることになります。

第19条が適用されるためには、労働者からの更新申し込みが必要となります。(契約期間満了後でも遅滞なく申し込みをすれば対象となるとされています。)
この申し込みは、使用者側からの雇止の意思表示対して、「断る」などの言動で使用者に反対の意思表示が伝わることでも良いと解されています。
申し込みをしたか否かについての立証は、労働者がその雇止にに異議があることが概括的に主張・立証することで足りると解されています。


第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。


対象となる労働条件
・賃金や労働時間はもちろん、災害補償、福利厚生、教育訓練など労働者についての一切の待遇が対象となります。

労働条件の相違が不合理か否か判断は次のとおりですが、、職務内容や責任度その他の事情を考慮して労働者ごとに判断されます。通勤手当や安全管理などの相違は、特別の理由がない限り不合理と判断されることになると思われます。
@職務の内容
 業務の内容とその業務に伴う責任度
A職務の内容および配置の変更の範囲
  将来的なものも含め、転勤、昇進なと゛の人事異動や本人の役割の変化などの有無や範囲
Bその他の事情
  労使の慣行などの諸事情

使用者が法人であれば、法人単位で判断されます。

第20条により不合理と判断された定めは無効となり、故意・過失により権利侵害による不法行為として損害賠償の対象となりえると解されています。
無効とされた場合には、無期労働契約者と同様に労働条件となる可能性があります。




ページトップへ
 


第五章 雑則
第21条 (船員に関する特例)
第12条及び前条の規定は、船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。
船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法(昭和二十二年法律第百号)第百条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第百条」と、第11条中「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第九十七条及び第九十八条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第百条」とする。


第22条 (適用除外)
この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。
この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。

ページトップへ



社会保険・労災保険ネットサイト 介護事業支援サイト
川村法務事務所
行政書士・社会保険労務士事務所
北海道札幌市手稲区星置
©2007 Kawamura Office All rights reserved.