賃金の決定と変更
賃金の決定・変更方法について解説。賃金は、事業主の勝手な意思では変更することはできません。理由もなしに賃金を変更した場合には、無効となります。

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賃金の決定・変更

賃金の決定方法
賃金の変更方法
 
賃金の決定方法
賃金は、労働契約の当事者である使用者と労働者本人との合意によって決まります。
もちろん、合意の内容は労働基準法等の法律に違反してはなりません。
実際には、就業規則に定められる賃金体系や額、個別の労働契約等によって合意されていますが、個別の労働契約による場合は就業規則や労働協約に定める基準に反してはなりません。
もし、それらの基準に反した労働契約がある場合は、その反した部分が無効となり、無効となった部分は、就業規則ないし労働協約の定める基準によることになります。

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賃金の変更方法
賃金を変更するには、就業規則の変更や個別に使用者と労働者とで明示的又は黙示的な労働契約の合意によって変更されるのが一般的です。
それ以外に、職能資格制度の資格等級の見直しや年俸制の業績評価による変更、懲戒処分の減給などが行われることもあります。

労働契約によって賃金や退職金が決定されている場合は、一方的な賃金の切り下げはゆるされません。しかし、事情が変更した場合などに、賃金の切り下げが認められる場合があります。
その事情変更が認められる要件は、つぎのとおりです。
 契約締結後の事情の変更が予見できず、かつ、使用者及び労働者の責めに帰することのできない事由によって生じたものであり、かつ、予見の可能性や帰責事由の存否は、契約締結当時の当事者について判断すべきものとされる。(最判平9.7.1)、そして、その事情の変更の理由により当事者に契約解除権を認めるには、その事情変更が、客観的に観察して信義誠実の原則上当事者を契約によって拘束することが著しく不合理と認められることを要する。(最判昭30.12.20)

就業規則変更による賃金の切り下げ
就業規則の変更による使用者の一方的な賃金の切り下げは、その理由に合理性が無ければ無効であり、使用者は就業規則で定める賃金を支払わなければなりません。

参考判例
就業規則の変更についての判例秋北バス事件
原則として、新たな就業規則の作成または変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは許されないが、労働条件の集合的な処理、特にその画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、就業規則が合理的なものであるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない。
労働条件の不利益変更の合理性について大曲市農協事件
労働条件の変更は、その変更の必要性及び内容の両面からみて、それによって労働者が被ることによる不利益の程度を考慮してもなお、労使関係における当該条項の法的規範性を是認できるだけの合理性を有するものであること。

合理性の判断基準
労働条件の不利益変更に必要な客観的合理性の判断基準については、判例(第四銀行 平9.2.28 最2小判)により以下のとおり示されおり、これらの項目を総合的に考慮した上で、その不利益変更に客観的合理性があるかどうかが判断されることになります。

@ 変更により労働者が受ける不利益の内容・程度
A 変更の必要性の内容・程度
B 変更後の就業規則の内容自体の相当性
C 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
D 労働者及び労働組合への説得など交渉の経緯
E 他の労働組合または他の労働者の対応
F 変更した内容と同業他社・他産業の水準との比較など社会的妥当性

賃金や退職金などの重要な労働条件の不利益変更については、上記の基準以上に厳しい要件が課せられていて、判例では、「重要な労働条件を不利益に変更する場合の客観的合理性は「不利益を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容であることが必要」とされています。(大曲市農協事件 昭61.2.16 最3小判)



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