| 賃金の支払請求権、月給制・年俸制の賃金カットの方法、賃金カットの法規制、減給制裁について解説しています。 |
使用者と労働者は、労働契約にて、労働者の労務提供に対し使用者が賃金を支給することを約束します。
労働者は、その契約にそって労務の提供をしたときに、賃金を請求することができるのです。
これを、賃金支払請求権といいます。 |
もし、契約された労働日に遅刻、早退、欠勤などがあれば契約した労務の提供とはいえず、その遅刻等の部分については、賃金支払請求権は発生しないことになります。
使用者側からみれば、その部分は賃金の支払義務はないということです。 |
| 賃金の決定方法には、時間単位・日単位・週単位・月単位などがありますが、月給制は月を単位として賃金を決定する方法です。 |
| 労働契約で賃金を月給制と約束した場合、遅刻などの部分の賃金をカットする場合には、就業規則などでカットする旨の定めがあるかどうかが焦点になります。 |
| もし、定めが無い場合には、従来から遅刻等に対し賃金カットをしてきたかどうかがポイントになります。従来から、カットしてきたのであれば就業規則などに定めていなくても、カットすること問題はないと考えられます。 |
| しかし、従来カットしていなかったものをカットする場合は、労働契約の趣旨に反することになり、許されないことになります。これは、従来賃金をカットしないということが、労使慣行といて成立していると考えられるからです。(民法92条) |
| なお、遅刻・早退・欠勤などの日に賃金をカットしない月給制のことを「完全月給制」と呼ぶこともあります。 |
| 年俸制とは、賃金の全部又は一部を対象となる労働者の業績を評価し、年単位で賃金を決定する制度です。 |
| したがって、労働した時間を基準として決定するものではないので、就労しない時間に対し賃金をカットすることは、賃金の全額払いの原則に反する可能性があります。 |
| ただし、名目上は年俸制であっても、実質は月給制の場合は不就労時間の賃金カットはできるでしょう。 |
| 労働者が労務の提供をしなかった実時間より多い時間に対して賃金をカットすることは許されません。 |
| たとえば、遅刻の時間を30分単位で計算するといった場合、これは賃金の全額払いの原則に反することになります。 |
| 減給の制裁とは、労働者に対する懲戒処分の一つとして、労働をして本来得られるはずの賃金から一定の額の賃金を減額して支給することをいいます。 |
| 労働基準法第91条 |
| 「就業規則で、労働者に対して減給の制限を定める場合は、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」 |
| 労働基準法では、「就業規則」と定めていますが、規定の趣旨は減給の限度を定めているわけで、「就業規則」に限らず会社の内規などにも制限の効力が及び、この制限を越えた場合には違法となりまので、注意が必要です。 |
| また、平均賃金の算定については、「減給の制裁の意思表示が相手に到着した日をもって、算定すべき事由の発生した日」と解されています。 |
| 罰則 |
| 労働基準法第91条の制限に違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられます。 |
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