退職金の基礎知識
退職金の意義、退職請求権の範囲及び請求権の消滅について解説しています。

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退職金の支払義務

退職金制度を定めるかどうかは、企業が自由に定めることができますので、退職金に関する規定や退職金を支給なるとの約束や慣行がない場合には、退職金という問題は発生しません。

また、退職金制度を定めている場合には、労働基準法で定める労働条件の明示事項の一つであるとともに、パート労働法においては、退職手当の有無について明示しなければならない事項とされています。


退職金と就業規則の関係

退職金について定める場合には、必ず適用される労働者の範囲、退職金の決定、計算および支払の方法、不支給・減額事項、支払の時期に関する事項を就業規則等に記載しなければなりません。

記載するに当たり明確化しなければならない事項
適用される労働者の範囲 正社員以外のパート労働者や契約社員等にも適用するのか否か明確に記載する必要があり
退職金の決定、計算および支払の方法 決定の要素となる勤続年数や退職事由等、算定方法、一時金支給なのか年金支給なのかなど
不支給、減額事項 不支給事由、減額事由を設ける場合に記載
(懲戒処分による解雇、普通解雇、定年、休職満了、自己都合などにより不支給または減額するようなとき)
支払方法 口座振込、小切手等の支払い方法
支払い時期 特定された支払時期


退職金を支給するかしないか、どのような基準で支給するかが事業主の意思に委ねられている段階では賃金にはなりませんが、就業規則や労働契約などに退職金を支給すること及び計算方法などが定められているものは労働基準法第11条の賃金になります。
したがって、就業規則等に定められている退職金も賃金と同様、通貨払い、直接払い、全額払いの原則が適用されますが、
賃金であっても毎月払いおよび一定期払いの原則は適用されません。
また、退職金の支払い方法として年金で支給される場合も、その支給条件が明確に定められている限り、その年金も賃金となります。

昭26.12.27基収第5483号、昭63.3.14基発第150号
「退職手当は、通常の賃金と異なり、予め就業規則等で定められた支払時期に支払えば足りるものである」


退職金請求権の範囲

就業規則等に退職金の規定が無い場合でも、前々から退職者全員に退職金を支払っていたり、労働者の入社時に退職金制度があることを説明していたとして、退職金支払の労働慣行が認められた判例もあります。
また、退職金の規定や労働慣行が無い場合でも、当事者間で退職金の支給に関して合意があれば退職金の請求権が発生することもあります。


退職金の口座振込

退職金の支払方法は、賃金と同様、労働者の「同意」があればその労働者の「指定」する銀行口座等に振込むこともできます。
「同意」とは、当然労働者の意思に基づくものである限り、その形式は問われません。
「指定」とは、労働者の賃金の振込み対象として銀行などの金融機関に対する労働者本人の名義の口座を指定することであり、この指定があれば特別の事情がないかぎり同意が得られているとされています。

労働基準法施行規則第7条の2
使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。
労働基準法施行規則第7条の2第1項
当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み

労働基準法施行規則第7条の2第2項第2号
使用者は、労働者の同意を得た場合には、退職手当の支払について前項に規定する方法のほか、次の方法によることができる。
1 銀行その他の金融機関によって振り出された当該銀行その他の金融機関を支払人とする小切手を当該労働者に交付すること。
2 銀行その他の金融機関が支払保証をした小切手を当該労働者に交付すること。
3 郵便為替を当該労働者に交付すること。

退職金の清算に争いがある場合

従業員が退職する場合において、懲戒処分事由に該当などにより退職金を清算できない場合もあります。
このような場合の措置として労働基準法につぎような規定が定められていいます。

従業員が死亡又は退職した場合で、権利者から請求があったときは、7日以内に賃金、その他名称の如何問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないのが原則です。(労働基準法第23条第1項)
この7日以内とは、請求があった日から7日以内ということなりますが、退職金の場合で、支払期日が決められていいる時には、その日が到来してから起算することになっています。(昭26.12.27基収5483号)

また、労働基準法第23条第2項では、「賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。」とありますので、争い部分がはっきりとするまではその部分の支払いをストップすることも可能と考えます。

しかし、企業としてこのような問題に対処するためには、支払いの清算に問題があるとき措置(支払留保)を就業規則等において明文化すべきとの見解もあります。


退職金請求権の時効

退職金の請求権は5年で消滅します。


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