東アジアにおけるハクガン (Anser caerulescens) の復元計画・\

Restoration Project of Snow Goose (Anser caerulescens) to East Asia・\

○佐場野裕a、上村左知子a、呉地正行aA.Andreyevb、A.Kondratyevb、E.Syroechkovskyb、K.Litvinb、V.Baranyukc、J.Takekawad、D.Orthmeyerd、F.Cookee

(a日本雁を保護する会、bRussian Academy of Sciences、cWrangel Island Nature Reserve、dNational Biological Service、eSimon Fraser University)

 

アジアに唯一残されたウランゲル島の繁殖個体群を保護し、東アジアで繁殖、越冬する個体群を復元するためのハクガン復元計画が、国際共同計画として1993年より実施されている。本大会には、計画の準備段階から、計画内容及び各年度の実施状況を報告してきている(例えば、本学会1998年度大会A01、2001年度大会P51)。ここでは、2003/2004冬期の日本におけるハクガンの越冬状況を中心に、最近の本計画の進展状況を報告する。

下図は、日本雁を保護する会が把握できた最近33年間のハクガンの飛来状況をまとめたものである。ハクガン復元計画が開始された1993年以前の22シーズンについてのハクガンの出現頻度は 0.36羽/年であるが、本計画がスタートした直後の1993/1994冬期に急増し、その後着実に増加していることがわかる。特に、昨シーズン(2003/2004冬期)の越冬数12羽は新記録である。また、2000/2001冬期以降、幼鳥を含む家族群が越冬するようになっていることは心強い。