割増賃金Q&A



Q1 日曜日、水曜日を休日と定め、日曜日を法定休日とし割増率を35%、水曜日を25%と定めた。
所定労働日である土曜日の仕事が深夜までかかり、午前0時を過ぎて日曜日の6時まで労働した場合の割増率は?
なお、所定労働時間は、8時から17時(休憩1時間)です。


所定労働日の労働時間は、8時から17時(休憩1時間)であるので、ちょうど法定労働時間である8時間となります。
割増は、法定労働時間である8時間を超える労働が対象となりますので、17時から24時までの7時間が時間外労働として最低25%の割増賃金が必要であり、法定休日である日曜日の0時から6時までの6時間は最低35%の割増賃金が必要となります。
なお、10時から翌日の5時までは、深夜労働となり深夜割増が(最低25%)必要ですので注意してください。
(休憩時間などの労働していない時間については、割増賃金の支払は必要ではありません。)

25% 50% 60% 35%
8時 (所定労働時間) 17時 17〜22時 22〜24時 24〜5時 5〜6時


Q2 法定休日とされている日曜日の18時から翌日(所定労働日)の18時まで勤務した場合の割増率は?
なお、休憩時間は、21時から22時(1時間)までとったものとします。
所定労働日の労働時間は、9時から18時で、休憩時間60分です。


法定休日の18時から24時までの時間帯については、休日労働であるため最低35%の割増賃金が必要になります。もちろん、休憩時間については、割増賃金は必要ではありません。
0時から8時までの8時間については、1日の法定労働時間内であるため割増賃金を支払う必要はありませんので通常の賃金のみで足ります。
8時から9時までは、法定労働時間を超えますので最低25%の割増賃金が必要となります。
なお、週単位の時間外労働を計算する場合には、翌日の0時から9時までの労働時間を法定休日の日の労働として取扱うため、法定休日の属する週の労働時間として計算します。
翌日の9時以降は、所定労働日の労働として取扱われます。

35% 60% 25% 0% 25% 通常勤務
18〜22時 22〜24時 0〜5時 5〜8時 8〜9時 9時〜


Q3 月給、週給、日給、時間給、出来高払い、で定められている社員がいる場合、それぞれの割増賃金の計算方法は?


割増賃金は、社員ごとの通常の1時間当たりの単価を求めて、その単価に割増率を掛けて算出します。
1時間あたりの金額は、賃金の支給形態によりつぎのように求めます。
月給制 月給の場合は、その月の所定労働時間で除した金額。通常は、月によって所定労働時間が異なることになりますが、この場合には1年間における1ヶ月あたりの平均所定労働時間数で除した金額になります。
なお、年によって1ヶ月平均労働時間数が異なることになりますが、最も年の所定労働時間数が少ないものを用いれば毎年計算する必要がなくなります。
週給制 週で定められた金額をその週の所定労働時間数で除した金額。週によって所定労働時間が異なる場合には4週間における1週あたりの平均所定労働時間数で除した金額になります。
日給制 日あたりの金額を1日の所定労働時間数でで除した金額。日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日あたりの平均所定労働時間数で除した金額
時間給制 時間で定められた金額。
出来高払制 賃金締切期間(賃金算定期間)で計算された賃金の総額を、その期間の総労働時間時間数で除した金額


Q4 年俸制を導入しようと考えているが、年俸制対象者でも時間外手当が必要か?
時間外手当が必要となる場合は、賞与の取り扱いはどうなるか?


年俸対象者であっても労働者である以上労働基準法が適用になりますので、実際の労働時間が法定労働時間を超えていれば時間外手当が必要になります。
ただし、管理監督者や機密事務取扱者は労働基準法で労働時間の規制が除外されていますし、裁量労働制を採用している場合にはみなし時間に応じた年俸であればよいことになります。
賞与の取り扱いについては、賞与の額が確定されていないで、1ヶ月を超える期間ごとに支給される場合には割増賃金の計算の基礎には含まれませんが、予め支給額が確定されている場合には賞与とみなされません。よって、毎月支払われる給与部分と賞与部分との合計で年俸が確定している場合には、賞与は割増賃金の計算の基礎から除外することはできません。


Q5 職員が遅刻した日に残業を命じた場合、時間外割増を支払わなければならないか?


法律で定める労働時間は実労働時間を指しています。
残業を行った場合でも実際の労働時間が法定労働時間を超えていなければ割増賃金の支払は必要ではありません
しかし、その実際の労働時間が法定労働時間をを超えている場合にはその超えた時間について割増賃金の支払が必要となります。


Q6 部長、課長職は、管理監督者であるため時間外手当は支給しなくても良いか?


労働基準法で規定する管理監督者であれば、時間外手当(深夜割増は必要)の支払は必要ではありません。
しかし、役職がついている、あるいは役職手当を支払っているからといって、そのすべての人が労働基準法に規定する管理監督者に該当するわけではありません。
管理監督者とは、通達によると「一般的には局長、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場に在る者であり、名称に捉われず出社退社等について厳格な制限を受けない者について実態的に判断すべきもの」とされていますので、たとえ部長職等の方であっても、労働基準法に規定する管理監督者に該当しない場合もありますので注意が必要です。


Q7 残業手当を定額で支給することは可能か?
可能であるとしたならば、実態的に残業時間が少ない月や多い月があったとしても、毎月同額で差し支えないか?


残業手当の額が労働基準法で規定されている計算方法で算出された割増賃金額を下回っていなければ定額で支給することは可能です。
しかし、実際の残業時間によって計算された割増賃金の額が、定額で支給された残業手当の額を上回っている場合にはその差額を支払わなければなりません。
また、残業手当は通常の賃金と同様に月ごとに清算しなければならないものであるため、実際の残業時間で計算した割増賃金額が定額で支給する額を上回っている月は、その月にその差額を清算しなければならないことになります。


Q8 扶養家族の人数によって支給してる地域手当は、割増賃金の基礎に算入しなくてもよいとされている家族手当に該当するか?


労働基準法では、割増賃金の基礎に算入しなくてもよいとされる賃金は、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金及び1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金の7種類を規定しています。これら7種類に該当しない賃金はすべて割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければならないことになっています。
この7種類の賃金については、名称にかかわらず、実質により判断することとされていますので、たとえ地域手当と称していても、労基法上の家族手当に該当すると考えられます。


Q9 既婚者に対して一律で支給している家族手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければならないか?


労働基準法上の家族手当は、「扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当」の意味であり、家族数に関係なく一律に支給されているものは家族手当としてみなされません。したがって、既婚者に対して一律に支給されている家族手当は、割増賃金の基礎に算入しなければならないと考えられます。


Q10 1年単位の変形労働時間制の適用者が対象期間の途中で退職したが、実際勤務した所定労働時間が週法定労働時間を超えいた。この場合でも割増賃金の支払は必要ないか?


1年単位の変形労働時間制の適用者がその期間の途中で退職した場合や1年単位の変形労働時間制の適用を受けない部署へ異動した場合には、対象期間の当初から退職あるいは異動までの労働時間を平均して週法定労働時間(40時間)を超えいてる場合には、割増賃金を支払う必要があります。
また、対象期間の途中に入社や異動で新たに対象になった人に対しても、そのときから対象期間の終了までの平均労働時間が週40時間を超えている場合には、割増賃金の支払が必要となります。

割増賃金を支払うべき時間
1年単位の変形労働時間制により労働させた期間における実労働時間から、労働基準法第37条第1項の規定に基づく割増賃金を支払わなければならない時間及び以下の計算式で求められる時間を減じて得た時間
 40×実労働時間/7

Q11 派遣労働者から「時間外労働が月60時間を超えると、5割以上の割増賃金が必要では?」との指摘を受けた。当社は、30人程度の中小企業。派遣元との契約では、時間外についしてなにも記載していない。
5割の残業手当が必要か?


割増率が5割の規定は、平成24年4月現在、中小企業には適用されません。この法律規定が改正(平成22年4月1日)後3年を経過した時点で、中小企業の適用猶予を廃止・継続を検討することになっています。
派遣労働者の場合、労働契約関係は派遣元との間にあります。また、派遣事業は「資本金5000万円超かつ労働者数100人超である場合に中小企業の範囲からはずれ、また、その規模は事業場の単位ではなく企業単位で判断されます。

派遣労働者に60時間超の時間外労働が考えられる場合の確認事項
@派遣先での時間外労働については、派遣元での36協定が必要であり、特別条項をもって時間外労働の限度基準を超える時間外労働が可能となる。
A派遣元との契約で規定されている労働時間を延長することができる時間数(派遣契約の締結事項、派遣法施行規則第22条)
上記の条件を満たし、適法に60時間を超える時間外労働が適法となり、中小企業事業主に該当しない場合に5割以上の割増賃金を支払う義務が生じます。なお、割増賃金を労働者に支払うのは派遣元であり、割増賃金と派遣料金のリンクさせるかどうかは派遣元と派遣先の交渉によることになります。